バカとナイトと有頂天   作:俊海

3 / 32
今回非常にキャラの性格が変わっています。
特にそれが顕著なのが美波です。
どうも、原作のすぐに暴力を振るう感じがあまり好きではなかったのでだいぶ明久に対してマイルドな対応を取るようにしました。

そして、ついにクロスしてしまいました。
ブロントさんが出た時点でだいたい予測できてたと思いますが、一つ目は東方です。
そもそもブロントさんが出てくる作品なんて、東方有頂天系しかないし……
もう一つはFateです。
とはいっても、学生に値するキャラが少ないのでそんなに出ないかもしれませんけど。
上記の二つは、キャラは出ますが設定は出ません。
(例えば、衛宮士郎が『無限の剣製』を使える。とか博麗霊夢は『空を飛べる』などのようなことです)

上記のことが受け入れられるという方たちは、そのまま下へ。
そんなの普通じゃ考えられない!という人は、ブラウザバックしてください。


第三話 バカとナイトと自己紹介

「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。これからよろしく頼むぞ」

 

「…………土屋康太」

 

 

この二人も去年からの僕の友人だ。

片方はともかく、秀吉なんかは勉強すれば上位のクラスに行けるような気がするんだけどな。

根は真面目だし、僕らの中でも勉強は出来る方なんだから。

 

 

「明久、ほんの少し僅かに気になったことがあったんだが」

 

「ん?なに?」

 

「秀吉はAクラスにいたきがするんだが俺が思うにあいつは忍者なのか?」

 

 

忍者?

どうしていきなり忍者なんて言葉が出てくるんだろう。

……あ、もしかして、忍者って分身の術とか使うからかな?

つまり、秀吉とソックリさんがいたからおかしいなって思ったわけか。

 

 

「あぁ、違うよ。Aクラスにいたのは秀吉のお姉さんだよ。男と女なのに瓜二つだから間違える人多いんだよね」

 

 

そう、秀吉は見た目がどこからどう見て女の子にしか見えないんだ。

お姉さんもそれで似通ってるから勘違いする人が本当に多い。

正直秀吉が『実は女の子なのじゃ』とか言っても驚かない自信があるよ。

 

 

「……あいつは男なのか?」

 

「そうだよ。とは言っても、誰からも女の子としてしか扱われないけどさ」

 

「俺のこの目をもってしても見抜けなかったことからあいつの女装スキルはA+なのは確定的に明らか。あんなの見分けがつくわけがないという理屈で俺の負けは既に決定していたことによって俺は深い悲しみに包まれた…………すまにい秀吉俺はお前が男だとわからなかった貧弱一般人だった」

 

「もしかしてブロントさん秀吉が男だってわからなかったこと気にしてる?そんなの気にしなくていいのに。秀吉からしたら男として扱ってもらえるだけで嬉しいと思うよ」

 

「それだと俺の気がしばらく収まることを知らない。あとで一撃謝らせろ」

 

 

律儀だなぁブロントさんは。

もとから秀吉は演劇部に所属しているから演技は尋常じゃなくうまいわけだし、女役やらせたらその手のプロの人も見分けつかないんだししょうがないと思うんだけど。

でも、ブロントさんがそう言うなら、僕も秀吉のことを女の子扱いしてからかうのはやめておこうかな、結構秀吉に失礼だったし。

 

 

「……です。海外育ちで日本語の読み書きが苦手です。趣味は」

 

 

秀吉への態度を改めようかと悩んでいるうちに、自己紹介は進んでいた。

僕にしては真剣に考えこんでたみたいだ、周りの声が耳に入らなくなるなんて。

今は女の子が自己紹介してるみたいだけど……この声は、もしかして――

 

 

「アキをいじめることです!」

 

「ちょっ!?何言っちゃってるの美波!?」

 

「おいィィィィィィィィィ!!??その趣味はどっちかというと大反対!!このままだとリアルポリスに捕まって刑務所で臭い飯を食うハメぬなる!!」

 

 

とんでもない趣味を暴露してくれたのは美波――フルネームは島田美波だ。

そもそも僕をいじめるなんて趣味をよくみんなの前で公言できたね!?そっちの方に驚きだよ僕は!!

あまりに驚きすぎて、僕はその場で立ち上がって美波にツッコミを入れた。

 

それと同時にブロントさんが美波の自己紹介を聞いて、焦り半分怒り半分で美波に向かって叫んだ。

秀吉の性別を間違えただけでも失礼だと落ち込んでいたブロントさんのことだ。『いじめ』なんて言葉に過剰な反応を示すのも不思議じゃない。

このまま誰も介入しないままだったら、二人の間には凄まじい溝ができることになるだろう。

 

……とは言ってもなぁ。

僕が美波にいじめられてた記憶がないんだよね…………

美波って僕になにかしたっけ?むしろいろいろ世話を焼いてくれる印象しかないんだけど。

今僕がツッコミを入れたのだって、僕の生命の危機を感じてやったわけじゃないし。

 

 

「いじめとか間接的とは言え殺人罪と同義だろ!訴えられたら色々調べられて人生がゲームオーバーになる!お前の卑劣な行動が始ってしまった証拠のログは確保したからな言い逃れは出来ない!」

 

「いきなり何叫んでるのよ?ウチがアキをいじめるのは自然の流れってもんよ?アキを火炙りにしたこともあったし」

 

「火炙りとかちょとsYレならんしょこれは!?明久も何か言ってやるべきそうすべき!!」

 

「もしかして火炙りって、去年の二月あたりで雨に濡れて凍えてた僕を、家に上げてくれてストーブに当たらせてくれたことを言ってるの?あの時は助かったよ。ありがとね美波」

 

「えっ」

 

「えっ」

 

 

たしかあの時って僕傘を忘れてたから、びしょ濡れになったまま家に帰ろうとしたんだっけ。

その時にたまたま出会った美波に呼び止められて、近くの美波の家まで連れて行ってくれたんだった。

そのままじゃ寒いだろうからってシャワーとかも借りて、服も乾かしてくれたんだ。

女の子の家に上がらせてもらってたってだけで緊張するのに、あんなに助けてくれて申し訳なさと感謝の念で萎縮しきってたような気がする。

 

 

「………………」

 

「………………」

 

 

……あれ?二人共黙っちゃったんだけど。どうしたんだろ?

 

 

「……oi美波もすかして「え、えーとっ!!そうだ!!アキが見ただけでも身の毛がよだつような、そんな拒否反応が起こるものばっかり載ってる本を無理やり読ませたこともあったわ!」

 

「精神攻撃するとか……汚いなさすが美波きたない!」

 

「それって僕の勉強を見てくれた時のことかな?あの時は見るのも嫌だったけど、今だったらそこまでじゃなくなってるし……これは美波のおかげだね、感謝してるよ」

 

「えっ」

 

「えっ」

 

 

春休みの間、数学の勉強を見てくれたのは美波だった。

彼女はドイツからの帰国子女だけど、数学だけなら日本語を使わなくても教えられるからってことで教えてもらってた。

そのかわり僕は美波の国語の勉強――とはいっても、テストの問題文をある程度理解できるようにするまでにしかとどまってないけど――を教えることにもなったっけ。

あれだけ教えてもらってたら、その頑張りに応えるためにも、できるだけ上位のクラスに入れるようにしたかったんだけど……

 

 

「………………」

 

「………………」

 

 

……あれ、また二人共黙ってるんだけど、どうしたんだろ?

 

 

「……おいィやっぱり「そーだそーだ!!これが残ってた!!ウチは今までアキには何回も何回も関節技とかかけてきたのよ!?それでいっつもアキは苦しそうな顔をしてたし、あれはさぞ痛かったんでしょうね!!」

 

「そるはさすがに親とか呼ばれて一巻の終わり!!やはり有罪だった!!しかも黙っていればいいのに謙虚に苦しそうな顔をしてたと言った!!お前は謝ろうにも時すでに時間切れ!!怒りのパワーの力が全快になったからおまえはもう謝っても遅い!!」

 

「たしかにあれは少し痛かったけど、あれって整体してくれてるんでしょ?あれが終わったあとって体が妙に気持ちよくなっててすっごい体が動くんだよね」

 

「えっ」

 

「えっ」

 

 

痛みなんてほとんど無いに等しいし、あれって軽いマッサージみたいなもんでやってくれたら嬉しい方なんだよね。

あんまり女の子に体力使わせるようなことはさせたくないし、その……いろいろ触れ合っちゃったりして恥ずかしくて自分からはなかなか言いづらいけど。

いじめなんて言い出すなんて、もしかして美波は僕になにか恨みでもあるんだろうか。

だとしたら非常に悲しいんだけど。

 

 

「ねえ美波、僕ってもしかして美波になにか失礼なことしたの?僕ってほら無神経なところがあるし、出来れば言ってくれたら謝るけど……どうかな?」

 

「アキはなにも悪くないわよ!ウチが個人的にアキをいじめたいだけなんだから!!」

 

「なんだ急に息巻いてきた>>美波。その言葉だけで本当は明久のことが嫌いではないということが証明されたな。本当に嫌いなら『何も悪くない』なんて言わないからな。あんまり意地を張るのもやめろ、そんなんじゃすぐハゲる」

 

「ハゲてない!!」

 

「普段は確かに心優しく言葉使いも良い明久でもおまえのあまりの粘着ぶりに完全な怒りとなることもまれによくある。何か粘着がいつまで立っても鬼の首みたいに粘着してるが時代は進んでる、ここで一歩引くのが大人の醍醐味、以後気をつけろ(この辺の心配りが人気の秘訣)」

 

「う……わかったわよ……」

 

 

どうも美波は落ち着いたみたいだね。

ブロントさんは説得するのがうまいのかな。

そういうところは見習わないといけないな。

 

 

「…………いや、俺の目には、日本語としてどこかおかしい言葉を早口で喋ってるから無理やり納得しないとめんどくさいし、とりあえず妥協しとこうって譲歩してるだけのように見えるんだが」

 

「それをいったらおしまいだよ雄二……」

 

 

いや薄々感づいてはいたけどね。

丸め込むってことではすごく優秀なんだとは思うよ。

うん、きっとそう。よくわかってはいないけど。

 

 

「明久、次はお前の自己紹介の番なんだが?カカッっと紹介してこい」

 

「あ、うんわかったよ。ありがとう」

 

 

あれ、もう僕の出番か。意外と早く回ってきたな。

……といっても自己紹介の文章なんてなんにも考えてないんだけど。

こういう時の自己紹介って、そうとう恥ずかしいし、何を喋ったら正解なのかっていう明確な答えもないし困るんだよね。

まさか『気軽にダーリンと呼んでください』なんてふざけたこと言ったところでどうなるっていうんだろう。

それでもし、本当に僕のあだ名が『ダーリン』になったときの僕のダメージがひどすぎる。

このクラスの男子生徒に野太い声で『ダーリン』って呼ばれる………想像しただけで吐き気を催すレベルの醜悪さがそこにあった。

やっぱりここは無難に普通の自己紹介でいいかな。

 

 

「吉井明久です。趣味はゲームをすることで、特技は……特技と言っていいのかわからないけど、料理は結構できます。これから一年間皆よろしくね」

 

「あーちょっと吉井、質問あるんだけどいいか?」

 

「ん?なにかな?なんでも聞いてよ」

 

 

質問されるのはありがたい。

その分自分が紹介文を考えなくて済むわけだし、質問してくれた方が親近感が湧くんじゃないかな。

いま質問してくれたのは須川君だったっけ?

 

 

「さっき島田とやたら仲良さそうに見えたが、お前ら付き合っちゃってんの?どっからどうみても息の合った漫才にしか見えなかったんだけど。相当仲良くないとあれだけの合いの手入れられないよね?そこそこ親密な関係だよね?もはやあれ男女の仲のそれだよね?チクショー妬ましいって気持ちでいっぱいになんだけど?」

 

「ウ、ウチとアキが付き合ってるなんてそんなことあるわけないじゃない!!」

 

「別に美波とは付き合ってないよ?……って美波、そこまで頭ごなしに否定されると流石に僕も落ち込むんだけど?」

 

 

確かに僕と美波は仲はいいのは認めるけれど、男女の仲では断じてない。

僕としては、付き合えたらラッキーだなとは思えるくらいには好意を抱いているけど、向こうにはそんな気はないだろうし、今だって美波が僕との関係を必死で否定してるし脈なしでしょこれは。

せいぜい仲のいい男友達あたりが関の山じゃないかな。

 

 

「とにかく、美波は僕に対してそういう目で見てないからそんなことはありえないよ」

 

「お、おう……なんかすまん島田……」

 

「むっ……何よ、もう。ちょっとくらい動揺してくれてもいいじゃない……」

 

 

僕と恋人なんて美波にとっても複雑な気分になるだろうし、はっきりと否定しておくかな。

あとでこういうので痛い目とか見たくないし、美波との関係がぎくしゃくするのも困るし。

……で、何で美波は赤くなってるんだろう。怒ってるのかな?

 

 

「……明久お前にはもう少し周りの状況を客観的に見ることが必要不可欠。それでも汚い蝉でのらりくらり躱すなら後ろに気をつけておくことをお進めする不意だまでお前の命は非常にまずい事になる。『これがそう見えるならお前の目は必要ないな後ろから破壊してやろうか』とか言われて必死に逃げてもとんずらされて後ろから切られる。もうここまででも十分に明久の寿命がnice boatでマッハなのは圧勝に決まったのだがさらに攻撃は続く。次は傷の深さに注目するのだが貧弱一般人はただのひょろっとした弱そうな攻撃であれで攻撃されてもあまり痛くはない、しかし嫉妬の炎とダークパワーが両方備わったリア♀は最強に見えてその威力も火ではない威力というあるさま。その攻撃をくらって明久は裏世界でひっそり幕を閉じてそのまま骨になる」

 

「なんでさ!?」

 

「言ってることの九割がた分からなかったけど……なんつーか……ブロントさんは日本語に不自由はしてても常識とかはあるんだな。いや、明久がいろんな意味でバカなだけか?」

 

「バカとか言ってるの聞こえてるぞ雄二!!」

 

「聞こえるように言ってんだから当たり前だろ」

 

「僕の扱いがあまりにもひどすぎる!?」

 

 

なんなのさ!さっきから僕を貶めるようなことばっかり言って!!

むしろ美波のフォローに回ったことを評価してくれてもいいんじゃないの!?

僕にしては珍しく落ち着いて返せたんだからさ!

 

 

「……坂本、ブロントさん。別にいいから……アキがこう言う奴だってことは理解してるし、今更ってもんよ」

 

「お前……それでいいのか?」

 

「いいの。ウチはこういうので気づいて欲しいとは思ってないし、アキのそういうバカなところも含めて気に入ってるんだから。そりゃあまあ少しは意識してくれとは思うけどね」

 

「ちょっと美波!?君まで僕をバカにするつも「いいから黙ってろ!なっ!?」

 

 

美波の悪口に抗議しようとしたところで、雄二に全力で止められた。

いったい僕が何をしたって言うんだ。僕は悪口を言うことさえも許されないのか?

……まあ言われたからには黙るけど。

 

 

「ほう、なかなかに潔い心を持っているなジュースをおごってやろう。さっきはお前の発言に結構ウデとか血管血走ってるから騒ぐと危険だったが今のお前の本心によって俺からお前への評価が鯉のぼりになる。俺はああ美波も怖いほどの心の広さを持っているのかとこのクラスメイトの今後に大きく希望を持った。

本能的には善人タイプ→仏の顔も三度ではなく九度でいい→心が豊かなので性格も良い→彼女ができる。

本能的に汚いやつ→三度どころか一度で怒りが有頂天→心が狭く顔にまででてくる→いくえ不明。

ほらこんなもん」

 

「……おい明久、ブロントさんは何を言っているんだ?」

 

「ゴメン、ウチにも通訳頼むわアキ」

 

「喋っていいのか悪いのかどっちなんだよ!」

 

 

二人共僕をブロントさんの翻訳機みたいに思ってない?

僕だってブロントさんの言葉を完全に理解したわけじゃないんだけど。

しかたない、出来る範囲で解読しよう。

 

 

「つまりだね。『美波は素直な人間だな。さっきは言ってる内容がひどすぎて怒りが爆発しそうだったけど、本当のところはお前は優しい心を持っているから見直した。こんなに優しいクラスメイトがいるなら俺はこのクラスでうまくやっていけそうだと思う。根が良いやつは周りから人気者になれるけど、腹黒いやつは自然と表情に出てくるからみんなに嫌われる。美波はその前者だ』って感じかな」

 

「なんでお前はスラスラそうやって解読ができるんだ!?」

 

「ウチにもほとんど分からなかったのに!?」

 

「なんていうか、慣れたら簡単だよ?言ってる内容は日本語だし」

 

 

いずれみんなも慣れるはずだけど。

僕でも数回話しただけで意味はわかるんだし。

雄二とか美波はもともとは頭良いはずだから、適応するのは早いと思う。

 

 

「むっ、次は俺の番か。それじゃあ自己紹介系の仕事があるのでこれで」

 

 

ようやくブロントさんの番が来た。

さっきの雄二たちの反応見てたら、ブロントさんは初対面の人にちゃんと自己紹介できるんだろうか、と不安になる。

でも、ブロントさんならなんとかやってくれる。

そう思える。

 

 

「……明久、ブロントさんはちゃんと自己紹介できるのか?」

 

「ゴメン雄二、今まさに僕もその心配してたところだから」

 

 

なんだか僕ってブロントさんの保護者みたくなってない?

ブロントさんは僕よりもすごい人間だっていうのはわかってるけど、あの喋りで相当損してるとしか思えないんだよなぁ。

でも、あの喋り方じゃなかったらブロントさんっぽくないし……

な…………なんとかなるって、多分。

もともとブロントさんは僕が心配するような相手じゃないし、きっと――

 

 

「俺はブロントだし、謙虚だから呼ぶときはさん付けでいい。出身地とか言ってる時点で話にならないのは証明されたがイングランドとだけは教えてやる俺は優しいからな。職業は黄金の鉄の塊でできたナイトで名実ともに唯一ぬにの盾。イングランド生活よりも充実した日本生活が認可されてるがイングランドでも伝説の不良と恐れられている不良だから喧嘩も強いしバイクもヘルメットかぶらないで乗る。あと自慢じゃないが野球チーム組んでる時に「イングランドのイチローですね」と言われた事もある。ナイトはえごいぞ普通の防御力でナンバー1で最強なのに盾の能力も最強。ナイトは個人の才能が試されるジョブで極めれば極めるほど他を圧倒した存在になれる。一人で光・闇連携をこなしちぇしまう超パワー!最強の防御力にダントツの精神力と回復力を持ついわゆる点でノーリスクのノーリスクハイリターンジョブであった。ちなみにダークパワーはナイトが持つと光と闇が両方そなわり最強に見えるが逆に暗黒が持つと頭がおかしくなって死ぬ」

 

 

――もうこれはだめかもわからんね。

見なよ皆の「ポカーン」ってしてるあの表情。

ブロントさんの発言にどう反応したらいいのかわからないって感じなんだけど。

これだったらまだ、変なあだ名で呼んでくれって言ったほうがウケが狙えたかもしれないのに、初対面の人間には理解できないんだって、ブロントさんの長文は。

 

 

「……誰か反応してくれませんかねえ?このままでは俺の寿命がストレスでマッハなんだが……」

 

 

ブロントさんが沈黙状態になった教室の様子を見て不安そうな顔になった。

そりゃあ自己紹介してて静まり返ってたら気にはなるだろうけど、原因はブロントさんなんだよ?

これはマズいと思った僕は、なんとかこの場を取り持とうと声を出そうとした。

――が、それよりも早く、須川くんが口を開いた。

 

 

「あー……なんだ、そのブロント?であってるか?」

 

「……をつ……よ」

 

「デ……野郎……」

 

「……あれ?今お前喋った?」

 

「喋ってないのは確定的に明らかだが?」

 

 

……今なにか聞こえた。

かなり遠くのところから誰かが叫んでいるのが聞こえた。

それは須川君にもブロントさんにも聞こえたみたいだけど、誰のものかわからない。

しかも二人分。

 

…………ドドドドドドドドドっ!!

 

……ってあれ?こっちに向かって走ってくる音が聞こえてくるぞ?

これって、叫び声が聞こえた方向から?

誰がこっちに向かっているって言うんだ?誰も近づかないような、このFクラスなんかに。

そう僕が疑問に思ったその時――

 

 

「さんをつけろよ!!!!」

 

「デコ助野郎ォォ!!!!」

 

「う、うるさっ!?」

 

 

扉を乱暴に開けて、女の子ふたりが教室に飛び込んでくるやいなや、大きな声で吠えた。

うん『吠えた』だった。『叫んだ』なんて生ぬるいものじゃなかった。

魂の奥底から、全力で主張しているのがわかる。

それでも、その大声は、僕の耳にはうるさすぎた。

少しまだ頭の中を『キーンッ!』って音が響くほどだから、とんでもないパワーだ。

 

 

「お、おい!お前らいきなり教室に入って叫ぶなよ!皆が驚くだろ!?」

 

「何かブロントさんを呼び捨てにするのが聞こえたんだからしょうがないじゃない」

 

「ブロントさんを呼び捨てにするなんて礼儀知らずにも程があるんだぜ!!」

 

「それでも常識ってもんを考えろ!!」

 

「ふ、二人共……ハァ……ハァ……急ぎすぎですよ……」

 

 

その直後、また二人が教室に入ってきた。

今度は男子と女子のペアで、男子の方は叫んだ二人組を注意しだした。

その注意も最もなんだけど、女の子たちは悪びれもせずに逆に男子生徒に食ってかかる。

 

って、もしかして離れた場所からブロントさんを呼び捨てにしたのが聞こえたってこと!?

どんな聴覚してるんだよこのふたりは!?

でも、のこりが良識的でよかった……

最初に入ってきた女の子よりは常識を持ってそうな、一般的な二人で……

 

 

「って姫路さん!?ダメじゃないか!病気があるのに急な運動するなんて!!」

 

「ハァ……ハァ……吉井君……ですか?……す、すみません……」

 

「もういいから。早く息を落ち着かせよう?喉渇いてるなら水もあるけど飲む?」

 

「い……今は……いいです……大丈夫ですから……」

 

「それならいいけど……何かあったらすぐに言ってよ?」

 

「は、はい……」

 

 

完全に息が上がってる姫路さんがいた。

おおかた前に行ってた三人が走り出したから自分もついてこようとしたんだろう。

そんな無茶をしたらいけないのに……

姫路さんは乱れた息を整えるため、一旦深呼吸をして、倒れないようにするため座り込んだ。

息が上がってる状態だったら、会話するのも難しいだろうし、今はどうすることもできない。

 

それにしても、あの他の三人もどこかで見覚えがあるような……

 

 

「なんだ急にPOPしてきた>>霊夢に魔理沙。急に叫ぶのはやめてもらえませんかねえ?事前に叫ばれるとわかっていれば対処も出来ますがわからない場合手の打ち様が遅れるんですわ?お?」

 

「すみませんねブロントさん。でもそこは私も譲れないんですよ。ブロントさんを呼び捨てにするとかこれはちょとsYレならんでしょ?」

 

「私はブロントさんの本能的に舎弟タイプだからな。そういうのは許せないんだぜ!」

 

「なんかブロントさんの言葉をしゃべる人間が増えたァァァァ!?」

 

 

黒髪と金髪の女子生徒たち――ブロントさんが言うには霊夢さんと魔理沙さん――がブロントさんと同じようにしゃべりだした。

普通ではないとは思ってたけど、ここまで普通じゃないなんて!?

そもそもブロントさんってこっちに来てからまだ三ヶ月も経ってないよね!?

どうしたらここまで影響が出てくる人間が二人も出てくるんだ!?

 

 

「あー……もうお前ら落ち着け。明久以外なんにも反応できてないぞ」

 

「あれ?なんで僕の名前を知ってるの?」

 

 

その女の子ふたりの後ろから、赤めの髪の毛をした男の子がまたも二人を落ち着かせようとする。

……なんだろう、彼には女難の相が色濃く出てる気がする。

 

って、なんで彼は僕のことを知っているんだろう。

いやまあ僕は悪い意味で有名だけど、名前まではそんなに知られていないはずなんだよね。

 

 

「あれ?もしかして覚えてないのか?前に明久の雑用手伝ったこともあるんだけどな」

 

「ゴメンちょっと雑用が多すぎていつの時のものかわからないんだ」

 

「…………なんていうか、ご愁傷様?」

 

「いや、これは僕の自業自得だからいいんだけど…………」

 

 

うん…………この男子生徒いい奴だ。

他の人だったら、ねぎらいの言葉なんてかけてくれないもん。

うーん。こんな人なら忘れることもないんだけど……あ。

 

 

「もしかして……士郎?」

 

「おっ、思い出してくれたか」

 

「いやいや士郎だったらFクラスなんかにいるわけないと思って候補から除外してたよ」

 

 

衛宮士郎――それがこの男子生徒の名前だ。

どんな性格かと聞かれたら、一番最初に出てくるのが『お人好し』ってところかな。

他人からの頼みを断らなくて、いつも誰かの助けになっているという根っから善人だ。

本人曰く『断りたいことは断ってるぞ』とはいうものの、断っているところを見たことない。

成績もそれなりに優秀だったはずだけど、なんでFクラスに?

 

 

「ブロントさん」

 

「何かようかな?」

 

「そこの二人と知り合い?」

 

「確かになというか鬼なる」

 

「どうして知り合ったんだ?」

 

「俺の下宿先兼バイト先の店長の知り合いだという事実」

 

「そうかありがとう。フラグ建築すごいな」

 

「それほどでもな……おいィィィィィィ!?誰がフラグ立てだって証拠だよ!?捏造するなよ前歯へし折られたいのかおまえ!!」

 

「……なんか馴染んでるね。あの二人のおかげかな」

 

 

どうも、霊夢と魔理沙のおかげでブロントさんに質問しやすくなってるみたいだ。

そう言う意味ではさっきの空気を破壊してくれた二人に感謝するところかな。

僕だってブロントさんが孤立するのを見たいわけじゃないし。

 

 

「俺の紹介時間は終了ですね。めんどくせえからお前ら4りで全力で紹介していいぞ」

 

「やっと許しが出たか!」

 

「封印がとけられた!」

 

「……なんだこのノリ」

 

「さ、さぁ……?」

 

 

ブロントさんに霊夢と魔理沙が両方備わり最強に見える――ブロントさんの言葉で言うとこんなかんじかな。

あの二人が来てから、ブロントさんの勢いが増したような気がする。

ブロントさんの言葉を返せるような人たちが来たから当たり前っちゃ当たり前なんだけど。

そのせいで、周りの人をおいてけぼりにするのはどうなんだろう。

 

 

「知ってる人は知ってると思うけど、博麗霊夢よ。趣味はお茶を飲むことかしら。神社やってるからうちに来たら賽銭入れていきなさい」

 

「露骨に賽銭を要求する……いやらしいんだぜ」

 

「何か言ったかしら?」

 

「さあな、空耳じゃないか?そんなことより私は霧雨魔理沙だ。趣味は研究で特技は速さだぜ!」

 

「その速さはサポシから来るもんでしょ。特技は盗むに変えたほうがいいんじゃない?」

 

「何か言ったか?」

 

「さあ、幻聴じゃない?」

 

 

……え?何この二人仲悪いの?

もしかして……ブロントさんをめぐって三角関係をこじらせてるとか?

何その修羅場、全然羨ましくない。

でも本人たちは気にしてないっぽいけどイヤミを言い合うなんて……

 

 

「なんか絶望が鬼なってるぞ。明久、何か不具合でも生じたか?」

 

「あの二人って仲悪いの?」

 

「どうしてあの二人が仲悪いのか理解不能状態、あの程度のイヤミの欧州なら稀によくある。お前と雄二だってあのくらい言ってるだろ。みろ見事なカウンターで返した」

 

「……まあそうかな」

 

 

実際に口に出して言ったりはしないけど、僕は雄二とは仲がいいと思ってる。

悪友だって言えるくらいなんだし、ただの知り合いってもんじゃない。

僕たちはしょっちゅう口喧嘩というか、互を貶めることばっかり言ってるけど、これくらいじゃ相手はなんとも思わないってことが分かってるから言ってるわけだし。

そう考えると、あれくらい普通なのかな。

 

 

「じゃあ次は俺か。衛宮士郎だ。趣味は料理で特技はガラクタいじり。それと、何か俺に力になれることがあったらなんでも俺に言ってくれ、できる限り力を貸すつもりだ」

 

「あ……その……姫路瑞希です。よろしくお願いします……」

 

「あのひとついいですか?」

 

「はい。何ですか?」

 

「どうしてあなたがたはここにいるんですか?」

 

 

文面だけ見ると、めちゃくちゃ失礼だよねその言葉。

下手すりゃいじめとかでも使われる言葉かもしれないし。

でも聞きたいのは僕だって同じだ。

この四人――内二人はよくわからないけど――はFクラスに収まるような人間じゃない。

成績だっていいはずなのになんでだろうか。なんて疑問が浮かんでくるのも自然なことだ。

 

 

「テスト受けに来てなかったのよね。ぼんやりしてたら忘れてたわ」

 

「私はそんなことがあったことすら知らなかったんだぜ!」

 

「……テスト受けに来る途中の道端で産気づいてる妊婦がいたり、迷子になってる子供がいたりしたもんだから……」

 

「そ、その、振り分け試験で熱が出て途中で退席して、それで……」

 

 

前半ふたりはどうしようもないね。そもそもテストを受ける気がなかったってどういうことなの……

魔理沙の方はそれで威張ってるし……威張れることじゃないだろうに。

士郎のは、普通だったら嘘だと思うようなことを言っているのにも関わらず、『士郎がそう言った』だけで真実のように思えてくるから不思議だ。多分本当なんだろうし。

姫路さんは僕が付き添ってたから知ってる。

果たしてこの発言にFクラスのみんなは一体どのように反応するのか……

 

 

「なるほど俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに……」

 

「ああ化学だろ?あれは難しかったな」

 

「俺は弟が事故にあったって聞いてそれどころじゃなくてな……」

 

「黙れ一人っ子」

 

「前の晩、彼女が寝かせてくれなくてな」

 

「今年一番の大嘘つきをありがとう」

 

 

うん、わかってた。

Fクラスだもんね、この程度のことしか言わないのはなんとなく予想は出来てた。

いいじゃないか、こういうことを言ってたって。害自体はないんだから。

……僕でももう少しマシな嘘ぐらいつくとは思うけど。

 

 

「Fクラスの嘘がひどすぐる……これほどまでにあまりにも嘘をつく力が結核しているバカは見たことない」

 

 

ブロントさん……嘘とか汚いなさすがFクラスきたない。とか言いそうなのに、あまりにも酷すぎて嘘をついたこと自体に文句を言うことさえできてない。

そこまでのレベルってことか、Fクラスの残念さは。

 

 

「本当にね。私みたいに正直言ったらいいのに」

 

「全くだぜ。嘘つきは泥棒の始まりという名セリフを知らないのかよ」

 

「……いや、正直に言えばいいってもんでもないだろ」

 

「……お前らなんかテストすら受けてねえじゃねえか」

 

 

ついに士郎と雄二までツッコミ役になっちゃった……

このクラスにはまともな人間はいないのか?

十人にすら満たしてないんじゃないだろうか。

 

 

「はいはいそこの人たち静かにしなさい」

 

 

福原先生が話をしている僕たちを注意するため教卓を叩いた。

そして次の瞬間『ガラガラガラッ!』とそのまま教卓が、バラバラになって崩れ落ちてしまった。

その衝撃で、あちこちに埃を撒き散らしてしまう。

……もう酷いな。なんか全体的に酷い。

 

 

「……換えを用意してきます」

 

 

あ、出てった。

……あれ?換えの教卓があるなら、なんで最初っからそれを使わなかったんだ?

大体、教卓だとか、部屋の埃だとかは教師にまで被害が出るんだから、それくらいは整備してもいいんじゃないの?

そんなのだったら授業をする先生の方が授業に対してやる気がなくなるんじゃ……

 

それよりなにより、衛生環境がいくらなんでもひどすぎる。

Fクラスにふさわしいとかなんとか言うけど、これだったら人間にふさわしい教室ですらないよ。

この環境、教育委員会に訴えたら多分勝てるよねコレ。

いくら僕たちがバカでも、基本的人権の尊重はされてるはずだよね?

 

……この学校、この国の法律に喧嘩売ってやがる!!

 

 

「ケホッ!ケホッ!」

 

「姫路さん大丈夫!?」

 

「す、すみません……ちょっと、うがいしたいのでトイレに行ってきます……」

 

「う、うん……気をつけてね?」

 

「はい……ありがとうございます吉井君……」

 

 

姫路さんの後ろ姿を見送って、僕は改めて決意する。

この環境は人間がいていい状態じゃない。

ましてや、病弱な人だったらなおのことだ。

 

これはもはや、姫路さんのためだとかそんなレベルじゃない。

このクラスのみんなのためにも、『あれ』をやるしかないんだ。

僕はバカだけど、他人を見捨てるほどの馬鹿にはなりたくない。

 

 

「雄二、ちょっと廊下に来て」

 

「あ?何なんだよ?」

 

 

嫌そうな顔をしながらも、直ぐに立ち上がって、廊下に向かってくれた。

さすがは僕の悪友だ。なんとなく僕の言いたいことも理解してくれているんだろう。

だって、その嫌そうな顔の中にも、どこか面白そうなものを見る目で僕を見ていたんだから。

 

 

 

 

「で、なんだよ明久。つまらないことだったらぶっ飛ばすぞ?」

 

「雄二、この教室、あまりにもひどいと思わない?」

 

 

廊下に出た雄二は、末恐ろしいことを言いながら僕を睨んでくる。

だけど、僕はその言葉をあえて無視して自分の話を進める。

これはあくまで僕の個人的なものだから、雄二の意に沿わなかったら、その時はおとなしく制裁を受けよう。

でも、今は、雄二にしっかりと僕の話を聞いてもらいたい。

 

 

「確かにな、こんなところだったらまだ青空教室の方が天国に見えるくらいだ」

 

「Aクラスなんて、リクライニングシートにシステムデスク、さらに冷蔵庫にドリンクバーだよ?贅沢すぎるんじゃないかな?」

 

「これほどまでに、全力でお前に同意したくなる日が来るとは思わなかったな。AクラスとFクラスで格差がありすぎるってのは事実だ。だが、それがどうした?」

 

 

試すように僕に続きを促す雄二。

ここからが本題だ。これを受け入れてくれなかったら、僕にはもうどうしようもなくなる。

だから、どんな手を使ってでも認めさせてやる――!!

 

 

「だからさ、僕からの提案なんだけど――

 

 

 

 

 

 

――『試召戦争』を仕掛けてみない?」

 

 

そう言い切ったとき、雄二はもはや隠そうともせずに、愉快そうな表情を浮かべ、口の端をニヤリと歪ませた。

まさに、僕のその言葉を待っていたと言わんばかりに、本当に面白そうに笑っていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。