バカとナイトと有頂天   作:俊海

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すみません、一日遅れました。
今回はあのキャラが登場します。
ブロントさんを知っている人なら知ってるんじゃないでしょうか?
それではどうぞ。


第四話 バカとナイトと宣戦布告 後編

「代表、俺たち勝てるのか?」

 

「これ以上設備を落とされるなんてまっぴらゴメンだぞ!?」

 

「正直、女子が四人もいたらこれ以上何もいらない」

 

「バカかお前!!その貴重な女子達をこんな教室に居させていいのか!?病気にでもなったらどうする!!」

 

「――――!!お前の言うとおりだ……俺は…………自分が恥ずかしい!!」

 

「気付けばいいんだよ気付けば。大事なのはこれから過ちを繰り返さないこと、そうだろ?」

 

「……ああ!!」

 

 

なんか友情っぽいのが目覚めてる組みが一つあるけど、雄二の言葉に反応して挙げられた声は、ほとんどが戦争に対する不安だった。

それも仕方のないことだ。

FクラスとAクラスでは『試召戦争』での戦力の大きな開きがある。

戦争では、互いのテストの点数がそのまま召喚獣の戦力に変わるんだけど、このFクラスはお世辞にも勉強ができる集団とは言えない。

そんな最底辺のクラスの学力で、優等生ばかりが集うAクラスに戦争を挑むなんて無謀以外の何者でもない。

その戦力差はまさに天と地ほどもあり、文字通り桁違いの高得点をたたき出すAクラスとではまずお話にならないレベルだ。

 

 

「なんの心配もない。必ず勝てる。いや、俺が勝たせてやる」

 

 

圧倒的な戦力差を知っていてもなお、雄二は勝利宣言をした。

 

 

「俺達のバカさ加減を知ってるのか?」

 

「四対一で勝負になるかってとこだぞ?」

 

「それなのに勝てるってのか?」

 

 

疑問を持ちながらも、みんなが少しだけではあるものの、雄二の自信に気を惹かれてきた。

皆だって、できるならこんな教室とはオサラバしたいのが本音だ。

それをどうにかできるという雄二が手品でも見せるマジシャンのようにも見えるんだろう。

実を言うと、僕だって雄二の勝てると言う根拠を知りたいし、勝てるなんて到底思えない。

 

 

「根拠ならあるさ。このクラスには試召戦争に勝てる要素が揃ってる。今からそれを説明してやる」

 

 

さっきと同じように不敵な笑みを浮かべると、姫路さんの方に視線をやった。

……いや、正確にはその後ろで床にへばりついている……

 

 

「おい康太。畳に顔をつけて姫路のスカートを覗いてないで前に来い」

 

「……!(ブンブン!)」

 

「は、はわっ!?」

 

 

必死になって自分の容疑を晴らそうと顔を全力で横に振っている康太と呼ばれた男子生徒がそこにいた。

だが今雄二に声をかけられるまで、恥も外聞もなく畳にへばりついて姫路さんのスカートを覗こうとしていたんだから、往生際が悪いにもほどがある。

その上、覗いている時に頬についた畳の跡を手で隠そうとしているところがなお一層哀れみを誘う。

 

 

「土屋康太。コイツがあの有名なムッツリーニだ」

 

「……!(ブンブン!)」

 

 

『土屋康太』という名前ではあまり学校の生徒に走られていないが『ムッツリーニ』という名前だったら話は違う。

その名前に男子生徒は畏怖とある種の尊敬の念を、女子生徒には侮蔑と軽蔑を以って挙げられる。

 

 

「ムッツリーニだと!?」

 

「馬鹿な!?やつがそうだというのか!?」

 

「見ろ!あそこまであからさまな覗きの証拠を隠そうとしているぞ!」

 

「ああ。ムッツリの名に恥じない姿だ……」

 

 

僕だったら、ムッツリの名前自体に羞恥心を覚えるんだけどそのあたりはこのクラスとずれているんだろうか?

でも、ムッツリーニは保健体育はトップクラスの成績を誇る。

これほど頼もしい仲間はなかなかいないだろう。

 

……ただし、保健体育に限るけど。

ほかの成績は、残念すぎるというか、勉強してなかった頃の僕とそんなに変わらないんじゃないかな?

学年最下位だった僕と同レベルって相当やばいよ。

 

 

「???吉井君、ムッツリーニってどういうことですか?」

 

「え?それを僕に聞いちゃう!?」

 

「すみません……ムッソリーニだったら知ってはいるんですけど、言い間違えとかではないですよね?」

 

「え、えーと……その……」

 

 

何なんだこの羞恥プレイ。

僕の口から姫路さんに説明しなきゃいけないってかなり恥ずかしいんだけど。

『ムッツリーニってむっつりスケベって意味だよ☆』なんて言えるわけがない。

いやでも姫路さんは純粋に僕に聞いているだけなんだ。

自分が知らないことを素直に他人に聞ける。だからこそ姫路さんは成績優秀なんじゃないか。

だけどその質問の矛先を僕に向けないで欲しかった。

ど、どうしよう……正直に答えるべきか、ごまかすべきか…………

 

 

「姫路のことは説明するまでもないだろう。皆だってその力は知っているはずだ」

 

「えっ?わ、私ですかっ?」

 

 

ナイス雄二!

姫路さんの注意が僕からずれた!

これで一安心だ……

 

それはともかく、姫路さんが重要人物になるのは納得だ。

なんせ彼女は元々Aクラスに入れるくらいの学力は持っている。

姫路さんさえいれば、例えBクラスの生徒が一騎打ちに来ても勝つことができるわけだ。

この戦争、姫路さんがどう動くかで勝負を左右すると言っても過言ではない。

 

 

「木下秀吉だっている」

 

 

秀吉は、学力が優れてるというわけじゃない。いやそれでもFクラスの中だったら上位に入るんだけど。

演劇部のホープだとも言われるその演技力は、敵を欺くのにとっても役立つ。

声帯模写なんかも得意で、他人の声を真似することだってできる、それほどの演技力を持っている。

 

 

「当然俺も全力を尽くす」

 

 

雄二は、小学校の頃は『神童』と言われるほど成績が優秀だった。

それが何が原因なのかはわからないけど、ある日から勉強をしなくなったとも聞いている。

そんな雄二が全力を出すということは、成績優秀者が二人もいることになるってわけか。

 

 

「その上、『文月学園のブラウニー』とも言われる衛宮士郎だっている」

 

「『文月学園のブラウニー』だと!?」

 

「あの、学園内ではさまざまな要望に応じて各所に赴いて、どんな頼みごとも聞いてくれるって噂の!?」

 

「いや、それだけじゃねえ……なんでも、機械の修理なんていう一般人にゃ到底無理な依頼を引き受けているとも聞くぞ……」

 

 

こっちの異名はムッツリーニとはまた別の方向で学園中に知れ渡っている。

しかも士郎の方は、確実にいい意味で。

 

さっきも言ったけど、士郎はどんな頼みごとでも聞いてくれるという親切にも程がある性格をしている。

まさに、人助けをすることが生きがいみたいな、ある意味損とも言える人格を持っているのが士郎だ。

さっきの自己紹介でも、わざわざ言わなくてもいいのに、なにか手伝えるなら遠慮なく言ってくれ。なんて言っちゃってるし。

 

「なあ……明久、俺ってそんなに有名か?」

 

「有名もなにも、困ってる人がいたらすぐ助ける、弓道部のエースなんて称号を持ってる生徒なんて知られない方が難しいじゃないか…………」

 

 

士郎がこっそり僕に尋ねてくるけど、その質問の意味はない。

そんな出来た性格の上に、弓道部では百発百中の弓の腕前まであるという、なんだそのハイスペック超人は、と突っ込みたくなる男子生徒が無名になれる理由があったら教えて欲しい。

それのせいで女子生徒にもやたらめったらフラグを立てるけど、今みたいに周りの人間の評価を気にしない人間だから、そういった好意にも鈍感なのが救いがたい。

……いつか、後ろから刺されるんじゃないかな。

 

 

「……士郎、後ろからの不意打ちに気をつけてね。それと、いざという時のためにスタンガンとかも持っておいたほうがいいよ。夜中に歩くときは懐中電灯と防犯ブザーを絶対携帯しておくようにね」

 

「なんでさ!?それと母親みたいな口調で物騒なことを言うな!!」

 

 

こんな人間が失われるのは人類の損失だ。

僕のことも心配してくれるし。

 

 

「博麗霊夢や霧雨魔理沙なんかもその手のやつらには知れ渡ってるだろ」

 

「ああ……たしか二人共去年の成績は結構優秀だったな……」

 

「博麗さんは、あの博麗神社の跡取りの巫女さん。霧雨さんは、大手企業の令嬢だとか……」

 

「……つまり、俺があの二人と結婚したら逆玉!?」

 

「「「「「ねーよ」」」」」

 

「ですよねー」

 

 

ああ、そういえばそんなことを小耳に挟んだことがあったな。

だからあの二人のことを知ってたのか。

……あと最後に逆玉とか言ったやつ、魔理沙はどうかは知らないけど、博麗さんはそんなに裕福じゃないと思うよ。

なんとなくだけど、彼女からは僕と同じ匂いがするんだよね。

なんかこう、食べるのにも困るくらい家計がやばい感じがする。

 

 

「さらに、イギリスからの転校生であるブロントさんまでいるんだ」

 

「イギリスから……だと?」

 

「それってつまり、英語に関しちゃ完璧ってことじゃねえか!!」

 

「なんてこった!こんなに成績優秀者が揃ってたなんて!?」

 

 

イギリスからの転校生。

確かに文字の上で見たら、とんでもなくハイスペックな人間に見えるだろう。

実際、ブロントさんはそれなりにではあるものの日本語はしゃべれるし、理解も出来てる。

僕が話しかけた時も、普通に返答してくれたし理解力自体はとんでもないだろう。

単身で転校してきたみたいだし、一人で生活するくらいの柔軟性は持っていると思うし、親に外国の学校に転校が許されたってことは成績が優秀なのかもしれない。

……でも、なあ……

 

 

「ほう、俺を重要人物だと感じてしまうやつは本能的に長寿タイプ。実は俺は自慢じゃないが力あるから喧嘩も強いリアルではモンクタイプ。ただそこらの貧弱一般不良からすでに二歩も三歩も出てるいわゆる意味でのインテリ不良だから知力と体力が両方備わり最強に見える。一人で頭脳と肉体の連携をこなしちぇしまう超パワーの所持者だから戦争になれば高確率で一番獣王無人の活躍を見せるからよまあ見てなwww俺は最強の挑発の持ち手だから後ろには攻撃を逸らさないという理由で後衛が本気を出せるからお前ら安心して俺を頼っていいぞ。盾といえばぼうぎょの基本であって鎧が盾なら盾は剣の地位にあるだろ?防御においては右手に出るものがいないほどのパワー力を持っているのを隠していたがこの戦争でその隠された力を発揮する披露宴となる(リアル話)このクラスはメイン盾である俺が居ることで最高に硬かった防御力が圧倒的な防御力になった加えて本気を出した後衛たちの攻撃力に相手が「これほど才能があると勝てるわけがない」と諦め表情になるほどの絶望的な破壊力も誇る破壊力を持つことになった。その結果が戦争に勝つなんてFクラスにはちょろいことって結果だよ?」

 

「「「「「…………え?」」」」」

 

 

これだよなあ……

ブロントさんってなんかいきなり長文をしゃべりだしたりするから、周りのみんなが何言ってるのかわからなくなっちゃうのが欠点だよね。

話を振った雄二ですら口をつぐんで、どうしようかと悩んでるし……

仕方がない、ここは僕が一肌脱ごう。

 

 

「皆、いまブロントさんが言ったのは『俺の真の力を見抜くとは、雄二もなかなかやるな。自慢になるかもしれないけど、俺は不良だったから喧嘩も結構強い。それに、ただの不良じゃなくてしっかり頭の方も鍛えてたから、言わば文武両道ってやつだ。ま、それだから今回の試召戦争には全力で当たらせてもらうし、それなりには活躍する志もある。それに俺は戦う時は防御に重きを置くから、敵の攻撃は俺が全部受け止めてやる。だからお前らは、安心して攻撃に専念してくれ。そうすれば、俺の圧倒的な防御力と、お前らの破壊的な攻撃力でもって簡単に戦争に勝利することができる』ってことだよ」

 

「何いきなり人のセリフをパクってるわけ?同じことを繰り返し言うのは無駄なんだ無駄無駄って名セリフを知らないのかよ」

 

「「「「「なるほど!」」」」」

 

「おいィィィ!?何お前ら納得が鬼なってるわけ!?おまえらもし化して人の話が、わからない馬鹿ですか!?」

 

 

だから慣れてない人にはブロントさんが何言ってるのかわからないんだって。

もう少しだけ短い文章しゃべれるようになったらちょっとは理解してもらえるんじゃないかな。

 

それはともかく、確かにこれだけの人材がいるならAクラスとの戦争にも勝てるような気がする。

この戦力に、雄二の奇策を考える頭脳が備わったら……考えただけで恐ろしい。

よし、この戦争、絶対に勝つぞ!

 

 

「それに、吉井明久もいる」

 

 

雄二の最後の言葉を聞いて、クラス中が静まり返った。

なんで僕の名前をオチに使ったのさ!?僕なんて名前を挙げられる必要性が全くないのに!?

 

 

「誰だよ吉井明久って」

 

「あれだろ、いまブロントさんの言葉を翻訳したやつの名前じゃなかったか?」

 

「そういえばさっきも島田と漫才をやってた気もするな」

 

「そいつって勉強できるのか?」

 

 

最後のやつの質問に答えるとするなら、それは『No』だ。

僕は確かにそこそこ勉強はしたものの、それはあくまでDクラスレベルのものであって、とてもじゃないがAクラスを相手に無双できる戦力とは思えない。

今までに上げてきた戦力と比べると、数段見劣りするくらいだ。

 

 

「ちょっと雄二!どうして僕の名前を挙げたのさ!僕はまごうことなきバカなんだよ!?」

 

「あぁ、確かに明久はバカだ。だけど、明久はそんじょそこらのバカとは大違いのバカなんだよ」

 

「どういうことだよ代表?」

 

「なあお前ら、どうして俺が『試召戦争』をしようなんて言い出したかわかるか?」

 

 

え?それってたしか雄二が『世の中学力が全てじゃない』ってことを証明したかったからじゃないの?

さっきだって、僕が言うまでもなくそれが理由でやるつもりだったって……

 

 

「それはな、明久がお前らの為を思って俺に進言してくれたからなんだ」

 

「……………………ゑ?」

 

 

何?なんなの?どうして僕が理由になってるの?

こんなの絶対おかしいよ!?雄二が自主的にやるつもりだって理由でしょ!?

 

 

「明久はな『こんな人を人とも思ってない設備に僕の大切な仲間たちを押しやるなんて間違ってる。僕はバカかもしれないけど、仲間たちを見捨てるバカにはなりたくない』って言ってたんだ。他人のためにここまで信念を突き通せるバカがどこにいる?」

 

「吉井……俺たちのことをそこまで考えてくれてたなんて……」

 

「同じクラスになって間もないってのに、…………凄い男だ」

 

 

ちょ、やめて!!なんかクラスが僕のことを尊敬するような目で見てきてるんだけど!?

確かにそういうこと考えてたけど、雄二にはそのことを喋ってないのに!

すごい持ち上げられててすっごい居心地が悪い!

た、助けてブロントさん、士郎!!

 

 

「明久……凄すぐる……さすが明久は格が違った、明久は本能的に主人公タイプどころじゃにい、リアルで救世主タイプだった」

 

「他人のためにここまでやれるなんて……お前も大概お人好しなんだな」

 

 

畜生っ!!ブロントさんは羨望の眼差しで見てるし、なんか士郎は生暖かい、同族を見つけたような視線を送ってきてる!!

わかってるんだぞ雄二!!こうやって僕を上げるだけ上げておいて、あとでどん底に叩き落とすつもりなんだろ!?

むしろそうだって言ってください!皆を騙してるみたいで心苦しいよ!

 

 

「それだけじゃない、明久は『観察処分者』の肩書きも持ってる」

 

 

そらみたことか。

 

 

「それって、バカの代名詞じゃなかったか?」

 

「そうだ。バカの代名詞だ」

 

 

『観察処分者』

学校生活を営む上で問題があったり、成績不良者に課せられる処分で、それが僕に該当している。

通常では物理干渉できない召喚獣を、特例としてものに触れるようにできるけど、先生の雑用係として使われることくらいにしか召喚できないため、自分のためにどうこうできるようなもんじゃない。

しかも、召喚獣の負担の何割かは僕にフィードバックしてくるから、『物理干渉できる』なんてものは利点ではなく不利益しかもたらさない。

 

しかし雄二、最後の最後に僕にマイナスイメージを植え付けるためにこんな演出をするなんて、とことんまで性根が腐ってるやつだ。

まあ僕は心が広いからね、雄二には言及しないでおいてあげるよ。

……だから早く僕に関しての話をするのはやめて!

 

 

「だけど、間違いなく明久はこの戦争での『ジョーカー』になる。そこだけは俺が保証しておくぞ」

 

「なんでだよ?召喚獣が殴られたら痛いってことは、おいそれと召喚できるもんじゃないだろ?それでなんでジョーカーになるんだ?」

 

「そのあたりは追々説明してやるさ。あまり情報を漏らすってのは下策になるしな」

 

 

そんな保証なんていらない。

その言い方だったら、僕がまるで『最終兵器』かなにかって勘違いする人たちが増えるじゃないか。

違うんだよみんな。僕は少し成績の悪いバカな学生なんだよ。

そう言いたくても、周りの期待に満ち溢れている視線の前では言うことができない。

……そこまで僕を追い詰めて楽しいか雄二ィィィィ!!

 

 

「おいおい、明久。ただでさえブサイクな顔がよりひどいことになってるぞ」

 

「坂本君っ!吉井君はブサイクなんかじゃないですよ!目もパッチリしてるし、顔のラインも細くて綺麗だし、むしろ、その……」

 

 

うるさい、僕はブサイクなんかじゃないやい。

そう反論しようと思ったら、思わぬところから援軍が来た。

いやー本当に優しいな姫路さんは、すかさず僕のフォローをしてくれるなんて。

 

 

「そう言われると見てくれは悪くないかもしれないな。俺の知り合いにも明久に興味を持ってる奴がいた気がするし」

 

「え?それって――」

 

「それって誰なんですか!?」

 

「ちょっとウチにも聞かせなさいよ!!」

 

 

何か嬉しい情報をこぼした雄二に詰め寄ろうとしたら、姫路さんと、いきなり前まで出てきた美波までもが真剣な顔で僕の言葉を遮った。

女の子ってそういう恋バナの話題には敏感だよね。

 

 

「確か、久保――」

 

 

久保さんか。

一体どの久保さんだろう。

 

 

「――利光だったか」

 

 

久保利光→♂(性別/オス)

 

 

「………………」

 

「おい明久、声を殺してさめざめと泣くなよ」

 

 

ガッデム!!今まで持ち上げておいてどこで落とすのかって不安になってたら、こんなところで爆撃をするなんて、やっぱり雄二は悪魔だ!!

どこの世界に同性に言い寄られて嬉しいって思う人間がいるんだよ!!(同性愛者は除く)

もう僕お婿さんに行けない。

 

 

「そう泣くなよ吉井。元々Fクラスの俺達なんだぜ?そんな俺らが女の子にモテるようになるなんて、ヤムチャがブロリーを相手に完封するより難しいことだって分かってたじゃねえか」

 

「須川の言うとおりだ。むしろ良かったじゃないか、人間的に自分を好いてくれる人間がいてくれたってだけでもさ」

 

「本当……モテないって辛いよな。その苦しみは俺もわかるぜ」

 

 

なんだろう、さっきのとはまた別の意味で涙が出てきそう。

Fクラスのみんなってすごく暖かい。

 

 

「……俺の知る限り、明久は女子二人には好かれてる気が――」

 

「さ、坂本くん!?それ以上は!!」

 

「瑞希、どうせアキには坂本が言ったところで気づきはしないわよ」

 

 

遠くで必死に雄二を制止しようとしている姫路さんと、何かを諦めきっている美波の姿があった。

何を楽しそうにしているんだろうか。

 

 

「まあいい、皆、この境遇は大いに不満だろう?」

 

「「「「「当然だ!!」」」」」

 

「ならば全員筆を執れ!出陣の準備だ!」

 

「「「「「おおーーーーっ!!!!」」」」」

 

「俺たちに必要なのは卓袱台じゃない!Aクラスのシステムデスクだ!」

 

「「「「「うおおーーーーっ!!!!」」」」」

 

「お、おー……」

 

 

何最後の姫路さんの小動物みたいな動き。

すごく抱きしめて守ってあげたくなっちゃう。

まあ実際に行動に移したら、今度姫路さんと会うときは裁判所になるけどね。

 

 

「それでDクラスへの宣戦布告の使者なんだが、我こそはと思う奴はいないか?」

 

 

これ以上僕はダメージを負いたくない。

下位勢力の宣戦布告の使者はだいたいひどい目に合わされるって相場が決まってるんだから。

ここは学校だからまだマシかもしれないけど、下手したら最悪の設備と交換する羽目になってしまう戦争を申し込まれるなんて、心中穏やかではないのは誰にでもわかる。

絶対に、まともな扱いはされないだろう。

 

 

「ここで一歩出るのが大人の醍醐味。ナイトが報復を恐れて引きこもると考える浅はかさは愚かしい」

 

「ブロントさん、行ってくれるのか?」

 

「これくらいナイトにはちょろいこと。使者になるのを無視する人がぜいいんだろうがおれは無視できなかった。潔い武の心を見せた明久に遅れを取るわけにはいかない。まあ友達としてね?」

 

 

そんな中、悠然と雄二の前にブロントさんが躍り出た。

宣戦布告しに行くことが何を意味をするのか分かっていないブロントさんではないだろう。

そんな危険を顧みずに、前へと進むその姿は、ブロントさんが口癖みたいに言っている『ナイト』の姿そのものだった。

 

 

「ブロントさんが行くなら私も行くわ」

 

「私はブロントさんのメイン舎弟だし、着いて行かないわけにはいかないぜ」

 

「それなら俺も行くぞ。何、怪我をするのは慣れっこだ」

 

 

それに、博麗さんや魔理沙、士郎まで加わった。

なんか、自分が恥ずかしくなってきた。

自分が言いだしたわけじゃないのに、みんなが頑張ってくれて、僕は保身に走ってる。

……それじゃあ、しょうがないか。

 

 

「……ダメだね」

 

「え?」

 

「この構成じゃダメだ」

 

「おいィ?もしかして明久、俺達がボンビーくじ引いたことに負い目感じてるわけ?だったらそれはどっちかというと大間違い。俺たちがやりたくてやってしまってるだけなんだが?」

 

「そうじゃない。もっと重要な問題があるんだ」

 

「?どういうことよ?」

 

「ん?博麗さんはわからない?」

 

「霊夢でいいわよ。それで、どういうことなの?

 

 

博麗さん――いやさ霊夢達は気づいてないのか?

これだったら致命的な欠陥があるってことに。

分かっていない四人のために説明することにした。

 

 

「宣戦布告をするのはこの中で誰?」

 

「この中の中心的人物の俺であることは確定的に明らか。敵陣にカカッっと申し込みに行く系の仕事は俺にしか収まらぬだろうな」

 

「ね。そういうことだから僕はこの四人についていくよ」

 

「?明久が何を言いたいのか理解不能状態」

 

「「「「「?????」」」」」

 

「…………あ」

 

「…………なるほどな」

 

 

……もしかして、みんな気づいてない?

いや、雄二と士郎は分かったっぽいね。

 

 

「……すまん明久、同行してやってくれ」

 

「ああ……悪いな明久」

 

「いいよ別に、これだけいれば怪我とかはしないだろうし」

 

 

さてと、これからまた大きな仕事があるぞ。

またまたやらせていただきますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はFクラスにいたのであまりのFクラスのひどさに絶望が鬼なりかけてたがアワレにもクラスメイトがくずれそうになって「こんなクラスでは本気を出せない」「設備が整ってないクラスに未来はにい」「健康状態でいなくなる……」と叫んでいた。どうやら教室がたよりないらしく「このクラスは終了ですね」と泣き叫んでいるメンバーのために俺は素早くネガキャンしていた心を改心して追撃のとんずらを使って普通ならまだ付かない時間できょうきょDクラスに宣戦布告しに来たんだが?今謝れば許してやる俺は優しいからな。俺を強いと思ってる奴は本能的に長寿タイプだが、そうでなかったらそのまま骨になって裏世界で幕を閉じる羽目になるか、病院で栄養食を食べる結果になる。今すぐ謝ることをおすすめするはやくあやまっテ!!」

 

「えっとね『俺はFクラスに配属されたんだけど、あまりにも教室がひどすぎて落ち込もうとしていたら、それ以上に周りのクラスメイトたちが悲嘆にくれていた。このままではいけないと思った俺は、すぐさま頭を切り替えて教室入れ替えをするためにDクラスに宣戦布告しに来た。それと戦争で痛い目を見たくなかったら、今すぐ降伏してもいいぞ、俺はそっちをオススメするがな』って言ってるよ」

 

「そうか……いや、翻訳ありがとう吉井君」

 

「今日だけで3回だから慣れたよ」

 

 

まあわかってた。

雄二たちにもわからなかったブロントさんの言葉がDクラスのみんなに通じるとは思ってなかったし。

けれど、訳してて思ったけどブロントさんって好戦的な言語を使うなあ。

最後の方は、少しマイルドに言ったつもりだけど……

 

 

「変な空間になったので俺はミステリーを残す為、完 全 通 告したと同時にクラスに帰ったが多分Dクラスで伝説になってる。それじゃ打ち合わせ系の仕事があるのでこれで」

 

「……おい待てよ。このままただで帰れると思ってんのか?」

 

「骨の一本や二本は覚悟してもらおうか?」

 

 

言ってることが物騒すぎる。

骨折まで持ってく気かこいつら。

 

 

「……絶望的な戦いはしたくないなら俺にはへたにさかららない方がいいとおもう。言葉よりも暴力が先に出る事もたまにあるが、勝負を挑まれたからと言ってヒキョウな真似をするやつは悪者でFA。お前ら手を引く気はないのか?」

 

「何言ってんのか分からねえな!おいおいビビってんのか?」

 

「今のところ我慢してるけどいつ怒るが爆発するかわからない(リアル話)俺はイングランドでも北海道でも最強って言われてる甘く見ると死ぬ」

 

 

ぶ、ブロントさん、本当に大丈夫なのかな?

というか、なんで北海道?

 

 

「はっ、知るかよ!行くぞ、あいつらを生かして帰すな!!」

 

「「「「「ヒャッハーーーー汚物は消毒だァァァァァ!!!!!」」」」」

 

 

一体いつからここは世紀末になったんだろう。

って、一気に九人も襲いかかってる!!

このままじゃブロントさんがやばい!!!

 

 

「……俺はナイトだからよ、敵の攻撃を「なんだこれは?」と避けまくるし」

 

「あ、あれっ?」

 

「な……!」

 

 

う、うそっ!?

最初の五人の攻撃を同時に避けた!?

でも、後ろの四人の攻撃が、確実にブロントさんを捉えてる。

もう、避けきるのは無理だ!

 

 

「……たまに危ない攻撃も「ほう……」て受け流す」

 

「なんだとっ!?」

 

「嘘だろ!?」

 

 

今度は、四人の拳を受け止め、横に流し、最小限の動きだけで攻撃をいなした。

そしてすれ違いざまに攻撃してきた一人の襟首をつかみ、逃げられないようにする。

……ブロントさんって、本気で強かったんだ。

 

 

「……お前らのあんまりの粘着ぶりに俺の怒りが有頂天になった。おまえらはもう謝っても遅い」

 

「ご、があああああああ!!!」

 

 

そのまま掴んでいた手を頭の方へと移動させ、ぎりぎりと頭を締める。

俗に言うアイアンクローだ。

 

 

「ダークパワー!ナイトが持つと光と闇が両方そなわり最強に見える!逆に暗黒が持つと頭がおかしくなって死ぬ!」

 

「は、放せ!!いだだだだだ!!」

 

「いいぞ」

 

「え」

 

「放してやる俺は優しいからな」

 

「ちょ、おまっ!」

 

「マジでかなぐり捨てっぞ!!」

 

 

そういうと、ブロントさんはさっきの八人に向かって男子生徒を投げた。

…………え?『投げた』?

ひとりの人間が、片手だけで、人間を投げた?

ブロントさんの筋力どうなってるの!?

 

 

「黄金の鉄の塊でできたナイトが!」

 

 

そして、投げた先に向かってブロントさんが突進していく。

投げられた生徒は、後ろにいた生徒たちをを巻き添えにして壁にぶつかった。

そこへ追い討ちをかけるように、ブロントさんが全力でタックルを――――

 

 

「皮装備のジョブに遅れをとるはずがない!」

 

 

ってタンマタンマ!!それ以上いけない!!

過剰防衛すぎるよ!!

でも、もう僕には止めることはできない。

どうしよう――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うはwwwwwwwwwwおkwwwwwwwwwwww」

 

「何いきなり話しかけてきてるわけ?」

 

「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 

「な、なんだこの叫び声……っていうか、これ声なのか?」

 

 

士郎の感想も最もだ。

なんというか、すごく嫌な予感しかしない。

でも、その声?の主はブロントさんと九人の生徒のあいだにいるようだ。

つまり、あのブロントさんを止めたということにほかならない。

 

 

「遂にww俺様がwwやってきたぜwwwww」

 

 

その生徒は、ブロントさんの巨体によるタックルの勢いを完全に殺して、Dクラスの生徒を守りきっていた。

あの馬鹿力を持っているブロントさんと拮抗できるということなんだろうか。

 

 

「Dクラスにwwwww加齢にwwwwww光輪wwwww」

 

 

…………でもなあ、なんか残念な気がする。

うん、すごく残念というか、救いがたいというか…………

 

 

「みwwなwwぎwwっwwてwwきたぜーwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 

「やだ…………なにこれ…………」

 

 

おそらく、霊夢のセリフは、ここに居るみんなの心境を代弁しているのだろう。

いや本当になんなのさ、これ……

 

 

 

 

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