バカとナイトと有頂天   作:俊海

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少し遅れました。
すみません。


第五話 バカとナイトと戦争準備

「そんなことよりwwwwwwwwwブロントwwwwwwwwお久しwwwwブリーフwwww」

 

「さんをつけろよデコ助野郎!!」

 

「その頭がヒットしたみたいに草生やしてる喋り方……もしかすて内藤か?」

 

 

魔理沙のツッコミを完全にスルーして、ブロントさんが驚いたような顔をした。

久しぶりってことは……二人共知り合いだったの?

 

 

「うはwwwwwwwwwどっちかというとwwwwwwww大正解wwwwwwww覚えてwwwwくれてたんだwwww」

 

「俺は記憶力のスキルも高い。俺が北海道でPTメンバーだったお前を忘れてしまうと思う浅はかさは愚かしい」

 

「あの時はwwwwwwwww俺たちもwwwwやんちゃwwwwだったもんねwwwwwwwwブロントほどじゃwwwwないけどwwww恥ずかしいwwwwイヤンwwwwイヤンwwww」

 

「どうしてあれが黒歴史になるのかと疑問が鬼なるが、俺はお前らとの喧嘩の日々は生半可な不良には真似できないほどの壮絶な白歴史だとログに残してある。英語で言うとホワイトアルバム」

 

「ブロントwwwwwwwwかっこよすぎーwwwwwwww黒歴史公開されてwwww堂々としてるなんてwwww俺様にwwww真似できないことをwwww平然とwwwwやってのけるwwwwそこにシビれるwwww憧れるwwwwでもwwwwwwww俺様マゾだから感じちゃうwwww悔しいwwwwでもwwwwビクンwwwwビクンwwww」

 

「おいやめろ馬鹿、女性の前でナメタ下ネタを言うのは犯罪だぞ!俺は紳士だからよ女の前で下ネタは言わない。早くヤメテ!」

 

「えーwwwwこれもwwww俺様のwwwwアイデンティティなのにwwwwwwwww」

 

 

……なにこれ?

ブロントさんの言葉を翻訳するだけでも相当骨が折れるのに、さらにそこにもうひとり加わるなんて……

ところどころ聞き取れたところをつないでみると、二人は北海道で知り合っていて、その時に同じ不良のチームにいたってことか。

あの内藤って呼ばれた方は、不良なんかになりそうにないんだけどな。

 

 

「魔理沙、ブロントさんってどんな不良だったの?」

 

「んー?私も深くは聞いてないからわからないけど、人様に迷惑をかけるような不良じゃなかったらしいぜ」

 

「どういうこと?」

 

「なんでも、そのチームは大人数じゃなくて十人以内で構成されたんだと。そんで、近所に迷惑をかける暴走族の集団をその少人数で撃退したり、一般人にちょっかいかけてる不良達をぶっ飛ばしたりして、むしろそこらの地域では感謝されてたくらいだって教えてもらったぜ」

 

 

なるほど、不良というよりは正義の味方みたいなものか。

それならなんとなくだけど納得はできるかもしれない。

 

 

「とは言っても、ブロントさん達が中学生の時に北海道に一年間居た間の限定的なチームだったらしいけどね。そんな短い時間でも、かなりの不良たちが減ったみたいよ」

 

「そうなんだ……」

 

 

ブロントさんの過去って、聞けば聞くほどわけがわからなくなりそうだ。

かと言って、それらは嘘ではないんだろう。

目の前で、ブロントさんのあの戦闘力を見せられたら、不良たちを成敗するのも現実的なんじゃないかと思わされる。

 

 

「ウホッwwwwwいい女wwwwwwwwテラカワユスwwwww俺様のハートを鷲掴みwwwwwwwwwwブロントwwwwwあのレディー達誰?wwwww」

 

「霊夢と魔理沙だ。俺の女友達だと考えるがどこもおかしくないな」

 

「うはwwwww可愛いおにゃのこ侍らせてwwwwwブロントったらwwwww罪な男wwwwwジ・アウトローwwwww」

 

「おいィ!?誰が侍らせてるって証拠だよ!?俺は硬派な不良だからハーレムとか興味【ありません】大体こいつらにそういうことを期待するわけがないという理屈で俺の潔白は100%証明された。霊夢は恋とかに興味なさそうなオーラが見えそうになってるし、魔理沙が恋愛的な目で見るタゲは俺ではないことが俺にはバレバr「ちょっ!ブロントさん!?そういうことをばらすのは犯罪だぜ!天狗ポリスに掴まりたいのか!?」

 

「オウフwwwww魔理沙タンもwwwww色を知るwwwww年頃かwwwww」

 

「魔理沙ったら……過剰に反応したら余計にバレやすくなるってのに……」

 

 

え!?魔理沙が好きな人ってブロントさんじゃないの?

霊夢もブロントさんの言うとおり、本当に恋愛に興味なさそうにしてるし……

 

 

「意外だな。俺は霊夢がブロントさんにそういう感情持ってるのかと思ってたんだけど」

 

「うーん、人を好きになるっていうのとかは分からなくもないんだけど、私にはまだそういうふうに思える人はいないのよね。ブロントさんは、一緒にいて落ち着く人って感じだし」

 

 

そういうのを、好意を持っているって言うんじゃないんだろうか?

そう思ったけど、口に出すのはやめた。

行ったあとのことを考えると、恐ろしいことになりそうな予感がしたからだ。

士郎って、そういうことに普通に切り込めるからすごいと思う。

 

 

「とwwこwwろwwでwwさっきの報復についてなんだけどwwwww」

 

「俺はまだ怒りが収まってないんだが?このまま帰るとか不可能ですストレス溜まるんで(迫真)」

 

「そこをなんとかwwwww許してちょんまげwwwwwwww俺様の華麗な顔に免じてさwwwwwwww」

 

「それが人に頼む態度なわけ?先にひとをふるかいにしたのはそっちだという事実。たしかに喧嘩を売るのは勝手だがそれなりの売り方があるでしょう?謝るくらいなら最初からするな」

 

 

あの人本当に謝る気があるの?

煽るような言葉ばっかり使ってる気がするんだけど。

ああもう、ブロントさんの怒りが再燃焼し始めたし!

誰かあの二人を止めてくれないかな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私からもお願いします。どうか先ほどの無礼は許してください」

 

「いやー、ははは……私からも頼みます、あの人たちを許してくれませんかね?」

 

「何いきなり話しかけてきてるわけ?」

 

 

今まさにブロントさんがさっきの九人のところに向かおうとしたところで、内藤君の後ろから女の子ふたりが飛び出してきた。

片方は、銀髪の、シャンとした雰囲気を漂わせる、真面目そうな女の子。

もうひとりは、士郎のように赤みがかった髪の毛をした、能天気そうな女の子。

その二人が同時に、ブロントさんの前に出て、頭を下げた。

 

 

「何何?wwwww妖夢たんに美鈴たんwwwwwここは俺様に任せておいてって言ったでしょwwwwwwwwもしかして俺様を心配してくれてるの?wwwwwwwwこんな女の子に心配されるなんてwwwwwwwww内藤殿も大変でござるなwwwwwwww」

 

「あなたが内藤でしょうが!だいたいあなたを心配したわけじゃありません!!あなたに任せてると上手く行くものも上手く行かないんです!!」

 

「妖夢たんってばwwwwwそんなに怒っちゃいやんwwwww可愛い顔が台無しだよwwwww」

 

「そうやって誤魔化そうとしても無駄ですからね!!」

 

「まあまあ二人共、ちょっと落ち着きましょう。今はさっきの報復について話し合うことが先決ですよ!」

 

 

つ、ツッコミ役が二人も増えた……

内藤君は、一人で相手するには苦労するような性格をしているとは思うけど、本当に二人がかりじゃないと抑えきれないんだ……

 

 

「はじめまして、私は魂魄妖夢というものです」

 

「そして私が紅美鈴です。どうかよろしくお願いします!」

 

「礼儀正しい挨拶をされたなら、こっちも大人の対応をしないといけない感。俺はブロントだ。さん付けでいい」

 

「ではブロントさん。ここは私たち二人が頭を下げるということで、容赦していただけませんか?」

 

「それでもダメなら、あの九人にもなんとか謝らせますけど」

 

 

 

「……………………」

 

「どうした明久?急に黙り込んで」

 

「ゴメン、士郎。ちょっと行ってくる」

 

「え?お、おい!」

 

 

まともだ。

すごく、まともな人だ。

僕があれほど待ち望んでいた、まともな人たちだ。

僕は二人のもとにずんずん進みながら、頭の中はそれでいっぱいになっていた。

 

 

「初めまして!!僕は吉井明久といいます!!!今後とも宜しくお願いします!!!」

 

「は、はぁ…………」

 

「元気ですねー。こちらこそよろしくです」

 

 

僕は思わず、二人の手を強く握りながら、大きな声で自己紹介した。

その突然さに、魂魄さんは目を丸くしながらも握手し返してくれて、紅美鈴さんは、ニコニコと人の良さそうな笑顔を浮かべながら返事してくれた。

だが、誰が僕を責められようか。

学校に登校してきてからというものの、まともな人間が非常に少なく、ずっとツッコミ続けてた僕の胃の痛みを誰がわかると言うんだ。

そこに、僕と同じように苦労していそうな人たちが現れたら、仲間意識が芽生えるのもしょうがないと思うんだ。

それにすがりたくなってしまう僕をどうか許して欲しい。

 

 

「…………あなたも、だったんですね……」

 

「そうですか……吉井さんも……」

 

「この苦しみ……分かってくれるの?」

 

「ええ…………それはもう痛いほどに…………内藤さんの相手をしているとストレスが……」

 

「私もいっつも気を使ってますからねー。……少しは、羽休みしたい時もありますよね」

 

 

この二人も、苦労人ポジションなんだろうか、少し僕の目を見ただけで、互いに憐れむような眼差しに変わった。

魂魄さんも紅美鈴さんも、いろんなところで苦労してるんだね。

 

 

「うう……僕は今、猛烈に感動している!」

 

 

この苦しみを共有してくれる人がいる。

それだけで、僕はどこか救われた気分になった。

後ろの方で、士郎も仲間に加わりたそうな目でこっちを見ている気がするけど。

 

 

「こうも女に真剣に謝られては怒る続けるのもできない。内藤のやつも、あれはあれでウザイが本気で謝っているのは経験がいきてるから知ってる。これでも言葉よりも先に拳が出たら完全に俺が悪者でしょう?この3りが謝ったから許す」

 

「うはwwwwwwwwwwおkwwwwwwwwww俺様と妖夢たん達の連携でwwwwブロントの怒りを撃退wwwwチュドーンwwwwwwww俺たち強すぎwwwwwwww修正されないでwwwwwwwwだいたいwwwwブロントの弱点をwwwww俺様最初からまるっとお見通しwwwww昔からブロントは女の子には甘いwwwwかかあ天下まっしぐらwwwwwwwwwギャワーーーーーwwwwwwウェウぇwwwww」

 

「えーと、平賀君。今のは『女性に頭を下げられたら怒りを収めるしかない。内藤も昔馴染みだしあんな感じでも謝ってるのは理解してる。こんなので癇癪を起こしてたら悪者は俺になるし、今回は身を引く』って言ってるよ」

 

「吉井さん、今内藤さんは『ありがとう、俺達三人で謝ったかいがあったよ。それにしてもブロントさんは女の子には優しいのは変わらないな』って言ってます」

 

「…………」

 

「…………」

 

 

ガシッ!!

 

僕、例えどんなにDクラスの人たちが嫌な人たちの集まりだったとしても、魂魄さんとはとても仲良くなれそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帰ったよ」

 

「ああ。お疲れさん。大丈夫だったか?」

 

 

僕が代表して、雄二に報告に行く。

このままだと、僕は連絡係になりそうだけど、普段の雑用と比べたら屁みたいなもんだ。

珍しく、雄二から僕たちを心配するような言葉が出てきたのに少し驚いた。

 

 

「吉井君、それにブロントさんや衛宮君も大丈夫ですか?」

 

「アキ達もそうだけど……霊夢や魔理沙も平気だった?」

 

 

姫路さんと美波も不安げに僕らを見てきた。

報復はされたけど、ブロントさんが引き受けてくれたしなぁ……

 

 

「僕は全然平気だよ。ブロントさんが全部やってくれたし」

 

「そうだな。俺がついていかなくても大丈夫そうだったぞ」

 

「あの程度で名実ともに唯一ぬにの盾である俺を傷つけるのは不可能。下段ガードを固めた俺に隙はなかった」

 

「さすが真の思考のナイトで人気者のブロントさんは格が違ったぜ!ブロントさんの喧嘩スキルは圧倒的にさすがって感じ。すごいぜー憧れちゃうぜー」

 

「ま、当然よね。ブロントさんってなんだかんだ言っても強いし、普通の学生に負けるわけがないわ」

 

「そうか。ならいい。これから屋上でミーティングするから来てくれ」

 

 

話し合いは別の所でするつもりなのか。

時間的には、お昼どきだし、今日の食事も持っていこうかな。

 

 

「それじゃあ、ブロントさんたちも行こうか。今回の戦争の要なわけだし」

 

「そうか。じゃあ戦争の時は頑張ろうな」

 

 

そう言いながら、教室の自分の席に去っていこうとする士郎。

カバンからお弁当を取り出し、そのままいただきますのポーズに……

……って、ちょっとちょっとちょっとーーーーー!!!!

 

 

「ちょっと士郎!!君も一緒に来るの!!」

 

「え?俺もなのか?」

 

「当たり前でしょ!!さっき雄二が士郎を重要人物の中に呼んでたじゃないか!!」

 

「でも、一緒に昼飯食べてもいいのか?俺達ほとんど接点なかっただろ?」

 

「そーいうのいいから!分かったら付いて来て!」

 

 

どうしていろいろと気が利くくせに、こんな余計なところで身を引くんだろう。

士郎は、人の心の細かいところには気づかない性格なんだろうか。

これだから鈍感とか言われるんだよ。

 

 

「本当に背中をナイフで刺されても知らないからね」

 

「だからなんでさ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「ブロントさん」

 

「何かようかな?」

 

「宣戦布告してきたか?」

 

「今日の午後に海鮮予定と伝えてきた実績があるのだよ」

 

「そうか、ありがとな」

 

「それほどでもない」

 

「で、明久、ちゃんと宣戦布告してきたか?」

 

「してきたよ」

 

「なんで明久にも聞くわけ?俺の見事な仕事を疑うやつは心が醜いぞ」

 

 

だって僕がワンクッションおいてるんだししょうがないじゃないか。

 

 

「それじゃあ昼飯を食べるか。腹が減ったら戦はできぬっていうしな」

 

「……明久、今日こそはまともな飯なんだろうな?」

 

 

士郎が食べるように促し、雄二が何やら僕に念押ししてくる。

そう思うならパンでもおごってくれたらいいのに。

 

 

「一応食べてるよ」

 

「いや――お前の主食は塩と水だろ?」

 

「失礼な!ちゃんと砂糖もとってるよ!!」

 

 

ザ・ワールド!!時よ止まれ!!

そんな幻聴が聞こえてきた。

僕の必死な反論のあと、間違いなくこの屋上の時間が停止していた。

 

 

「…………明久」

 

「な、何かようかな霊夢?」

 

 

そして、ユラリと僕の近くに迫ってくる霊夢の姿が。

な、なに?霊夢の癪に障るようなこと言ったっけ?

こっちからじゃ、顔を俯かせてるから表情が伺えない。

僕これからどうされちゃうの?なんか怖い!!

 

 

「昼ごはんは、塩と水と……砂糖だけだって?」

 

「そ、その通りですけど……?」

 

 

そう返答した直後、霊夢の腕が僕の方へと向かってきた。

ひいっ!殺される!!

 

 

「あんたもだったのね!!」

 

「……え?」

 

「やっぱりそうよねー昼ごはんに贅沢するなんておかしいわよねー。人間水があれば10日は生きれるって言うし」

 

 

やたら上機嫌になって、僕の手を掴み、同意を求めてくる霊夢の姿がそこにあった。

え……僕、助かったの?

何が何だかわからないけど、とりあえず同調しておこうかな。

 

 

「まあね。正直なところ、僕は塩と水と砂糖と、それに日光があれば一ヶ月は生きていけると思うよ」

 

「ちょっと待て明久、お前は葉緑素でも持ってるのか!?」

 

「それ、私もわかるわ。休みの間なんかはエネルギーを消費しないためにも、縁側で寝っ転がってるし」

 

「おい、やめろ馬鹿。それだと霊夢は人間じゃなく太陽電池だったというか鬼なるぞ!?」

 

 

士郎とブロントさんのツッコミが聞こえたけど、事実だからしょうがない。

僕が金欠なのは僕が悪いわけじゃない。

面白いゲームをどんどん出すゲーム会社が悪いんだ。

 

 

「……あの吉井君、よかったら私がお弁当作ってきましょうか?」

 

「……このままでは二人は栄養失調で骨になる。裏世界で幕を下ろさないためにも俺もそこに参戦することが決定した」

 

「「ゑ?」」

 

 

姫路さんの優しい言葉に僕は耳を疑った。

お弁当?女の子の?手作りの?いいの?

 

 

「ひ、姫路さん?本当にいいの?」

 

「ブ、ブロントさん?その言葉本当なの?」

 

「はい。明日のお昼でよければ」

 

「こんなことで俺がせこい嘘をつく汚い奴に見えるようならお前の目は必要ないな。目薬を指してやろうか?」

 

「うっしゃおらああああああああああああああああああ!!!!!」

 

「いやったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

 

僕たちは同時に歓声を上げた。

女の子の手料理に加えて、僕のカロリー補給が同時に達成されるなんて喜ぶしかない。

霊夢も、なんだかんだでご飯を食べられるのは嬉しいんだろう。

 

 

「そ、それだったらウチだって作ってくるわよ!見てなさい、あまりの美味しさに腰を抜かしても知らないんだから!!」

 

「食事を取れないってんなら見過ごすわけにはいかないな。俺もいくつか多めに作ってくるよ」

 

 

追撃の美波と士郎の増援で、僕の食生活が黄金色に輝き始めた。

なに?なんなの?僕は今日死ぬの?

女の子の手料理を二人から振舞われる上に、ブロントさんや士郎の料理まで食べさせてもらえるなんて……

 

 

「神様!!!」

 

「女神様!!!」

 

 

あなたたちが神か。

思わず霊夢と一緒に、四人に向かってこうべを垂れた。

 

 

「……二人共、すごい必死じゃのう」

 

 

秀吉、そういうこと言わないで。

僕達は、生きるのに精一杯なんだから。

 

 

「今日のところは、満足に食べられるだけはないと思うけど、俺の弁当食べるか?」

 

「霊夢、必要最低限の施しだけはしてやる。お前俺の弁当の半分を食っても良いぞ」

 

 

……ふむ、なるほど。

このお方たちは、救世主なわけだね。

 

 

「士郎…………君は英雄だ」

 

「ブロントさん…………素晴らしいナイトだすばらしい」

 

 

そう感謝しながら、士郎のお弁当を頂いたあと、僕は貧乏でよかったと思ってしまった。

なにこれ、訳がわからないくらい美味しい。

空腹だからとかじゃなくて、一流シェフのディナーを食べているような。

 

 

「さて、話がだいぶそれたな。試召戦争の話に戻そう」

 

「そういえば、どうしていきなりDクラスに宣戦布告させたんだ?順当に行けばEクラスだろ?」

 

 

雄二が話を切り出したと同時に、士郎が疑問に思っていたことを聞いた。

そういえばたしかにそうだ。

経験値を積むなら、より弱い方に挑むのが普通だし、勝負に出るならAクラスに宣戦布告するはずだ。

 

 

「あぁ、そりゃあ簡単な理由だ。正直言って、Eクラスは戦う必要性がない。HBの鉛筆をベキッ!とへし折れるのと同じように楽にひねり潰せる」

 

「でも、僕達より上のクラスじゃないか」

 

「そりゃあ振り分け試験の時はそうだったかもしれん。だが、実際は違う。お前の周りをよく見てみろ」

 

「えーっと……」

 

 

言われたとおり、周りのメンバーを見回す。ふむふむ、この場には、

 

 

「美少女が四人とバカが二人、友人、ナイトと聖人が一人ずついるね」

 

「誰が美少女だと!?」

 

「えぇ!?雄二が美少女に反応するの!?」

 

「…………(ポッ)」

 

「ムッツリーニまで!?」

 

「ワシは男だと何回言ったらわかるんじゃ!!」

 

「それについては申し開きはありません!!でも今回は友人の方にカウントさせてもらってます!!」

 

「だったら、俺はバカの方に入れられてるのか?」

 

「士郎は聖人の方!!どうしよう、僕だけじゃツッコミ切れない!!」

 

「おもえら、落ち着きたまえ^^」

 

「「「「「「「「「すごく落ち着いた^^」」」」」」」」」

 

 

ブロントさんの一言で、その場の混乱は収拾がついた。

 

 

「まあ、ともかくだ。姫路だけならまだしも、成績優秀者がこれだけ揃ってるんだ、正面からやりあってもEクラスには勝てる。Aクラスに挑む以上、そんな面倒なことはしてられないってこった」

 

「それだったら、Dクラスには負ける可能性があるの?」

 

「いや、はっきり言って、八割勝てる。もっというならCクラス相手でようやく五分五分ってところだ」

 

 

それを聞いて納得した。

僕達は、試召戦争を経験したことがない。

だからAクラスと戦う前に、召喚獣の操作に慣れておこうってことか。

慣れてはおきたいけど、どうせやるなら強めの敵とやりあって、なおかつ勝てる見込みが高い相手と勝負がしたいってところだろう。

 

 

「初めての戦争だからな。格上の相手をぶっ飛ばして自信をつけさせておきたいし、Aクラスを倒すのにも、Dクラスを倒しておく必要があるんだよ」

 

 

雄二の作戦の中身は、全部聞いているわけじゃないけど、そう言うからには重要ということか。

色々弄れてはいるものの、雄二の作戦は僕達を勝たせるためのものである以上、そこに疑う必要はない。

常日頃から、雄二は『明久が不幸になることが俺の幸せなんだよ』とか言ってるけど、おちょくられたことはあれど、本当に不幸になったことはゼロだ。

雄二は、やるといったからには、確実にやる。そういうやつだ。

 

 

「それでも、今の話は、僕達がDクラスを倒せなかったら意味がないよ?」

 

「負けるわきゃねーよ」

 

 

格上との勝負に、少しの不安を覚えた僕を笑い飛ばす雄二。

 

 

「お前らが協力してくれたら勝てる。なんせ俺たちのクラスは――最強だからな」

 

 

その言葉は根拠がないはずなのに、その気になってくる。

雄二がそう言うと、現実のものになるような気がしてくる。

 

 

「いいわね。面白そうじゃない!」

 

「そうじゃな。Aクラスの連中には悪いが、ワシ達に負けてもらおうかの」

 

「…………(グッ)」

 

「が、頑張ります!」

 

「そう言われたからには、せいぜい代表の期待には応えないとな」

 

「よく分かんないけど、要は敵を倒せばいいんでしょ?簡単じゃない」

 

「へへっ、いいね。どうせなら派手な祭りにしてやろうじゃないか!」

 

「雄二、お前全力で俺を使っていいぞ。どんなクエでも確実に高確率でクリアーしてやるからよ」

 

 

これだけの頼もしい仲間がいれば、どんな敵でも戦える。

そう考えたとき、僕の心の中の不安はすっかり消えてしまっていた。

 

 

「頼むぞ明久。お前がこのクラスのジョーカーだってのは嘘じゃないんだからな」

 

「……そうなの?」

 

「ああ、お世辞とかじゃねえぞ。お前もこの戦争ではコキ使ってやるから覚悟しとけよ?終わったあとボロ雑巾になっても知らねえからな」

 

 

雄二も、僕を信頼してくれてる。

勝気な笑みを浮かべながら、僕にボロ雑巾になれととんでもないことを言ってくる。

でもそれは、僕がこの戦争で必要な存在だってことだ。

そう信じてくれるだけで、僕は心の底から力が出てくるのを感じた。

 

 

「任せとけ雄二!」

 

 

バカな僕でも、雄二ならうまく使ってくれる。

それなら僕だって全力で戦ってやる。

 

 

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