今回はストーリーも短いので、監獄塔よりもかなり短めにできると思います。
ナンバーズ104 千年前の日本!再会のゴールデン!!
監獄島の戦いを終え、無事にカルデアへと魂が帰還することができた遊馬とアストラル。
目覚めて早々、ZEXAL IIの合体を解除せずにまず初めに行ったことは……。
「「ガツガツガツ!ムシャムシャムシャ!モグモグモグ!ゴックン!小鳥!デュエル飯、おかわり!!」」
「はーい!すぐ作るから待っててねー!」
「目覚めたばかりだというのによく食べるな……」
「でも、作り甲斐があるよ!」
食堂でZEXAL IIは小鳥のデュエル飯を主食にエミヤとブーディカの料理をおかずに久方ぶりの飯を食べていた。
「監獄塔だと魂だけだから飯も何もないからなー」
「ああ。だがやはり食事は最高の時間だ……生きる実感を味わえるぞ!」
「七日分しっかり食うぜ!」
遊馬とアストラルは約七日間眠り続けていたので腹の減りは異常で、いつも以上に食べていく。
一方、マシュはオルガマリーと共に一足早くカルデアに帰還していた空から遊馬とアストラルの代わりに監獄塔の報告を聞いていた。
「まさか魔術王が遊馬君にそんなことを……」
「本当に規格外過ぎるわ……アストラルと空がいたとは言え、よく戻って来たわね」
カルデアやマシュを初めとする契約したサーヴァントの支援がほとんどない状況で監獄塔を最後まで戦い抜いたことに深く感心した。
「でも、あの戦いは私だけの力じゃない。ジーク君とルーラー。そして……アヴェンジャー……エドモンがいたからこそ戦い抜くことができた」
「オガワハイムで出会った巌窟王……エドモンさん……カルデアに召喚されたら謝らないといけませんね」
マシュはオガワハイムで知らなかったとはいえ存在してはいけないと言ってしまった事を思い出し、カルデアで召喚されたら真っ先に謝ろうと思った。
ZEXAL IIが大量の食事を食べ終え、お茶を飲んで一息をつくと……。
「ユウマ〜!」
「旦那様〜!」
「ん?おお、ネロ!清姫!」
「無事か、大丈夫か!?」
「お怪我はありませんか!?」
「おう!問題ないぜ!」
ZEXAL IIが目覚めたと聞き、ネロと清姫が駆けつける。
その後もZEXAL IIの目覚めを聞いてカルデアのサーヴァント達が次々と復帰を祝う。
ZEXAL IIは食事を終えると目を閉じてその場で合体を解除し、遊馬とアストラルに戻る。
「「ごちそうさま」」
手を重ねてごちそうさまと食後の挨拶をすると元気な足音が響く。
「お兄ちゃーん!」
「お兄様ー!」
「おかあさーん!」
桜と凛、そして先日カルデアにやって来たジャックが仲良さそうに一緒にやって来た。
「桜ちゃん、凛ちゃん、ジャック!おっ?三人共、仲良くなったのか?」
「うん!ライダーやアタランテお姉ちゃんと一緒に毎日遊んでいるよ!」
「お兄様、体はもう大丈夫なのですか!?」
「おかあさん、目覚めて良かったよ!」
「心配かけたな。俺はもう大丈夫だ。よし、心配かけたお詫びにこれから一緒に遊ぶか!」
「「「うん!!」」」
遊馬は桜たちと一緒に遊ぼうと椅子から立ち上がるが……。
「残念だけど、昨夜に小さいけれど新しい特異点を発見したからこれから遊馬に行ってもらうわ」
オルガマリーの無慈悲な司令が下されてしまった。
遊馬とアストラルが監獄島で戦っている間に小さい特異点を発見し、心苦しいが遊馬とアストラルが目覚めたらすぐに向かってもらう事になっていた。
ガーン!!!
「「「ええっ!?」」」
「嘘ぉーん!?そりゃあ無いぜ、所長!!」
桜たちは涙目になり、遊馬はブーイングを挙げる。
オルガマリーは頭痛を覚えながら大きな溜息を吐き、なんとかこの場を抑えるために妥協案を出す。
「分かりました。この特異点が解決したらしばらくの間は午前の勉強会と午後の訓練を休講します。これで勘弁して……」
「遊馬、気持ちは分かるがここは我慢して行こう」
「アストラル……へぇーい。悪いな、みんな。帰ってきたらたくさん遊ぼうな?」
「「「はーい……」」」
桜たちも我慢し、遊馬は急いで自室に戻ってレイシフトの支度を整える。
監獄塔で持って行けなかった原初の火と銃を装備し、デッキとデュエルディスクとD・ゲイザーとデッキケースを確認して管制室に向かう。
先に待っていたオルガマリーから簡単な説明が始まる。
「まず初めに、今回の護衛サーヴァントも私が選びました」
「前回はロンドンだったから、アルトリアとブーディカだから……」
「今回のレイシフト先は日本よ」
「日本!?」
「ええ。ただ、今までとは大きく違ってどの時代かはっきりと分からないの。もしかしたらかなりの大昔かもしれないわ」
「分かった、任せてくれ!」
「それで、今回の護衛サーヴァントは?」
「ええ。入って来て!」
オルガマリーが呼び、管制室に入って来たのは……。
「遊馬、姉上に任せて!」
「マスター、微弱だが俺も力になろう」
「姉上!小次郎!」
今回の護衛サーヴァントとして着くのは日本で有名な好敵手剣士、宮本武蔵と佐々木小次郎の二人。
日本で名を馳せる最強剣士が共に戦うなら心強い。
すると……。
「待たんか!お主ら!!」
「待ってください!!」
「え?ノッブ、姉さん?」
管制室に突撃するように来たのは信長と沖田だった。
「オルガマリーよ、何故儂と沖田を呼ばんのじゃ!」
「そうですよ!日本が舞台なら私たちでもいいじゃ無いですか!」
信長と沖田も日本出身の英霊なので確かに護衛サーヴァントに選ばれても良いのだが……。
「却下よ」
オルガマリーは即答で両断する。
「ガーン!?何故じゃ!?」
「わ、私の剣の腕なら武蔵さんや小次郎さんにも負けませんよ!?」
「何故かって……?それはね……あんた達じゃ不安要素しかないし、大事なところで何かやらかしそうだから任せられないのよ!!」
信長と沖田は確かにネーミング的には良いのだが、あまりにも残念な性質に任せられないと判断された。
「酷っ!?是非もないよね!?」
「そんな!?私たちはそこまで酷くない──ゴハッ!?」
「ぬぉっ!?沖田がまた血を吐いた!?最近は調子が良かったはずなのに!?」
「だからあなた達には任せたくないのよ……ちびノブ、頼むわよ」
「「「ノッブノブー!」」」
「き、貴様ら!儂から生まれたくせに邪魔をするな!」
「で、出番を!私達にも主役級の出番を〜!」
ちびノブたちが何処からともなく現れて信長と沖田を管制室から追い出す。
「……コホン。改めて、今回の特異点は遊馬とアストラル、マシュとフォウ、そして武蔵と小次郎で向かってもらうわ」
「オッケー!マシュ、フォウ、頼むぜ!」
「はい!」
「フォーウ!」
監獄塔の戦いを経ての新しい特異点なのでマシュとフォウと一緒に向かうのは久々に感じる。
遊馬はマシュと武蔵と小次郎をフェイトナンバーズにいれ、フォウは上着のフードに入る。
アストラルは皇の鍵の中に入り、遊馬は忘れ物がないか確認しながらコフィンの中に入る。
そして、レイシフトが始まり、遊馬は目を閉じて体の身を静かに委ねた。
☆
レイシフトが完了し、目を開くとそこには美しい光景が広がっていた。
「すげぇ……!みんな、出て来て見てみろよ!」
遊馬はその光景に興奮しながら皇の鍵に触れ、デッキケースを開くとアストラルとマシュたちが出てくる。
アストラルとマシュたちの目の前に広がった光景……それは今までの特異点では見る事のなかった新しい風景だった。
「美しい……これは日本の古き良き美しい風景だな……」
それは日本の花とも言える桜が満開に咲き誇り、緑生い茂る山々に作物が実る田園が広がる日本のとても美しい風景だった。
「桜の花が、とても、綺麗です。大変ビューティフルと言えます!」
「フォウフォウフォーウ!」
「懐かしいな、故郷を思い出すよ」
「まさか英霊の身となったこの瞳に懐かしき風景を焼き付ける日が来るとは……」
マシュとフォウは初めて見る桜の花に美しさを感じて興奮し、武蔵と小次郎は久し振りに見る懐かしい風景に心を安らいでいた。
すると、遊馬たちの鼻に何かの匂いを感じた。
「ん?なんか甘い匂いが……」
「何でしょう……?」
何故か甘い匂いが広がっており、気分が少し良くなって来ていた。
「ところで、今回の年代はいつ頃なんだ……?」
「は、はい!所長が言うには日本の平安時代になります」
「平安時代か……となると現代から千年ぐらい前か?」
「いや、平安時代と言っても三百年もあるからそうとは言い切れない」
「そっか。あー、今度は日本の歴史もちゃんと勉強しないとなぁ……」
今後も日本の特異点があるかもしれないのである程度の日本の歴史を学ばなければならないと遊馬は頭をかきながら思っていると、桜の木の元で何かを見つけた。
「……なんか、花びらが山のように積もってるけど……」
「はい……どう見ても人型です。控え目に言って、花見をしていたら眠ってしまって、丸一日放置されていたような……」
その花びらに埋もれている人物を起こすべきかどうか迷っていると……。
「は──くしょい!つあ、もう朝じゃねえかコンチクショ──ウ!」
「ゴ、ゴールデン!?」
花びらの山から起き上がったのはロンドンでニコラ・テスラを止めるために召喚され、共に戦った坂田金時こと、ゴールデンだった。
「うー、あったま痛ぇ……調子に乗って熊どもと騒ぎ過ぎちまったぜ……」
「おはよー。ゴールデン」
「ん?おお、大将じゃねえか!」
金時はロンドンの地で自ら大将と認めた遊馬と再会して喜びを見せた。
「いいね、挨拶から入るのはいい。礼節を弁えてる証拠だ。充実した一日ってのは、いい挨拶、いい朝飯、いい薪割りから始まるもんだ。うちの大将……ああいや、お前のことじゃねえ。元の大将っていうか、オレっちの養い親と言うか」
「君の養い親?それは源頼光か?」
金時の養い親と聞き、アストラルはその人物の名を言い当てた。
「源頼光?えっと、どんな人なんだ?」
「平安時代中期の武将で化け物退治においては無類の強さを誇ると言われていた。幼い頃のゴールデン……金太郎と呼ばれていた頃と出会い、金太郎の強さと人柄を見込んで家来に誘ったんだ。そして、頼光の元で成長した金太郎は坂田金時と改め、頼光四天王の一人として鬼退治をした……と言われている」
アストラルが源頼光と金時の関係を簡潔に説明する。
金時も腕を組んで源頼光との思い出を語り始めた。
「まあ、大体そんな感じだな。あの人、その辺りはきちっとしていてよ。普段はだらしねえクセに、飯時の行儀だけはガチでよ。片膝なんて立てたら鬼みてぇな顔で打ち込んできやがる」
「はははっ!うちの婆ちゃんにそっくりだ。何だか、その頼光さんってまるで母ちゃんみたいな性格なんだな!」
「そうだな。平安時代の武将でその性格は確かに珍しいな。まるで女性のようにしっかりしているようだな」
「ギクッ!?ま、まあ、そうだよな……」
遊馬とアストラルが源頼光についてのイメージを膨らませるが、金時は顔を歪ませて大量の汗をかいて空を見上げた。
そこに武蔵と小次郎が近づいて自己紹介を始めた。
「私は宮本武蔵!はじめまして、あの有名な頼光四天王の筆頭に会えるなんて光栄だよ!後で剣を交えたいな!」
「佐々木小次郎。同郷の英霊に会えるとは光栄だ。もし良ければこちらも後で手合わせをお願いしたい」
「二人も同郷のサーヴァントか!良いぜ、こっちの問題が片付いたらいつでも相手になるぜ!」
「それで、ゴールデン。何でここに召喚されたんだ?」
「この世界で何か大きな危機が迫っているのか?」
「世界の危機とは言えねえが、今回はオレっちの庭のトラブルだ。深山幽谷なんのその、誰が呼んだか知らないが、お呼びとあらば即推参。勇往邁進八卦良し、マサカリ担いで峠を攻める、神鳴り様のお通りってな!」
「おお!やる気満々だな、ゴールデン!」
「それで、どこに行くのだ?」
「あん?何処にって決まってるじゃねえか。そりゃあ──」
金時がこれから何処に向かうのか重要な事を話そうとしたが……。
『GYAAAAOOOO──!!!』
突如、獣のような雄叫びが響き渡り、遊馬達の前に現れたのは様々な姿をしたモンスター達だった。
「いいとこで茶々いれるんじゃねえ──!つーか、ここいらで見ねえ顔だなテメエ!?」
「どうやらこちらを食料と見なしているようです。襲ってきます!」
「起き抜けにゃ丁度いい。肩慣らしだ、派手に行こうぜ大将!」
「ああ!みんな、派手にぶちかますぜ!!」
遊馬達は突如として現れたモンスター達と戦闘を開始した。
☆
遊馬達が戦闘を開始した直後……そこに一人の女性が近づいていた。
「ようやく見つけましたわ、頼光四天王の坂田金時様。そして……」
その女性は金時と共に元気よく戦う遊馬を見て優しい笑みを浮かべる。
「なるほど、あの幼き少年がマスター様ですか。ちょうど良かったですわ」
女性は懐から筆と扇子を取り出して持つ。
「これで……この酒乱に狂った京の都を救うことが出来ます」
金時と遊馬……この地を救う最後の希望の元へと早足で向かう。
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ラストに登場したのは皆さんはお気づきかもしれませんが、平安時代が舞台なら彼女を出しても問題ないと思って出しました!
私も出た当初からすぐに好きなキャラの上位に入ったので、羅生門編と彼女の実装タイミングが合って本当に良かったと思います。