Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

21 / 195
遊戯王シリーズで優遇されたヒロインの登場です!
遊馬にはやっぱり彼女が必要だと思うので登場させました。


ナンバーズ19 戦いの運命に巻き込まれた少女

新たな特異点が見つかり、遊馬とマシュはそれぞれの部屋で準備をする。

 

デュエルディスクとD・ゲイザーをセットし、腰にデッキケースを装着するが、それは遊馬がいつも使っている赤いデッキケースではなかった。

 

赤いデッキケースには変わりなかったが妙に豪華な装飾が施されており、遊馬の令呪と同じ模様が描かれていた。

 

そのデッキケースはダ・ヴィンチの新しい発明で名前は『ディメンション・デッキケース』。

 

遊馬がサーヴァントと契約することで誕生するフェイトナンバーズ。

 

しかしフェイトナンバーズはカードにサーヴァントが宿ってないと使用できないデメリットがある。

 

そこで特異点で戦っている遊馬とアストラルからその戦闘で必要なフェイトナンバーズをD・ゲイザーを使ってカルデアに連絡し、フェイトナンバーズにサーヴァントを宿してすぐにカルデアからディメンション・デッキケースに転送するというシステムである。

 

「なぁ、アストラル。次の特異点でどんな英霊と会えるかな?」

 

「そうだな……フランスはもう無いだろうから別の場所だろう。国が一つ違うだけでも多くの英霊がいるからな。不謹慎だが私自身も楽しみだ」

 

「へへっ、俺もだぜ」

 

遊馬とアストラルは密かに特異点で新しい英霊と出会えることを楽しみにしていた。

 

英霊と出会えることは新しい仲間が集う可能性が高まるので不謹慎であるが楽しみであった。

 

「遊馬君、アストラルさん、おはようございます」

 

そこにデミ・サーヴァントとしての戦闘服に着替えて盾を持つマシュが入室して遊馬とアストラルを迎えに来た。

 

「おはよう、マシュ!」

 

「おはよう。フォウはいないみたいだが、どうしたんだ?」

 

「フォウさんはいませんが多分そのうち出て来るはず……」

 

「フォウフォーウ!」

 

「あ、フォウ。どうしたんだ?」

 

フォウは突然出て来ると遊馬のズボンの裾を軽く噛んで引っ張り、そのまま遊馬のマイルームを出て行った。

 

「ついて来てと言ってるみたいですね……」

 

「とりあえず行ってみるか!」

 

遊馬とマシュは急いでフォウの後を追う。

 

カルデアの廊下を走り、マシュは前にも似たようなことがあった事を思い出す。

 

「そう言えば初めて遊馬君を見つけた時もこんな風にフォウさんについて来てと言ってましたね……」

 

いつも気ままで自由なフォウが呼び出すとは何かあったに違いないと遊馬とマシュは歩く足を早くする。

 

丁度そこは遊馬がいつのまにかカルデアに迷い込んで倒れていた場所のすぐ側だった。

 

「あっ!誰かが倒れています!」

 

「あれは……まさか!?」

 

「馬鹿な、どうして君がここに……!?」

 

遊馬とアストラルは廊下で倒れている人物を見て目を疑った。

 

それは緑色の髪に赤いリボンを付け、可愛らしい服装をした遊馬と同じくらいの年齢の少女だった。

 

その少女は遊馬とアストラルにとって大切な人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「小鳥!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊馬は倒れている少女を抱き上げ、アストラルは心配そうに見つめる。

 

少女の名は観月小鳥。

 

遊馬の幼馴染で遊馬とアストラルのナンバーズを賭けたデュエルから世界の命運を賭けたデュエルまで、数多くのデュエルを最後まで見届けてきた少女である。

 

そして小鳥は特に外傷はなく、ちゃんと呼吸はしていたが意識を失っていた。

 

「小鳥……さん?遊馬君、お知り合いですか?」

 

「俺の大切な幼馴染だ!マシュ、医務室に運ぶからロマン先生を呼んでくれ!!」

 

「は、はい!了解しました!」

 

遊馬は小鳥を抱き上げたまま急いで医務室へ向かい、アストラルも共に向かう。

 

「でも、遊馬君の幼馴染さんがどうしてカルデアに……?」

 

「キュー?」

 

マシュはその事に疑問を抱きながらD・ゲイザーを取り出してロマニと連絡を取る。

 

 

カルデアではとある異常事態で話が持ちきりだった。

 

第二特異点が発見されたのもつかの間、何と遊馬と同じ異世界から来た少女……しかも可愛い幼馴染が来たという事でサーヴァント達はこぞって廊下から医務室の様子を伺っている。

 

医務室には遊馬とアストラル、ベッドの上には寝ている小鳥と診察しているロマニだった。

 

「先生、小鳥は……?」

 

「心配ないよ、意識を失っているだけだからすぐに目を覚ますだろう」

 

「よかったぁ……」

 

「でもどうして遊馬君の幼馴染が?もしかしてこの子にも君のような特別な力が?」

 

「いや、小鳥はそんな力を持ってないぜ。せいぜい普通の人間には見えないアストラルが見えるぐらいで……」

 

小鳥は一応デュエリストではあるが、あくまで初心者レベルで特別な能力やカードを有していない。

 

遊馬とアストラルは何故ここにいるのか不思議で仕方がなかった。

 

遊馬は小鳥を心配して手に触れた瞬間、ナンバーズの49の刻印が空中に浮かぶ。

 

小鳥の体に淡い緑色の光が纏うとピクッと体が動いた。

 

「んっ……ん……?」

 

「小鳥……?小鳥!」

 

小鳥は意識を取り戻し、ゆっくり瞼を開いて虚ろな目で遊馬を見つめる。

 

「……遊馬……?」

 

「小鳥!よかった……目を覚ましたんだな!」

 

「小鳥、無事で何よりだ」

 

「アストラル……良かった、遊馬に会えたのね……」

 

「ああ。だが、どうして君がここに……?」

 

「それは……」

 

「その話は私にも聞かせてもらえないかしら?」

 

医務室の扉が開くとオルガマリーが入室して小鳥に視線を向ける。

 

「初めまして。人理継続保障機関・カルデア所長、オルガマリー・アニムスフィアです」

 

「人理継続……?カルデア……?」

 

「少々複雑な話になるけど、落ち着いて聞きなさい。その後にあなたの話を聞かせてもらうわ。何せあなたは遊馬と同じ異世界からの来訪者なんだから」

 

「は、はい!」

 

オルガマリーは人理継続保障機関・カルデアの役目とこの世界に起きた人理焼却、そして遊馬とアストラルとサーヴァント達がこの世界の未来を守る為に過去の世界の特異点を巡り、解決する使命を伝えた。

 

遊馬とアストラルが再び危険な戦いに飛び込んでいる事に驚愕と同時に呆れ果てて大きなため息をついた。

 

「遊馬……」

 

「何だ?」

 

「あなたね……どれだけ人を心配させれば気が済むのよ!!!」

 

そして、遊馬を睨みつけながら大声で怒鳴りつけた。

 

「はひっ!?」

 

「一緒に出かけようとした途端に急に目の前から消えて心配したんだからね!!アストラルが行ってくれたけど、無事なら無事で連絡をしなさいよ!!」

 

「出かける……?あ、そうか……あの日、小鳥と買い物を行くときに俺は……」

 

遊馬はどうしてカルデアに来たのか記憶の混乱で思い出せなかったが、小鳥の言葉でようやく思い出した。

 

ある日遊馬と小鳥は買い物で街に出かけようとしていたが、突然起きた空間の歪みの中に吸い込まれてしまい、気が付いた時にはカルデアの廊下に倒れていたのだ。

 

「本当にもう、遊馬はいつもいつも心配ばっかりかけて……」

 

小鳥は遊馬と再会できた喜びと遊馬がいなくなってしまった不安が一度に溢れ出して大粒の涙を流した。

 

突然の涙に遊馬達は驚き、慌てて遊馬が小鳥をあやす。

 

「わ、悪かったって小鳥。ああ、もう泣くなって……」

 

「うるさいうるさい!遊馬のバカバカバーカ!!」

 

「逆ギレ!?」

 

遊馬と小鳥の微笑ましい光景にアストラルとロマニとオルガマリーはその場からそっと離れる。

 

「意外ね、遊馬にあんな可愛いガールフレンドがいたなんて」

 

「しかも小さい頃からの幼馴染……うん、羨ましいの一言に限るね!」

 

「ふっ……小鳥はほぼ遊馬と毎日一緒にいるからな」

 

心なしか小鳥がそばにいる事で遊馬の表情に安らぎが現れていた。

 

「そ、それよりも、小鳥はどうやってカルデアに!?」

 

「カイト達のお陰よ!遊馬が消えたところを解析して、大急ぎで異次元ゲートを作って私を送ってもらったのよ!」

 

「異次元ゲート!?流石はカイト達だぜ!って!何でそんな危ないことをするんだ!?おばさんが心配するし、俺に会えなかったらどうするんだよ!?」

 

「お母さんにはちゃんと説明して行ってらっしゃいと背中を押してもらったわ!それに……私の居場所は遊馬のいる場所だから絶対に会えるって信じてた!」

 

「何だよその自信……」

 

小鳥も遊馬の影響か無茶苦茶な行動が少々目立って来た。

 

呆れ顔をする遊馬だったが、心の中では小鳥が側にいてとても嬉しかった。

 

遊馬にとってアストラルと小鳥がヌメロン・コードを賭けた激しく、厳しい戦いの中で唯一の心の支えだったから余計に嬉しかった。

 

二人の仲が少しずつ縮まろうとしたその時だった。

 

突然ドアが開き、一気に部屋の温度が上がり悍ましい声が響く。

 

「もう我慢出来ません……旦那様とそんなに熱々なんて……」

 

それは遊馬のことを病むほど愛してやまないサーヴァント……清姫だった。

 

廊下にいたサーヴァント達は清姫の病んでいるヤバイ精神状態に無理無理!と首を激しく左右に振っていて止められないと訴えていた。

 

「き、清姫!?」

 

「ちょっと遊馬……旦那様ってどういう事よ?」

 

遊馬を旦那様呼ばわりする清姫に小鳥は冷たい目で睨みつけ、遊馬の耳を引っ張った。

 

「いててててっ!?いや、その、俺もよくわかんねえんだよ!?清姫の昔の恋人の生まれ変わりが俺とか言ってて……」

 

「はぁ?何よそれ……清姫、さん?その話は本当ですか?」

 

「ええ、本当ですよ。旦那様……遊馬様は安珍様の生まれ変わりです」

 

「遊馬は心当たりがなくて、全く知らないみたいですけど?」

 

「そんな事は関係ありませんよ?それよりも突然来て図々しくありませんか?」

 

「図々しい?私は遊馬と赤ちゃんの頃からの付き合いですよ?遊馬とはほぼ毎日一緒にいるんですから、今更図々しいとかありえませんから」

 

遊馬の祖母と小鳥の祖母が学校の同級生で仲良しと言うこともあって、九十九家と観月家の間で交流があり、遊馬と小鳥は幼馴染の関係となった。

 

バチバチと火花を散らせる小鳥と清姫……小鳥の背後には天使、清姫の背後には大きな白蛇の幻影が見えるほどの威圧的な態度を取る。

 

そんな二人を見て物陰から覗いているエリザベートはボソッと呟いた。

 

「凄いわね、あの子……魔術師でも何でもないのに病んでる清姫と面と向かって言い合えるなんて……」

 

誰よりも清姫の心の病みを知っているエリザベートは小鳥の精神……心の強さに驚いた。

 

そんな修羅場となった医務室に対し臆する事なく一人の少女が入り、小鳥と清姫の間に旗を割り込ませた。

 

「やめなさい、ヤンデレ蛇姫。相手は普通の女の子よ?」

 

それはレティシアで、今さっき医務室に到着したばかりだった。

 

「レティシアさん……邪魔しないでください」

 

「はぁ……アストラル、このままだとカルデアが血の海になりかねないから、あれをやりなさい」

 

「そうだな……清姫、しばらく頭を冷やしてもらう!」

 

アストラルは清姫のフェイトナンバーズを取り出すと強制的に粒子化させる。

 

「え!?ちょっと、待ってくださ……きゃあああああっ!?」

 

粒子化された清姫はフェイトナンバーズの中に封印され、そのまま皇の鍵の中に入って飛行船にあるナンバーズを収める場所に一時的に収納する。

 

「これでよし……あなたが遊馬の幼馴染の小鳥ね。ふーん、なかなか可愛いわね……でもあまり無茶したらダメよ。サーヴァントにはマトモな奴もいれば逆に危ないのもいるから」

 

「あなたは……?」

 

「私はレティシア。遊馬からあなたのことはよく聞いているわ。そう言えば……ちょっと、ジャンヌとマリー、出て来なさい」

 

レティシアは物陰に隠れていたジャンヌとマリーを呼んだ。

 

ジャンヌとマリーの名前に小鳥は目を見開いて驚く。

 

「ジャンヌ?マリー?えっ?えっ?」

 

「ジャンヌ・ダルクとマリー・アントワネット。遊馬から聞いてたけど、確か二人のファンだったわね?」

 

遊馬は以前第一特異点で小鳥がジャンヌとマリーに憧れていることを話しており、レティシアは先日遊馬からそのことを聞いていた。

 

ジャンヌとマリーはニッコリと笑みを浮かべながら小鳥に自己紹介する。

 

「初めまして、ジャンヌ・ダルクです。マスターの幼馴染に会えて嬉しいです」

 

「ごきげんよう、フランス王妃のマリー・アントワネットですわ。よろしく、小鳥さん」

 

憧れのジャンヌとマリーに会えてまるで大好きなアイドルに会えたような気持ちになり興奮する小鳥だった。

 

「キャー!本物のジャンヌさんとマリー王妃!まさか会えるなんて感激です!ってあれ!?ジャンヌさんとレティシアさん……似ている……?」

 

「あー、そのことはちょっと面倒だから後で話すわ。とりあえず、遊馬。せっかくだからサーヴァント達を紹介したら?」

 

「そ、そうだな!サンキュー、レティシア!行こうぜ、小鳥!」

 

「うん!あ、ちょっと待って!その前に荷物を持ってこないと!」

 

「荷物?」

 

「うん。大きなリュックサックなんだけど……」

 

「それなら持って来たわよ。廊下にあるわ」

 

レティシアがそう言うと遊馬と小鳥は急いで医務室から廊下に出た。

 

廊下には大きい……と言うかデカすぎるリュックサックがあり、それを担いでいたマシュが軽く息切れをしていた。

 

それは遊馬が師匠、六十郎の決闘庵に向かう時に野菜などの食材を詰める時に使うリュックサックだった。

 

「こ、小鳥さんの近くにありましたので、レティシアさんと一緒に持って来ました……」

 

「あれは重かったわよ。ってかデカすぎるわよ。一体何が入ってるのよ?」

 

「遊馬の祖母、春おばあちゃんから貰った大量の食材と遊馬と私の服の着替えやその他生活に必要な雑貨です。後は……」

 

小鳥はガサゴソとリュックサックの中を漁ると目的のものを遊馬に渡す。

 

「はいこれ」

 

「これは、デッキケース?妙に厳重に閉じられているな」

 

それは鋼鉄製のデッキケースで結構な重量があり、簡単に開けられないように厳重なロックが掛かっていた。

 

「カイト達が作った特別製で遊馬の指紋認証が無いと開けられないの。そうじゃないと中のカオスの力が他人に影響を与えるから」

 

「カオスの力だって!?」

 

「まさかこのデッキケースの中には……」

 

デッキケースの中央のカバーを開くと指紋認証のスキャナがあり、遊馬の人差し指を添えると指紋を確認してデッキケースがゆっくり開いた。

 

次の瞬間、デッキケース内から真紅の光が漏れ出して十数枚の紅いカードが飛び出した。

 

「うわっ!?こ、これは!?」

 

「カオスの光……これはバリアンの力!?」

 

それは蒼き世界と対をなす紅き世界……バリアン世界の力だった。

 

バリアン世界の力を宿したカードは遊馬の周りを踊るかのように舞い、遊馬が恐る恐る右手を差し出す。

 

すると、カード達が遊馬の右手に次々と乗っていき、紅い光が収まった。

 

バリアン……カオスの力は人の欲望を増幅させて心を暴走させてしまうが、遊馬には何の変化がなかった。

 

バリアンのカードを見ていくと遊馬とアストラルは目を見開くほど驚いた。

 

何故ならそれは驚異的な力を秘めたバリアンのカードだからである。

 

「これは……シャーク達の『オーバーハンドレッド・ナンバーズ』に『カオス・オーバーハンドレッド・ナンバーズ』!?」

 

「それにバリアン世界の『ランクアップマジック』!?」

 

「カイトのもう一枚の銀河眼があるぜ!?」

 

「しかもトロン一家のカオスナンバーズにランクアップマジックまで!?」

 

「ん?これって……真月に前に貰った失われたバリアンカード!?おいおいこれはどう言うことだよ小鳥!」

 

「カイト達が遊馬の為に急いで作ったのよ。シャーク達の中にある残り少ないバリアンの力とカイト達の異世界研究の全てを結集させて、かつての戦いのカオスのカードを復元と複製を成功させたのよ」

 

今、遊馬の手にある力は異次元の力と科学の力が結集して誕生したハイブリッドのカードである。

 

「シャークとカイト達、それにトロン一家の力の結晶……?」

 

遊馬はカードを額にあてるとカードに込められた声が聞こえた。

 

『とっとと敵をぶっ潰してカタをつけて帰って来い、バカ』

 

『俺たちの力を託したんだ、負けたら絶対に許さないぞ』

 

「シャーク、カイト……」

 

『遊馬、あなたの身と小鳥さんを必ず守り抜きなさい!』

 

『我ら七皇の力、遊馬とアストラルに託すぞ!』

 

『遊馬!俺とお前の熱い拳でどんな敵もぶっ飛ばしてやれ!』

 

『絶対に負けんじゃねえぞ、遊馬!』

 

『我が銀河眼の力で敵を粉砕せよ!』

 

「璃緒、ドルベ、アリト、ギラグ、ミザエル……」

 

『君が留守の間、この世界は僕達で守るから安心して戦ってくれ』

 

『遊馬!僕は君の無事を祈って、帰りを待っているからね!』

 

『どんな敵が相手か知らねえが、俺達のカードでお前のファンサービスを喰らわせてやれ!』

 

『私達の作り出した力で君が求める道を進みたまえ』

 

「トロン、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ……」

 

『遊馬……君にとっては嫌な思い出だろうけど、今度こそ俺様との友情の証として使ってくれ』

 

「真月……ああ、もちろんだぜ」

 

仲間達の強い想いを受け取り、一筋の涙を流す遊馬。

 

その後、遊馬とアストラルは小鳥にカルデアのサーヴァント達を紹介した。

 

小鳥はオルガマリーのご好意でカルデアで働くことになり、主に遊馬のサポートや雑用、後は食堂でのエミヤの料理の手伝いをすることとなった。

 

そして、小鳥のカルデア来訪から一夜明け、気を取り直して新たな特異点にレイシフトする事となった。

 

「そんじゃ、行ってくるぜ!小鳥!」

 

「頑張って、気をつけて帰ってきてね」

 

「おう!」

 

「アストラルも遊馬みたいに無茶しないでね」

 

「ああ」

 

「それから、元気の源よ」

 

小鳥は遊馬に布に包まれた小さなプラスチックケースを渡す。

 

確かな重みと一番大好きな香りに遊馬の目がキラキラと輝く。

 

「おおっ!?これってもしかして!?」

 

「そうよ、デュエル飯。お腹が空いたら食べてね」

 

デュエル飯とは遊馬の祖母の春が作る丸型のおにぎりで遊馬の大好物である。

 

ナンバーズを賭けた戦いが始まってからは小鳥も作るようになり、アストラルも実はデュエル飯が大好物で密かに目をキラキラと輝かせた。

 

「サンキュー!小鳥!これで元気マックスだぜ!」

 

遊馬はデュエル飯の入ったケースを上着の内ポケットに入れて意気揚々と管制室に向かい、アストラルも一緒に行く。

 

「もう……本当にいつも全力で走っていくんだから……」

 

相変わらずどんなことでも全力で向かう遊馬の姿に苦笑を浮かべていると後ろから話しかけられる。

 

「小鳥さん、おはようございます」

 

「マシュさん!おはようございます!」

 

「フォウ!」

 

「フォウ君もおはよう」

 

戦闘服に着替えて盾を持つマシュとフォウは小鳥に挨拶をする。

 

一緒に遊馬とアストラルの後を追うように管制室に向かいながら話をする。

 

「小鳥さんもデュエルをするのですか?」

 

「一応ですが、最近はデュエルがとっても上手い璃緒さんに教えてもらっていたのでメキメキ上達しています!」

 

「良かったら時間がある時にでも教えてくれませんか?私もデュエルに興味があるので」

 

「私で良ければいつでも大丈夫です!」

 

「ありがとうございます、小鳥さん」

 

同性で歳も近いこともあってか楽しそうに話をする小鳥とマシュ。

 

今までマシュはこうして歳の近い同性と楽しい雑談をしたことが無かったので本当に嬉しいのだ。

 

「マシュさん。遊馬の事、よろしくお願いしますね。遊馬は無茶ばかりするから」

 

「小鳥さん……はい、お任せください。私は遊馬君のサーヴァントでもう一人の相棒ですから!」

 

遊馬を大切に想う者同士でとても気が合うのだった。

 

そして、いよいよ第二特異点に向けてレイシフトをする。

 

今回は遊馬とアストラルとマシュだけでレイシフトを行い、アストラルは皇の鍵の中に、マシュはフェイトナンバーズの中に入って遊馬だけでコフィンの中に入る。

 

遊馬は目を閉じる前に小鳥にグッドサインを見せる。

 

「行って来るぜ!」

 

「行ってらっしゃい」

 

小鳥は笑顔で遊馬を見送り、レイシフトが始まる。

 

コフィンの中で目を閉じた遊馬の体が粒子となり、第二特異点へレイシフトする。

 

そこで薔薇の皇帝と呼ばれる少女と出会い、ローマの命運をかけた戦争に巻き込まれるのだった。

 

 

 

.




ようやく次回から第二章開幕です。
ネロ皇帝やブーディカ姉さんの登場は楽しみです。
個人的にブーディカ姉さんの復讐の気持ちを遊馬が諭す話を書くつもりです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。