Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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早めに書けたので投稿します。

ようやく第2章も終わりが近づいてきました。

多分次回で第2章が終わると思います。

そしたらぐだぐだ本能寺を早速執筆します。


ナンバーズ29 二つの予想外な英霊召喚

遊馬と凌牙とカイト……三勇士のカオス・エクシーズを呼び出した遊馬はレフとの決着に臨んだ。

 

「行くぜ!カードを二枚伏せ、希望皇ホープレイVで攻撃!ホープ剣・Vの字斬り!」

 

希望皇ホープレイVは双剣を構えて飛翔し、急降下しながら『V』を描くように双剣を振い、レフを切り裂く。

 

「続け、S・H・Dark Knight!超銀河眼の光子龍!!」

 

「ダーク・ナイト・スピア!アルティメット・フォトン・ストリーム!!」

 

黒槍の槍投げと三首龍の咆哮がレフの体を更に破壊した。

 

肉体の九割近くを失い、もはや虫の息だったがレフはまだ諦めていなかった。

 

「まだだ、まだ私には聖杯の力がある!!聖杯よ、私に力ぉおおおおおっ!!」

 

レフが持っていた聖杯は今悪魔となった体内に隠されており、最後の手段として願望器である聖杯の力を使う。

 

聖杯の力で失った肉体を再生され、その力を何倍にも上昇させた。

 

「聖杯の力で強化したのか!?」

 

「遊馬、来るぞ!」

 

「消えろぉおおおおおおおおっ!!」

 

レフは全身から触手と光線を放ち、三体を破壊……もしくは吸収するために聖杯の力を使った最も強力な攻撃を放つ。

 

三体のモンスター……否、遊馬とアストラルだけはここでなんとしてでも倒す、ここで倒さなければ後々面倒なことになる……レフはその気持ちで攻撃を放った。

 

しかし、遊馬とアストラルのデュエルは強力なモンスターで攻撃するだけが取り柄ではない、徹底した防御策も設置済みであった。

 

「永続罠カード、発動!『ナンバーズ・ウォール』!!更にチェーンして超銀河眼の光子龍を対象に永続罠カード『安全地帯』!!」

 

空中に『39』と『101』の刻印が浮かび上がり、更に眩い閃光が放たれた。

 

触手と光線が希望皇ホープレイVとS・H・Dark Knightと超銀河眼の光子龍に直撃するが三体とも破壊されなかった。

 

「破壊できない……!?何故だ、何故だぁああああっ!!??」

 

レフは三体のモンスターを破壊できなかった事に目の前の現実を疑った。

 

その理由は今発動した二枚の罠カードに大きな秘密がある。

 

「ナンバーズ・ウォールは自分フィールド上に『No.』と名のついたモンスターが存在する場合に発動できる。このカードがフィールド上に存在する限り、『No.』と名のついたモンスターは効果では破壊されず、更に『No.』と名のついたモンスター以外との戦闘では破壊されない!」

 

「これにより、ナンバーズであるホープレイVとS・H・Dark Knightは破壊されない!」

 

元々ナンバーズはアストラルの記憶の欠片であり、その亜種でもあるオーバーハンドレッド・ナンバーズは全て遊馬とアストラルの元にある。

 

つまり、ナンバーズ・ウォールが発動している限りフィールドに召喚されたナンバーズはかつてレティシアがリバイス・ドラゴンを洗脳して奪った時のように攻撃しない限り、ほぼ無敵の存在になったということだ。

 

「更に、超銀河眼の光子龍を対象にして発動した安全地帯。これは選択したモンスターは相手の効果の対象にならず、戦闘及び相手の効果では破壊されない!!」

 

超銀河眼の光子龍はその罠カードの名前の通り、敵の攻撃を受けない場所にいるかのように守られている。

 

「つまり、これで私たちのフィールドの三体のモンスターは貴様に破壊されることはない!」

 

ただし、攻撃力が超過されていたのでその分のダメージを遊馬は受けたが、S・H・Dark Knightの復活効果でライフが回復していたので大した問題ではない。

 

尽くレフの出していく手を潰していき、確実に追い詰めていく。

 

「何故だ、何故私がこんな小僧に!?何故人間如きに私が追い詰められているんだ!!?」

 

目の前で起きている信じ難い現実にレフの表情はわからないが、人間の姿だったら明らかに動揺した表情を浮かべていると簡単に予測できるほどだった。

 

そんなレフに遊馬は静かに語りかけた。

 

「……レフ、お前は今まで何も思わなかったのか?」

 

「何をだ!?」

 

遊馬はずっと考えていた。

 

特異点『F』で最後に会った時からずっとレフが何を思ってカルデアにいたのかを。

 

最初から悪魔としてカルデアを裏切るつもりだったにしてもいくつか腑に落ちない点が多かった。

 

「少なくともお前はカルデアで長く過ごして、色々な人間と触れ合ってきたはずだ。カルデアの重要な装置のシバを開発して、オルガマリー所長はあんたを信頼していたし、ロマン先生は事件が起こる前には親しそうにお前の事を話していた。それに……」

 

遊馬はチラッとすぐ近くで遊馬とネロを守るために必死に盾を振るうマシュに視線を向けた。

 

「お前はマシュに親身になって魔術指導をしていたらしいじゃないか。それなのに、お前は本当に人間に対して何も思わなかったのか……?」

 

レフがカルデアにいた時、マシュに魔術指導をしていた。

 

それこそオルガマリーが嫉妬するくらい親身になって教えていた。

 

その事から口ではレフは敵だと言っていたマシュだが、心の底からは憎み切れてはいなかった。

 

遊馬の言葉に逆撫でされたのか、悪魔の姿となってしまったためにその表情は全く分からないがレフは苛立つように声を荒げた。

 

「黙れ……黙れ黙れ黙れぇっ!私はレフ・ライノール・フラウロス!!七十二柱の魔神が一柱、魔神フラウロスだ!!人間の命をゴミ屑同然だ!人類の未来はもう終わっているんだ!!!」

 

レフは遊馬に本音を言う事なく悪魔だと言い張り、人類の未来を否定した。

 

遊馬はこれ以上何を言ってもレフは何も語らないと悟り、デッキに指を添える。

 

「終わってねえよ。俺たちがいる限り、人類の未来は必ず取り戻す。俺のターン、ドロー!!」

 

そのドローはレフとの因縁を終わらせるカードとなり、遊馬は勝利の方程式が導き出す答えを出す。

 

「来たぜ、アストラル……勝利の方程式は全て揃ったぜ!!」

 

「遊馬、このターンで決めるんだ!」

 

「おうっ!レフ、悪魔のお前を地獄の業火で焼き尽くしてやる!俺は『Vサラマンダー』を召喚!」

 

遊馬のフィールドに四つの首を持つ炎のモンスターが姿を現わす。

 

それは真月から遊馬に託されたモンスターで希望皇ホープレイVに強力な力を与える。

 

「Vサラマンダーは希望皇ホープレイVに装備できる!サラマンダー・クロス!!」

 

Vサラマンダーは赤い炎となって希望皇ホープレイVの双翼と合体した。

 

Vサラマンダーの四つの首が大きな銃口となり、希望皇ホープレイVが背中に巨大な銃器を背負った姿となった。

 

「Vサラマンダーを装備したホープレイVは1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、ホープレイVの効果を無効にする代わりに相手フィールド上のモンスターを全て破壊し、その数×1000ポイントダメージを相手に与える!!」

 

「な、何だと!??」

 

ホープレイVはオーバーレイ・ユニットを一つ取り込むとVサラマンダーの持つ地獄の炎の力が燃え上がり、そのまま四つの銃口に地獄の炎が宿る。

 

あの炎はまずい、そう思ったレフだがもう既に遅かった。

 

「レフ、これで終わりだ。悪しき力の全てを焼き尽くせ……Vサラマンダー・インフェルノ!!!」

 

四つの銃口から地獄の炎が解き放たれ、火炎放射となってレフの体を焼き尽くす。

 

「グギャアアアアアアッ!??」

 

「これで終わりだ……三体でトドメだ!!」

 

希望皇ホープレイV、S・H・Dark Knight、超銀河眼の光子龍は同時に攻撃し、地獄の炎で焼かれて苦しんでいるレフにトドメを刺した。

 

レフの体から光が漏れ出して爆発を起こした。

 

爆発と煙が止むと、そこにいたのはスーツがボロボロだがまだ生きているレフがフラフラになりながら立っていた。

 

「あれだけの攻撃を受けて、倒れないだと!?」

 

「流石は本物の悪魔、その生命力には驚かされるな……」

 

「まだだ、まだ、私は負けたりはしてない……人間ごときに……!!」

 

悪魔としてだけでなくその手に握られた聖杯の力もあり、辛うじてあれだけの攻撃を受けても生きていたのだ。

 

「レフ、もう諦めるんだ!これ以上私たちと戦っても無意味だ!」

 

「いい加減諦めて降伏しろ!そして、カルデアで所長たちの前で懺悔をさせてやる!!」

 

「黙れぇええええっ!私は未来焼却の一端を任された男だ、万が一の事態を想定してないと思ったか!?」

 

レフは聖杯を掲げて何かをしようとした。

 

特異点の聖杯が出来ること……それはサーヴァントの召喚である。

 

レフはこの場を切り抜けるための強力なサーヴァントを呼び出そうとしていると遊馬は咄嗟にそれを理解し、それを止めるために走り出した。

 

「させるかぁあああっ!!」

 

遊馬がレフを止めようと走り出した……その時だった。

 

「……I am the bone of my sword. (我が骨子は捻じれ狂う)

 

何かの呪文が聞こえ、走りながら振り向くとそこには黒弓を構えてドリルのように捻じ曲がった剣を矢のようにつがえているエミヤがいた。

 

偽・螺旋剣(カラドボルグ)!!」

 

放たれた剣は遊馬の横を一瞬で通り過ぎ、目にも留まらぬ速さでレフの聖杯を持つ右腕を吹っ飛ばした。

 

「グギャアアアアアアッ!??」

 

腕を貫かれ、聖杯はレフから離れて地面に転がる。

 

「行け、マスター!!」

 

「よっしゃあぁあああああっ!!!」

 

遊馬は腕を思いっきり振って聖杯に向かって全力疾走で走った。

 

エミヤはそのまま遊馬が聖杯を確保してくれると思ったが……遊馬は予想外の行動に出た。

 

遊馬は聖杯……ではなく、レフに向かって走っていた。

 

腕を射抜かれて苦しんでいるレフの間合いに入り、ファイティングポーズを取って右手を強く握りしめた。

 

「歯を食いしばれ、レフ……これが、てめえに裏切られたカルデアのみんなの怒りだぁっ!!」

 

遊馬の右拳が金色に輝き、足を大きく踏み込んで全身の力を右拳に込めて放つ。

 

「マルタ直伝!!鉄拳聖裁!!!」

 

金色の右拳がレフの左頬を捉え、とても十三歳の少年が放つものではない強力なパンチとなり、レフは顔が歪むほど殴り飛ばされて城の瓦礫に激突した。

 

それは拳でリヴァイアサンの子である悪竜タラスクを説教した聖女、マルタから教わった一撃必殺のパンチである。

 

カルデアでエミヤに双剣を教わるついでにマルタから無手でも戦えるように教わっていた。

 

マルタは戦い方や技を教えながら遊馬の右手に『光の力』が宿っていることに気づき、悪を裁く正義の鉄拳である『鉄拳聖裁』を教えたのだ。

 

鉄拳聖裁は悪魔であるレフに大打撃を与え、体が痙攣して動く気配がなかった。

 

悪魔すら一撃で殴り倒す遊馬にアストラルとサーヴァントたちは戦慄した。

 

あの素直で可愛らしい少年が恐るべきスピードでどんどん逞しくなっていく。

 

ドウシテコウナッタ……?

 

アストラルとサーヴァントたちの心は一つになってそう思った。

 

遊馬はレフを殴り飛ばした直後に転がった聖杯の元へ走り、スライディングで地面を滑ってそのままキャッチして聖杯を確保した。

 

「聖杯ゲット!サンキュー、エミヤ!」

 

「……あ、ああ。ずっと奴の隙を伺っていた甲斐があったというものだ」

 

「シロウ、お見事です!」

 

エミヤは特異点『F』での出来事を忘れておらず、ずっと元凶であるレフに文字通り一矢報いる時を密かに伺っていたのだ。

 

だがまさか遊馬がマルタ直伝の鉄拳でレフを殴り飛ばすとは思いもよらなかったが……。

 

「レフ!この世界の特異点、聖杯は俺たちが手に入れた!大人しく降伏しろ!!」

 

聖杯をレフに向けてそう叫んだ……その時だった。

 

突然、聖杯が金色に輝き出し、膨大な魔力が迸る。

 

「な、何だ!?」

 

聖杯から四つの光が現れて地面に魔法陣を刻み込んだ。

 

そして、魔法陣が光り輝くと中から人の影が現れる。

 

「セイバー見参!あれ?へぇー、君結構かわいい顔をしているね。これは当たりのマスターかな?」

 

一人目は派手な和服と思われる衣装を着た綺麗な女性で刀を担いでおり、遊馬を見ると嬉しそうな表情をする。

 

「やっほー!ボクはライダーだよ!」

 

二人目は槍を持ったピンクの髪をした恐らく女性と思われる可愛らしい姿をしていた。

 

「キャスターよ。あなたがマスター……って、小さっ!?まだ子供じゃない!?」

 

三人目は薄い紫の髪や衣装をした耳の尖った儚い美しさを持つ女性だった。

 

「アサシン、参上。ほう、これはまた幼い少年がマスターとはな」

 

四人目は一人目の女性と同じく刀を持っていたが落ち着いた雰囲気をした和服を着たとても顔が整った男性だった。

 

その四人は驚くことにサーヴァントであり、しかも遊馬とパスが繋がっていた。

 

そして、四人のサーヴァントの内、キャスターとアサシンを知っている者がいた。

 

「「キャスター!?」」

 

「「アサシン!?」」

 

それはアルトリアとエミヤ、クー・フーリンとメドゥーサだった。

 

「あら……?キャー!セイバーじゃない!どうしてここに!?って、何でアーチャーにランサーにライダーもいるのよ!?」

 

「これはこれは、何と懐かしい顔ぶれだ。もしや今回は第五次聖杯戦争同窓会でも開かれるのかな?」

 

キャスターとアサシンもアルトリア達を知っているようだった。

 

カルデアのフェイトも使わず、一気に四人のサーヴァントが召喚されたことに遊馬は何が起きたのか全く理解できなかった。

 

「えぇえええええっ!?な、何でサーヴァントが四人も召喚されてるの!?何が起きたんだ!??」

 

「遊馬……その聖杯を持った時、何を思った?」

 

アストラルに質問され、遊馬はその時のことを思い出しながら頭を傾げる。

 

「え?そうだな……その時はレフにサーヴァントを召喚されるぐらいだったら、『俺の仲間になってくれるサーヴァントを呼び出してやろう』と思って……まさか!!?」

 

「どうやら聖杯はその願いを聞き入れて四人のサーヴァントを召喚してしまったようだな……」

 

「嘘ぉん!?」

 

遊馬の強い想いに聖杯が応えてしまい、四人のサーヴァントが同時に召喚されてしまったようだった。

 

結果的に仲間が増えたことを喜べばいいと思った矢先、アストラルは聖杯を見て目の色を変えた。

 

「遊馬!今すぐ聖杯を掴んでいるレフの手を払え!」

 

「えっ?うわぁっ!?」

 

聖杯をずっと掴んでいたエミヤの偽・螺旋剣で引き裂かれたレフの右手が突然強い閃光を放つと、遊馬の手から聖杯が消えてしまった。

 

そして、レフの左手に聖杯が現れ、見たことないような狂った表情を浮かべていた。

 

レフが魔術か悪魔の力を使って引き裂かれた右手が握っていた聖杯を手元に呼び戻したのだ。

 

「やべぇ、聖杯が……」

 

「この聖杯は、私のものだ……これで今度こそ、呼び出してやる……喜ぶがいい、皇帝ネロ・クラウディウス。真にローマの終焉に相応しい存在を呼び出してやろう!!」

 

レフが左手で聖杯を掲げると、魔力が再び迸り、魔法陣が現れてサーヴァントを召喚する。

 

「さあ人類の底を抜いてやろう!七つの定礎、その一つを完全に破壊してやろう!我らが王の、尊き御言葉のままに!来たれ!破壊の大英雄アルテラよ!!!」

 

魔法陣から召喚されたサーヴァント……それは儚い雰囲気を漂わせる少女の英霊だった。

 

褐色の肌に白い衣服を着た銀髪の少女……その手には未来的な形をした光の剣が握られており、恐らくはセイバークラスのサーヴァントだった。

 

「さあ、殺せ。破壊せよ。焼却せよりその力で以て、特異点もろともローマを焼き尽くせ!残念だったな、九十九遊馬!貴様がどれほど強力な召喚獣を呼ぼうとも、この究極の蹂躙者であるアルテラの前ではーー」

 

「ーー黙れ」

 

「え?」

 

スパン!!

 

レフが大喜びで召喚したアルテラを自慢しようとした矢先、そのアルテラによって頭から体を真っ二つに切り裂かれてしまった。

 

真っ二つに切り裂かれたレフは死体を残さずに消滅してしまった。

 

突然の事態に遊馬たちは騒然とし、フォウとマシュはその光景に顔を歪ませた。

 

「フォウ……!!」

 

「レフ、教授……!!」

 

裏切り者の敵とは言え、短い間でも一緒にいた存在が無惨に殺されてしまった姿を見てマシュは胸が苦しくなった。

 

「レフ……何でだよ……」

 

レフの最期がこんなにも呆気なく、無惨なものになってしまい、遊馬は呆気にとられてしまった。

 

しかし、レフの死を気にしている場合ではなく、アルテラはレフが残した聖杯を呼び込んでその身に取り込んでしまった。

 

「聖杯が!?」

 

「私は、フンヌの戦士である。そして、大王である。この西方世界を滅ぼす、破壊の大王。破壊の……」

 

アルテラの持つ光の剣が眩い閃光を放ち始めた。

 

あれは危険だと瞬時に判断した遊馬は全員が生き残るために一時撤退の道を選択した。

 

「全サーヴァント、フェイトナンバーズに戻れ!!」

 

遊馬はデッキケースを開いて掲げると契約を交わしてフェイトナンバーズを発現しているマシュ達全サーヴァントをフェイトナンバーズの中に入れる。

 

「遊馬君!?」

 

マシュは遊馬に手を伸ばすがそれよりも早く体が光の粒子となって強制的に全てのサーヴァントがフェイトナンバーズの中に入った。

 

先ほど召喚された四人のサーヴァントはまだ正式に遊馬と契約してないのでフェイトナンバーズがないのでそのままである。

 

「ちょっと!?セイバー達をどこにやったのよ!?」

 

セイバー達が消えたことに何が起きているのか理解できてないキャスターは遊馬に詰め寄る。

 

「この場から離脱するんだよ!」

 

「はぁ!?」

 

「キャスター!マスターの判断は正しいぞ!早くしないと全滅だ!!」

 

「あのサーヴァント、かなり危険だよ!」

 

アサシンがセイバーと共に刀を構えてアルテアと対峙するが、アルテラの持つ宝具からとんでもない光を放っていた。

 

「逃げるってどうするんだよ!?ボクの宝具じゃ定員オーバーだよ!」

 

ライダーには当然移動するための宝具があるが、この人数を運べるだけの大きさではなかった。

 

「逃げる船ならここにある!ネロ、側に来い!!」

 

「分かった!」

 

既に遊馬の元に近づきあるネロを呼び出すと、遊馬は皇の鍵に触れながら叫んだ。

 

「間に合え、かっとび遊馬号!!!」

 

瞬時に上空に皇の鍵の飛行船が現れて遊馬の意思に従って急降下し、遊馬とネロと四人のサーヴァントを艦内に緊急転送をした。

 

それに伴い、希望皇ホープレイVとS・H・Dark Knightと超銀河眼の光子龍も飛行船の後を追って飛び、その場にはアルテラだけが残った。

 

「破壊する。文明を、破壊する……!!」

 

アルテラは目の前の敵がいなくなり、一旦宝具の光を鎮めると、次は文明を破壊するために連合帝国に標的を向けた。

 

 

遊馬達は皇の鍵の飛行船に乗るとアストラルはすぐに操作して連合帝国から緊急脱出した。

 

アルテラの持つ謎の強力な宝具の範囲外へ脱出し、一安心すると遊馬はその場に座り込んでデッキケースを開いてマシュ達をフェイトナンバーズから出す。

 

「遊馬君、大丈夫ですか!?」

 

「ああ、大丈夫だ……何とか撤退した……」

 

「だが、これは一時凌ぎにしかならない。早く作戦を考えないと……」

 

アストラルはサーヴァント達と共に作戦を立てようとしたが、状況を全く理解していない四人のサーヴァントの内、気が強いキャスターが口を挟む。

 

「ちょっと!あなた達、何がおきているのか説明しなさい!!ってかここは何よ!?」

 

「……マシュ、すまないが説明をお願い出来ないか?」

 

「は、はい!アストラルさん、わかりました!あの、私がちゃんと説明するので落ち着いて聞いてください」

 

アストラルに頼まれ、マシュは四人のサーヴァントにカルデアや特異点、そして遊馬とアストラルのことなどを簡潔に説明した。

 

まさか人理消失を阻止するための聖杯戦争に巻き込まれることになるとは思いもよらず、四人は困惑した。

 

「四人とも、偶然とはいえ呼び出して悪い。だけど、力を貸して欲しい。このままだとローマがアルテアに破壊されてしまうんだ!頼む!」

 

遊馬は頭を下げて四人のサーヴァントに力を貸してもらうように頼んだ。

 

「ああ、分かったよ!」

 

「うん、もちろん!」

 

「ま、良いわよ」

 

「承知した」

 

この少年になら力を貸しても良い、そう思った四人のサーヴァントは信頼の証としてそれぞれの真名を名乗る。

 

「じゃあ私からだ。セイバーで真名は新免武蔵守藤原玄信……あー、長いから宮本武蔵でよろしく」

 

「ええっ!?宮本武蔵って、二天一流の大剣豪の!??」

 

「そうだよ、よく知っているね〜」

 

宮本武蔵が女性という事に遊馬は驚いたが、ネロの件もあり今更そこに驚くことはなかった。

 

「是非とも後でサインください!!」

 

「さいん?よく分からないけど、私に出来ることならいいよ」

 

「よっしゃあ!!」

 

遊馬は日本男子なら憧れる存在であろう宮本武蔵からサインを貰えることに感動した。

 

宮本武蔵が女性という事は目を瞑って……。

 

「次はボクだね!ボクの名はアストルフォ!イングランド王の子にして、シャルルマーニュ十二勇士の一人だよ!」

 

「えっと、アストラル。シャルルマーシュ十二勇士って……何?」

 

「シャルルマーシュとはシャルル大王の事で、十二勇士は大王に仕える騎士たちの事だ。確か内容がアーサー王物語に似ている物語のはずだが……すまない、私もよくは知らない」

 

日本人にとってマイナー過ぎる物語にアストラルですら知らないことにアストルフォはショックを受ける。

 

「ガビーン!?マスターはボクのことは知らないの!??ううっ、ショックだよぉ……」

 

「わ、悪い!俺、歴史や神話の勉強はしてるけどそこらへんの物語はあんまり……」

 

「そんなぁ、しょぼぉーん……」

 

アストルフォはさらなるショックを受けてしまい、部屋の隅っこでいじけてしまった。

 

初対面のはずだが、何故かほっとけないジャンヌは慌ててアストルフォを宥めに向かった。

 

「次は私ね。私の名前はメディアよ……」

 

「メディアって、ギリシャ神話の?」

 

「裏切りの魔女、メディアか……」

 

アストラルが呟いた異名にそう呼ばれることを嫌うメディアはキレそうになったが、その前に遊馬が思い出したように呟いた。

 

「でもあれってアフロディテとイアソンの所為じゃ無かったっけ?ったくよぉ、あくまで神話だから本当かどうか知らないけど、どうしょうもない愛の女神と英雄だよなぁ……」

 

裏切りの魔女と呼ばれるメディアを庇護し、しかも有名なギリシャ神話の女神と英雄を臆することなく批判する発言をした遊馬に感銘したメディアは腰を下ろして視線を合わせた。

 

そして、メディアは何かを思い出しながら遊馬の頭を撫でた。

 

「ありがとう、坊や。そう言ってくれて嬉しいわ」

 

「え?お、おう。どういたしまして?」

 

何で感謝されたのか分からず遊馬はとりあえず頷いた。

 

((((あのキャスターがあの男以外にデレた!!??))))

 

その光景にアルトリアとエミヤとクー・フーリンとメドゥーサは雷を受けたような衝撃を受けた。

 

メディアはとある男性を心の底から愛しており、その男性以外には心を開いていなかった。

 

しかし、遊馬の他人を思いやる心で少しだけメディアは心を開いたのだ。

 

「次は拙者だな。我が名は佐々木小次郎だ。ちなみに隣にいるこの魔女とは腐れ縁だ」

 

「佐々木小次郎?あれ?と言うことは武蔵と……」

 

「残念だが、拙者は宮本武蔵には会ったことはない」

 

「同じく。私の知っている佐々木小次郎とは別人だね」

 

「……え???」

 

宮本武蔵と佐々木小次郎は日本人ならほとんど知っているライバル同士……のはずなのだが、ここにいる二人には面識がないようだった。

 

「ま、まあ、とりあえずはいいや!みんな、すぐに作戦を立てて行こう!」

 

「承知!こんなに可愛いマスターのためなら喜んで力を貸すよ!」

 

「呼び出されたからには全力を尽くすよ!」

 

「仕方ないわね……手伝ってあげるわよ」

 

「ふっ……我が秘剣を見せてやろう」

 

「よし!じゃあまず俺と握手をしてくれ。そうすれば契約が完了する!」

 

握手と言われ、四人のサーヴァントはキョトンとしたが遊馬の言う通り握手を交わすと四人のフェイトナンバーズが誕生し、遊馬の手元に現れる。

 

「まだ俺の名前を言ってなかったな。俺の名前は九十九遊馬!異世界から来た決闘者(デュエリスト)でカルデアの最後のマスターだ!」

 

「我が名はアストラル!遊馬の相棒で異世界、アストラル世界の使者だ!」

 

遊馬とアストラルが自己紹介を終えると、遊馬はネロとマシュ、そしてこの場にいる全てのサーヴァントを見ながら宣言する。

 

「さぁて!この世界を無茶苦茶にした元凶は倒されちゃったけど、俺たちはこの世界を破壊しようとしているアルテラを止めて聖杯を手にいれなくちゃならない!アルテラの力は未知数だけど、俺たちの絆の力で絶対に勝つ!!みんな、行くぜ!!」

 

ネロとマシュ、そしてサーヴァントたちは戦う者としての決意を固めた表情で頷き、遊馬はかっとび遊馬号の操舵輪を握る。

 

「行くぜ、かっとビングだ!」

 

遊馬たちはこの世界の特異点を解決するため、聖杯を取り込んだアルテラと最後の戦いに挑む。

 

 

 

.

 




レフとの戦いはもうフルボッコでしたね。
ナンバーズウォールやVサラマンダーは少しやりすぎた感がありますが、レフのムカつく顔を見たらつい……テヘッ♪

遊馬が聖杯で武蔵、アストルフォ、メディア、小次郎を召喚してしまいました。

武蔵とアストルフォは第1部では出ないのが残念で勿体無いので、せっかくだから出しちゃえと思いまして。

二人は遊馬と相性良さそうなので尚更出したくなりました。

おねショタと男の娘の友情が美味しいです(笑)

メディアと小次郎もこの先カルデアにいたら楽しそうだし、ストーリー的にもステイナイト勢が揃って欲しいなと思ってこちらも出しました。

次回は第2章最終回を予定しております。

アルテラとどんな戦いが待っているのかお楽しみに!

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