Fate/Zexal Order   作:鳳凰白蓮

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これにて第二特異点終結です。
内容は……夢で見てしまった妄想が爆発してしまいました。
短めですが楽しんでいただければ幸いです。


ナンバーズ31 第二特異点終結!皇帝の約束と謎の侵略者!?

聖杯を取り込んだアルテラを希望皇ホープレイ・ヴィクトリーで撃破し、聖杯とアルテラのフェイトナンバーズを回収した遊馬とアストラル。

 

「マシュ、聖杯を頼む」

 

「はい!」

 

遊馬はマシュに聖杯を託し、盾の中に聖杯をしまう。

 

これでもう聖杯を奪われる心配がなくなる。

 

「これで、この世界の特異点も無事に解決ですね」

 

「ああ。これで三つ目だな」

 

今カルデアで回収したのは冬木の聖杯と二つの特異点の聖杯、残るは五つの特異点の聖杯。

 

まだまだ先は長いが一歩一歩着実に進んでいる。

 

すると、遊馬を後ろからブーディカが嬉しそうに抱きついて来た。

 

「ブ、ブーディカ!?」

 

「ユウマ、お疲れ様!凄かったよ、ホープレイ・ヴィクトリー!あんなに興奮しちゃったのは久しぶりだよ!」

 

ブーディカはアルテラを倒したホープレイ・ヴィクトリーに興奮していた。

 

自分の名前……後の勝利・ヴィクトリーが名づけられているホープレイ・ヴィクトリーにブーディカが喜ばないわけが無かった。

 

自分の生きた証と存在が世界を越えて希望皇ホープに刻まれているようで、ブーディカは嬉しくて遊馬を後ろから抱きしめながら頭を何度も何度も撫でていた。

 

すると、ブーディカの体から光の粒子が溢れて徐々に体が透明になっていく。

 

それはこの世界の特異点を解決した事で、召喚されたサーヴァント達が消えて英霊の座に帰る時が来たのだ。

 

「……もう別れの時みたいだね。ユウマ、必ず私を召喚してね」

 

「ブーディカ……任せてくれ。カルデアで召喚したらブーディカの美味い飯をたらふく食わせてくれ!」

 

「うん!約束だよ」

 

「おう!」

 

ブーディカは必ず召喚してもらえることを信じながら遊馬の頭をもう一度撫でて他のサーヴァント達と共に消滅した。

 

残ったサーヴァントはマシュ、アルトリア、エミヤ、クー・フーリン、メドゥーサ、清姫、エリザベート。

 

そして、偶然だが遊馬が聖杯で召喚した武蔵、アストルフォ、メディア、小次郎の十一人だった。

 

「みんな、カルデアに帰ろうぜ」

 

遊馬はデッキケースを掲げるとマシュ達が光の粒子となってフェイトナンバーズに入り、カルデアに転送される。

 

「カルデア……どんなところか楽しみだね」

 

「うんうん!ボクは楽しみで仕方ないよ!」

 

「まあセイバーとかがいるなら良いかしらね」

 

「カルデアには多くのサーヴァントがいる。手合わせするだけでも心が震えるものだな」

 

武蔵たちは遊馬たちの拠点であるカルデアがどんなところなのか楽しみにしながらフェイトナンバーズに入り、カルデアに転送される。

 

「もう、行くのか……?」

 

ネロは不安そうな表情で遊馬を見つめる。

 

「悪いな、俺たちがこの世界でやることを果たしたからさ。ここでお別れだ……」

 

「まだ大した礼も出来てないのに……」

 

「別に良いよ。この戦いで俺にとっても得るものが大きかったからな」

 

「もう会えないのか……?」

 

「分からねえ……会えるって保証がないな」

 

ネロがサーヴァントだったらフェイトナンバーズを触媒に呼び出すことが出来るかもしれないが、ここにいるネロは生者で英霊ではない。

 

「……あ、そうだ。ユウマ、これを返すぞ」

 

「ああ、サンキュー……」

 

ネロは遊馬から預かっていたカリギュラ、カエサル、ロムルスのフェイトナンバーズを遊馬に返した。

 

「……遊馬、皇の鍵で休んでいる。戻ったら呼んでくれ」

 

アストラルは空気を読み、遊馬とネロの二人きりにさせるために皇の鍵の中に入った。

 

ほんの少し出来た二人だけの僅かな時間……それを無駄にしないためにネロは自分の手元にあるものに気づいて強く頷いた。

 

「ユウマ、今までの褒美の代わりに……これを受け取れ!!」

 

ネロが遊馬に押しつけるように渡したのはネロ自ら鍛えた真紅の剣、原初の火だった。

 

「こ、これ、お前の大事な剣じゃないか!?」

 

「構わない。ユウマになら原初の火を託せる。それに、剣ならまた余が作ればいい話だ!」

 

「ネロ……」

 

「それに、余なら死後に確実に英霊の座に呼ばれるであろう。そうしたら、それを触媒にして余をサーヴァントとして呼び出せる……そうであろう?」

 

サーヴァントを召喚する際には召喚したい英霊の生前の所縁のある持ち物などを触媒として利用することでその英霊を特定して召喚しやすくなる。

 

ネロ自らが鍛え、愛用していた原初の火ならそれを触媒にほぼ確実にネロをサーヴァントとして呼び出すことが出来るであろう。

 

「……分かった。その代わり、ちゃんと召喚に応じてくれよ?」

 

「うむ!もちろんだ!それから……」

 

ネロは今の自分に渡せるものがもう一つだけあり、それを遊馬に渡すために少しずつ距離を縮めた。

 

「ネロ?」

 

首を傾げる遊馬にネロはゴクリと唾を飲み込んだ。

 

両手で遊馬の両頬に手を添えて顔をそっと近づけた。

 

「んっ……」

 

「……んんっ!!?」

 

そして、ネロは自分の唇と遊馬の唇を重ね、口付け……キスをしたのだ。

 

遊馬は突然のキスに驚き、体が動かなくなって何も出来ずにいると、ネロは静かに唇を離した。

 

「ネ、ネロ……?」

 

遊馬はトマトのように顔が真っ赤に染まったいた。

 

対するネロは遊馬ほどではないが頰が真っ赤に染まり、ビシッと遊馬を指差しながら強く宣言した。

 

「ユウマ、そなたのことを愛しておるぞ!今度、再会したらそなたを絶対に余の夫にする!忘れるで無いぞ!!」

 

それはネロから遊馬への婚約の告白……所謂プロポーズであり、それが最後の言葉となる。

 

そして……遊馬の体が光となり、ローマの地から静かに消えていった。

 

 

遊馬は目を覚ますと人差し指で自分の唇に触れた。

 

「ネロ……」

 

まさかネロに告白……いわゆるプロポーズをされ、しかもキスもされるは思いもよらず、恋愛に関して鈍感な遊馬でさえもその事に顔を真っ赤にする。

 

遊馬はコフィンから出るとオルガマリー、ロマニ、ダ・ヴィンチが出迎える。

 

「お帰りなさい、遊馬。お疲れ様」

 

「これで第二特異点も無事に修正完了だよ!」

 

「今回も見事な戦いだったよ。後で映像の戦闘記録を編集しておくからね」

 

「あ、ああ。ありがとう……」

 

ネロのプロポーズとキスが衝撃的過ぎてあまり喜べない遊馬にオルガマリーは苦笑いを浮かべながら言う。

 

「それから、遊馬……今すぐ逃げたほうがいいわよ」

 

「え?逃げるって何から?」

 

オルガマリー達が同時に指差した方を見ると、そこには……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊馬ぁ……良かったわねぇ……可愛いネロ皇帝からキスをされて、プロポーズを受けて……」

 

「とりあえず、何も聞かないで……私たちに大人しくぶちのめされなさい……」

 

「ふふふ……旦那様、私と言う妻がいながら他の女から求婚されるとは許せませんね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、嫉妬に狂う三人の恋する乙女達だった。

 

「こ、小鳥……レティシア……清姫……さ、三人共どうしたんだ……?」

 

小鳥、レティシア、清姫の三人の背後には黒い炎を纏いながらそれぞれ天使とドラゴンと大蛇の幻影が見えていた。

 

小鳥の手には元の人間界で度々登場していたバリアンの力で洗脳された人の頭を何度も殴り倒していたフライパンが握られており、レティシアは旗を仕舞って槍のように構えていた。

 

「ま、まて、落ち着け……どうしてその事を……」

 

どうしてネロにキスとプロポーズをされたことを知ったのか疑問に思うと、チラッと見た液晶画面の一つに先ほどの遊馬とネロの光景がガッツリと映っており、何度も巻き戻しで再生されていた。

 

どうやらカルデアの職員達が録画していたようだった。

 

目の前にはどうして怒っているのか分からない三人の乙女達。

 

その近くには乙女達の迫力に圧倒され、無理無理と首を左右に激しく振って困っているオルガマリー達。

 

そして、遊馬は一瞬で悟った。

 

これ、逃げなきゃ死ぬ……と。

 

「うぉおおおおおっ!かっとビングだ、俺ぇっ!!」

 

遊馬はその場からいきなりトップスピードで走り、管制室から飛び出した。

 

「こんなことでかっとビング言わないでよ、遊馬のバカァッ!」

 

「逃げるなんて男らしくないわよ!旗で刺さないから、大人しくぶん殴らせなさい!」

 

「旦那様……覚悟してくださいな」

 

小鳥達三人も遊馬を制裁を下すために捕獲に向かった。

 

ちなみに、遊馬を守るために戦うと誓ったマシュとジャンヌはと言うと……。

 

「遊馬くんなんて知りません。今日はシールダーはお休みです」

 

「何故か心がムカムカします……私も今日はルーラーをお休みしましょう」

 

無自覚の嫉妬でまさかのシールダーとルーラーのお休み宣言をしてしまった。

 

「フォウ……」

 

遊馬からちゃっかり脱出していたフォウは一番安心なマシュのところでため息をついていた。

 

そして、今の小鳥達があまりにも恐ろしく、勝てる気がしないと他のサーヴァント達も助けるのは無理と判断し、マスターである遊馬の無事を祈るしか出来なかった。

 

一方、そんな遊馬達を見送ったアルトリアは大きなため息を吐いた。

 

「あぁ、なんて事……恐れていたことが現実になるとは。やはりマスターはシロウと同じでしたね……」

 

アルトリアは遊馬とエミヤが『同じ』だと確信すると頭を悩ませた。

 

「待て。だから私とマスターが何が同じなのだ?」

 

エミヤのその一言にアルトリアはギロリと睨みつける。

 

「言わせますか、この私に……シロウの女誑し!天然ジゴロ!!第一級フラグ建築士!!!」

 

色々な思いをぶちまけるようにアルトリアは叫ぶのだった。

 

「だからどうしてそうなるのだ!?」

 

「もう我慢出来ません!シロウ!あなたは私と『リン』と『サクラ』以外に誰を落としましたか!?もしやあなたを召喚したマスターと『魔力供給』などそう言う関係には発展してませんよね!!??」

 

「リンとサクラはともかく、どうしてそんな質問をするのだ!?私は誰も落としているつもりはない!」

 

「……はっ!?まさか、男性を落としているのですか!?」

 

「何故に男になるのだ!?」

 

アルトリアの妄想がだんだん暴走していき、エミヤは頭痛を悩ませながら反論していく。

 

そんなアルトリアの話を聞き、メディアは思い出したかのように呟いた。

 

「そう言えばあなた、一成とも仲良かったわよね?それもかなり親しく。もしかしてあなた達……」

 

「ええい!メディア!余計なことを言うな!一成はただの仲の良い友人でそれ以上でもないわ!」

 

一成とはエミヤの英霊になる前の生前の友人でメディアとは不思議な繋がりがあった。

 

「くっ、やはりイッセイもシロウの誑しに……ハッ!?」

 

その時、アルトリアの脳裏に一瞬だけ不思議な光景が浮かんだ。

 

それはエミヤが可愛らしい茶髪のセーラー服を着た少女と向かい合って微笑んでいる光景だった。

 

「……シロウ、セーラー服を着た茶髪で髪の先端がカールした少女を知りませんか?」

 

「セーラー服を着た茶髪の少女……?いや、記憶に無いが……」

 

「記憶がない……つまり磨耗しているのですね。よし……」

 

アルトリアはゆっくりと約束された勝利の剣を取り出して構えた。

 

「何がよしで、約束された勝利の剣を取り出している!?」

 

「前にロマニから聞きました。記憶喪失は頭を思いっきりぶっ叩けばいいと……」

 

「私の場合は喪失ではなく磨耗だ!くっ、これ以上君に付き合いきれん!極光が来る前に退散させてもらう!!」

 

エミヤも遊馬と同じで危機を感じ取って一目散に逃げていく。

 

だがそれを見逃すアルトリアではなかった。

 

「逃がしませんよ、シロウ!ちゃんとあなたの女性関係を全て話しなさい!!生前と英霊の全てを!」

 

「だから君と凛と桜以外はいないと言っているだろう!?」

 

「私の直感が訴えてます!シロウは私達以外に多くの女性を落としていると!後ついでに男性も少々!!」

 

「君の直感は宝具か何かなのか!?」

 

「とにかく、大人しく私の約束された勝利の剣を喰らいなさい!!そうすれば思い出すでしょう!!!」

 

「なんでさぁあああああっ!!?」

 

エミヤは魔力を使って脚を中心に強化して速力を上げ、カルデアの廊下を駆ける。

 

やがて、カルデアの廊下を走り回っていた遊馬とエミヤが偶然合流した。

 

「エ、エミヤ!?なんでお前まで走ってるんだ!?」

 

「これはマスターの所為だ!マスターが女誑し属性を持っているから私までアルトリアに追いかけられているのだ!」

 

「女誑し属性って何!?訳分かんないことを言うんじゃねえ……ってうわぁああああっ!?アルトリアが怒ったうちの姉ちゃんみたいに恐ぇえええええっ!!??エミヤなんとかしろよ、あんたの嫁だろ!?」

 

「その言葉、そっくりそのままマスターに返すぞ!レティシアと清姫はともかく、小鳥嬢のあの恐ろしい迫力はなんだ!?本当にただの一般人なのか!!?」

 

エミヤの目から見て今の小鳥は一般人とは思えない覇気を纏っていた。

 

そしてその武器がフライパンなのがある意味恐ろしさを増していた。

 

「知らねえよ!あんな小鳥はバリアンに洗脳されてた時より恐ぇよ!!」

 

「とにかく、トレーニングルームに行くぞ!このままだと余計な被害が出る!」

 

「そうだな!だけど、その後はどうする!?向こうは四人、こっちは二人で援軍は来ないし……」

 

「覚悟を決めるしかない……マスター、背中を預けるぞ!」

 

「お、おう!」

 

遊馬とエミヤはトレーニングルームに向かい、そこで四人を迎え撃つことにした。

 

最も、そこに向かっても二人にとって恐ろしい未来しか見えないが……。

 

皇の鍵が光り、アストラルが遊馬の上に現れると大きなため息を吐いた。

 

「……異世界観察結果、その1。遊馬とエミヤはこれからも女性関係で苦労するだろう。やれやれ……」

 

アストラルはこれからも度々起こるであろう女性関係のトラブルに頭を悩ませるのであった。

 

 

第二特異点を無事に解決し、再び訪れたカルデアの一時の平穏。

 

しかし、人理焼却の特異点とは異なる、新たな特異点が現れる事となる。

 

そして、その特異点の影響がカルデアにも現れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「ノブノブー!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時の平穏を遮るかのように遊馬達に謎の侵略者が迫る。

 

「ほらほら、早くしてください!あなたのせいで大変なことになっているんですから!!」

 

「分かっておるわ!しかしここの奴らは役に立つのかの……」

 

「馬鹿をやらかして力を失っているあなたよりは頼りになりますよ」

 

「酷っ!?是非もないよネ!?」

 

そして、二人の新たな……とても愉快なサーヴァントとの出会いが待ち受けているのだった。

 

 

 

.

 




ネロが遊馬にキス&プロポーズやってしまいました(笑)
エクストラじゃない生前なのでやってもいいかなと思ってぶっちゃけました。
ネロは遊馬に助けられ、心を救われて共に戦ってくれましたからね。
これで惚れない方がおかしいですし、流石は天然ジゴロの遊馬先生です(笑)
いやー、これでネロがカルデアに召喚されたら正妻戦争勃発不可避ですね。

アルトリアはここではかなり嫉妬深い性格です。
その理由の一つだカルデアには魅力的な女性サーヴァントが多いので女誑しスキル(笑)持ちのエミヤがやってしまうのではないかと気が気で仕方ないのです。

そして、次回は待ちに待ったぐだぐだ本能寺です!
ネロやブーディカの召喚はぐだぐだ本能寺後に行い、そこから日常編を書いて第三特異点に突入予定です。

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