モンスターの怒涛の連続召喚に、三幻神とオレイカルコスの神との戦い……デュエル関係なしのノーコスト召喚の戦いは下手したらこの小説で使ったらヤバいんじゃね?と思いました。
例えばホープ一族とか銀河眼一族やオバハンを同時出ししてフルボッコとか……一応ちゃんとしたルールに則った正規召喚をしてますが、ノーコスト召喚やったらパワーバランスがおかしくなりそうですね(笑)
ジークの説得(愛の告白?)でルーラー落ち着きを取り戻した……と言うか嬉し恥ずかしさで一回頭がショートしてからしばらくし、冷静に話せるようになってからシェイクスピアとの間に何があったのか話した。
シェイクスピアは聖杯大戦で赤のキャスターとして召喚され、ルーラーと対峙した際に宝具を発動した。
シェイクスピアの宝具……『
ルーラーことジャンヌは生前の事を全て罪と罰だと受け入れていたのだが、シェイクスピアはあまりにも残酷なことをするのだった。
それはルーラーにとって最も大切な存在……ジークだった。
ジークがルーラーの代わりに火炙りで処刑され、狂っていたジルによって首だけにされた……あまりにも残酷な光景を見せられたのだ。
ジークは同胞のホムンクルスを助けるため、聖杯大戦を止めるために自らの意思で戦う事を選んだ。
しかし、ルーラーがジークを戦いに巻き込んだ、その所為でただでさえ短い命を散らせる事になる。
ルーラーの所為でジークは死ぬ……そう指摘され、ルーラーの心は深く傷ついてしまったのだ……。
すると……。
「うぅむ……おや?我輩は……」
シェイクスピアが目を覚ました次の瞬間。
「貴様……覚悟は出来ているか……?」
魔力を爆発させたジークが殺気を放ちながらシェイクスピアを睨みつける。
「ななな何事でしょうか!?何故我輩が突然命を狙われているのか!??」
「貴様はルーラーを傷つけた……絶対に許さない……」
「おお!あなたは聖杯大戦に終焉を告げたホムンクルスの少年!またここで相見える事になるとは──うごっ!??」
シェイクスピアの言葉を遮るようにジークは右手でシェイクスピアの首を掴んでその場から持ち上げる。
「御託はいい……今すぐこの首をへし折ってやる……」
ジークの口調が荒々しくなり、右手が黒く変色し始めていた。
「遊馬……あいつ、竜化してるわよ」
レティシアはジークの持つ『性質』が変化した事に気づいた。
「竜化?」
「あいつはジークフリートの心臓を継承した。ジークフリートは邪竜・ファヴニールの血を体に受けて不死身の肉体を手に入れた。つまり……」
「ジークフリートはファヴニールになりつつある存在だった。つまりジークも同じようにファヴニールに……?」
「そう言うことよ」
邪竜としての暴力的な性質が暴走しかけているジークはこのままだとシェイクスピアの首をへし折る勢いだった。
「落ち着け、ジーク。怒りで我を忘れるな」
ジークフリートはジークの腕を掴んで止めようとした。
「邪魔をしないでくれ、こいつがルーラーを……!」
「そんな事をしてもルーラーの心の傷は癒えないぞ。ジークが真っ先にやることは他にあるぜ」
「他に……?」
遊馬にシェイクスピアの首をへし折るよりもやることがあると言われ、ピタリと動きが止まる。
「ジークさ、ルーラーは大切な人なのか?」
「ああ。ルーラーは俺の一番大切な人だ」
「お、おう……」
あまりの即答に遊馬は圧倒されながらジークの暴走を止めるために諭す。
「だったらさ、まずはルーラーの心の傷を直す方が先決じゃねえか?流石にあんな目にあったら俺でも折れそうになるからさ。シェイクスピアはとりあえずマスターになった俺に任せてくれないか?」
「……分かった。だが、ルーラーの心の傷を直すにはどうしたら……」
「んー、そうだな。とりあえず、優しく抱きしめたり、頭を優しく撫でたり、膝枕をしたらどうだ?小さい時に母ちゃんにやってもらったらすげえ安心したからさ」
「なるほど、やってみよう」
「え?」
ジークはシェイクスピアを離すとソファーに座っているルーラーの元へ直行した。
ルーラーは一人になりたいと頼み、隣の部屋で静かに紅茶を飲んでいた。
ルーラーは紅茶を飲んで少し落ち着き、ジークが隣に座ると目を丸くした。
「ジーク君……?」
「ルーラー、今から君の心の傷を直す」
「心の傷……?」
「まずは、これだ……」
ジークはルーラーが持っているティーカップをテーブルに置くと呆然としているルーラーを優しく抱きしめた。
「……ひゃあああっ!??ジ、ジーク君!??」
突然抱きしめられ、再び思考回路がショートして大混乱になるルーラーは何が起きているのか全く理解できていなかった。
「えっと、次は……」
対するジークは全く恥ずかしがらずにルーラーの頭を優しく何度も撫でる。
「はぅうううっ!??そ、そんな!そんな優しく頭を撫でるなんて!??」
抱きしめから頭を優しく撫でられ、防御に定評のあるルーラーが内部から陥没していく。
嬉し恥ずかしの心境にもはやシェイクスピアが与えた心の傷が何処かに飛んで行った。
「それから……」
ジークはルーラーを解放すると肩を掴んで頭を自分の膝へ持って行った。
「えっ!?えっ!??こ、これはまさか、ジーク君の膝枕!??」
「少し膝が固いかもしれないがどうだ?」
「いいえいいえ!とても心地よいです!」
「そうか、良かった……」
「あっ……」
ジークは微笑みながらルーラーの頭を優しく撫でる。
幼い頃に過ごした家族との温かい記憶がよみがえり、うっとりとしながらルーラーはジークの頬を撫でた。
「ジーク君……」
「ルーラー、君の心の傷は癒えたか……?」
「私の為に……?ありがとうございます……」
「もしもまた心の傷が出たらいつでも言ってくれ。いつでもしてあげても構わない」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ」
遊馬に言われた事を実践した結果、心の傷を忘れるほどの幸せな時間を過ごしたルーラー。
二人っきりの時間だがそれをドアの隙間からこっそりと覗いている者がいた。
「で、別世界の自分を見てどう思う?」
「物凄く恥ずかしいです……」
それはレティシアとジャンヌだった。
レティシアはルーラーとジークのラブラブっぷりにげんなりとし、ジャンヌは別世界の自分のあまりの乙女っぷりに恥ずかしくて顔を真っ赤にした。
「ああ言うのをバカップルって言うのよね……」
「私もあんな風に誰かに甘えたい一面があるのでしょうか……」
「お姉さんを気取ってもポンコツの本質は変わらないからね……」
「うっ……」
否定したいところだがルーラーのあんな姿を見せつけられてはぐうの音も出ないジャンヌだった。
☆
遊馬はシェイクスピアと話をした。
物語を書くのは自由だが、マスターとして宝具を使用する事を止めてもらうよう頼んだ。
「物語はさ、どんな形であれ人に何らかの感動を与えるもんだろ?それを誰かを傷つける為に使うのはなんか違うと思うし」
「それに、今後君が暴走しまた誰かを傷つけたら私たちでも抑えられるかわからない、覚悟はしておくんだな」
シェイクスピアは髭を撫でながら考えた。
自分は自他共に認める戦闘力が皆無のサーヴァント、自分の行動で何度も死にかけたことはある。
新たなマスターとなった少年はとても仲間思いで自分の事も大切にしてくれている。
ここは大人しく従うが……もしも自分の創作意欲が出る物語が出たら思うがままに物語を描こうと思った。
「ふむ、承知しました。それからマスター、是非とも貴方の物語を紡がせて頂けませんか?」
「俺の物語?俺の物語はシェイクスピアに適うほど面白くないかもしれないぜ?」
「はっはっは!何をご謙遜を、精霊と共に戦う少年の物語がつまらない?そんな訳がないではありませんか!」
「まあ機会があったらな」
シェイクスピアはまだ遊馬の物語にはそこまで興味が無かったが、まだ彼は知らなかった。
遊馬とアストラルが人類と世界の未来を守る為にどれほどたくさんの『絶望』と『悲劇』をその身と心に刻んできたか……。
後にシェイクスピアは同じ作家であるアンデルセンと共に遊馬とアストラルの戦いの物語を一冊の本を書くことになるのだった。
それから少ししてルーラーが完全復活し、全員が集まって今後どうするか話し合う。
今のところパラケルスス達が行動している魔霧計画については何も分からず情報がほとんどない。
するとここでアンゼルセンがある事を語り出した。
それはアンデルセンとナーサリーは『魔霧』から現界した事だった。
本来ならサーヴァントはマスターが召喚の手順を踏まえるなどの条件で召喚するものだが、モードレッドやルーラーとジーク、ジャックに先程現界したばかりのシェイクスピアも同じように魔霧から現界した。
「って事は、この魔霧には聖杯が絡んでるって事か?」
「だが何故わざわざ魔霧を絡んでいるかは分からない。恐らくはそこがこの特異点の大きな鍵になるはずだ」
「その特異点で気になる事がある」
アンデルセンは遊馬達から七つの特異点の話を聞き、聖杯戦争と言う名の魔術儀式に引っかかるものがあり、それをずっと考察していた。
しかし、あまりにも資料が足らないので行き詰まりかけている。
そこでアンデルセンは低迷している事態を打破する為にある提案を持ちかける。
「そこでだ、西暦以後、魔術師達にとって中心とも言える巨大学院──魔術協会、時計塔に資料を見に行こうと思う」
世界における神秘を解き明かす巨大学府……時計塔。
「魔術協会ってあの……」
「外道の巣窟か……」
遊馬とアストラルは桜と凛が両親と離れ離れになる原因の一つである封印指定を行なっている魔術協会に行く事を露骨に嫌な表情を浮かべた。
「ほう、マスターは魔術師が嫌いか?サーヴァント達のマスターなのに?」
「全部の魔術師がそうじゃないとは分かってるけど、俺の妹分が魔術の所為であまりにも酷い目にあったから良い印象は無いな……」
「私も同じ意見だ。いや、だがそもそも魔術協会は機能しているのか?ジキルから今までその話を聞いていなかったが……」
「……話す必要がなかったからね」
ジキルは少し暗い表情をしてから事情を説明した。
ジキルとモードレッドが出会ってすぐに魔術協会の方に向かって確認した。
しかし、入り口は瓦礫の廃墟と化し、そこにあった建物が完膚なきまでに破壊されていたのだ。
今思えばパラケルスス達が邪魔になるであろう魔術協会をあらかじめ潰していたのかもしれない。
「だが必要なのは資料だ。重要な資料この類なら相当に頑丈な封印なりで守られているのはまず確実だ。そこまで俺を連れて行け」
「でしたら我輩も同行いたしましょう。神秘の学府の跡地となれば、閃きの源泉にもなるはず!」
「僕も行くよ、資料探しなら知識のあるものが多いに越した事はない」
アンデルセンのみならずシェイクスピアとジキルも行くと言い、遊馬は髪を掻きながらため息をつく。
「しゃあないな、行くか。魔術協会に」
「今は情報が欲しいのは事実だからな……よし、ここは全員で行こう」
「ぜ、全員ですか!?」
「フォー、キュー!?」
メンバーを選別しないで大人数で向かうことにマシュとフォウは驚いた。
「パラケルススが私たちに大量のヘルタースケルターやサーヴァントを刺客として向ける可能性が高い。ここは全員で向かって確実に資料を取りに行こう」
「そっか、流石はアストラル。よーし、それじゃあまずは俺と契約してないサーヴァントと契約するか!」
遊馬は今後の戦闘のためにまだ契約していないサーヴァントと契約してフェイトナンバーズを出現させる。
ジークとルーラーは二人で一騎なのでアンとメアリーの時のように二人で一枚のフェイトナンバーズが出現し、アンデルセンも契約してフェイトナンバーズを出現させた。
モードレッドはまだ遊馬を認めてないので契約は先送りとなり、支度をしてすぐに魔術協会へと向かう。
☆
ロンドンの街を歩き、魔術協会の入り口がある場所へと向かった。
しかし、そこは見るも無残な惨状が広がっていた。
「何だよこれ……ここが、大英博物館……?」
大英博物館。
世界最大の博物館の一つで古今東西の美術品や書籍などが収蔵されており、魔術協会の入り口もあった。
しかし、建物が見るも無残に破壊され、収蔵されていた美術品や書籍も破壊されていた。
瓦礫と廃墟……それだけしかない酷い惨状だった。
アストラルやマシュ達もこの惨状に心を痛めていた。
そんな中、誰よりも心を痛めて怒りに震わせていたのは……。
「許せない……この国の人々の象徴の一つだったこの博物館を、そして……そこにいる民を……みんな殺して……」
イギリスの古の女王……ブーディカだった。
ブーディカは全身から魔力と共にオガワハイムの時のような憎悪が心に宿り、漆黒の闇を纏っていた。
「これが、勝利の女王……」
それはかつてローマを震撼させた復讐者として、後の時代でも信仰と畏怖を集めているブーディカの姿にモードレッド達は恐怖を抱いた。
そんなブーディカに臆する事なく遊馬はポンと肩に手を置いた。
「ブーディカ、今怒りを爆発させても何も始まらないぜ。こんな酷え事をした奴らを絶対にぶっ飛ばそうぜ」
ブーディカの闇に射す光……遊馬の言葉に憎悪の闇が静まって行った。
「……ありがとう、ユウマ。お陰で少し頭が冷えたよ。あーあ、ダメだな私は。あの時を反省して怒りや憎しみを出来るだけ無くそうと思ったのに……」
「怒りや憎しみは誰の心にもある。でもそれだけに囚われていたら大切な人が傷つく。でも心配するな、何度ブーディカが我を忘れても俺やマシュが止めるからさ!」
「ブーディカさん、私もこんな酷い事をした人達を許せません!必ず倒しましょう!」
「ユウマ……マシュ……うん、ありがとう!」
ブーディカは怒りと憎しみを抑え、自分の頬を軽く手で叩いて気持ちを入れ替えた。
遊馬達は瓦礫を退かして資料がある地下への階段を見つけ、早速地下へと潜っていった。
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前半はジクジャンのイチャイチャシーンになってしまいました(笑)
ブラックのアイスコーヒーを飲みながら書きました。
ガムシロ入れてないのに何故か舌に甘さを感じました……。
これからもたまにジクジャンの話を書いていきます。
書いててふと思いましたがブーディカ姉さんをここまで出してる作品ってなかなか無いなと思いました。
ブーディカさんは個人的に好きなキャラでもありますが、ホープの進化系のホープレイ・ヴィクトリーのヴィクトリーの語源で遊馬とは色々相性もいいので結構優遇しちゃいました。
次回はブーディカ姉さん大活躍の話にします。