※オリジナル要素やねつ造要素ありまくりです。
原作などで見なかったり聞いた覚えがないものは恐らく該当します。
原作ネタバレ、及びあちこち改変しておりますので閲覧にはご注意ください。
アイ・ライク・トブを既に閲覧済みであることを前提として書いております。
また、アイダホさんの設定も変動しておりますのでご留意ください。
※息抜きとスランプ抜けをお祈りして。
※分岐部分、『ジルクニフからの信頼度がちょっと足りなかった』『スメイロトが斜め上に頑張ってしまった結果』『遠ざけるには丁度いい位置があの国』
※第一話地点、原作開始から3年位前。ジルクニフが20歳ちょい手前。スメイロトが17歳位。カルカ様が21歳前後。ケラルトが22歳。レメディオスは24歳。
※聖王国の状況は劇的な改善はしてないが、亜人の内紛により長城付近の治安が安定。北部のモンスター騒動が続々解決。これらにより政権の余力がかなり出ている状態。
南側としては北側の政権が安定し始めているので面白いはずもなく。手始めに王配の暗殺をしようとしても、誰一人として暗殺者が帰ってこないので焦っている。
※王国は国内における黒粉の常用者が増加傾向にある。本来帝国向けに輸出する予定だった分が完全に遮断されたため、品余りを国内で捌いた結果である。
八本指としてはあまり過剰に王国での中毒者を増やしたくないので国外の市場になりそうな聖王国を狙っている。が、見るからに邪魔だてしそうな奴が居る……さて、どうする?
※第一次席次は、スメイロトに縁談の話が行くよう仕向けてある程度成功したのに、何故か自分に対する縁談攻勢が一向に減らない事へ頭を悩ませている。
※スメイロトの離宮の就職率状況について。給金も高く福祉も悪くはないが、使用人の定着率は低い。初期は兎も角、視察等を担当した結果外泊が多くなったのでやりがいが無い。
ある程度の仕事をして無難に使用人やれてりゃいいやなリーマン気質の奴には適性がある。偶に記憶か意識がぼんやりしたり、怪談話が多いところを除けば悪い職場ではない。多分。
結婚して一年経過後には帝国から来た使用人は6割が退職して母国への帰路についている。聖王国の使用人も上を目指してる人材はあっさり転属する。
現在の使用人の過半は数年ごとに入れ替わる予定の、カルカが善意で配置した王家の使用人、ケラルトが送り付けてる監視役の使用人が大半。帝国情報局のエージェントの使用人は少数。
※???:*ふくろのなかにいる*
『今日も後宮に行かなきゃいけないかと思うとうんざりする』
『大昔のラノベアーカイヴで載ってた異世界転生ハーレムものとは全然違うじゃないか』
『こんなの詐欺だ! 支配してるのは女達で支配されてるのが俺とか逆だろ!!』
『だから現実と創作は違うとあれほど』
『加減しろ莫迦と言ったのに調子に乗って集めすぎて管理できないとか大草原』
『楽しみじゃなくて、もう義務だよ。女はもういい。どんな美女や美少女も要らん』
『あのエルフ野郎、討伐任務とか言って城空けてるの逃げてるだけだろ。こさえたガキ共がうざいとか言いやがって』
『ハーレムなんて、作るんじゃなかった……』
とある天空の城。
持ち主達がよく集ってたラウンジの雑談ノートの記述より。
カルカ・ベサーレスの初子出産。
母子共に健康、そして生まれた子は王子。
これにより、女王の戴冠問題について長期化を懸念していた聖王国政界はひとまず落ち着く事になる。
王子が無事成長し成人となれば、戦時でも無い限りは高確率で王子が次の聖王となるからだ。
「これで私に関しての問題は、解決しそうではあるな」
カスポンド・ベサーレスは、どこか安堵した表情で赤子を抱くカルカに呟いたという。
(義兄殿はそれでいいだろうけど、俺の問題は寧ろこれからだよねぇ……)
一人の兄の問題が解決した頃。
その兄の義理の弟の問題は次なるステージを迎えていた。
「これは決定事項であることをどうかお間違えなく」
手にした書状を読み終えたタイミングで、対面のソファに腰を下ろす神官長は決を下す裁判長の如く言い放ってきた。
「バハルス帝国においても、あなたの兄君は後宮を作り側室を抱えておられた」
「ええ、そうですね神官長殿。その通りです」
何時も冷厳な態度を崩さないケラルトは、優位を確信したかのように微笑んだ。
「私を側室として迎え入れる事に、異論はございませんねスメイロト様?」
何かとマウントを取らねば気が済まないのかなぁと内心嘆息しつつ、スメイロトは返答した。
「ホバンスの政権がそれを望むのであれば私に否やはないでしょう。ただ……」
「はい……何か?」
下に見られるのは仕方がない。
聖王国のホバンスにおいて、自分は所詮よそ者だ。
だが、舐められる事については少々立腹するのも仕方がないかもしれない。
「あなたが側室となる事について、カルカ様は『納得』されておられるのですね?」
そう、カルカの感情的な納得の部分をスメイロトは突いた。
「…」
時間にして数瞬、確かな間が存在した。
表情こそ全く動じなかったが、返答が僅かにだが遅れた。
簡潔明瞭な回答を好み、対峙する相手に付け入る隙を与えない才女たるケラルトらしくない間だ。
「当然のことですベサーレス家の歴史を鑑みても王が側室を招き入れた例はございます、カルカ様は王としての責務を承知しておられますから問題ありません」
(普段よりやや早口だ………何かあったなこれは)
ケラルトのらしくない差異に気づき、カルカとの間に何かあった事をスメイロトは察した。
(ああ、ひょっとしなくても最近のカルカが何かと俺をホバンスに呼び出すのって……)
間違いなくそういう事だろう。
赤ん坊についての相談や、産休中でのケアで以前よりも頻繁に彼女の屋敷に通っている。
何かと理由を付けて自分を呼んでいるのはそういう事かとスメイロトは納得した。
(結婚して翌年には子供を産んで一息ついたら側室導入とかじゃ、精神的に不安にもなるか)
しかも相手が側近にして親友であるケラルトであれば。
王の義務として受け入れるにしても、動揺はしてしまうのだろう。
数日前にカルカの元に訪れた時には、性行為の再開についても相談された。
(問題なく済ませたとはいえ、初めての出産後なのだから半年は静養と回復に努めた方がいいと言われたそうだから、もう少し休んでからとは言ったけど)
乳母に我が子を任せて自分に体を寄せて来るカルカ。
本人は口にしてないが、出産後の体の崩れをイメージさせてないのは本人の
『ええ、まだ早いとは理解はしていますよ? でも、その……私もご無沙汰と言いますか』
頬を赤く染めて唇をスメイロトの耳元に寄せ、乳房と太ももを押し付けて来る彼女。
それはまさしく女の顔だった。いや、最近出来た愛人を例に出せば雌か。
『カルカ、君に不自由をさせてるのは理解できる。ただ、君自身の体の事もある。だからもう少し待とうか』
『スメイロト様……』
『でも、その、本番以外であれば……』
視線で遠くに入口に居る侍女に合図を送ったのか、足早に彼女はカルカの私室から退出していく。
『い、いいのですか?』
『ああ、やはり言葉だけじゃ足りないってのは夫婦ではある事からね』
『あなたっ』
カルカを抱き寄せ、深く口づけすると向こうからがっついてきた。
何というか、久しぶりの所為か貪るというかしゃぶり尽くすようなキスだった。
兄の後宮の噂話で、経産婦になった直後は性欲が一時的に減退するってのはうそだったのかと。
(うお、激しい……こりゃ、ペッティングだけで済ませるの大変だぁ)
その後、『先端だけ。先端だけですからっ!』とごねるカルカを宥めるのが凄く大変だったという。
(ケラルトという女が俺と夫婦の関係になるという事に、不安と不満を感じてるんだなカルカは……だから俺を引き留めようとする)
カルカの寝室の寝台で、久しぶりに夫婦二人で眠った。
片腕に自分の両手を絡めたまま寝息をたてているカルカを見つめながら微睡む。
何故か前世での父親が酒の席で放言してた言葉が脳裏に過った。
『まぁ、女なんて生き物は儂にとっても複雑怪奇よ』
『本質として、男性よりも格段にスケベで欲深くて、欲した男は他の女を押しのけてでも独占したがるものだからのぉ』
『お前は儂程モテんだろうが、精々女の扱いには気を付けるがいいぞ』
(でもさぁ、親父殿。結局あんた、女絡みで死んだんだから世話ないよなぁ?)
「そうですか。来月にあの神官長殿とのご成婚ですか」
離宮のスメイロトの寝室。
いたした後の男女の体液と汗の入り混じった特有の臭いが寝所を満たしている。
「ふふ、スメイロト様は色々と大変ですね」
「まぁねぇ……」
その『大変』の中には、君達と言うか君達の母国が持ち込んだ厄介ごともあるんだけどな、と内心でぼやく。
(夫婦の営みが少ない事を気にしてたカルカには悪いけど、俺の方は女には不自由してないってのはね……)
スメイロトと法国との協定は、その内容上当事者以外に対し秘匿された。
スメイロトの目的は表舞台に上がらず己の生存環境を整える事のみであり、それに協力する法国の存在は聖王国に知られてはならない。
加えて法国と聖王国の関係は敵対的ではないにしても、その宗教上の問題において遠国の帝国以上に疎遠とも言える。
その様な国が自国の王配に対して愛人と言う形で女を送り付けてました等と、聖王国側に決して発覚してはならないのだ。
(してはならないよな……うん、特にカルカには)
なんだか、最近のケラルトに対して余所余所しい彼女を見るとそう思えてならない。
確かに情が厚い方ではあるが、実は執着の方も強いんじゃないかとスメイロトは感じている。
「しかし、君らも大変だろう。この離宮か出向先の宿泊地に合わせて、私と逢引するなんてさ」
「いえ、私どもの関係には苦労以上の価値がありますから。ふふ」
非公式の愛人故に、その扱いは側室よりもさらに慎重な対応と秘匿が求められたのは言うまでもなく。
聖王国内での拠点の構築、人員と資材の確保と輸送、スメイロトのスケジュールに合わせての移動。
テレポートによる移動はジュンノと第三席次“四大精霊”が担当しているらしい。
(正直、ここまでやる必要があるのかと言われると、あるにはあるんだよな。異能の継承が発生すれば、の話だけど)
漆黒聖典と聖王国に潜伏している風花聖典も動員しての愛人派遣。
特に貴重で重要な事案に投入すべき漆黒聖典、しかもその席次すら愛人にあてるという。
流石に複数抜けられると困るので、最初に選んだジュンノ以外の席次達は数年後の機会に回されたとの事。
(彼女曰く、やる価値は十分すぎるほどにあるし、将来の逸脱者や超越者が出来れば手間と予算は十分回収出来る……彼女が言うにはだが)
ちらりと、隣でニコニコしながら裸体を摺り寄せている少女の方を見る。
ラクレマ・ルレクチェ・クアンティア。
ややくせ毛のプラチナブロンド、透き通った桃色の瞳。
温和そうな顔立ちであるが、整った輪郭は最近顔を合わせては辟易している男の妹と似通った印象を与えて来る。
あのクインティアの兄妹の親戚であり、行政官としての未来を嘱望されている才女だ。
何故神殿や聖典所属ではない彼女が、今回の愛人に選出されたのは最高執行機関内部での調整の結果だという。
最初の愛人であるジュンノが火神殿と縁故が強く、火滅聖典に属してた過去があるのもそれだ。
(つまりは、この愛人計画にも法国内部の政治ゲームが発生している訳だ)
ラクレマは行政機関長の肝いりで今回の愛人候補に選出されている。
寝物語で聞いた限りでは彼女自身が強く候補者としてアピールしたのも、聖典や神殿出身の候補者を押しのけて選出された結果だとか。
クアンティア家と並ぶ旧家の家柄であり、過去の人材が法国に大きく功績を残しているのも候補者になれた理由の一つだろう。
(そんな政治ゲームの結果の割には、本人は乗り気に見えるんだから不思議だ)
親戚の兄妹の様な強者特有の雰囲気はなく、図書館で温和な笑みを浮かべ案内をしてる司書官にこそ相応しい雰囲気の少女だ。
少なくともこんな国家の思惑に満ちた、外国の貴人に秘密裏に愛人として差し出されるという生臭い案件に関わる様には見えない。
聞けばこの計画の為に実家が進めていた婚約を破棄したとか。しかも、本人がそれを主導し両親を説得したと言っていた。
(ジュンノも後2~3年していたら、ラクレマと同じ感じにしてしまってたのだろうか。関わった女の婚約ダメにするとか俺ってばクラッシャー?)
「スメイロト様」
「ん、どうしたラクレマ?」
「色々と……お考えすぎではないでしょうか。以前申し上げましたように、私の望んだことですので」
ラクレマが微笑を浮かべたまま、耳元でそっと囁いてくる。
ジュンノより一回りは大きい豊満な二つの肉丘も、ぐいっと形を変えて体に密着してきた。
非常に魅力な感触を齎すソレから意識を離し、スメイロトは少しだけ顔をそむけた。
「君にはお見通しか?」
「ふふ、少し、無防備かもしれませんね」
インテリな雰囲気の少女であるが、彼女をそのまま評価するのは早計どころか危険かもしれない。
ただの少女が行政機関において、十代の若さで将来の幹部候補として抜擢される訳がないのだ。
(何というか、内心を見透かされてる気がする……ひょっとしたら、ケラルトよりも上かもしれない)
ラクレマとはまだ数夜の情を交わした程度の付き合いである。
それでも、こうして言葉を交わす度に彼女の言葉の操り方と、示唆に満ちた喋りにはかなわないものを感じた。
(兄といい、ケラルトといい、才人ってのを相手するのは大変だよな。俺みたいな凡人だときつい)
尚、一番びびったのは王国に黒粉捜査で潜入した時に、ジルクニフの依頼で接触したラナー王女だったが。
(ありゃ、あかん。人間の皮を被った何かだ。いっそ、ドッペルゲンガーとかだったら良かったのに)
中身が悪魔等であれば問答無用で始末出来たのに。
残念なことに彼女は種族的にはただの人間だった。
10歳を過ぎて少しとは思えない言葉を操る、能面の様な表情を浮かべる異常者ではあったが。
(あんまりにも危ないから兄の命令次第では殺ろうと思ってたけど、兄は奴に利用価値を見出してたから出来なかった)
あの態度の余裕は、皇帝が自分をどう扱うかを見透かしていたのだろう。
例え目の前にいるスメイロトが、一瞬で自分の体内に致死毒を流し込める相手だとわかっていてもだ。
ジルクニフに使われている弟は、命令無くして自分を始末出来ない。
憎たらしい程の涼し気な態度。できればもう二度と出遭いたくないものだが。
(こんなにもあの女が好かないのは、超弩糞鬼畜長兄殿に雰囲気が似ているからだ)
あの二人は似ても似つかないが、根本に近い感じがするのだ。
奴が好き好んでいた猟奇的な部分は違うだろう。彼女にその手の趣味は無い。
だが、必要となればあの女は平気な顔で死体の山を量産しそうな気がするのだ。
それこそラナーを慈悲深い王女と信じてる王国の民の、屍の山を何百万と積み上げる事だって躊躇わないかもしれない。
(くそ、あんなイカレ女の事を思い出すとはな……胸糞悪い)
と、スメイロトの頬に白い手が添えられた。
「お?」
「スメイロト様」
強制的に意識をそちらに向けられる。
少しすねた顔のラクレマがこちらを覗き込んでいた。
「いけませんよ。私との閨の間に他の女の事を考えるなどとは」
「……あー、すまない」
「同衾している女性に対して誠心誠意向き合うのが男女の礼儀作法かと愚考いたしますが?」
可愛らしく口を尖らすのは演技なのか本音なのか。
「すまんすまん」
「謝られるのでしたら、誠意を見せて頂けると……」
「誠意か」
「はい。もう少しお付き合い願います」
ラクレマは蠱惑な笑みを浮かべシーツをずらす。
白い裸体がスメイロトに覆いかぶさって来る。
「んっ……」
艶のこもった声音と共に、彼女は腰を密着させ満足げに息を吐く。
ふだんは知性を帯びた瞳は淫蕩に揺らぎ、ピンク色の舌先が粘っこい仕草で唇を濡らす。
「う、お。……激しいね」
「ふふっ、ご満足、いただけるまで、ご奉仕っ、致しますねぇ」
荒くなっていくラクレマの吐息が、防音されている寝室の中で高らかに響いていた。
隣室で待機していて我慢出来なくなった送迎役のジュンノが、乱入しようとして監視のアルラウネに取り押さえられる五分前の事である。
カストディオ本家のドレスルーム。
そこには白色のドレスが飾られていた。
カストディオ家と懇意にしている王都随一の仕立て屋が仕上げたウェディングドレス。
「………」
それを数歩離れた場所で見つめているのはケラルト・カストディオ。
来月にはこの衣装を身にまとい、王配の側室へと嫁入りする事になる女性だ。
今の彼女の表情は、自分の人生においての晴れ舞台の一つに纏う衣装を見るに相応しい面持ちではない。
そう、今の彼女の心境は晴れやかとは程遠かった。
「くっ……」
苦々し気に鼻を鳴らす彼女の脳裏に過るのは、先週のカルカとの茶会での一幕だ。
間近に迫った婚儀についての打ち合わせ中、ケラルトに気の休まる暇はなかった。
じっと、観察する様に自分を見つめてくるカルカと、ろくに視線を合わせる事が出来なかった。
そう、政権に側室案件を提案し紆余曲折を経て承諾されてから。
ケラルトとカルカとの関係は、最近とみにギクシャクしている。
(いえ、違うわ。あの男がこの国に来て暫くしてから始まっていた!)
そうだ。何時だってカルカの一番傍に居たのは自分だった。
幼少期に神殿で出会って以来、自分はカルカにとって一番近しい存在だった。
聖王国の貴人として、神殿と王家との繋がりとして。同性の友人として。
カスポンドがカルカに道を譲ってから、ケラルトは側近として彼女を支え続けてきた。
聖王国においてカルカを頂点とし、彼女の理想を実現させる為に。
駄目な所が多い姉には悪いが、この点においては肉親以上の絆があると信じていた。
(それはカルカ様が結婚してからも、何も変わらない……そう、信じていたのに!)
そう信じていたのだ。
高々、ベサーレス家の血脈を繋ぐ為だけの、支配者の男として鮮血帝よりも幾段も劣る男。
見てくれは悪くないかもしれないが、政治も軍事も大した適性の無い血統以外取り柄の無い男。
カルカにとっても、スメイロトは体裁上の夫程度であり、子を授かる為の相手以上ではないと彼女は信じていた。
(それなのに、どうして、あんな男如きの為に、カルカ様、貴女は……!!!)
結婚してから少しずつ、カルカの余暇の使い方が変わっていった。
ケラルトとの付き合いや近しい貴族との集まりよりも、あの王配との時間が増えていった。
最初は義務として行われる王配の登城が、カルカの要請で頻度が瞬く間に上がっていく。
カルカの笑みの種類が変わった事にケラルトは気づいてしまった。
今までカルカ本人が知らなかった笑みを、結婚後に彼女は知らず知らずのうちに実装していた。
妻としての笑み、女としての笑み。………そして、母親としての笑みを。
ケラルトが意識的にスメイロトを嫌い始めたのは、カルカの変化が顕著になってからだ。
あの男が心底気に食わなかった。
カルカ様にあんな表情をさせるあの男が。
カルカ様の僅かな余暇を当然の様に独占するあの男が。
カルカ様にあんな言葉を言わせたあの男が心底嫌いだ。
『これからあの御方に側室としてお仕えする事になる、ケラルトにこれだけは覚えていて欲しいのです』
『
ギリリ、と歯軋りがドレスルームに微かに響く。
「……暴いてみせますよ、王配スメイロト」
昏い感情に支配された、ケラルトがギラリと双眸を光らせた。
「あなたがどうカルカ様を誑かしたかは知りませんが……その姑息な手管をこの私が看破し、カルカ様の御目を覚まさせてご覧にいれる!!」
もう、完全に私怨に奔っていた。
その頃、聖王国より北に位置するリ・エスティーゼ王国の王都にて。
王国最大手の犯罪組織、『八本指』の幹部会議において一つの決議がなされた。
かつて隣国バハルス帝国に対する麻薬『黒粉』の密輸を阻止し、帝国領土内での隠し拠点を悉く潰した男。
そして今や帝国に代わり麻薬市場として目を付けた聖王国へと婿入りし、再度自分達の目論見を妨害しかねない王配スメイロト。
かの男を確実に抹殺する為の戦力、更に大規模な麻薬輸出の為の拠点を設置する為の計画が発動されたのだ。
「安心してくれ、ルベリナの奴の時の様なしくじりは繰り返さない」
円卓の向こう側で値踏みしている様な目を向けて来る裏社会の幹部達を前にして。
頭部をそり上げ鍛え上げた筋肉の塊の様な肉体に幾つもの入れ墨をいれた男は獰猛な笑みを浮かべる。
「今度の計画には、あの男を消したい
男……闘鬼ゼロと呼ばれる警備部門の頂点にして、アダマンタイト級の冒険者に匹敵する『六腕』と呼ばれる者達で最強を自負する彼は告げた。
「今回は俺とマルムヴィスト、エドストレーム、ペシュリアン、デイバーノックを出す……これでわかるだろう? 俺の本気が」
戦力の大盤振る舞いを聴いてどよめく幹部達に対し、ゼロは笑みを更に強めて叫んだ。
「あの軟派な皇弟スメイロトを確実に抹殺する!! 恐らく奴を護衛しているだろうレメディオス・カストディオもだ!!」
後者の抹殺は、カルカとケラルトの重要な手札をへし折りたいゼロの協力者からの依頼でもある。
「これはあの聖王国の聖王女だけじゃねぇ、鮮血帝に対しての報復だ!! 思い知らせてやる、俺達の邪魔だてをした者がどうなるかを!!」
ゼロが配下達を引き連れ、聖王国中央部の森林地帯に建造された八本指の秘密拠点へ直接向かう二か月前の話だった。
No Man’s Dawn(4期ED)を聴いていて、異世界で新しい存在として生きるつもりならナザリックって要らないと思った。
アイダホで言えばアイドルだけ連れて、モモンガならパンドラだけ連れてればいいんじゃね?って。
実際、鈴木悟さんはキーノちゃん連れている場合だと、過去の仲間との事は折り合いをつけて新しい仲間達と異世界で冒険楽しんでいるし。