誤字修正の方々に、この場を借りて感謝を。
※オリジナル要素やねつ造要素ありまくりです。
原作などで見なかったり聞いた覚えがないものは恐らく該当します。
原作ネタバレ、及びあちこち改変しておりますので閲覧にはご注意ください。
アイ・ライク・トブを既に閲覧済みであることを前提として書いております。
また、アイダホさんの設定も変動しておりますのでご留意ください。
※息抜きとスランプ抜けをお祈りして。
※分岐部分、『ジルクニフからの信頼度がちょっと足りなかった』『スメイロトが斜め上に頑張ってしまった結果』『遠ざけるには丁度いい位置があの国』
※第1話地点、原作開始から3年位前。ジルクニフが20歳ちょい手前。スメイロトが17歳位。カルカ様が21歳前後。ケラルトが22歳。レメディオスは24歳。
※【悲報】俺のマイ聖王国inヒモ生活【無事破綻】
※スメ「与えよさらば与えられん、だっけか?」 正室&側室&愛人「もっとください」 スメ「やばい、太平洋だ」 彼女達は彼が思う以上に「女」だった。
※神官長達「あの方はあれ程頑張っているのに君ときたら」 第一席次「どうしてこうなった?(縁談攻勢が更に強まる)」
※番外席次「そろそろ狩るか♠」 占星千里&無限魔力「「ひえっ」」
※メイドは一生懸命、キッチンで働いている! 夜にこっそり厨房で料理の勉強をする位には熱心だ。
※王国 国王「内も外もボドボドだぁ……」 売国奴「事を急ぎましょうか。これ以上商品価値を下げたら皇帝が臍を曲げそうです」某妹「姉さんはどこ……?」
※帝国 皇帝「今更なんだが、なんであいつを手放したんだろうか私は?」 爺「たねぇ……いぐぅっ(びくんびくん)」
※法国 最高執行機関「今からでも、ウチ来てくれない……ない?(上目遣い)」 スメ「こっちはやる事ヤってるんだから契約守ってどうぞ」
※竜王国 女王「今年も撃退出来たがいつまで続くんじゃこれ。やっぱり、皇弟に本来の姿を見せて誘惑し婿殿として来て貰えばよかったのぉ」 派遣組「フケイ……フケイデアルゾ!」
※派遣組が来ている期間のビーストマン達は陽光聖典相手よりも死亡率が跳ね上がるので、ほかの無事な部族は狩りを中止して早々に国へ引き上げる。結果、自然休戦状態に。
だが、その出だしで1000体前後のビーストマン達が殲滅されるので、数年間それをやられた結果損害の積み重ねが洒落にならなくなり始めている。
派遣組(Lv43~38)としては逆に国元に攻め込み、ビーストマンの部族長などを仕留める斬首作戦を次回聖王国に帰還時した時にスメイロトへ奏上するつもりだ。
スメイロトが聖王国に来てから、もうすぐ三年になる。
「アンドレアはげんきでちゅねー。ふふっ」
ホバンス王城内のスメイロトの離宮。
スメイロトはその中庭で腕の中にいる赤子をあやしていた。
「私に似なかったのはいい事なのか悪い事なのか。それが問題だー」
アンドレア・ベサーレス。
スメイロトとケラルトの間に出来た初子であり長女となる。
母親譲りのブルネットに、父親から貰った赤い瞳。
顔立ちはまだ赤子らしくふっくらとしているが、きっと母親と同じく美人になるに違いない。
「もう、いつまであやしているつもりなのですか?」
あきれた顔で近くまでやってきたのはケラルトだった。
出産後の経過もカルカと同じく無事に過ごし、血色もボディラインも既に回復している。
産後のケアが万全な辺り、神官が多い聖王国ならではの恩恵かもしれない。
産後の母乳の為に大きくなったままの乳房だけは据え置きだったが、これなら復活する大祭の祭司役を務められるだろう。
「ああ、済まない。もうこの子の食事の時間か。そういえば君がこの子に直に乳を与える頻度は高いね」
「ええ、乳母ばかりに任せるのはどうかと思いましたので。可能な限りは私も参加しています」
ケラルトにそっとアンドレアを手渡し、東屋の椅子を彼女に譲る。
椅子にゆっくりと腰を下ろしたケラルトは、手慣れた仕草で胸元を開けて乳房の先端をアンドレアの口元に近づける。
「おお、健啖だねアンドレアは」
「ふふふ、こういう点は父親に似たかもしれません」
一心不乱に母親の乳房に吸い付く娘を見る父親に、母親は地方視察の件を持ちだして皮肉を言う。
彼の地方視察や討伐時の同伴は、相変わらず続けられている。
亜人の長城への侵攻が減少している現在、常備軍の精鋭化が進みその反面人員が削減されて多くの兵士が市井に戻され。
結果経済活動の振興化が盛んになり、新事業や新しい農業の開拓などが聖王国内で活発化していた。
その分スメイロトが地方に出かけては各地の珍味を堪能する事となり、ケラルトはその点を指摘しているのである。
「ま、まぁその点は外に出てお仕事をしている私への役得って事で納得してくれると嬉しいのだけど」
「そうですね。それ以外は無いので私としては許容範囲内だと思っていますよ」
事実、スメイロトが誠実に視察をこなしている点は、ケラルトも評価している。
私的な黄金色の贈り物は受け取らず、現地貴族の娘による篭絡も回避していた。
ケラルトに続いて自分の娘を側室として宛がい、ホバンス宮廷の足掛かりにしたがる地方貴族は意外に多い。
ケラルトが側室となってから王家より公式にその手の話がないので、ならば既成事実をと言わんばかりである。
彼女らを寄せ付けずに失礼にならない程度にあしらっているのを、彼に付けている忠実な補佐官から報告を受けているのでその点は評価している。
(これ以上増えられたら困ります。しかも、若い娘とかはとても)
彼女は今更になって、スメイロトの妻になって自分の女性としての年齢を自覚した。してしまった。
婚期に焦っていたカルカより、更に二歳も年上なのだ。二歳もである。
(何故に、私はここまで女性であることに無頓着だったのだろうか……)
3年前だったら脳裏をよぎる事すらなかっただろう思考に耽りながら、乳を含み続ける我が子を見る。
この子の立場は一応は安泰だろう。継承権こそ低いだろうがベサーレスの名を許された王女である。
だが、立場として下から数えた方が早いというのも事実だ。これ以上の婚姻による不確定要素は望ましくない。
アンドレアの為にも、要らぬ女がホバンスで自分とスメイロトの間に割り込まない様目を光らせねばならない。
地方貴族程露骨では無いにしろ、ホバンス政権が安定化した事によりベサーレス家にすり寄る価値は王都において高まる一方だからだ。
カルカが女王となりその伴侶が王配である以上、王家に取り入るのに適しているのは立場の弱いスメイロトだと見えるのは当然である。
(故に、この人に要らぬ女を近づけないようにしないとなりません。特に貴族の女は)
決して、決して若い女へのやっかみなどではないし。
他の女に現を抜かすスメイロトを見たら気が立つという訳でもない……ない筈だ。
最近、カルカがこの人に対して自分の目の前で体を密着してみせたり、「そろそろ二人目を考えませんか?」と聞こえよがしに囁いてるのを見て。
(決して!!)
イラっとしたりしてない。その筈だ。
ケラルトは知らない。
彼が誠実にこなしている筈の国内視察。
彼女が信頼している補佐官達や護衛騎士を全て欺き、外泊のタイミングを愛人達との逢瀬に利用しているのを。
スメイロトが彼らとの信頼関係を築かずにシンプルな上司と部下の関係で留めているのは、ハイネという影武者を存分に活かす為なのを。
来年には完全にリフォームが完了するホバンスでのスメイロトの私邸への移住に、彼が本心では難色を示している本当の理由を。
彼の本当の姿と、懸念は既に現実化して若い少女達が彼の愛人となり彼の子を身籠りこの世に産み出している事実をケラルトは知らない。
(元気に飲んでいるなぁ)
ケラルトの乳首を吸うアンドレアを見るスメイロトの目は優しい。
赤子に乳を授けているケラルトの乳首を見るスメイロトの目は卑しい。
スメイロトがアンドレアに構うのは、ラムロッドに殆ど父親らしい事をできなかった反動ともいえる。
今でも公式行事程度でしか顔を合わせられる機会がなく、その分父親らしいことを出来るアンドレアに構う事が多いのは当然だった。
ラムロッドをガードするベサーレス家とは違い、カストディオ家はアンドレアとスメイロトの接触を拒否していない。
これは王家への組み込みを積極的に推進したい当家の都合と、ケラルトの率先によるものでもある。
それについてどこか優越感を感じてるケラルトと。
ラムロッドをスメイロトからガードしている親類達に対し、女王として必死に苛立ちを堪えているカルカ。
両方見えていて、必死に顔を逸らしているスメイロトが居た。
実質、ラムロッドに対しては彼に出来る事は何もないのでしょうがない事と言えてしまうのが悲しい。
(本当に、元気に飲んでいる)
アンドレアは元気に成長していて食欲も旺盛だ。
こくり、こくりと喉を小さく動かしながら、女児は母親からの栄養を取り込み続けていく。
「むぅ……」
なんだか喉が鳴った。
なんというか、アンドレアがあまりにも旨そうに吸うのと。
カルカの時は乳母がメインで与えてたらしいので、こうして見たことが少ないので強く興味を引かれた。
というよりも、当時からベサーレス家のガードは強く、カルカの授乳シーンに立ち会えなかったのもある。
(カルカの授乳シーンに遭遇したら、こうしたかなぁ?)
と思いながら、彼は己の内から湧き上がった欲望に従う事にした。
ちなみに法国の愛人たちとの子供は本国で育てられてるので、顔を合わせられるのは首が据わってからとの事だ。
つまり、彼の欲望の発露の対象はケラルト以外にあり得なかったともいえる。
「ねえ、ケラルトさん」
「どうしました?」
アンドレアに意識を集中していた己の妻に対し、スメイロトは当然の様に要求した。
「私も、ちょっと吸ってみてもいいかな?」
「…………はい?」
あなたが何を言っているのかわからない。
そんな顔でこちらをケラルトが見てきたがもう構わない。
自身の内なる修羅が呼び起こされているのを感じながら、巨乳派(蘊蓄好きのギャップ萌え推測)の大墳墓の番人の様な形相で勢い良く喉を鳴らした。
「空いている方の、オッパイ吸わせて!!」
「ちょ、ちょっと、赤ん坊は、そんな、ひゃっ、いやらしい吸い方をしませんっ」
「ちゃー、ばーぶぅ」
「何、変な、声、だしてぇ、んうっ、舌、動かしちゃいやぁ❤」
「んまっ、んまっ」
暫く、無茶苦茶に授乳した。
4泊5日の定期視察の2泊目。
ホバンスの西に存在する港湾都市リムンが今回の視察先だった。
一か月後に始まる予定の、聖王国の大祭の前準備としての視察だ。
当然、都市で一番の宿屋の別邸にスメイロトは宿泊している。
別館で働いている使用人達も、警備の兵達も、今日は少しだけ目つきが眠そうであった。
そして、誰も王配の居る貴賓室に近づこうとしなかった。
さらに言えば、貴賓室の入り口には不可視状態のアルラウネが警備にあたっている。
これは彼の外泊時に【よくある事】である。
「今回の出荷分。ウチの鑑定持ちの判断では、第六位までを籠められるスクロール用紙が凡そ5本分。第五位までが12本分。第四位がまでちょっと出来が悪くて31本分となる」
応接間の卓上には、箱に収められた白紙のスクロールが敷き詰められていた。
ただのスクロールではない。真っ白でいて、魔力を籠めるのに適した状態に漉かれている。
これらはスメイロトの従僕達から出た老廃物を集積し、ファーマスィスト達がパルプに生成しスクロールに適した状態にしたものだ。
羊皮紙のスクロールが、該当生物の皮であるのであれば、植物系モンスターから分離したパルプも似たようなものではないのか?
そう考え、試しにファーマスィスト達に製紙させてみたところ、大成功であった。
(いやはや、向こうの繊維と紙の歴史を知っていたのがこんな得を生み出すとは)
帝国の魔法省でも効率的にスクロールの用紙を作り出すのには苦労していた。
第三位のスクロールでも貴重品扱いである。
第六位や第五位を籠められるスクロールであれば、どれほどの価値があるかは言うまでもない。
帝国時代では思いつかなかったことを、大規模に従僕達を運用し始めた時に閃いたのはスメイロトの財布として僥倖と言えるだろう。
高位のスクロールが確保できない事を嘆いていたフールーダには悪い事をしたかもしれない。
(ゲームの時は無駄に溜まった低位階スクロールをモヒカン野郎が「ケツを拭く紙にもなりゃしねぇってのによぉ!!」とか街中でばらまいてたなぁ)
ユグドラシルのゲーム中ではトイレットペーパー以下でも、こちらでは価値が全く異なる用紙をスメイロトは効果的に運用している。
すなわち、これら異世界基準では作りたくても作れない、高位魔法を籠める事が出来るスクロールの媒体たる用紙を法国に卸しているのだ。
(ジュンノに聞いた限りでは、神々の宝物庫には魔封じの水晶やスクロールの予備があるけど、数に限りがあるから使用制限が厳しいらしいんだよね)
特に魔封じの水晶辺りは、重要任務の際に担当する神官長から作戦責任者に直接手渡しする程に運用が慎重だ。
ユグドラシル伝来の消耗アイテムは補充や補給はほぼ無理なので当然ではある。
そんな彼らにとって新規のスクロール用紙、こちらで高位に該当する第五位や第六位は喉から手が出る程に欲しいものであり、法国の術師達はスメイロトからの供給を心待ちにしているそうだ。
第一位階や第二位階程度は在庫が出るぐらいにはあるが、それ位は法国でもいくらかは生産出来るので出来るだけ高位の方が喜ばれる。
それに、私室でよく利用する清潔のスクロールは、一身上の都合により幾らあっても不都合ではない。
あの魔法は汚れや染みや臭いも一瞬で消してくれる。生活魔法にも色々用途というものはあるのだ。
(いっそ、今の試験体の育成試験が終わったら、次は上位種の、lv70位の魔樹でも育ててみるかな? あれなら上質のパルプが大量に採れそうだ……)
「確かに確認いたしましたスメイロト様。こちらが最新のカタログでございます。どうぞ、お納めください」
スクロール用紙を確認し終えたラクレマが頷き、持ってきた封筒から豪華な意匠付きのカタログを差し出す。
「ん、ああ、ありがとう」
カタログを受け取り、軽くぺらぺらと最後まで捲っていく。
(ほう、今回は南方からの輸入品が多いな。法国が俺の好みを熟知してきたって事か)
このカタログのリストから欲しいものを選別してラクレマに告げ、先ほどのスクロールと等価交換出来るかを判断してもらう。
それらの嗜好品や財産は例の隠し離宮でファーマスィスト達とドルイド達の処置により隠匿、保管されている。
殆ど私財らしい私財を持たない王配が存在しない筈の物品を持っているという矛盾を隠すために。
聖王国ではなかなか手に入らない王国、帝国、竜王国、法国、南方の物品をスメイロトは個人の楽しみの為に貯めこんでいるのだ。
「こちらでは良質の茶葉は手に入っても、コゥヒ豆は殆ど手に入らないからねぇ」
「南方の商人隊は大半が法国を通過して帝国や王国に向かいますので。スメイロト様のご要望にお応えできるかと」
そんな、カタログの話をしながらスメイロトは思い出したようにラクレマに質問する。
「ラクレマ」
「はい」
「クリムは、元気か?」
「はい、お座りが出来るようになりました。すくすくと大きくなっていますよ」
「……そうか。早いものだ」
彼女が数か月前に無事出産した男の子の赤子。
髪と瞳の色は彼女から貰ったらしい。
愛人の子たちは本国で育成される為、当然気軽に会う事なんてできない。
「我が子と気軽に顔を合わせる事が出来ないというのは、思ったより辛いな」
「ラムロッド様の事ですか」
「あの子の事もある。最近はアンドレアばかりに構ってしまってね。将来的にラムロッドとの関係で悪影響が無いといいが」
ティーカップに残っていたコゥヒーを飲み干し、スメイロトは物憂げな顔をする。
彼の顔を見るラクレマは、表情に出さず将来のベサーレス家を想像した。
(スメイロト様、恐らくラムロッド様は御身へのコンプレックスを拗らせると思われます)
自分には王族として形式的にしか接さない父親が、腹違いの妹に対してはやたらと甘い。
たとえそれがベサーレス家の、生まれてから周囲に居た人物達の仕向けた事だと理解できたとしても。
果たしてラムロッドはそれに納得できるのかどうか?
更にこの先、自分の兄弟や腹違いの兄弟が増えて、彼らもそうである場合は?
(様子を見て、スメイロト様にフォローをすべきでしょう)
亜人や反乱分子を退けて得た安寧が、家庭内崩壊で崩れ落ちたら流石に気の毒である。
彼女はスメイロト個人の為に、ベサーレス家への観察を続けることにした。
こうする事で彼女個人の好感度を稼ぎ、彼からの寵愛を太く長く頂戴する魂胆もあったにはあったが。
丘の上の白くて大きな家で旦那様と可愛い犬と一緒に住む夢は諦めたが、子どもを最低三人は欲しいという夢を諦めていないラクレマだった。
「ラクレマ、ご相談は終わりましたか?」
別室のドアが開き、ドレスを纏ったジュンノが入室してきた。
お代わりのコゥヒーと茶菓子が載ったトレイを、音を立てずテーブルに乗せる。
「ありがとう、ジュンノさん」
「どういたしまして、ラクレマ」
挨拶は親しげである。
何故なら、二人は幼馴染だからだ。
ラクレマの方が内心でちょっぴり腐れ縁と思っているのは内緒である。
「失礼いたしますね」
「お」
当然の様にスメイロトの隣に座り、ジュンノは身を寄せてきた。
女になり母親になり経妊婦となった少女の体を、スメイロトは思わず抱き寄せる。
「ジュンノさん、少しはしたないのでは?」
「ごめんなさいねラクレマ。暫くお会い出来なかったのでどうしても」
女の顔で夫に寄り掛かるジュンノに、思わずラクレマは立ち上がりかけた。
かけて……スメイロトが空いている方の手でクイッと手招きしてきた。
「……御身がお望みなら」
ジュンノとは逆側にラクレマは座り、同じように身を寄せる。
少しだけ見えるジュンノの顔が勝ち誇っていたので少しイラっとしたが、今は夫に妻として卑しく媚を売るのが先決である。
顔を寄せてきた少女達と交互に唇を合わせあう。
熱っぽい女体に挟まれ、接吻の感覚が長くなり、粘着質に舐る音が室内に響き渡る。
ジュンノから離れた時、口と口を繋ぐ長い唾液の糸が垂れて切れる。
ラクレマにせがまれたので、宥める為に彼女の二つの丘の一つをドレスの下に滑り込ませた手で無造作に掴んだ。
「ん?」
ブラジャーの先端が湿っている。
もしやと思い、ジュンノのドレスの隙間から手を滑り込ませ、同じようにブラジャーを掴む。
ジュンノが甘い声をあげて軽く身悶える。同じように彼女の先端は母乳で湿っていた。
「二人とも、お願いがあるんだけど」
自身の内なる修羅が再び呼び起こされているのを感じる。
ケラルトで味わった美味しくはない、無いが背徳感と興奮を強く引き起こすあの味を今一度味わいたくなった。
スメイロトは欲望の赴くまま、二人の愛人へ手にした乳房をモミモミしつつお願いした。
「君たちの、オッパイを吸わせてくれ!!」
その後、無茶苦茶二人から授乳した。
久し振りに男が訪ねて来た。
最近は女女女女女女女女であったので珍しい。
交互に男女と並ぶこともできなかったのだから新鮮な気持ちになれた。
相手はニグン・グリッド・ルーイン。
陽光聖典の現隊長であり、今回異例の依頼を頼みに来たという事だ。
人ごみに埋もれてしまうような平凡な感じの顔立ちの男は、4年近く前に竜王国での遊撃戦で出会った時と何も変わらない。
感情を感じさせない人工物のような黒い瞳も同じだが、彼の頬には見知らぬ縦傷が出来ていた。
「ニグン殿、これは貴国が私にガゼフ戦士長を暗殺して欲しいという依頼かな」
「はっ、最高執行機関より是非にとの事です」
「……私が引き受けねば、これを実行するとも?」
「…………その予定です」
見終わった資料は、もし自分が受けなかった場合に実行する予定らしい【陽光聖典と偽装部隊を動員しての暗殺計画】。
ガゼフを辺境に引き出すためにエ・ランテルの近くの開拓村を複数焼き払い、百名以上の開拓民を死なせる。
ガゼフとその部下達を孤立させて、誰も知られずに邪魔だてされる事なく仕留める為の生贄の羊だ。
「ガゼフが倒れれば帝国に武力のバランスが一気に傾く。最早王国軍が帝国軍に勝てる要素など何一つない。その為の止むを得ない犠牲だというんだね?」
「…………その通りです。しかし、これも人類総体の未来の為。御身の祖国である帝国の為でもあるのですぞ!」
正当性を強調したいのかニグンの声は高くなるが、スメイロトはどこか冷ややかな雰囲気だった。
「出来るかといえば出来る」
現在、リ・エスティーゼ王国には二個のアルラウネ分隊が派遣されている。
彼女らの任務は八本指に対する調査と、黒粉の生産の妨害だ。
「最近、蒼の薔薇が黒粉の生産妨害に精を出してるみたいでね。黒粉の生産拠点破壊と焼き畑事業に暗躍させてた一個分隊なら暗殺に回せる」
「………左様でございますか」
ニグンの声がなぜか低くなり、そして自分の声音に気付いたのか静かに咳をした。
(ん。変な反応だな……?)
なんか嫌な事でもあったのかな。
そんな疑問を感じたが今はどうでもいい。
「全員が難度120の三体一組チームだ。貴族共がガゼフの装備を制限すれば倒すのは造作もない」
「引き受けて、くださるのですね!」
思わず立ち上がりかけるニグン。
そんな彼に目を向ける事なく、スメイロトは手元のコゥヒーカップを見つめながら言葉を続ける。
「余剰の戦力で事が足りるならそれに越したことは無い。あなたとて、必要とはいえ罪のない開拓民達を死なすのは気分が悪いだろ?」
「そ、それは勿論です」
3割ぐらい嘘かなぁ? とスメイロトは思った。
この男は人殺しを楽しめるような邪悪でもサディストでもない。規範的な法国の理念に基づいて戦う男だ。
だが、その分自分たちの理想の基準に満たない者達に対しては冷淡だ。
例えば、腐りきった支配層に抗う気概もなく、家畜の様に飼いならされた王国民などには。
法国にとってリ・エスティーゼ王国は、上も上なら下も下という不愉快極まりない国と民なのである。
最初のプランもガゼフの排除が齎すリターンを鑑み、百を超える民間人の犠牲も王国民であるなら止む無し、という価値観からだろう。
(全く、こういった考え方は本当に好きになれない……)
内心のムカつきを抑えつつ、スメイロトはコゥヒーを一口飲んで口を湿らせてからニグンに向き直る。
「筋書きはこうだ」
別に特別な事ではない。
大まかな流れは陽光聖典のプランと同じだ。
事件を起こし、戦士長を王都から誘い出し、罠に嵌めこんで暗殺する。
スメイロトは帝国で皇室の一員をやっていた頃に、この手の非正規任務もこなしていた。
故にワードを入れ替える事で、陽光聖典の計画を自分用にカスタマイズする。
「村々を脅かすのは国境を侵犯した武装勢力や所属不明の傭兵団ではない……トブの大森林からやってきたと思しきモンスター、という設定だ」
そのモンスターが村々の外をこれ見よがしに徘徊し、近くの森に棲んでいる適当なモンスターの惨殺死体を作って街道にばらまいていく。
開拓民の村々とエ・ランテルをつなぐのは未舗装の粗末な街道だが、そこをブラッド・ロードに変えていくのだ。
そうなればその道を往来する商人や開拓民は怯え、都市長に訴えるなり冒険者組合に依頼を出すだろう。
スメイロトの予想では都市長からの依頼で、金等級の冒険者のチームが出張ってくると思われる。
そいつらを半殺しにして突き返してやれば、今度は都市で最上級のミスリルチームが出てくる。
「確かチーム数は三つだったかな? どれでもいいから出てきて来たら半殺しにしてお帰り頂く事になるね」
とばっちりじみた災難だが、ミスリル級の冒険者達には思いっきり怖い思いをしてもらう予定だ。
ミスリル級の彼らでも全く歯が立たず、エ・ランテル単独で対処が不可能な事を都市長に認識させる。
場合によっては王都のアダマンタイト級冒険者に声がかかるかもしれないが、その前に王城が動くよう法国の工作員に動いてもらう。
何より王室の直轄領を強力なモンスターが荒らし回っているのだ。
貴族閥の連中は管理不全と騒ぐだろうし、王派閥も面子の為に動かざるをえない。
「どちらにしろ、蒼の薔薇よりも先にガゼフは動かざるを得ない。王室の体面の為に」
ここまで大騒ぎになった上で王都の冒険者がモンスターを倒して解決できたとしても、王室の面子に傷が付くだろう。
それを防ぐためには国王の懐刀であるガゼフが、現地に赴いてその剣でモンスターを討伐する他にない。
貴族閥の暗躍によって国宝の装備を持たされず、英雄級未満の戦士長は部下達を率い、ろくな支援も受けられずに向かわざるをえない。
この辺は貴族閥が勝手にやってくれるだろう。政敵の足を引っ張る事について彼らは非常に果敢である。
「後は、この開拓村の最奥……大森林に一番近い村。カルネ村、か」
陽光聖典が使用している地図に掲載されている村の表記を指さす。
「ここまでおびき寄せて森の中に入り込ませ、戦士長一人を確殺して終わりだ。彼には申し訳ないが、遺体は大森林の奥に隠して蘇生できないよう森の土になってもらう」
「戦士団は生かして帰すのですね?」
「ガゼフが居てこそ維持され存在が許されていた部隊だ。彼が居なくなれば貴族閥が大喜びで解体するさ。それに、彼が【モンスター】に殺されたと証言する目撃者が必要だ」
実行する分隊は偽装の上、ドルイドにより戦士団へ広範囲の幻覚毒を散布させる。
そうすれば彼らが見た化け物はその真実の外観から大きく逸脱したように見えるだろう。
誰もが見たものと異なる証言をし、聴取した部外者から外観において全く信用できない結果となり誰も正体を探れなくさせる。
全てが終わった後で蒼の薔薇が派遣されるかもしれないが、その時にはもうアルラウネ達は既に別の任務地へと移動しているだろう。
「こうして、王国自らに戦士長が居なくなった事を自覚させる。これで王国は軍事的にもお終いだ」
「左様ですな」
「可哀そうなガゼフ・ストロノーフ」
ガゼフ・ストロノーフ本人は寧ろ好漢だろう。
彼個人は悪くない。
「ひとえに君の立ち位置が最悪なせいだが」
彼以外の、王国の殆どが悪かった。
ただそれだけだった。
そしてそれゆえに、彼は死ななくてはならない。
その後、最高執行機関から二週間後に作戦の実行を要請された。
スメイロトは事前にエ・ランテル近郊に移動させていた分隊に、指示通りに作戦の遂行する様に命じた。
彼女らは指示通りにカバーストーリーを遂行し、エ・ランテルと近郊を造作もなく恐怖に陥れる。
執拗に食らいついてきたミスリル級冒険者チームのリーダーと思しき男を加減を間違え殺害してしまったが、それ以外に犠牲は出なかったので及第点だろう。
後は、ガゼフが王都から派遣され罠の中に入り込むのを待つだけ……の段階で。
『緊急連絡。国境外南西監視哨より、上位悪魔らしき影が北上中。至急、警戒されたし』
聖王国の国境外に存在する監視哨からの、緊急連絡が来た。
十数年ぶりに行われる国を挙げての祝祭、聖王大祭の数日前の事である。
次回、Lv73の魔将襲来。
普通に法国の神人が出張らないと人類国家が悉く滅ぶレベルの相手ですねぇ。
果たしてタイマンでは分と相性の悪い相手にスメイロトはどうするのか。