アイ・ライク・トブ【外伝更新中】   作:takaMe234

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誤字修正の方々に、この場を借りて感謝を。

※オリジナル要素やねつ造要素ありまくりです。
 原作などで見なかったり聞いた覚えがないものは恐らく該当します。
 原作ネタバレ、及びあちこち改変しておりますので閲覧にはご注意ください。
 
 アイ・ライク・トブを既に閲覧済みであることを前提として書いております。
 また、アイダホさんの設定も変動しておりますのでご留意ください。

※息抜きとスランプ抜けをお祈りして。

※分岐部分、『ジルクニフからの信頼度がちょっと足りなかった』『スメイロトが斜め上に頑張ってしまった結果』『遠ざけるには丁度いい位置があの国』

※第1話地点、原作開始から3年位前。ジルクニフが20歳ちょい手前。スメイロトが17歳位。カルカ様が21歳前後。ケラルトが22歳。レメディオスは24歳。

※「もう、なんなんだよプレイヤーっぽい奴が出てくるわ、うざい魔将っぽいのがこっちに来るわで! 誰だよあんなのをこっちに寄せたのは!!」「「サーセン」」

※「真なる竜王、殺すべし。慈悲は無い」

※「申し訳ないがサトル殿、魔獣討伐の手助けを頼まれてくれないか?」「はぁ、構いませんが(取り合えず王都だっけ?そこに行く為に手伝うか……)」
 【注意】モモンガが手伝わないと幻覚毒で狂乱したダミーユニットRとガゼフが交戦した結果、装備の不足により力が及ばず戦死し戦士団も壊滅。とばっちりでカルネ村も滅びるリスクが発生。

※聖王国に魔将が迫りくるその頃、正室と側室は聖王大祭でどうスメイロトにアピールするか、お互いを出し抜くかで余念がなかった。
 カルカは二人目をこさえる為の布石。ケラルトはより夫を自分に依存させるために下準備である。

※15歳時想定のアンドレア・ベサーレスの難度は210。丁度母親と伯母の天井レベルを足した感じ。聖王国(公式で)初の超越者であり法国からは神人認定されてる。
 カストディオ家の才覚にスメイロトのプレイヤーの因子がキャッキャウフフした結果出来たやべー少女。現状でも異世界では異常領域だがまだ伸びしろもあるという……。
 聖剣サファルリシアを媒体にして、聖属性あるいは無属性の野太いビームをぶっ放して数キロ先の敵の群れを丸ごと吹き飛ばしたりビームで丘をスライスしたりできます。
 アベリオン丘陵をアベリオン平原へと物理的に変えようとして父親に止められた。彼女のカチコミで10傑が一か月足らずで2傑になった。後で父親に数時間ガチ説教され半泣き。

※その日少年は思い出した。アンチクショウに支配される恐怖を。馬の小便で顔面を洗浄された屈辱を……。

※「おい、もう話からヒモ成分がないんだけど! 運営、コールに答えろ!うんえーい!!」

※前回の冒頭で故クレマンさんがスメイロトと周りの女たちに辛辣でした。実はあれは作者がもし現実に彼らを見てたらどういう感想を抱いたか、を代弁して貰いました。

※この似非ヒモ話を書いてて今更後悔した事。スメイロトをアゴ帝並みにナルシストでキモい感じの男に出来なかった事。
 スメイロト「私がこぅして喜ばぬ女はいなかった(ねっとり」クレマンティーヌ「うわ、キモっ!!」


セイ王国で理想のヒモ生活()  『第一王子ラムロッド・ベサーレス』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、このような重大事が立て続けに起きてくれるとはな……」

 

神都の大神殿。

幾重もの守りで遮られた最奥にあり、六大神の神像が見守る会議室。

 

「エ・ランテルの高位アンデッドの出現による大騒動に、近隣の開拓村での戦士長の暗殺失敗か」

「やはり、これは連動しているものと思えますか」

「私も同意見です。これ程タイミングが偶然重なるとは思えません」

 

ガゼフ・ストロノーフの暗殺失敗の件については、神官長達にとってもはや些末な事柄になっていた。

 

法国にとって重要になった点は、エ・ランテルという都市を大混乱に陥れた高位アンデッド。

そしてスメイロトの索敵班の遠視魔法をカウンターで粉砕した存在。

ほぼ同時期に起きた事案に対し、彼らはこの件を関連付けて考えていた。

神官長達の注意を引いていたのは、現在の周期が丁度百年目を迎えていたからだ。

 

「水明聖典と風花聖典の増派を現在エ・ランテルとその近郊に送り込んでおります」

「調査方法は現地に派遣しての実地調査ですな?」

「術師にせよ巫女姫の儀式にせよ、遠視が使えぬとなればそうする以外にありませんね」

 

今後の対応を口に出している神官長達であるが、どうにも脳裏の隅を掠っているキーワードがあった。

都市に出現しながらも、エ・ランテルを死都に変えず去っていったという上位アンデッド。

 

何故、それは人に危害を与えなかった?

 

重軽傷者は百名を軽く超え、死者も数人出ている。

しかし、現地に駐在していた風花聖典によれば負傷は全てパニックを起こした住民自身によるもの。

死者についても、階段から転落して首の骨を折ったり、群衆に踏みつけられての圧死だ。

 

(そうだ、アンデッドの姿に対しての恐慌による自滅だ)

(なぜ、エ・ランテルに対して幾らでも出来ただろうに、何もせずに去っていたのか)

 

そこに重なるのはぷれいやーであり、かつて彼らの祖国を興した死の神の姿。

 

(異なるにせよ、新たなる死の神がこの世界に顕現したというのか?)

(まさか、そんな偶然が……?)

 

会議中の間。

神官長達はその脳内での想像を、ついに口には出来なかった。

 

 

 

 

そして議題は次の重要事案に移った。

 

「大陸中央から来たと思われる飛行型の悪魔か」

「スメイロト殿の配下の測定によれば、難度210を超える上位悪魔との事です」

 

難度210と聞いて、議場の全員が息をのむ。

 

「な、210だと」

「かつての魔神よりも強力ではないか」

 

難度210ともなれば、もはや対応できるのは人類国家で神人を擁する法国のみとなるだろう。

他の国家であれば、王国であれ帝国であれ聖王国であろうとも造作もなく滅ぼされる以外の道が無い。

アリがいくら群れようとも、巨象を押しとどめる事など出来る訳もなく、ただ進むだけで踏みつぶされるのみ。

 

「それでは、聖王国の超越者たるスメイロト殿のみが迎え撃つしかあるまい」

「左様ですな。彼以外が迎え撃とうとも何の足しにもならないでしょう」

 

人間国家において、難度150を超える存在は『逸脱者』すら超えた『超越者』と定義されている。

法国国内の超越者は神人とも呼ばれて、かつてのプレイヤーの血筋を限界まで覚醒させた存在と見られていた。

番外席次と第一席次は戦闘面においてまさに領域そのものが超越しており、人類で四人しか確認できてない逸脱者ですら大人と子供程の差がある。

聖王国で言えば歴代騎士団最強の剣の使い手とされ、今や英雄級と称賛されているレメディオスですらスメイロトの戦いには到底ついていけないだろう。

 

「スメイロト殿は何と?」

「自分一人で勝ち切るには微妙との事。また、取り逃がす危険性を防ぎ、確殺を期すために第一席次の出撃を要請しております」

「神人の動員か……」

 

総員が考え込む姿勢を見せるも、既に派遣そのものは確定していた。

あの上位悪魔を放置すれば、どれ程の被害が人類に齎されるか想像は容易かったからだ。

スメイロトが取り逃がすと言った可能性も重要だ。

悪魔は邪悪で狡猾な存在だ。人間にとって害悪以外の何物でもない。

討ち取れずに取り逃がせば次は更に慎重に、かつ残虐に事を仕掛けてくるのは明白である。

戦うのであれば初回で逃がさずに、確実に仕留め切る必要がある。

 

何より、自国に協力的な超越者を失うというあまりにも重大な損失の可能性を摘みたい。

ならば人類国家の存亡の為、法国は切り札の神人を出すことも厭わない。

 

「決を採る。スメイロト殿の神人派遣要請に反対のものは?」

 

最高神官長の言葉に反対の声を出す者はいなかった。

 

「では、可決とする。第一席次に出撃命令を出す」

「最高神官長殿」

 

『土の神官長』レイモン・ザーグ・ローランサンが手を挙げる。

 

「派遣の件に付きましては漆黒聖典の責任者として賛同致しますが……その上で提案がございます」

「聞こう」

 

重々しく頷く最高神官長に、レイモンは法国の切り札を切る事を提案した。

 

「難度210の上位悪魔であれば、あの忌まわしきエルフ王に対しての札として充分と思われます。故に、ケイ・セケ・コゥクの開帳を提案します」

「……神々の遺産を使う、か」

「上位悪魔であろうとも、神具の支配下に置くことは間違いなく。決して逃がす事なく、その上で我らの手駒となります」

「一石二鳥という訳だね」

「はい。評議国からの警戒と露見のリスクを見込んでも、それに余り得るリターンを手にすることが出来るかと」

 

レイモンの言葉に最高神官長は僅かな思考の後。

 

「カイレ殿に出撃を通達。漆黒聖典はカイレ殿の護衛班を編成せよ」

 

と命令を下した。

100年に渡り法国と戦いを続けてきた凌辱者の痴れ者デケム・ホウガン。

永き戦いの間も一度たりとも刃を届ける事が出来なかった怨敵。

自国に対して最悪の裏切りと侮辱を投げつけて来たあのエルフに、今度こそ誅罰を与えてこの世から葬り去る為の手札を揃えられる。

難度210であれば一対一でも第一席次は互角かやや有利に戦えるだろう。

そこにスメイロトの援護と仕上げのケイ・セケ・コゥクがあれば盤石だ。

スメイロトに秘宝であるケイ・セケ・コゥクを見られるにしても、これを機に更に彼を秘密の共有という縛りで法国により深く咥えこませればいい。

 

 

 

 

故に神官長達は、上位悪魔に対しての作戦が滞りなく進むと信じていた。

 

 

 

 

しかし、この漆黒聖典出撃の裏で蠢く者たちが居た。

法国の中間管理職から、各神殿の上位補佐官に至るまで彼らは存在していた。

彼らは法国の指針に忠実であり、人類の守護者を自負していた。

そんな彼らにとって、超越者でありながら聖王国の王配の地位に留まるスメイロトの現状は我慢ならなかった。

 

確かに大きく貢献はしている。

彼以外に生産不可能な高位の魔法のスクロールを輸出し、逸脱者級と英雄級の部隊を各地に派遣し亜人との戦いで活躍させている。

 

だが、足りない。

己の全てを人類に捧げるべきと考える彼らの思考では足りない。

 

もっと頑張れる筈だ。

一人国軍と言える程の戦力と超越者としての力、もっと、もっともっと人類の為に尽くせるはずだ。

たかが聖王国一国に甘んじず、幅広く人類の為に身を粉にして戦えるはずだ。

 

『なぜもっと戦わない? なぜもっと努力しない? なぜもっと表舞台に出ない?』

 

そう考えて強引にでもスメイロトを法国へ連れてこさせる事を主張する者達が少なからず存在した。

ケイ・セケ・コゥクの使用をスメイロトに対して行うよう主張する者もいた。もう既にこの世にはいないが。

 

彼が王配として聖王国で彼らの主観において胡坐を掻いて結果を出せば出すほど、不満と憤りは膨れ上がっていた。

その折に上位悪魔の襲来とそれに対応すべく神人を聖王国に派遣する事態。

彼らはこれを利用することに決めた。

 

「それで、あなた達が望むのは私と王配との接触?」

「はっ、その通りでありますっ」

 

片膝を突いて自分に頭を下げている男女数人。

彼女の自室に押しかけて来た者たちの願望を聞いて番外席次……アンティリーネ・ヘラン・フーシェは内心辟易していた。

 

(要は私に難癖をつけさせて彼が法国に来るように仕向けたいだけじゃない)

 

支援を名目に番外席次の力をもって、スメイロトが法国へと来ざるを得ない状況に追い込んで欲しいとの事だ。

こんな脅迫か恫喝交じりの事柄をあの老人達が許す筈もないので、恐らくは彼ら『自称:憂国の士』が独断で考えて来た事だろう。

 

「成功したとして、あなた達が無事に済むとは思えないけど?」

「それは覚悟の上です。超越者が法国の戦力となるのであれば、我らは人類守護の礎となるでしょう。命は惜しくありませぬ」

 

自分達が正しいと信じて疑っていない目つきだった。

表情こそ変えなかったが、そのオッドアイの瞳の奥に冷ややかな侮蔑の感情が浮かぶ。

アンティリーネ自身は祖国や人類を守護するためなら命を懸けることも厭わない人格者だ。

故に臆病で卑屈な者や他人任せを嫌うが、この者達は嫌悪の部類に入るだろう。

 

スメイロトに対しても自分に対しても、どれだけ口で大義を叫ぼうとも結局は他人任せであるからだ。

 

「ふぅ……そうね」

 

乱雑に流行りのものが置かれた机の上にある、ルビクキューの面を見ると二面揃っていた。

その下には結構な回数を読み返した、あの愛人計画の概要書が季刊毎に重ねられている。

まじまじと見つめた後で、組んだ足を解いて彼らへと向き合う。

 

「まだ本人に顔合わせすらしてないけど……状況次第では努力はしてみるわ」

「そ、それでは!?」

「悪魔討伐は、私が出る」

「おおっ」

 

呑気に喜んでいる『自称:憂国の士』達から目を逸らす。

正直、ある程度目の前の連中の思惑に乗るのが気分悪いからだ。

 

「久しぶりに、揉んであげるか」

 

彼女は第一席次に緊急で稽古をつけてあげる事にする。

 

「暫く、筋肉痛で起き上がれない程度に、ね?」

 

首をコキッと鳴らし、アンティリーネはニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

商会での協議の後、法国は魔将の件については全面協力を申し出てきた。

暗殺事件失敗についても、スメイロトに責任追及はしない旨を伝えてきた。

 

「え、エ・ランテルでアンデッド騒ぎが。それも、極めて上位らしいアンデッドが出現したと?」

「はい、現在は落ち着いているそうですが一時期は町中がパニックに陥って負傷者が多数出たそうです」

「……(まさか、ユグドラのプレイヤーか?)

 

この世界に来て、最大の懸念事項が脳裏をよぎる。

出来るだけ、相手の正体を早急に知りたくはある。

かと言って配下の部隊を派遣するのはNGだ。

スメイロトの抱える術師達のレベルではプレイヤーには到底敵わない。

手塩をかけて育てた手勢達を無為に死なせるだけになる。

 

(いざとなれば、法国に借りを作ってでも王国に俺自身が赴く必要があるか?)

 

リスクは高いだろうが、それが一番手っ取り早い気がする。

 

(いや、まずは魔将に対する対応を優先しよう。あいつを野放しにするのは絶対にダメだ)

 

確かあの双子の魔将は、記憶違いでなければ残虐設定だったはずだ。

大祭で人口が普段より増えているホバンスは格別の遊び場であり、大喜びで血の海に沈めようとしてくるだろう。

 

(そうはさせない、絶対にだ)

 

 

自分の館の東屋から森に出る。

今日中に用を済まさないと、夕方にはホバンスに行って大祭の打ち合わせに参加する予定に遅れてしまう。

 

「移動するぞ」

 

出迎えたドライアドの長に案内され、複数のドライアドの術師が作った人間サイズの茸で形成されたフェアリーリングの中央に入る。

次の瞬間、スメイロトの姿は離宮傍の森から消えて、ホバンスから10km程離れた王家所有の森林へと移動した。

ドルイド達の領域支配、そしてドライアドの儀式魔法により彼女らが支配する森と森を繋げる移動魔法だ。

これにより、スメイロトは聖王国内での迅速な自軍の移動と展開を可能としている。

件の南部騒動においても、裏工作などで数えきれないほどお世話になったものだ。

 

現在の騒ぎが一通り落ち着いたら、リ・エスティーゼ王国側の森を一つ支配してそちらにも『スメイロト領』を形成しようか思案中である。

 

移動先の森林は狩猟用、王家の建築物で木材が必要になった場合に管理されている。

管理そのものは僅かな森林衛視の巡回と、管理の為に外周に入り込む木こり達ぐらいだ。

故に広大な森林の内側は殆ど手つかずである。

モンスターも『調査時は』野生の大型イノシシ程度しかいなかったので森林衛視隊の注意もほとんど向いてない。

 

その森のほぼ中央に巨大な穴があった。

穴の上には天蓋の様に木々が茂っており、余程近づかなければ穴の存在に気付くこともないだろう。

 

「ソツジュ、調子はどうだ?」

「だいじょうぶだって、あんしんしろよ~」

 

穴の中には、あまりにも巨大な存在が居た。

そして存在の天辺には、大きなくぼみがあり。

くぼみの中で仰向けになってスメイロトを見上げている、ソツジュ・ミィ・ティリアンが居た。

 

「魔将相手にこいつを使う事になるのかどうか……ソツジュ、いけると思うか?」

「うーん、おーるぐりーん?」

 

多分、大丈夫なんだろう。

スメイロトは納得する事にした。

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

スメイロトは王城の大広間で来賓の応対をしていた。

今日からは大祭が終了するまでスメイロトはホバンスに詰める事になる。

例え独自の権限が無きに等しい王配でも、王族は王族なのである。

さらに言えば国中から集まる地方貴族や豪商と接点があるのはスメイロトだ。

度重なる地方視察により、自然とコネクションが形成されていたのだ。

一部の王族や官吏はそれにより王配が予想外の影響力を持つことを恐れている。

とはいえ、代用の人材をいまさら用意する事も出来ず。

他ならぬ官吏のトップに居るケラルトが現状を容認していたので誰もちょっかいをかけられなかった。

ならばとカルカにご注進という形でケチをつけても、カルカにもそっけなくされて黙る以外なかった。

 

「これはこれはスメイロト様、おひさしゅうございます」

「ああ、久方ぶりであるな。どうぞ楽しんでゆかれよ」

 

顔見知りの豪商に営業用のスマイルで声をかけながら、スメイロトはテーブルの合間を縫っていく。

今回は久々の大祭という事もあって地方や近隣国からの来賓客も多い。

これは国内の主だったモンスターや亜人が軒並み掃討され、治安維持がおおむね安定している事もある。

ちらりとまなざしを向けた先には、エリアス・ブラント・デイル・レエブン侯の親族の王国貴族がテーブル周囲の賓客と語らっていた。

 

(今回は貴族閥の連中は遠ざけられたか)

 

自分がドライアドのファーマスィストに命じて作らせた薬を以前の王国代表にこっそり盛らせ、街中でご乱心(全裸でハッピーダンス)させた甲斐があったというものである。

 

(あいつらいると場の空気が悪くなるし、俺に敵意をむけてくるから清々したな)

 

実にいい事をしたと思いながら挨拶を続け。

概ね終わったので上座の王族に割り当てられたテーブルに戻る。

即ち、聖女王カルカの隣であり、更にケラルトの隣。

つまり奥方に挟まれる形になる。オセロかな?

 

「お疲れ様ですあなた、あいさつ回りはどうでしたか?」

「はい陛下、恙なく終わりました」

 

給仕が音もなく近づいてきてグラスに果実酒を注ぐのを見ながら返答する。

 

「お疲れ様です。私が申し渡しておいた挨拶のリストはこなされましたか?」

 

少しだけ身を寄せて、ケラルトが問いかけてくる。

最近、スメイロトが好みだと口にした香水がふわりと鼻先を擽る。

 

「大丈夫だよケラルト。ノルマはこなしてみせたさ」

 

視覚外のカルカの気配が、少しだけ不機嫌になるのを感じる。

公式の場で最上位の存在に敬意を欠かせないのは、例え夫である王配でも同じなので顔には出していないが。

 

(この分だと、次の甘えが凄くなりそうだ)

 

二人きりの時は敬語禁止であるのを思い返すと、カルカの依存をたっぷり含有した愛情を感じる。

隣でそれとなく今後の予定に探りを入れてくるケラルトからは、ネバついた執着と愛欲を感じるが。

この状態になると、今夜は二人の相手をずっとする必要があるだろう。

周りの者達も、二人の不興を買うのを恐れるのでこのままだ。

 

(まぁ、それも悪くないんだ)

 

二人とも飛び切り美人だし。

国を治める能力も申し分ない。

 

(正直、二人とも俺にはもったいない女だ)

 

閨の中でも可愛さと激しさを兼ね備えている。

二人とも伴侶としては自分には過分とも言える存在だ。

二人して机の下で足を使ってお互いに蹴りあうような形で自分を取り合うのは止めて欲しいが。

最近は小康状態に落ち着いているが、一時期はレメディオスが癒やし枠に感じた位だったからだ。

 

(だからこそ、あの魔将の好きにさせる訳にはいかない)

 

祭日の前日から二人は大神殿の聖堂に籠り、聖王国の発展を祈願する事になる。

その間にスメイロトはハイネと入れ替わり、現在の位置からして様子をうかがっているであろうホバンスへの襲撃を阻止する。

当日には法国からの神人も到着し、ソツジュが『決戦個体』に火入れを終えているだろう。

 

(折角の祭日前夜にごめんな、カルカ。ケラルト。俺があの魔将相手に勝てなきゃこの国の光景は全部ぶっ壊されてしまうんだよ)

 

色々問題もあるが、望みのヒモとは遠くても、今の生活は悪くない。

だからこそ、あの魔将にはこの世界からご退場願おうと固く誓う。

 

(直接の恨みはないが、俺の結婚ライフの為に死んでくれ)

 

 

 

 

 

 




さて、いよいよ次回から魔将戦に突入です。
第一席次は無事エントリーできるのか?(フラグ

2/10 アンドレアの詳細を少し弄りました。
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