アイ・ライク・トブ【外伝更新中】   作:takaMe234

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誤字修正の方々に、この場を借りて感謝を。

※オリジナル要素やねつ造要素ありまくりです。
 原作などで見なかったり聞いた覚えがないものは恐らく該当します。
 原作ネタバレ、及びあちこち改変しておりますので閲覧にはご注意ください。
 
 アイ・ライク・トブを既に閲覧済みであることを前提として書いております。
 また、アイダホさんの設定も変動しておりますのでご留意ください。

※息抜きとスランプ抜けをお祈りして。

※分岐部分、『ジルクニフからの信頼度がちょっと足りなかった』『スメイロトが斜め上に頑張ってしまった結果』『遠ざけるには丁度いい位置があの国』

※第1話地点、原作開始から3年位前。ジルクニフが20歳ちょい手前。スメイロトが17歳位。カルカ様が21歳前後。ケラルトが22歳。レメディオスは24歳。

※原作開始時にして最新話時年齢。ジルクニフが23歳ちょい手前。スメイロトが20歳位。カルカ様が24歳前後。ケラルトが25歳。レメディオスは27歳。

※15歳当時のアンドレアの傍付きの侍女の一人は、金髪碧眼の少女(13歳)である。片親がメイドであり一般人の出でありながら王女直々に気に入られて傍付きになった。
 アンドレアが撃った聖なるビームに感動し、自分も撃てたらなぁと清掃用モップで頑張って真似をしてたら、何故かビームを撃てる様になったという。

※王宮で待機中のハイネさん、伝令で状況が予想よりも切迫している状況を聞いて「何してくれてるの神人様ぁぁぁ?!」と内心絶叫。不眠状態になる。

※魔将のレベルはLv73。通常は二体一組だが一体は逃走中に背後から背中に別の魔将からスナイプを受け、瀕死状態になった後起爆した魔弾の爆発により即死した。

※なお、七色竜王が激怒してプレイヤー疑惑者を追い回したのは、この狙撃手からスナイプを食らいダメージを受けた結果。結構いいところに貰った様だ。

※法国本国では現在大騒ぎである。神官長達は強硬派を八つ裂きにしたい衝動を抑えつつ対応しようとしてるが第一席次が若干精神が退行してしまい再起動出来てない。

※聖王国側はスメイロトの策もあって、今のところは乱闘に気付いてません。気付いても何も出来ないし、無駄に犠牲が出るだけなのでスメイロトとしては早く問題を解決したいところ。






セイ王国で理想のヒモ生活()  『王配の愛人フォーレ・バレーナ・ペルスズ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今のところ、互角か」

 

十字槍に似た戦鎌にもたれかかるようにしながら、番外席次たるアンティリーネ・ヘラン・フーシェは呟く。

 

巨大な火剣で斬りかかる魔将と、その一撃を爆発する皮で威力と勢いを逸らす巨大芋。

複数の蔓が弾けたように飛び掛かり、魔将は咆哮と共に剣を振り蔓を弾き飛ばす。

大まかな領域を読んで、アンティリーネは軽く鼻を鳴らした。

 

「私なら、余裕で勝てるわね」

 

あの悪魔と戦うという仮定を脳内でシミュレーションし、彼女は悪魔に対して明確に失望した。

上位悪魔と言ったところで、自分にはかなわない程度でしかない。

本来ここに来るはずだった第一席次であっても、逃走手段を封じれば手堅く勝利を収められるだろう。

 

(だが、あの男単体では少し手に余るか)

 

漆黒聖典や愛人計画で行われた情報解析では、スメイロトは単純な戦闘者としては第一席次やあの悪魔と比較して劣るだろう。

法国の概念で言う技能の組み立てで、純粋な戦闘用の技能での編成ではないからだ。

 

スメイロトは戦闘技能の分類としては、一人師団と同じ召喚士に分類される。

 

本人が陣頭に立って戦う事よりも、組織化したモンスター達を使役して事に当たる。

ここまでは同じだが、使役しているモンスターの格が一人師団よりも格段に高い。

一人師団の使役できるモンスターの最高位が凡そギガントバジリスク等の難度100前後に対し。

スメイロトの率いるモンスターの上位種は難度100以上を数十体揃え、目の前で戦っている巨大な芋は難度200近くあるという。

これだけの個体が組織され軍隊の如く運用されれば、今現在の人間の国家で起きている軍事的な問題は悉く解決できる。

 

事実、聖王国の今の安定と安寧はほぼ彼によって齎されたものだ。

アベリオン丘陵の十傑が何時の間にか七傑まで減り。(時間が経過すればまた増えるだろうが)

国内の不穏分子だった南部貴族の粛清を、聖王国に入りこんできていた王国の犯罪結社諸共実施した。

他にも国の各地に潜んでいた亜人や危険なモンスター達は、この2年ほどで見る影もないレベルで減少している。

愛人達からの報告書と漆黒聖典等の報告を合わせれば、外的要因で聖王国が揺らぐ可能性は十年単位で大幅に低下した。

 

(あいつらの考えは心底好かないけど、無理をしてでも彼を法国へと欲しがるのはわかるわ)

 

彼の神人としての活動量が、評議国の監視と介入を恐れて温存され過ぎて守護役ばかりさせられてる自分はおろか。

そこそこ外部に出て逸脱者の手にも余る案件の処理に駆り出される第一席次と比較しても、一国の範囲とはいえ圧倒的に人類の生存圏を安定させる活動を短期間で行えているのだ。

その生まれからしてあの議長に目を付けられにくい立ち位置に居て、モンスターを長期計画的に運用する事で効果を出すという真なる竜王の監視に引っかかりにくい活動をしている。

 

彼一人が本格的に人類守護の任に就けば、法国の現状維持の改善どころか人類の生存圏の拡張すら望めるかもしれない。

強硬派は元より、注意深く付き合いを続けている神官長達も本音では彼が欲しくて堪らないのだ。

 

(確かに神人として申し分ない……後は、本人が私とつり合う位に強かったら問題なかったのだけど)

 

そこだけは本当に残念だ。

せめて互角に戦えれば、こんな手間と試しを組み込む必要もなかったのに。

既に自分へ恐れが心身共に浸み込んでるあの小僧は、完全に彼女にとって男ではない。

もし、もしもだ。スメイロトが自分に及ばずとも神人を名乗ってるだけの情けない小僧の様な腑抜けでなく。

 

(それ相応に気概と言うものを見せてくれたのなら、とは思うのよね)

 

実際、本心からアンティリーネが自分よりも格上の雄であれば全てを委ねられるか。

歴代の第一席次にカッコつけて言ってた言葉であるが、愛人計画を観察するようになってから今でもそうかと言われれば肯定しにくくなっている。

結局のところ、あれは自分以上のものを求めてるだけのポーズかもしれない。

 

(いや、正直……あてつけかな?)

 

自分以上の存在に屈服させられ。

躰を蹂躙され心を犯され孕まされ。

忌まわしい自分を産み落とし。

生涯ただの一度さえ我が子を愛さなかったあの人に対しての。

 

「……………ふん」

 

物心ついてから常につき纏ってきた負の感情に対し、番外席次は不愉快そうに鼻を鳴らした。

 

ついでに十字槍に似た戦鎌の石突きで、足元の地面を軽く小突く。

ズシリ、と重々しい音が彼女の苛立ちを示すかのように周囲へ鳴り響く。

横目でこちらを伺うカイレと、びくりと体を揺らす席次達。

 

(貴方なら今までの男とは違うものを見せてくれる?)

 

彼女は再び、上位悪魔と少しサイズが小さくなった巨大芋の戦いを見つめ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『クソっ、無駄にしぶとい魔樹風情が!!』

 

魔将は忌々し気に咆哮する。

 

魔将は現状に強烈な苛立ちを感じていた。

 

この魔樹相手に攻め切れてないのだ。

多くの場合、木属性の相手に己が得意とする火は有利に働く。

しかし、分厚く何故か無数に重ねられた外皮は、少しずつパージされながらも魔将の攻撃を的確に防ぎ続けた。

更に中に感じる術師と思しき相手からの魔法攻撃が、魔将の体力を地味に削り続けている。

 

『うじゃうじゃ湧きおって、雑魚どもが鬱陶しいわ!!』

 

魔樹を押し込む為に悪魔の群れを召喚すれば、いつの間にか包囲をして来た軍勢に悪魔達は拘束されていた。

嘆願の悪魔達が魔法を撃つ前に、無数の矢によって針鼠にされ、突進して来た森林衛視達の槍衾で止めをさされた。

召喚した最強格の悪魔であるウォー・デビルは、術師達の支援を幾重にも受けた親衛隊に囲まれ死闘を繰り広げている。

 

『おのれぇ無駄に足掻くな下等生物どもが!!』

 

思わぬ苦戦に激昂する魔将の頭上に、それは近づいていた……。

 

 

 

「うお、流石に効くねぇこれは」

 

叩きつけられた衝撃で、更に外皮が剥がれ落ちるのを理解する。

 

「だいろくそうまでげんしょー、おもったよりはやいねー」

「大丈夫だ、そろそろ来るからな……ほれ」

 

スメイロトの視線が、魔将の上へと向けられる。

 

「そっちしっかり持っててね!」

「わかってますよ……うぅ、下が凄い事になってますぅ!?」

 

テレポーテーションで上空に移動したジュンノとフィオナが、フォーレのタレントと接続済みの大鏡を持って魔将の真上に陣取った。

彼女達の履物には、金細工で作り上げられた羽を模した足飾りが嵌め込まれている。

タラリア。そう呼ばれるユグドラシルでは低レベルから利用できる単体用の飛行専用アクセサリーだ。

見上げたスメイロトは思った。そういえば、タブラさんが飛行系の秘薬を作る時に山の様に溶かして錬金鍋にぶち込んでいたなと。

実際、Lv30未満推奨の装備なので、長く履いても一週間足らずでお役御免程度のアイテムなのだ。

 

(モモンガさんは何故だか、色違いなだけのレア(笑)タイプを後生大事に持ってたけどな!)

 

「ソツジュ、突っ込むぞ!」

「あいよー」

 

今まで基本防御だった芋が、一気に突進した。

反射的に切り付けられた一撃が、芋に深く突き刺さり割れそうになるがそれでも止まらない。

 

「待っていたぜ、この時をよォ!?」

『な、貴様ぁ!?』

 

押し切られそうになっている……様に見えた巨大芋が急激に押し返してきた。

更に伸びて来た数百の蔓が魔将に絡みつき、その巨体を拘束する。

 

『この程度で我を捕縛できるとでも―』

「いや、ちょっとで十分さ」

『何……ぐっ!?』

 

芋が体を沈め、そのままタックルを仕掛ける。

鋭い蹴りを貰い、衝撃で内部すら軋んだが瞬殺さえされなければ十分だ。

 

『な?』

 

組みつき、抱え込んでからまるで高い高いするように持ちあげた瞬間。

 

「よぉし、落せ!!」

「行きますよっ」

「そぅれ!!」

 

 

魔将の後頭部に、高速で降って来た銛が直撃する。

更に爆発が追加され、魔将の脳幹は激しく揺さぶられた。

 

『な、なんだ、がぁ!?』

 

更に植物由来の爆発物が充填された爆裂筒、先端に爆発物が接着された巨大な槍、それらが雨あられと降り注ぎ魔将の背中に直撃。

二人の愛人が支えている鏡の黒面から、次々と放出されているのだ。

 

「ドンドンナゲコメ!」

「モンノジカンハミジカイゾ、イソゲ!!」

「が、頑張りますぅ……わぁ!」

 

フォーレが接触している大鏡に戦士たちが次々と筒を投擲し。

更に森林衛視達が攻城兵器サイズの槍を投げ込む。

 

「わ、私の鏡がこんな使われ方をするだなんてぇ……」

 

移動用の筈の鏡が、魔将に対する爆撃用のポイントとして使われる。

 

「旦那様の言いつけとは言えなんてことでしょう……うぅ」

 

なお、考案してフォーレにお願いして来たのは他ならぬ彼女の夫である。

 

 

『ぐあああああああああ!!??』

 

魔将は絶叫した。

 

背中と翼には鏡から投下物が続々と命中しているのだ。

投下物も一発一発は威力も魔力も、魔将からすれば大したことが無い。

だが、それが多数、しかも決戦個体により身動きが取れない状態で受ける事となれば。

 

「うぉー、あっちぃー!?」

 

全体攻撃をしそうな声で、爆撃の巻き添えになっているスメイロトは叫ぶ。

勿論、魔将を傘にする事で直撃を避けている。

しかし、それはあくまで大まかにであり、芋にも多数の攻撃の余波が浴びせられた。

 

「あだだだだ、あちあちあちっ」

「しゅ、しゅよ、だいじょーぶですか!?」

「だいじょーぶ、だから、ソツジュは感覚は切ったままにしとけ、お前じゃ痛みに耐えられんから!!」

 

スメイロトにしても結構痛かった。

だが、Lv70越えのスメイロトとLv68の決戦個体で耐えられても、ソツジュに耐えられる痛みではない。

リンクしているHPで命は保てても、許容範囲外の痛覚を受ければショック死は免れない。

タレントの神人公有は便利であるが、彼女自身のレベルが低すぎるのでこの辺の調整を細かくしなければソツジュが死にかねないのだ。

 

「も、もう限界ですわぁ~」

 

決戦個体の表皮がいい具合に焼きイモへ成った頃。

フォーレのタレントの発動時間が尽きて、鏡はただの鏡に戻った。

 

『は、羽虫がぁぁ! 今すぐ焼き尽くして』

「余所見はするなと教えただろ!!」

『ごふぉ!?』

 

上空のジュンノとフィオナに獄炎をぶつけようとする魔将の腹部に、極太の触手が思い切りめり込む。

そのまま何発もボディーブローの様に叩き込む途中で、吐血しながらも魔法を完成させた魔将が至近距離で獄炎を芋にぶつけた。

 

「おらっ!!」

 

獄炎が直撃する直前、芋の上半分が轟音と共に爆ぜた。

本来であれば残る皮の層すらも焼き尽くし、スメイロトの居る場所に至る程の火力。

それを敢えて芋の内部に特殊な澱粉を流し込み、外側に向けて外皮ごと吹き飛ばして魔法の威力を逸らした。

同時に、近接していた魔将と芋は相互に弾き飛ばされる。

 

芋の上半分がはじけ飛んだのは爆発反応装甲の原理だ。

これも、ユグドラシルと異世界の軍事技術の知識を持つ、スメイロトならではのアイディア。

 

『お、おのれ、おのれおのれおのれぇ、人間如きがぁ!!!』

 

火達磨の外皮を魔剣で撥ね退けた魔将に、長距離魔法と無数の矢が飛来する。

悪魔の群れを排除し切った親衛隊と戦士隊が、総攻撃を開始したのだ。

 

「頃合いだ……仕上げるぞ、決戦個体、前進しつつ中核に分離しソツジュと一緒に射出脱出用意」

「……すめいろとさま?」

 

これから行う最後の手の為に、緊急脱出措置を指令。

その一手はとても危険だが、スメイロトなら耐えきれる。

最悪の最悪が重なって死亡したとしても、一度なら大丈夫だ。

 

だが、ソツジュは駄目だ。

特殊なタレントとクラスの掛け合わせで参戦してしまえているが、素のレベルは20に満たないのである。

もし、まともに致命的過負荷を受ければ、決戦個体及びスメイロトと接続している彼女の精神のバイパスは一瞬で焼き切れるだろう。

ソツジュの精神も脳も耐えきれずに弾け、彼女は肉体と精神の両方で同時に死を迎える事になる。

そうでなくてもLv70前後同士の戦いにおいて、Lv30以下は余波だけで余裕で死ねるので逃がす以外の選択肢はない。

 

だから、早期に彼女は脱出させることが必須だ。

逆に言えば、今は何とか戦えている決戦個体がソツジュと言う繋ぎを無くす事でただの巨大なタンクに戻るという意味でもあるが。

 

(だが、ここまで来ればタンクに戻ろうが問題ない)

 

激昂しつつ、包囲軍ではなく決戦個体に向かって突貫してくる魔将。

周りからの総攻撃をも無視して、突貫してくる。

 

「決戦個体。最終フェイズだ。予定通り設定しておけ」

 

拝命。

そんな感じの意思が伝わると、

 

「じゃ、先に出て待っていてくれよソツジュ」

 

膝の上に乗っかっていたソツジュを、ひょいと担ぎ上げる。

ソツジュが動揺した所為か、結合していた意識と視界がぶれた。

 

「え、すめいろと、さま? きよ、さん?」

 

体内からぽこんとはじき出されて来た、この巨大芋の中核。

まるで茹で立てのジャガイモを直ぐに皮を剥いたらこんな感じになるのではないのか。

そんな感じの丸っこい真黄色の直径1.5程の芋が、ぴかりと小さく発光した。

念動なのか、ソツジュがふわりと飛んで光る芋の下へと引っ張られ芋に張り付けられる。

 

「しゅ、しゅよぉぉぉぉぉぉぉ!!???」

 

すぽんと。

間の抜けた音と共に、内側から割れた外皮の隙間からソツジュと決戦個体の中核は飛び出していく。

 

『死ねぇ!!』

 

同時に、決戦個体の腹に深々と魔剣が突き立てられた。

 

「あっぶねぇ!  ………が、好都合!!」

 

意識が現実に戻った瞬間、巨大な外殻が鈍く発光した。

決戦個体の中核は、離脱する直前に己の殻たるこの巨体に最後の命令を下していた。

 

『何!?』

 

それは、接近して来た敵性存在に対しての拘束と結合。

外皮が、まるで食虫植物の様に開いて魔将にかぶり付く。

振り回す剣が外皮を切り裂くも、その端から新たな外皮が絡みつく。

外皮は魔将を、寧ろ巨体の方へと引き寄せようとした。

 

「仕上げだ、喰らいやがれ!!」

 

幾多の外皮に絡めとられ、外殻の巨体へと半ば引き込まれた魔将に。

魔法で空を舞うスメイロトが、スクロールの帯を翳した。

 

ドルイド達が作り上げた第六位魔法を籠められるスクロール。

あれらは全て法国に卸していた訳ではない。

実は6割程の上ものは、こうして本人か配下に回されていた。

 

「連鎖・起動」

 

そして、スクロールの魔法の効果は決戦個体の内部に忍ばされた別のスクロールへと連鎖し。

決戦個体の体内には、莫大な魔力が残ったままだった。

 

それら魔力は、生きた爆弾と同義だった。

ましてや、最後の命令とスクロールの連鎖発動により魔力の臨界が一斉に起き始めた今は。

連鎖はたちまち決戦個体の内部へと、巨体を維持する為の魔力へと伝導する。

高まる魔力を感じた魔将は、雄たけびと共に全身を捩って脱出を試みる。

 

『うおぉぉぉぉぉ!!!』

 

死に物狂いとはこのことか。

全力全身で外皮を半ばまで振りほどき、上空に飛び立とうと翼を広げ。

 

『ガッ!?』

 

魔将の顔面に突き刺さったもの。

それはフォーレの大鏡だった。

 

「やったぁ!」

「あわわ、当たっちゃったぁ……」

 

まだ上空で様子を伺っていた二人が、とっさに魔将の頭部目掛けて鏡を投下したのだ。

一番最悪のタイミングで、脱出の為のもがきを中断した魔将がどうなるかは言うまでもない。

 

 

 

 

 

決戦個体の外殻から発した大爆発は、魔将バレンタスを包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





スメイロト「やったか!?」
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