二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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夏休みって、曜日感覚消えますよね……

昨日が土曜だと思ってました、そんなわけで更新遅れてます……

相変わらず議論こねくり回してますがどうぞよろしくお願いします


それでは第七十八話です、どうぞ


第七十八話  すり合わせ

 

お風呂は良いね。なんかこう、良いね。疲れを洗い流せている感じが素晴らしい。この世界にお湯のお風呂という概念を持ち込んだ聖人に拍手。

 

頭を洗い、身体を洗い始めたところで隣に人が来た。

 

 

 

「……あの、すみません」

 

「ん? ああ、確か……高山君だったか。何か話でも?」

 

 

 

一瞬顔だけ向けた。身体洗うのは続行。

 

 

 

「いくつか、気になる事があったので」

 

「いいよ。<賢者>ならばあの話も全て理解できているだろうとは思っていたからね。俺が答える事が出来る範囲内であれば答えよう」

 

「……公国との戦場で会った時の、『いつか分かるだろう』という台詞の意味、昼に言っていた事は、嘘ではないのですか?」

 

 

 

【悲報】嘘がバレた。

 

 

 

「嘘だよ」

 

「え?」

 

 

 

だとしても問題はない。さらなる嘘で塗り固めよう。時間があったのに何も対策をしていないわけがない。俺は失敗が何より嫌いな臆病者。備えあれば憂いなしってね。

 

 

 

「ちなみになぜそう思ったんだ?」

 

「何か、うまく説明はできないのですが、取ってつけたような気がしたもので」

 

 

 

<直感>か。

 

 

 

「だろうな。あれは<守護者>に関してある程度納得させるための物だ。といっても実際、嘘ではないんだ。<勇者>がどうにも立ち行かなくなった時、<守護者>は手を差し伸べる。<守護者>は女神の直属部下のような物であり、世界を守護する者。彼らにとって<魔王>は絶対的に敵であり、<勇者>は基本的に味方だからな」

 

「……彼らが直接的に動かないのはなぜでしょうか?」

 

「彼らは本来、外、あるいは神に対する守りだ。だから強大な力を与えられている。それに彼らは普段、自分の縄張りの魔物をすべて統制しているのでね、中々自分の持ち場を離れるわけにはいかない。例えば<勇者>がヤバいとかそんな状況でもない限りは」

 

「では、いずれ分かるという言葉の真意は?」

 

「……少し長くなるな。良ければこの後個室で話そう。ほかにあるか?」

 

「いえ、その時にまとめて聞くことにします」

 

「部屋の場所は……わかるか。じゃあまた後で」

 

 

 

さあ浴槽に浸かろう、あそこが極楽だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ説明をしようか。俺が言った『いずれ』、この言葉が指すのは実はそこそこ先の時系列になる。」

 

「先?」

 

「この戦争、つまり魔族と人族の戦争が終わった後、の話になる」

 

「この戦争が、終わった後……」

 

 

 

何かを噛み締めるように呟いた言葉を回収するように続ける。

 

 

 

「おとぎ話なら、魔王を倒してめでたしめでたしだが、現実ではそうはいかないのはわかるだろう? 待てよ……お前達は、元の世界に帰る方法とか聞いたりしているか?」

 

「ええ、なんでも<魔王>を倒せば力を貸していた<魔神>も弱り、女神様の負担が減るからその権能を使って、と」

 

 

 

なるほど。ならば。

 

 

 

「その通り、我々は女神様の力によって、元の世界に帰ることになる。つまりだ、俺達が元の世界に帰る時期は女神様の考えに依存する。それは<魔王>を倒してから一週間かもしれない、一か月かもしれない、あるいは一年以上かもしれない。実際に俺が召喚されたとき、<魔王>を打倒してから帰還までには一年ほど掛かっている」

 

「一年……」

 

「まあ、俺が召喚されたとき、人族はかなり追い詰められていたが、今回はかなり早い段階での<勇者召喚>を行ったようだからな。おそらくそこまではかからないと思うが、なんとも言えない。

 

そして問題はここからだ。<勇者>というのは人族側の<魔王>に対するカウンターだ。女神様は<魔王>に対抗するという名目の下に世界の外から力を呼び込む。<魔王>が打倒されたとき、その存在意義は無くなってしまう。つまり強大な力が意味も目的もなく、この世界に存在する事になってしまう。

 

そのまま放置するのは大変よろしくない。という理論に基づき、<守護者>が動き出す。つまり知恵と強大な力を備えた竜種が、外側からやってきた強大な力を排除するために、動き出す。これは本意不本意関係なく、<守護者>としての義務だ。『世界そのものからの強制力』、あるいは自浄作用と言い換えてもいいかもしれない。

 

ただそれは恩知らずにも程があるだろう? だからすでに存在意義を失った、<魔王>に対応すべき<勇者>から、別の職業へ、いわば『転職』させる。その先が<守護者>だ」

 

「その時が『いずれ』、ですか?」

 

「そうだ。まあ、随分先の話だろう? 今の目標を達成した後の話だからな。それで、他に何かあるんだったか?」

 

「ええ。竜種、あるいは<守護者>について、です」

 

「俺もそこまで多くを知っているわけではないぞ、彼らと親交はあったが……」

 

「氷帝竜についてです」

 

 

 

あっ。待って。

 

 

 

「氷帝……水属性を極めた竜種、か。それが何かあったのか」

 

「その……私達が召喚されてから少ししてからの話なのですが、氷帝竜が突然、襲撃してきて、良く分からないことを言っていました」

 

「氷帝竜……クトゥルフが? なるほど、何を言っていたんだ?」

 

「『現在貴殿等の必要とされる事態は発生していない。よって送還魔法による元の世界への帰還を勧める。その際に必要であれば我らも力を貸そう』、だったはずです」

 

 

 

流石<賢者>ほぼそのまんまだよ。

 

 

 

「……他には?」

 

「そのあとに続けて、『現時点において異世界より<勇者>の素質ある者を召喚する必要性のある事態は何一つとして発生していない。我らは必要以上の争いを好まぬ』と」

 

「……何?」

 

 

 

さてこの状況下で先代<勇者>かつ<守護者>として正しい判断は……。

 

 

 

「本当にそういったのか? アイツが? アイツ自身の意見として?」

 

 

 

クトゥルフがそう言ったという事実を疑う事だ。

 

 

 

「あ、いえ、最初の言葉は、確か……シソ竜?」

 

「始まりの始祖だな。竜を束ねる始祖竜からの伝言、か?」

 

「あ、はい」

 

「そう、か」

 

 

 

さて長考ターイム。<守護者>として知っている事と、クトゥルフの台詞をすり合わせていく。国崎啓は何を知っていて何を知らないか。

 

 

 

「……ちなみにそれに対して君達はどういう反応を?」

 

「受け入れられるわけがない、と言いました、実際に魔物による被害が出ているのなら、<勇者>である自分達が見逃すわけにはいかない、と」

 

「全員がそれで一致したのか?」

 

「……いいえ、神崎と内山だけは氷帝竜の提案に従うと言いました」

 

「そのあとは?」

 

「氷帝竜は一週間後にまた来ると言って去りました」

 

「……そうか。という事はその一週間後が来る前に、神崎君とやらと内山さんとやらは死んだわけだ」

 

「……はい、そうです」

 

「タイミングが良過ぎるな……そういえば、国の人間は、氷帝に対しなんと?」

 

「……その、竜種は魔物の一つだから、甘言に乗ってはいけないと」

 

「……なるほどねぇ……」

 

 

 

そう見えるのも不自然ではないものなぁ。

 

 

 

「……しかし、竜種が<守護者>あるいは人の味方であるとするならば、なぜ氷帝竜はあのような事を……?」

 

「それは簡単だな。<勇者>が必要な事態は発生していない、つまり<魔王>が出現していなかったのだろう」

 

 

 

すり合わせ完了。

 

 

 

「え?」

 

 

 




頑張れ主人公、この世界の命運はあろうことか君の双肩にかかっている!

質問感想批評などお待ちしております。
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