二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~ 作:クラリオン
面倒なのが出てきます。異世界転移系だとこういう人は良く出てきますよね?そして考えること大体一緒なんだよね……
というわけで、第九話です。
「あの竜の言う通り<勇者>が必要ないなら<防衛者>はもっと必要ないと思うが?俺が今、外部に干渉できる魔法もスキルも体得しちゃいないことは知ってるよな?出来るのは自分と少しの味方を守ることだけ。さて、今のところ専守防衛しかできない
「だが、この世界の人たちを……」
「異世界人は軽々しく干渉してはならない。そう言われなかったか?俺はそれに従ったまでだ。わざわざ手間かけて送り返してくれると言っているなら乗らない手はないだろう。以上が俺の理由だ。<支援者>の方は本人に聞いてくれ」
<勇者>の力は平和な世で振るうには大きすぎる。
そうでなくとも、他の世界の在り方に俺達が口出し手出しして良いわけがない。ましてや俺達が住んでいたのは、平和な上に恵まれた国だ。
常に命の危険に曝されているわけじゃなかった。子供は家がどんなに貧しくても、普通は勉強して中学校までは卒業出来たし、大抵は高校、更には大学にすら進学できた。家に帰れば十分な温かい食事がとれた。夜外出してもモンスターに襲われる心配はなかった。
こちらの世界は、少なくとも元の世界の日本より、残酷で厳しい世界だ。そんなところに、俺達が、俺とさくらはともかくとして、
というか俺に限って言うなら、あれだけ冷遇しといてどうして俺に助けを求めるだろうか、いや、求めないだろう。<勇者>いるし。というか手を出さないと言ったのは俺だけじゃないんだが。ということで内山に振る。
「内山さんはなんでだ?」
「基本的には神崎君の考えと一緒ですよ。<魔王>を倒すのに何年かかるのか、考えた事がありますか?その間当然私達は成長している筈です。精神的にも、肉体的にも。一方で元居た世界でも時間は流れているはずです。こちらの世界とあちらの世界の時間が、同じという保証はありません。浦島太郎レベルではないとしても、突然消えてその失踪年数に合わない成長をしたように見えたら、どう思われるでしょうか?」
「そもそも私達を私達だと認識してもらえるかどうかも怪しいと思います。まあDNA鑑定などもありますから大丈夫だとは思いますが、どう考えても不審者ですよ。正直に『異世界に召喚されて魔王と戦ってました』と言ったところで信じてもらえるでしょうか?」
「私としても彼等を助けたいですが、向こうの世界に戻った時の事、そしてあの竜の発言まで考えるなら、非常に心苦しいですが、ここで誘いに乗る方が良いと判断しました」
冷静な思考をありがとうございます!まあ普通なら倒した後の事も考えるよね?
「つまり俺達は、現実と未来を見据えた上でこの選択をした。あともう一つ、判断材料として付け加えておこう。目測だがな、あの竜──クトゥルフと名乗った水の単一属性竜だが、俺達異世界人よりはるかに強い。多分俺達があの強さに到達するには何年もかかる。騎士団長、一つお聞きしてもよろしいですか?」
「ああ、何だ?」
「この世界全体で、あのタイプ──単一属性の竜は何体いるんですか?」
「……あれを含めて五体だ。先に言っておくがそれらの上にも始祖竜と呼ばれる存在がいる」
あ、先読みしたなこの人。頭は良いようだ。
「ありがとうございます――さて、どう考えても現時点で<勇者>より強い竜が確実に六体いて、恐らくその全てが<勇者>の必要性を認めていないと考えていい。この状態で何か出来る事はあるのか?」
あるのか?いや、ない。綺麗な反語だなうん。
「あるさ!竜だって六体しかいないんだろう?それなら奴らが見落としそうな部分を俺達が補填すればいい!それこそあいつらが見捨てる人間たちを救うことが出来るかもしれないじゃないか!どうせ運命だ因果律だってのもあいつらの言い訳でそれらしいことを言っているだけだろ!」
因果律はどうか知らんが、運命は恐らく存在している。それの欠片を前回見ちゃったしな。まあ頑張れば変えられる程度のものでしかないが。それに竜種だって好きで見捨てているわけでもないし、言い訳なんてそれこそ有り得ないな。
まあでもそれを知らない
「何の騒ぎですか?」
「宰相閣下!」
あ、
「団長、説明してくれ」
「は、先ほど北に棲む竜種、氷帝竜が現れまして、始祖竜からの言伝に対する反応について、<勇者>様と<防衛者>様が揉めていました」
「揉めた?ふむ、言伝の内容を教えてくれ」
「氷帝竜は<勇者>様方こう言いました、『現在貴殿等の必要とされる事態は発生していない。よって送還魔法による元の世界への帰還を勧める。その際に必要であれば我らも力を貸そう』」
「なに?本当にそう言ったのか?」
「はい」
「……ちっ、余計な事を……それで、それに対する反応で揉めたというのは?」
うん?余計な事?どういうことだ?今のが聞こえたのは……俺と内山だけか。うーん……何か不穏な台詞。
「始祖竜の言伝、というか提案に、<勇者>様が反発しているとき、<防衛者>様がそれを受け入れ『今後一切この件について手出しをしない』とおっしゃり、それに<支援者>様が同調なさったことで<勇者>様と揉め事に……」
「<支援者>様が<防衛者>に同調したと?」
「はい、元の世界に帰還なさるときのことを心配しておいででした」
「そうか……<勇者>様」
「なんですか?」
「竜種は、魔王が出現した場合、魔王の手先と化します。なぜならば、竜種は魔王によって生み出される魔物だからです。そのため彼らはどうにかして<勇者>を排除しようとします。それに騙されてはいけません!」
「お、俺は竜の提案は撥ね退けました」
「……流石です、<勇者>様!」
おいおい、竜種が魔王の手先だ?有り得んな、あの誇り高き種族が誰かの手先になるもんか。“名づけ”した後ですら魔物と戦ってもらうのにどれだけ頼みこんだと思ってるんだ……ていうか竜種は全て始祖竜から、始祖竜は恐らく神と呼ばれる存在から、生まれている。ちなみに魔王になると生殖能力が無くなるのは前回確認済みだ。
何て意味不明な事を言いやがるこいつは……
「それに比べ<防衛者>はなぜ竜如きに……それになぜ<支援者>様は同調を……」
「<支援者>が<防衛者>に同調するのは当然だ。なぜなら<支援者>は<防衛者>の唯一のパーティーメンバーなのだから、<防衛者>の考えには可能な限り賛成するさ」
「それに私個人としても<防衛者>……神崎君の考えに賛成でしたので」
「内山さん!」
「何か、おかしなことがありましたか篠原君?」
「ええ。どうしてそいつの考えに賛成なんですか?」
「先程も言いましたけど、先の事を考えての事です。確かにここで人々を助け、魔王を倒すことは正義に適うことではあります。私としてもここで助けたいのは山々です。でもそのために私たちが一生を棒に振る覚悟をする必要はありますか?ましてや<勇者>は必要ないとこの世界の強者から言われているのです。なら帰還の誘いに乗るのが普通ではないでしょうか?」
「と、言うことだ。ついでに言うと、俺は自分の事を念頭に置いているからな」
「自分が良ければそれで良いのか!」
「当たり前だろう、最後まですべて信頼をおくことが出来るのは自分だけだ、戦場においては特に」
「だからって言ってそんな……見損なったぞ神崎!」
「それはこっちの台詞だ。全く……これじゃ始祖竜に言ったことは果たせそうにないな。わかったよ、お前らは好きなようにすればいい。俺も好きなようにやる。<支援者>、お前はまだあちら側にいろ、そっちの方が都合がいい」
「言われずとも」
やれやれ、説得は無理だなこれは。正義に酔っている、とでも言うべきか。全く、嫌だな、まるで昔の俺みたいだ。黒歴史思い出すから止めて欲しい。
というか何かこいつの台詞が全部どっかの小説っぽい。あれ?その論理でいくと俺これもしかして脇役か?
それも途中で主人公裏切って、最終的に和解するか殺されるかする奴。で内山が……巻き込まれてしまった悲劇のヒロイン?いやいやあいつはどう考えてもそんなキャラじゃなかろう、外見はともかく。
まあほら、最近のネット小説ってどっちかっていうと脇役系が下克上する話多いから……きっと大丈夫、いざというときの
以上です!
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