二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~ 作:クラリオン
まあ、今作の主人公は石橋を音響探査しながら渡る人ですので大丈夫なはず……
それでは、第十二話、どうぞ!
「結構遠いんだな」
「そうですね。生息する生物は、普通の生き物から魔物まで、毒を持つものが多く、
「そんなこと良く知ってるな……」
「実家にあった本に書いてありましたので」
昼前から馬車に揺られること数時間。時刻は既に午後三時ぐらいだろうか?俺達――俺と内山、近衛騎士団16名は、今『蜘蛛の巣』の入り口に居た。
「ここがいつも冒険者が入る場所?」
「はい、そうです」
「じゃあ行きましょうか。<防衛者>、障壁を」
「了解、<
総員18名を覆えるほどの大きさまで拡大。続いて<
4人一組で、俺と内山の四方を囲んで進む。守られているように見えるが、俺達が逃げることもできなさそうではある。しかもこの森、やたら深い。
昨夜練習したとおりに、<絶対障壁>と<周辺警戒>を発動したままに、<勇者>に変える。よし、上手くいった。<魔力探知>を発動。<周辺警戒>と重ね合わせる。現在地からさらに奥へ行った場所に、巨大な魔力反応。
周辺には同規模の魔力反応は無い。こいつが目標とみた。幸いなことに、このまま直進すれば辿り着くことができる。
そのまま、二時間ほどで目標付近に到達。戦闘自体は、至って単調なものだった。後衛の魔法担当への周辺からの攻撃を<
一方で定期的に毒液をまき散らされる前衛だが、直後に内山の範囲回復魔法で全快・解毒。その一方で攻撃力・速度上昇の<支援魔法>を乱発している。さらに回復の必要がなくなった後衛も、別口で支援系魔法や敵へ阻害系魔法をかけている。<支援魔法>は他の魔法と重複可能。なんだこれ。
結果として、千年前は、Bランクプラスと分類されていた昆虫系でも厄介な
……うん、ごめん、蜘蛛さん。賠償は……できないけど。すまん、運が悪かったと思っててください。
そんなわけで無事依頼された魔物の討伐には成功。討伐証明部位である毒腺を得るため、解体に移る。と言っても、俺は騎士団何人かと一緒に穴を掘り、内山は見てるだけ。解体は騎士団員がやってくれた。なぜ穴を掘るのか、というと、これは大きい魔物ではよくやることだが、魔物の死体は餌になる。特に今回のは
というわけで穴掘り終了。深さ一メートル、直径五メートルほどの円柱型。解体してばら撒いて燃やすにはちょうど良いくらいの大きさ。
「解体終わったぞ!」
「穴掘り終わってます!投げ込んでください!」
毒腺以外の部分が放り込まれていく。軽くグロ画像。蜘蛛だしな。
着火は後衛の1人が火魔法で。完全なるグロ描写なので詳細は割愛するが、臭いが……うん、ヤバかった。騎士団の皆様も非常に顔色悪かったですね、はい。死体は見慣れても焼ける臭いは……
鎮火するまで30分。予め解体して正解だったと思う。あとは穴を埋めてここを立ち去るだけである。そばに突き刺さったスコップを手に取ったところで。
後ろから何か
背中から殺気を感じ、前に飛んで後ろを振り向くと、まさに今、目の前を剣が通り過ぎたところだった。
そしてその向こうに見える、首を失い崩れ落ちる肉体。
その肉体に
「おい!一体何を!」
「悪いな<防衛者>、貴様にはここで死んでもらう」
「くそったれが!そんな簡単に死んでたまるかよ!」
「ふん、女は既に殺した。回復もできない状態で、我々に勝てると思っているのかガキが」
「誰の指示だ!」
「そんなこと関係ない……と言うところだが、冥土の土産に教えてやるよ、宰相閣下だ。わかったら大人しく死んでくれ、我々のために」
そういって地を蹴って向かってくる騎士の攻撃を防ごうと、<絶対障壁>を起動しようとした瞬間に、視界が回った。いや、視界が跳ねた、上に。そして、最後に見た光景は、
(しくじった……!戦闘終了時点で<絶対防壁>を解くんじゃなかった……
その思考を最後に、俺の意識は闇へと消えた。
「よくやった」
付随していた騎士団の小隊長が声をかける。今日の彼らの本来の任務に一区切りついたのだ。
「処理を急げ」
黒ずくめの男も手伝い、首一つと、体二つを穴に放り込む。黒ずくめの男は、宰相子飼いの情報収集係、ゴルトニア家の隠密。ここにいる騎士団員もまた、
「……どういう、ことですか、隊長?」
「あ?」
「<防衛者>様と……<支援者>様をも……殺す……なんて」
「なんだ、文句でもあるのか?黙って従え、昇進出来るんだ、悪い事じゃなかろう」
「ですが!彼等はまだ子供な上にこの世界の人間ですらないのですよ?!それをこちらの勝手で殺すなんて!」
「だからだよ、この世界の人間
「ですが……!」
「ああ、もう良い。お前も
「え…?」
そう言って隊長はその騎士団員の首を刎ねた。
「戦闘中に勇敢なる騎士団員が1名
穴の中に、騎士団員一人の死体が加わった。穴が完全に埋まったところで、地面をならし、不自然にならないように魔法で下草を生やす。30分もしないうちに、そこに穴があったとは誰も気づかないレベルになっていた。
「よし、行くぞ」
既に日は沈み、代わって月が空を照らす。
そんな彼等を。月と、魔力が集合したナニカがじっと見ていた。
『HPの全損を確認。<聖剣・
『HPの全損を確認。スキル<
あ、死んじまった。うわあ、どうしよう!(棒)
というわけで第十二話です。本文中では触れていませんが、最初の方、防衛者と話している騎士が、殺された騎士でもあります。
今後の予定…というほどでもありませんが、一応次は、クラスメイト&王都の閑話を挟む予定です。