二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~ 作:クラリオン
ああ、一回殺されたね、で?()by神崎
というわけで、第十三話、どうぞ!
第十三話 目指す場所は
深夜。
王都から馬車で4時間、騎馬なら1時間程度の場所にある、『蜘蛛の巣』と呼ばれる深い森。蟲系の魔物が多く存在するその森林の深く。この森の主、ギガントポイズンスパイダーが巣を張っていた、何の変哲もない開けた平地。
「だぁーもう!窒息死するとこだったじゃねえか!」
まさか死体を埋めるとはね。いやてっきり魔物の餌にでもなるように放置かと思ったんだが。とりあえず体を確認。
傷は無い。服は……何か鎧になって……ああ、聖鎧か。
<聖鎧・シンファギス>。<勇者>として前線で戦うときに装着する鎧。分類的には<聖剣>なんかと同じ、魂に結ばれた武具。防御力・耐久力でこれに勝る防具は、恐らく同等の<聖鎧>のみだろうな。
さて、これがあるならば当然腰には。
「ああ、やっぱり<
俺より蘇生に少し時間はかかるとはいえ、もうそろそろ目覚めるはずだ。流石に内山に
土を掘り起こしていく。<魔力探知>で<
「ああ、居た居た。よっこらせ、っと」
<土魔法>で、内山の上に被さっていた土をどける。こいつの服は……前のまま、つまり学校の制服のままだな。服及び体共に外傷無し。上手く発動してくれたようだ。
とりあえず<空間収納>から前回から引き継いだ布を取り出し、地面に敷いて、内山をそこに寝かせる。
「さて、こっちどうしようか?」
内山を掘り起こすために退けた土の塊。その中から出てきた、1人の女性騎士の遺体。首と胴体が完全に分断されている他、遺体の扱いが悪かったのだろう、腕や足の骨、肋骨まで折れている。
「どうしたものかね」
場所と遺体の状態、付けている鎧から考えて彼女は近衛騎士団の一人、って、この人、
「行きの馬車でいろいろ教えてくれた人じゃん」
ふむ、とりあえず放置の方向で。とは言え、このまま森で朽ち果てるに任せるのは、女性の遺体の扱いとしてどうかと思うので、もう1枚布を出し、それに首と胴体を生きていた時同様に置く。そして<治癒魔法>で遺体の損壊を治したり、首と胴体をつなげたりする。最後に腐敗しないように<時間魔法>で遺体の時を止める。
「<
「──何やってんのよアンタ」
「うわぁっ!……何だ内山か。蘇生したんなら声かけてくれりゃ良いのに」
「女性の遺体掘り起こして、布の上に寝かせて傷まで治して、時間止めて何するつもりだったのよ。どう考えても不審者じゃない。顔見知りとはいえ躊躇うわよ」
「流石に女性の遺体を朽ちるに任せて放置じゃ心が痛むからこの後をお前と相談する予定だったんだよ!」
「何だ、てっきりオモチャにでもするのかと思ったわ」
「お前のその発想が怖いわ……仮にも女子だろお前」
「何か文句でもおありでしょうか<勇者>様?」
「……もういいや。で、こいつどうする?」
「あなたの事だからどうせ
「それもそうか。<
<警戒地点設置>の機能の一つ、<記録再生>。いわば監視カメラの映像を、頭の中で確認する感じである。そして<思考投影>。考えていることや、この場合は映像を、外部に魔力で構成した幕に映し出すもの。魔法ってまじ便利。
「──へえ、なかなか上手く芝居打ったのね」
「あのタイミングで仕掛けるとは予想しなかったけどな」
「で、こっからが問題?」
「そうそうこいつが何で殺されたのかっていう」
『──どういう、ことですか、隊長?』
『あ?』
『<防衛者>様と……<支援者>様をも……殺す……なんて』
『なんだ、文句でもあるのか?黙って従え、昇進出来るんだ、悪い事じゃなかろう』
『ですが!彼等は未成年な上にこの世界の人間ですらないのですよ?!それをこちらの勝手で殺すなんて!』
『だからだよ、この世界の人間じゃないから気軽に殺せるんじゃないか。バレないからな。いくらこちらが一方的に召喚したからと言って、こちら側の都合にもある程度従ってもらわねばならん』
『ですが……!』
『ああ、もう良い。お前も
『え…?』
「──あきれた。仲間内ですら意思統一できてないのかしら」
「で、どうする?見た感じ、アレの仲間でもなさそうだし、巻き込まれただけっぽいけど?」
「うーん……蘇生して、様子見て場合によっては殺す?」
「ひでえなお前!」
「だって敵対したら元も子もないし……まあ、そうね、万一の場合はダルマに」
「なんでお前そんな言葉知ってるんだよ!ていうかお前それ殺すよりひど……くないのか」
「ええ、手足なくすくらいなら治るわよ」
この世界には<治癒魔法>がある。手足の欠損程度であれば、騎士団所属員なら騎士団専属の治癒師に治療を……って待て。
「なあ、こいつさ、もしかしなくても、殉職って報告されて……ちょっと待ってろ」
もう一度、さっきの映像を映す。先ほどの首刎ねシーンの後。
『戦闘中に勇敢なる騎士団員が1名殉職。以上だ、急げ、穴を埋めるぞ』
「──ビンゴ。もしかしなくても死んだことにされてら。どうする?埋めてく?火葬する?」
「──蘇生させて連れていきましょう。ちょっとこのまま放置は色々と私も心が痛むから」
「珍しいな。お前が人を積極的に拾おうとするのは」
「一応<聖女>ですし?戦いの事しか頭にない人間とずっと二人だけで旅するのも苦労しそうだし、女子の連れがいた方が楽しいかなと」
「何かすっごいディスられてる気がするのは置いておいて、じゃあ蘇生かけるんだな?」
「ええ──<
詠唱も何もなく、一発で、しかも回復系最上位に当たる<蘇生魔法>の最奥義を発動させるあたり流石<聖女>なだけのことはある。
「──ッゲホッ!え?私生きて、ゲホッ、生きてる?」
「成功」
「<聖女>だから出来て当然」
「貴方達は……ひぃっ?!」
「おう、正気に戻ったっぽいな。気分はどう?」
「え?何で?さっき殺され……そういえば私も……あれ?」
「あー、うん。まあ確かに殺されたな、俺もお前もこいつも」
「え?でも生きて……」
「蘇生させたからな、そりゃ生きてるさ」
「じゃ、じゃあ私今アンデッド……?」
「いや?いたって普通の人間……だな。変な称号は増えてるかもしれねえが」
「啓斗、ちゃんと、順番を踏んで、納得できるように説明しなさい。貴方の説明ではこの人が混乱するだけだわ」
「わかった、じゃあ全部お前に任す!」
「はぁ……ええと、落ち着いて聞いてくださる?」
「え、ええ」
「では説明します。まず一つ目、私たちは全員一度死んでいます」
「え?でも今生きて……」
「生き返りました、蘇生しました。私と貴女は魔法で、コレは別件で」
<蘇生魔法>。さて、千年前はそこそこ有名な魔法だったが、現代ではどうなのか?いや内山なら知ってるか。
「魔法ってまさか……でもあれは伝説上の」
「ええ、まさしくそれですね。行使したのは私、対象は私自身と貴女です」
「自分自身、に?」
「ええ、まあ少しコツが必要ですが。さて、ここまでお話した中では更なる質問は無い、と思います」
「は、はい」
「とはいえ、一つ大きな疑問がありますね、私たちが何者なのか」
「魔族……とかじゃないです、よ、ね?」
「人間ですよ?ああ、コレは人間辞めてますけれど」
だから人をコレ呼ばわりしてんじゃねえ。
「じゃあ何でその……」
「伝説の魔法を扱えるか、ですね。私が創った魔法だからです」
<再生魔法>から精神系の魔法を統合して発展した<蘇生魔法>を創り出したのは、紛れもなくこいつだ。かなりふとした思いつきだったように思うがそれはさておき。
「創ったってじゃあ、まさか、いや、でも……」
「初めまして、初代<聖女>サクラ・ウチヤマこと今代<支援者>の内山さくらです。そして
と言って俺を指さす。まじで、せめて人扱いしてほしいものだ。
「初代<勇者>ケイト・カンザキこと今代<防衛者>の神崎啓斗だ、よろしくな」
直後、鼓膜が破れるほどの大きな
「えぇーーーーーーーーーー?!」
という声が森に響いた。やかましいから静かにしてくれ。
「さて、説明も済んだことだ。次は、とりあえずの目的地を決めなくてはな。そこの騎士、家に帰りたいか?」
「いえ、元々家はあまり……」
「そうか、では俺達に付いて来てもらっていいだろうか?」
「は、はい!<勇者>様と<聖女>様に是非お供させてください!」
「あーその、<勇者>と<聖女>ってのは人前では止めてくれ。<防衛者>とか<支援者>もな。俺達は君を含め死んだことになっているし、俺と内山にとってはその方が都合も良い。名前で呼んでくれ。俺は啓斗、もしくはケイ。こっちはさくらで」
「あ、では私はセレスティア・リベオールと言いますので、セレスとお呼びください」
「あー、うん、わかった。あとできれば敬語なしで。年齢は?」
「啓斗、女性に年齢を聞くべきではないって、習わなかった?」
「え、と、17です」
「同い年だな。よし、互いに敬語なしでいこう!よろしくなセレス」
「はぁ……あらためましてよろしくねセレス。この馬鹿はむかついたら殴っていいから」
「そんな恐れ多いことできませんよ……あ、それで、え、と、ケイとさくらはどこに行き……行くの?」
「最終的には魔族領かな。ひとまず南端結合点を目指す予定」
「ええ?!魔族領?!」
「顔見知りがいる筈なんでな。では行こうか。南を目指して!」
全く動いていない件。
すいません次は動くので!
それでは感想質問批評等お待ちしております!