二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~ 作:クラリオン
<防衛者>代理として今回の大戦に介入する事にした主人公。今代<勇者>組とは、三度目の邂逅。
それでは第四十五話、どうぞ!
「……お疲れ様、今代」
「やはり初代<勇者>だったか……何をしに?」
「お前達の仲間の代理だ。一時的にだが<防衛者>となった。全く、神も面倒な事を押し付けるものだ」
「<防衛者>の代理?」
「疑うなら<鑑定>を掛けてみろ」
既に職業は<防衛者>に変えてある。あと名前も弄ってあるがな。
「……<鑑定>……本当だ、おい勇人、こいつ職業が<防衛者>だ」
「なんだって?」
「言った通りだろう?<聖剣>も持ってはいるが、今のところはただの剣でしかない」
「……何のためです?」
「言っただろう、神の命令だ。<防衛者>が死んだ今、<勇者>や人族を確実には守り切れなくなってしまった。<勇者>が一人でも欠けてしまっては、<魔王>戦に支障が出る、と」
面倒な事は全て神のせい。実際間違いではない。
「お前達が、守られなくてもいい程成長したら、俺は居なくなる」
「……それは一体どのくらい」
「知らん。神に聞け。俺にわかるのはその程度だ」
「……最後に一つ、聞きたいことがあります」
「なんだ」
「<防衛者>の役割とは何ですか?」
「<防衛者>の役割は、<勇者>とその仲間、そしてその拠点を魔族から防衛すること。そして場合によっては<勇者>に立ち向かう事だ」
「……<勇者>に立ち向かう?」
「……詳しいことは後で全員に話すべきだ。今はとりあえず、後始末をしよう」
「は、はい、そうですね」
「ああ、あと一つ」
「なんです?」
「敬語を使う必要は無い」
片付け面倒だ、おい魔族、襲来するときは後片付けもしていけよ。
等と無茶な事を考えながら、戦闘の後片付けを行う。
といってもまあ、実はたいしたことではない。王国魔導師部隊や王城魔導師の方々に、土属性の魔法を行使してもらうだけである。当然ながらこの世界に鉄筋コンクリートなどという物はなく、基本的に建築物の材料は土か石だ。
だから魔法の直撃で崩壊しようが粉々になろうが、魔法で硬化・修復するのは容易い。
実際に俺のすぐ目の前では<傀儡術師>の……加藤だっけか、が訓練場の壁を修復しているし、ちょっと離れたところでは<魔導師>や<魔導士>が王城の壁を修復している。
今回、魔族は、目標を王城に限定して襲来したらしく、王都には一切の被害が無かった。うんうん、良く分かってるじゃないか。
なんて言ってみたが、まあ多分今回の襲撃は威力偵察のようなものだろう。<勇者>の戦力を測るための。
しかしそれにしては随分とステータスが低かったような気がするが……威力偵察ならもうちょい強い奴の方が良かったはずだ。<勇者>召喚の話は伝わっているはずだが……<勇者>の成長度合いを読み間違えたのか?調べてみよう。魔族の遺体は確か訓練場の外に……あれか。
生命反応なし、間違いなく死んでる。遅延発動型の魔法も無し。
さーて、んじゃとりあえず色々調べていきましょう。死んで居る以上ステータスは開けないけど、まあ一回見たからわかるし。
死んでるから物として扱われる。まあかえってそっちの方が調べるのは楽だったりするんだな。
「<鑑定>」
──────────────────────
物品名:魔族(男)の死体 状態:良好
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死んでるのに状態:良好てのは何か違う気がするが……。さて、ここからどう調べるかなんだが、まず物品名をタップする。すると
──────────────────────
物品名:魔族(男)の死体 状態:良好
構成物:魔族軍戦闘服(強襲用)
魔法袋
魔眼(洗脳)
肉体(魔族)
──────────────────────
こんな感じになる。
基本的に、普通の人族だったりすれば、衣服(上下)と肉体(人族)で終わる欄。武装解除されてるから杖だとか剣だとかが無いのは良いとして。
「なるほどね、洗脳の魔眼持ちか。これ俺居なかったらそこそこヤバかったんじゃないか?」
まあ目を合わせないと効果は出ないから、危機一髪、というほどでもないだろうが。
「魔眼持ちならステータスも納得だな。そこそこガチ編成の強襲型の偵察部隊だな……とはいえこいつを捨て駒に送り込めるんなら、本陣も面倒くさそうだな」
本陣には、これより強い魔眼持ちがぞろぞろ居ると考えて良いだろう。基本魔眼持ちは貴重戦力のはずだから。
ああ、そうだ。
「魔法袋の中身はどんなもんだろ」
大したものは入ってなさそうだな。予備の剣や食料、それに魔石を数個……これは多分魔物の核石だな。うわあマジで大した物入ってない。人族領で手に入る物ばっかりだ。偽装系の魔道具とかもあっただろうがそっちは多分騎士団が回収してるんだろうな。
大した収穫無かったな、服装の名前とか魔眼の存在から俺の予想が的中したってことくらいか。
「さてと」
後は……ああ、<勇者>と話さなきゃいけないんだっけ、面倒な。まあ顔も声も変えてるおかげで身バレはしないだろうからその点については気が楽だな。
「……探したぞ<防衛者>、一体どこに行っていたんだ?」
「魔族の死体を調べていた。何かわかれば良いと思ってな」
「何かあったか?」
「大したものは無かった。せいぜい隊長格だったらしい男が魔眼持ちと判明したくらいだ」
「魔眼持ちってなんだ?」
「……まさか魔眼を知らないのか?」
「……ああ」
「魔眼、とは、まあ一種の先天性の眼の疾患に近い物だ。目を合わせた者に対し、何かしらの作用を持つ。対象に良い作用ではないから邪眼と呼ばれることもあるな。一番有名なのはバジリスクの石化の魔眼か」
「その魔眼とやらを魔族が持っていたと?」
「そうだ。あの魔族の魔眼の効果は洗脳だった。目を合わせることで、相手を徐々に洗脳できる効果を持つ」
「何度か目は合ったが……」
「時間としては一瞬に近かっただろう?レベル差が小さいなら洗脳は少しずつしか進まない。俺が合流してからは障壁も張っていた。相手が悪すぎたな」
「そうか」
「で、俺を探していたらしいが、何か用でも?」
「ああ、さっき詳しい話はあとでとか言っていただろう、それをお願いできないかと思って」
「構わないが、そこそこ長くかかる。この後の予定に支障は?」
「いや、今日は訓練も終わりだ。講義も無いらしい。今からだと……そうだな五時間ほどはあるはずだ」
「……十分だ。では<勇者>達だけ、誰も居ない、誰に聞かれる心配もないような場所に集めてくれ」
まあ軽く自己紹介して、ここに至る経緯を軽くねつ造しつつ話すだけなんだが。
「……ここで良いか?」
十分後、篠原に連れて来られたのは、王城の<勇者>に割り当てられた大部屋の一つだった。恐らく問題は無いとは思う。
「ちょっと待て……問題ない。全員揃っているか?」
念のために<魔力感知>を使う。盗聴されている可能性もあるからだ。幸いにして魔力反応はなく、さらに念を入れて<
「ああ、ここに居るのは<勇者>だけだ」
「なら良い」
「おい勇人、何でそいつがそこにいるんだ!」
「なんでそいつを野放しにするんだ!捕まえて牢に入れるべきだろ!」
……やかましいな。この中で喋らなきゃいけないの?
まあ、いっか。さて、では自己紹介といきましょう。シンファギスを外す。
「──さて、今代<勇者>諸君。俺の事は既に知っていると思うが、一応改めて自己紹介させていただく。俺の名前はケイ・クニサキ。まあ普通の呼び方で言うなら、国崎啓と言う。今の俺は、先代<勇者>ではない。臨時的に今代<防衛者>としてしばらくの間、諸君と共に行動することになるだろう」
「色々言いたいことや文句はいくらでもあると思うが、そこら辺は後でいくらでも言いに来ると良い。まずは俺の話を聞いてもらおう。俺がなぜここに居るのか、<防衛者>とは何なのか、<防衛者>の存在意義は何なのかについて」
俺がこう言うと、一気に部屋が静まり返った。
国崎啓……名字は<防衛者>国崎春馬から、名前は1字削っただけですね。
以上です。
それでは、感想批評質問等お待ちしております。