二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

63 / 108
初代勇者は語る、勇者の双肩にかかる物の重さを。
初代勇者は騙る、世界の真実を。



とか書いてみたり。最初は、語る、だけだったんですけど、途中から、騙る、も入ってるなとか思いまして。

※そこそこ長いあとがき注意です。

そんなこんなでとうとう五十話です。どうぞ!


第五十話  第二回防衛戦・夜の部

 

昼戦直後の夜襲。かなりベタな作戦だが、効果があるからこそ使われ続けるのだろう。

 

とはいえ、少々お粗末過ぎる気がする。時間帯は早過ぎるし、戦力も一人だけ。いくら夜で、先手を取れるといっても<勇者>を相手にするには少ない。

 

 

と、なると考えられる仮説は二つ。

 

一つは、昼の部隊が全滅したのでなりふり構わず分の悪い賭けを行っている。

 

もう一つは、前者同様の理由、ただし作戦が異なる。王城に少数の部隊を向けることで<勇者>を足止めし、残りの部隊で街を襲う、陽動作戦。

 

 

うん、後者の可能性が高いな。前者だと逆に何で一人残ってるのかが分からない。無論本国との連絡担当として残された可能性が無いわけではないが……

 

まあ常に最悪の状況は想定して動くべきだろう。こいつは<勇者>を引き付けるための囮、本命は町の襲撃。それが今あり得る想定の可能性の中で最悪の状況。

 

この場合、囮はある程度<勇者>を引き付ける必要がある。よってそこそこの戦力のある者。しかも手練れである方が良い。

 

 

ふむ、ここは逆にこいつを放っておいて先に町の方を見てもらう方が良いか?コイツに時間取られて街がやられるというのはあまり<勇者>的にも、王国的にもよろしくないだろう。俺?俺個人的には別にどうでも良いかなって。ただ今のところ俺は<防衛者>だからね、<勇者>サイドの思考をしなきゃいけないんだよ。

 

 

と、頭の中で、良く分からない誰かに言い訳をしながら、<神楯>を維持する。単発火力はそこそこ程度のようだが、手数が多いなあ。てか<勇者>まだ?

 

 

 

「国崎!」

 

「……来たか」

 

「すまない。遅くなった」

 

 

 

全くだよ。とはおくびにも出さず。

 

 

 

「いや、良い。ところでここ以外に魔族の襲撃は?」

 

「街の方で目撃情報がついさっき」

 

「そっちが本命だ、多分な。どうする<勇者>?」

 

「どうする、とは?」

 

「アレを俺が拘束し、お前達は街に行くか、こいつをとっとと倒して俺含めて街に行くか、だ」

 

 

 

俺を連れていくことにより、到着後から減る被害と、こいつと戦う時間分増える被害でプラマイゼロくらい。だから二つの選択肢に恐らく大した違いは無いと思う。なら後はコイツの判断に任せる。

 

 

 

「……こいつを任せていいか、国崎。クラスメイトも何人か置いて行くから」

 

 

 

そっちか。まあ早く助けに入れるのはそっちだしな。重傷者が居るとするなら、遅れればその分死者が増えるだろうし。早めに交戦状態に入れば街への被害も少なく済む……あれこれが最善の選択肢じゃね?

 

 

 

何人か置いて行くのは、多分戦闘に向かず、かつ支援系職業でない者だろう。例えば<巫女>とか。あとは知らん。

 

 

 

「構わない、決まったのなら動け」

 

「すまない、行ってくる」

 

 

 

さてと、じゃあ拘束、してみるか?

 

 

 

「<絶対障壁(バリア)>」

 

 

 

神楯(イージス)>を展開したまま、魔族の周囲に<絶対障壁>を()()()()張る。つまり外からの攻撃は通るが、中からは通らない。

 

 

 

「<迎撃(インターセプト)>」

 

 

 

障壁を張られたことに気づき、周りに魔法を放ち始めたところで、新たにスキルを使う。一撃喰らえば、後は確実に全ての攻撃を迎撃できる、<絶対障壁・迎撃>。この時、攻撃を受ける判定は障壁全体。つまり、魔法だけでなく、例えば障壁を蹴ったり殴ったりしようとすると、その前に無属性魔力弾に襲われる。おまけに、魔法も放たれるとほぼ同時に迎撃されるから、近距離での魔力爆発によるダメージも入る。

 

 

つまり、この中に閉じ込められた場合、取り敢えず自爆で被害を負わない方法はただ一つ。障壁に触れないよう、ただじっとして球状障壁の中心で大人しく浮かび続ける事だけである。しかし、こちらからの攻撃は通るので、結局無傷では済まない。我が魔法ながらえげつない。

 

 

逃げるなら<魔王>クラスの力量と魔力量が必要。<迎撃>が追い付かない程の速度で、微妙にタイミングをずらしながら、高火力魔法を連発しなきゃいけない。もしくは障壁そのものを構成する魔力の数千倍の魔力量で、迎撃も障壁も力任せにぶち破るか。

 

硬き壁(ハードウォール)>を併用すれば、まず逃げる事なんてできない檻が完成する。

 

これ自爆系スキルとかと相性よさそうだよね、持ってないけど。威力を閉じ込めて相手を確実に巻き添えにする。

 

 

さて、一応これで任された仕事はほぼ終わったようなものである。あとは魔力を補充しつつ障壁を維持し続け、<勇者>を待つだけ……いや、<勇者>である必要は無いな。別に軍の魔導師でも十分なくらいだ。離れたところから、攻撃を受ける心配もなくボコるだけだし。

 

俺自身は<神楯>で鉄壁防御なので、万が一の<勇者>を撒いた魔族の援軍も気にしなくていい。外からの攻撃では障壁は破れない。そりゃそうだな、本来内側からの攻撃を通し、外の攻撃を防ぐ障壁を表裏反転させてるんだから。外から撃ったらそれが魔族側の攻撃だろうと障壁を透過し中にいる魔族に当たる、かもしれない。外せば<迎撃>が作動して対消滅、爆発のダメージは……あ、これどう足掻いてもダメージあるな。

 

 

 

「……魔族をあんなに簡単に」

 

「当然。<防衛者>は受け身型の戦闘においては特に<勇者>と互角以上の戦力を持つ職業だと説明しただろう」

 

 

 

正確には同時期の<勇者>パーティー前衛組全体と、互角以上に張り合えなくてはならない。ならあの程度の魔族は手玉にとれなくては話にならない。

 

 

 

「……ねえ、あれって、もしかして障壁を内側に向けて展開させてる?」

 

「そうだ。あの球体の中からの攻撃を全て受け止める──迎撃できるようにしてある」

 

「それって……」

 

「何か?」

 

「神崎が死んだ時の……」

 

 

 

俺生きてr……違うってね知ってる。嘘の死因か。

 

 

 

「今代<防衛者>が死んだ時?」

 

「そう。魔族相手に大立ち回りを演じた挙げ句、障壁を内向きに展開して魔族を拘束し続けて、最期は魔族の自爆に巻き込まれたんじゃないかって」

 

 

 

そりゃまた随分アグレッシブと言うかアクティブな<防衛者>だな。誰だ後衛職に零距離肉弾戦させたの。

 

 

 

「内向き障壁に魔族の自爆、か……」

 

 

 

自爆系スキルは俺も二つしか知らない。光属性第七位階<最期ノ煌>と闇属性第七位階<圧爆>。仕組みは共通で、自分の魔力を圧縮し、一気に解放する。

 

成程、<迎撃>までなくとも<絶対障壁>を内向きドーム状に形成すれば、自爆の威力が根こそぎ中にかかる。想定されている中級魔族の、満タンではないであろう魔力量じゃ<絶対障壁>は破れない。音と光は外にも出るだろうが、熱とか爆風は完全に閉じ込められる。

 

流石に<防衛者>が物魔防御特化と言っても至近距離で自爆されたら一撃で吹っ飛ぶ。ステータスのHPは耐えても零距離の爆発に肉体が耐えきれない。んで全てが終われば術者死亡により<絶対障壁>は自然解除。相手魔族のレベルが低く、人族に殺されたわけでもないので特殊スキル(即死カウンター)<審判ノ日>(核兵器)も発動しない、と。

 

 

何だ結構辻褄あってんだな。当然彼等が<防衛魔法><報復魔法>について詳しく知ってるわけじゃないのに。まあ障壁系使うって分かってるなら、その程度の虚偽事項を組む事は出来るか。

 

とか思っていたら、先ほどまで魔法を乱射し続けていた魔族が、今度は魔力を集中させ始めた。あ、これは。

 

思った瞬間に<絶対障壁>に供給していた魔力を一時的に増量する。

 

直後障壁内に閃光が煌めき、一瞬遅れて轟音が響いた。隣の<巫女>その他が悲鳴を挙げながらしゃがみこむ。あーあ、やっちゃったか。

 

先程までの魔力反応が無くなったのを確認し、障壁を解く。

 

 

 

自爆だ。闇属性第七位階<圧爆>。

 

 

 

「……魔族は?」

 

 

 

いち早く復帰したらしい石縄が聞いてきた。

 

 

 

「死んだ。自爆だ。跡形もなく吹き飛んでいる。何も残っちゃ……いや、待て」

 

 

 

何か落ちてきた。紙か?足元に落ちたそれを拾い上げ、城の魔力灯で照らす。

 

 

 

写真だった。魔族の女性と、その腕に抱かれた子供。裏返せば魔族語で何かを走り書きしてある。

 

 

ああ、成程。家族写真と走り書きのメッセージ。

 

 

言い方は悪いがテンプレね。これは<勇者>達には、見せるべき……だろうなあ。

 

 

 

「何かあった?」

 

 

「ああ」

 

 

 

多分物凄く後味悪くなる物が。

 

 

 

 

 

 

 




以上です!

<絶対障壁・迎撃>は<神楯>に統合されてしまっているので、単体で(最初から<絶対障壁・迎撃>として)は発動できませんが、<絶対障壁>を一度発動してからなら、派生の形で発動できます。スキル発動の手間とか考えられた結果なんですが……
面倒?自分もそう思います(おい)。



さて、何だかんだで、本作もとうとう本編で五十話、設定と旧第一話を投稿し一年が経とうとしています。最初は本当に思い付きの走り書き。そのせい(と主に作者のとーふメンタルのせい)で途中で頓挫したのを練り直し、継ぎ足し継ぎ足し、感想に励まされながら、まともな小説目指して進んできました。

少しは読みごたえある作品に出来ていると良いなと思います。
今のところ、王道を所々外しながら進んでいる主人公たちです。今後とも彼等の旅路を、主人公曰く千年前の清算を、暖かく見守っていただければ幸いです。

最後になりましたが、感想を下さる読者様、評価して下さる読者様、いつもありがとうございます。
そして今後とも本作品をよろしくお願いいたします。

質問感想批評等、お待ちしております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。