二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~ 作:クラリオン
今回は、今代<巫女>視点が存在します。
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これ以降は<巫女>視点です。
それでは第五十三話です。
「では説明を始める」
「あ、うん」
「俺が石縄に付与するスキルは、四つだ。<
今の<巫女>にその例えは馬鹿だった。
「済まない……だが、一度使えばわかるはずだ、どれも初級スキルだからな。というわけでとりあえず一度全て付与し、使ってもらおうと思う」
とにもかくにも、一度使ってもらえば確実に使えるようになるのがこの<防衛魔法>の良い所である。イメージしやすい、特に現代人にとっては。ほら、マップとかゲームで良くあるし、障壁系は小学生の常識破りの超防御「バリア」まんまだし。
「では行くぞ──<
一気に四つはキツい。何がって詠唱が。これでも短い方だとは知っているんだが……
「発動する時の詠唱は『防衛業務委託+スキル名』で良い。それだけで発動できる。まずは……<周辺警戒>からだな」
「えーっと……<防衛業務委託・周辺警戒>!」
さあどうだ。
「な、なにこれ!なんか頭の中に!」
あ、いきなりレベル5はきつかっただろうか……表示範囲はおおよそ王城全体、情報は敵味方中立の色分けくらいなんだけど……慣れてなきゃキツイかな……?
「大丈夫か?無理そうだったら一度止めていいぞ」
「……大丈夫、どうにか」
「<警戒地点設置>は?」
「<防衛業務委託・警戒地点設置>……あれ?……ああ、うわ、何かものすごく変な気分……」
「だろうな」
<警戒地点>とそのまま繋いでいれば、脳内には自分の頭からだけでなく、設置した警戒地点からの情報も入ってくる。前衛及び万が一の男手には任せられないわけだ。
「このスキルは、監視カメラのような使い方が可能だ。<周辺警戒>では届かない場所、街や城壁の外で、発動すればそこに警戒地点を置くことが出来る。意識を外すよう意識すれば、そっちからの情報は入らなくなるが、遠距離偵察的使い方をするなら、それはあまりお勧めできないな。ま、好きなように使ってくれ、使わないのも手だ」
このスキルがきっと一番面倒だ。すぐに使えるし、変な苦痛も無い。ただ視界が複数あるとかいう気持ち悪さはあるかもしれない。ただ、それのオンオフが難しい。慣れれば恐ろしい程使い勝手のいいスキルと化す。
「あとは障壁系だが……<神楯>と<絶対障壁>」
「<防衛業務委託・神楯>!……あれ?」
まあ見た目で変化もないパッシヴスキルだからな。
「ちょっとそのままにしとけよ、『勇者は永久に孤独なりて、世界に平穏をもたらす者なり』<
神剣を召喚。<勇者>に縛られないからありがたいよなこれ。そのまま軽く……あ、スキル使えないじゃん。とりあえず適当に斬りつける、すると。
「きゃあ!……え?斬られて、ない?」
振り下ろした剣は、青色の魔力弾に防がれていた。剣を上げ、再び収納する。そう言えばこれってどういう仕組みなの?
「まあこんなふうに、剣も魔法も全て迎撃できる。俺のレベルだと一度に迎え撃てる数は……40か」
<神楯>がいつの間にかレベルアップしていた。何で?!
「40までの攻撃は全て無力化できる。<周辺警戒>とかと組み合わせれば見た目それ以上の効果があるが……まあそこまでは求めない。このスキルは基本常時発動しておくのを勧める。魔力消費は少ないのに、死角からだろうと異次元からだろうと全て防げるからな」
十中八九<システム>のバックアップがあると考えていい。壁の向こうでも感知不可結界の向こうでも次元超えても監視できるって何それチート。少なくとも迎撃行動発動する以外の消費魔力じゃそんなの不可能だ。
神でもない限りは。
「注意としては、意識することで護る対象を広げることは出来る。だが、基本中心は自分だ。だから用途としては後衛の護衛になる」
「じゃあ常に後衛の近くに?」
「そうだ、前衛についてはもう一つ……<絶対障壁>で解決できるからな。発動してみてくれ」
「<防衛業務委託・絶対障壁>。あ、これって」
「そうだ。この前見せた奴だな」
<防衛者>の化け物じみた防御値がそのままのっかる、最初にして最強の<防衛魔法>スキル。特にその万能性がヤバい。全ての魔法・物理による干渉を通さない障壁。
そして、これを基本として、設定を変える事が出来る。例えば精神干渉防御に特化させるとか、その逆とか。込める魔力を増やせばその分厚くなり、耐久力も上がる。障壁の形も自由自在。
ちなみに物理攻撃・通常型魔法攻撃に対抗する場合は、青く色付くが、精神干渉系に対抗する場合は無色透明となる。
そして、防御対象を自分以外、あるいは複数指定が可能である。
この魔法程、『魔法は想像力によって変わる』という言葉が当てはまる魔法は無いだろう。
基本的になんでもできてしまうのがこのスキルなのだ。単純ゆえに応用が利く。
「そのスキルは基本的になんでもアリだ。とは言え、今回は時間が無い。前衛を防御対象にこれを張る事を覚えてくれ」
と言っても、本当にこのスキルは、思考・想像するだけで終わる。
「さしあたって俺を対象に張ってみてくれ」
「えっと……<防衛業務委託・絶対障壁>」
次の瞬間、俺が青い障壁で覆われる。成功だ。
「上出来だな。これなら大丈夫だろう」
これだと多分、篠原でも破れない。
仮想敵は魔族、及び
「となると、あとは<周辺警戒>だな」
こればっかりは慣れてもらうしかない。ひたすらそれを使って感覚に慣れてもらうしかない。
「明日丸々使って練習に当ててくれ。俺も助言くらいなら出来るから見に行こう」
「……お願いします」
頑張ってくれ。
「さて、今は……」
時間は分からないが、流石に日付を越えては居ないはず……そう思いながら部屋にかけてある時計を見上げる。午後十一時半か。
「もうすぐ日付も変わってしまうな。遅くなって済まない。話は以上だ」
「ありがとうございました」
「お疲れ様」
さて、俺も寝るとしようか。あとは彼女が明日どれだけ上達出来るか、だな。
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「<防衛業務委託・周辺警戒>……うぅ……気持ち悪い……」
頭の中に投影された城全体の地図に、リアルタイムで書き込まれていく情報。今はまだ夜なのでそこまで多くは無いが、それでも夜間当番の近衛騎士らしき青点などが様々なところで動く。想像を絶する情報量。
「なるほど、これは、訓練が、要る」
いつだったか、召喚後初めて、訓練場で<防衛者>神崎啓斗を見つけた。その時彼は篠原に対し、訓練をしていると告げた。目に見えるようなスキルじゃなく、周囲の情報を自分の脳内にインプットするようなスキルだ、とも。
国崎が初級スキルだと言っていたことも合わせて考えるなら、当時彼が訓練していたと思われるのは、まさしくこのスキルだ。
聞いたときは、クラスメイト同様、心の中で、『<勇者>でもないのに訓練等しても無駄だろう』と嘲ったが、とんでもない。このスキル含め委託してもらったスキルは全て当たり、大当たりだ。訓練をする価値は十分にある。
あるが。
「どうしてあんなに平然とこのスキルを使えるの……」
頭痛が酷くなってきたので、スキルを解除する。
確か国崎は、これを他のスキルを併用しながら発動させていたはずだ、それも恐らくは常時。そうでなくては、あの夜に相手の初撃を迎え撃てたり、負傷者が居るところに的確に案内が出来るわけがない。
でも、これは、ただの知覚系魔法とは段違いだ。流れ込んでくる情報量も、それの精度も処理速度も何もかもが。常人が常時発動なんてしていたら他に何もできなくなるだろう。それほどに脳を酷使するタイプのスキルだ。
成程、こんなスキルが初級スキルとなるのが<防衛魔法>なら、<防衛者>が<勇者>に匹敵するという話も頷ける。これ以上のスキルが存在するなら、確かに<防衛者>が<勇者>に対抗することも可能なはずだ。
「責任重大だなぁ……」
そして自分はこのスキルを、明日中に使いこなせるようにならなくてはならない。ほぼ無いと思えるが、万一の場合は自分がその<防衛者>の代わりをこなさなくてはならない。
既に胃に穴が開きそうだった。
以上です。
これで初級スキルなんですよ(震え声)
それでは感想批評質問等お待ちしております。