二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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ちょっと長く掛かりすぎました。ちょうどいいとこだと思って字数見たら2話分あったんです(汗)




というわけで第五十五話です、どうぞ!


第五十五話  <聖剣>の知らせ

 

 

 

 

 

王城から北を目指し、馬を走らせ始めて二日目。

 

 

先程まで先頭を進んでいた篠原の馬がこちらに寄ってきた。

 

 

 

「……国崎」

 

「ん?何だ篠原。今のところ敵らしき反応は無いぞ」

 

「いや、何か良く分からないんだが、呼ばれてるような気がするんだ」

 

「……呼ばれてる?」

 

 

 

そんな声は聞こえなかった。<絶対障壁(バリア)>も反応していない。つまりこれは外部からではないと推定。となると、

 

 

 

「頭の中に響くような声か?」

 

「……そうだ」

 

 

 

ビンゴ。それは祠発見の報せだ。いや祠と言っちゃいるが……どっちかっつーと神殿みたいなものかもしれない。

それをクリアすれば<聖剣>の強化が出来る試練が女神様から課せられる場所。呼んでいるのは<聖剣>。自分を強化できるところを探知したから知らせているのだろう。

 

これは、ゲームとは違って、常に発動している物なので、いつ行っても良いものだ。ただ、行けるときに行くべきだ。強化していけば<聖剣>の固有技能が発動する。主要なところをクリアすれば神授武具が手に入るかもしれない。

 

 

 

「……気になるなら、今やるべきことが全て完了した際、帰りに寄ってみればいいんじゃないか?俺もそれは気になるが、今は救援が先だろう」

 

「あ、ああ、それは分かっている。ただ国崎なら何か知っているんじゃないかって……」

 

「……悪いが、知っていても言えるわけがない、忘れるな、今の俺は<勇者>ではなく<防衛者>。そこまで多くの情報を開示できるわけではない」

 

 

 

だが流石にそんな事を言えるわけではない。神剣が手に入る、<聖剣>の固有技能が解放される、それは助言の域を超えているだろう。試練は自分で考えて決めて、見つける物だ、というかそれを見つける事から既に試練である。行くか行かないかの判断は<勇者>当人に任せなくてはならない。

 

 

 

「……そうか、いや済まない。それを忘れていた」

 

 

 

 

 

 

 

「だから<防衛者>として言わせてもらう。<絶対障壁>及び<周辺警戒(レーダーマップ)>に反応は無く、<神楯(イージス)>も作動しなかった。そして俺にはその声は聞こえていない」

 

「従ってその呼んでいる声とやらは、物理的に外部から来た物ではない可能性が高い。頭の中に響いているのなら直接心に呼びかけていると考えるのが妥当。といって害があるわけではない。流石に導かれるその先に罠があるかは知らないが、少なくとも精神攻撃のようなものではなかった」

 

 

 

だが、一般的に<防衛者>として、<防衛魔法>の各スキルの反応は伝える事が出来る。そしてその反応から読み取れるであろう事も。

 

だからそれを全て伝える。

 

これが俺に出来る精一杯の助言。つまり、それ自体が敵の攻撃であったりする可能性は無く、またそれに導かれた先に敵がいる可能性も低い。そう伝えることで、行かない選択肢に付く理由を減らしていく。

 

俺の時もそうやって、最終的にいくことにしたからな。

 

 

 

「……そうか、わかった。ありがとう」

 

「気にするな、当然の事をしたまで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに馬を走らせ、どうにかその日の目標地点まで到達した。今日はここで休息し、明日早朝から徒歩というか走って移動を開始する。理由?気候の問題。雪積もってるし。

思ったけど犬ぞりとか無いのだろうか。後衛組はそれに乗せれば魔力も温存できると思うのだが。

 

まだイケるとは思うけど、まあそれで向こう着いたとき何か不具合でもあったら大変だしね。俺達の時とは違って余裕もある、多分。少なくとも北方落されたところで、大した損害ではない。すぐに取り返す事が可能だしね。まあ間に合うに越したことは無い。

 

 

 

さてと、一応休息の時間が割り振られてるんなら少しでも体を休めないと。出された食事を急いで食べていく。冬、戦場に向かう中で温かい食事が出るというのは非常にありがたい。戦争が始まって間もなく、魔族側の襲来も未だ散発的……というかまだ大規模侵攻の準備段階であるのが幸いしているのだろうな。

 

 

 

大規模都市を襲撃し陥落させるには、それ相応の準備と戦力が必要だ。だからまずは、救援に来難い所を占領する。次にそこを足掛かりに、目標とする大都市周辺にある小規模な村や街を占領し、補給と連絡を絶つと同時に、拠点を置く。あとは弱ったところで力に任せて押し切る。これを大規模侵攻と呼ぶ。

 

 

 

それが魔族の、人族領侵攻時の基本的な手順である。これを繰り返し、最終的に全ての都市を陥落させれば魔族の勝利。

 

そうならないように、王都とあと一つくらいの大規模都市まで減らされたあたりで最終手段としての<勇者召喚の儀>が行われる。そのため基本的に初期の<勇者>の仕事はブラック企業並みにハードである。流石にある程度の剣の手ほどきとか、魔法の使い方とかは習ったがあとは全て実戦で身に付けようスタイルだった。軽く過労で死ねるかもしれない。

 

食事とか下手すればモソモソした軍事糧食だけだった時もあったしな。

 

 

 

だが、今回は最初のステップの時点で既に<勇者>が居る。だからこそ温かい食事を出せるような余裕があるんだよな、ちょっとだけ羨ましい。

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 

 

さて、食事は終わった、あとは寝るのみ。前回ならその前に<水球(ウォーターボール)>と<乾燥(ドライ)>のコンボによる服ごと全身丸洗いがあるけど、<防衛者>の俺には使えない。春馬さんと陽菜乃さんも俺かさくらにやってもらってたしな。

 

まあそれを求めるのは少々贅沢ではないだろうか?そもそも今代に生活魔法とか人一人サイズの水球とか作れるのか知らないけど。

 

多分聞けば水浴びくらいは出来るだろうが、正直それより寝て疲労回復した方が良いだろう。寝れる時に寝よう。これは<勇者>だけでなく、普通に地球で一般的な生活を送るときにも言える事だけど戦いが日常にある異世界ならば尚更である。

 

 

というわけでおやすみなさい。

 




以上です。


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