二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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どうも、夏休み中のクラリオンです。
こういう長期休暇の時って大抵カレンダー感覚が麻痺してしまいます。気付いたら前回更新から二週間近く経ってました。
時間の流れって早いですね()



今回は前々回の半ばおまけのような物です。この世界の豆知識的な何かがありますが、読み飛ばしていただいても大丈夫です。1000年前の物語にワンチャン出るかも、程度のお話なので。



さて、それでは第六十四話です、どうぞ!


第六十四話  <聖剣>強化

 

 

 

 

 

光り輝く一体の石像。近寄ってみればやはり創世の女神リシュテリアを象った像である。確かこれを<勇者>が持てば良いんだったか。

 

 

 

「篠原、持ってみろ」

 

「俺が?」

 

「お前が<聖剣>持ちの<勇者>だからな」

 

 

 

<聖剣>は女神によって選ばれし者に授与される神の武具。なら女神関連は取り敢えず<勇者>にぶん投げるのが正解。

 

 

石像を篠原に渡す。すると光が篠原も包み込んだ。

 

 

 

「え」

 

「大丈夫だ」

 

 

 

これはあれだ、どっちかっつーと転生系で見るアレ、真っ白な神の空間にご招待って奴。といっても魂だけだけどな。

 

 

 

「しばらくはこのままだ。今のうちに休んでおくと良い。<周辺警戒(レーダーマップ)>」

 

 

 

この時間中、基本的に敵は湧かないし、居ても襲ってこない。一応念のために<周辺警戒>を張るがそれだけだ。

あとは……そうだな。

 

白井が座り込むのを確認すると、俺は先ほど崩れ落ちた敵アンデッドの核を拾う。王国に持ち帰った時に戦果報告代わりになるだろう。あのアンデッドは滅多に出てこないはずだ。現地人は恐らく見た事もないはず。

 

数値だけで見るなら低レベル。自然発生の<覚醒体(リザレクター)>であそこまでレベルが低いのは逆に珍しい。だから実は強さ的にはそこまでではないのだが、見たことないアンデッドを初見で討伐したのならそれは<勇者>の力を王国へ示すには十分だろう。

 

不死身の魔法詠唱者(アンデッド・マジックキャスター)>はどうするべきか。首を持って帰るわけにもいかないだろうし、まあ核石で良いか?<鑑定>使えば分かる事だ。

 

 

 

「なんだそれ?」

 

「さっき倒した<不死身の魔法詠唱者>の核石と、<首無し騎士(デュラハン)><死霊馬(スペクターホース)>の核だ。王国への戦果報告に必要かと思ってな」

 

「ああ、成程……いや待て、アンデッドに核石が存在するのか?」

 

 

 

流石に核石くらいは知ってるか。魔物倒したら泥する魔石。魔物を魔物たらしめるための物。アンデッドは存在しない事が多いけど。なんでだっけか。

 

ああ、死体寄りか魔物寄りかとかいう話だったな。アンデッドは厳密には魔物に分類されないとかどうとかシュレスタが珍しく嬉々として語ってた記憶がある。

 

 

 

「……俺も人づてに聞いた上に専門的な話になるからあまり細かい事は知らないが、アンデッド、特に下位の肉体保持系は、厳密には魔物ではないらしい。厳密に分類するなら()()なんだそうだ」

 

「は?」

 

「死体が、魔力の直接操作によってなんか動いてるのが、下位アンデッド、スケルトンシリーズやゾンビ、アンデッドシリーズ。なんか魔力そのものが人の魂を中心に寄り集まってるのが死霊系アンデッド、だと」

 

 

 

まあ便宜上面倒なので魔物として扱われている。厳密な分類なんて学者にしか需要無いし、人に仇為すという点では魔物と大して変わらないのだから。

 

アンデッドについて、簡単に言うならば、どちらも基本は魂だけなのだ。身にまとう鎧が魔力か肉体かの違いみたいなものだ。だからゾンビ系アンデッドの肉体は朽ちる。

 

つまり、あれ分類上生き物じゃないんですよ、という事である。魂だけの存在を生物として分類して良いのか、と。

 

 

 

「『アンデッドは生き物ではないために魔物でもなく、ゆえに核石が基本存在しない』

 

というのが通説だったそうだ。千年前はな。ただ何で核石を持つ肉体保持系アンデッドが居るのかは不明のままだった」

 

 

 

仮説はいくつかありはしたものの、正直<システム>にでも聞かないと分からない。俺達が帰還した後のシュレスタが研究を進め解明していた可能性はあるがはてさて現存しているのやら。何か『()()』ごたごたに巻き込まれ消失してるに一票。

 

ちなみにだが、死霊系アンデッドの『核』は核石ではない。

 

核石とは、『魔物の体内で、魔力を供給する魔石』の事であり、魔物を殺した後、死体を解体すれば、魔石として出てくる。

 

一方で、死霊系アンデッドの『核』は、そのアンデッドの魔力供給源と言えないことも無いが、『本体』であり中枢であると言った方が正しい。

 

アンデッドを浄化すれば、その核も機能を失い、見た目はただの丸い石ころと化す。無論核を破壊すればアンデッドは消滅し、やはり砕けた石ころが残る。<鑑定>かければ『~~の核』みたいに出てくるけどな。

 

まあこれは今代組も知ってる、はず。

 

さて、ちょっとした蘊蓄語り終えたしそろそろですか、今代<勇者>。

 

篠原を包んでいた光が薄まる。最後に残っていた光が、彼の手にある聖剣<正義(ジャスティス)>に吸い込まれると同時に、篠原が目を開いた。

 

 

 

「お帰り」

 

「……た、ただいま?」

 

 

 

どうだったかな、神(偽)の空間は。

 

 

 

「大丈夫だったか?」

 

「ああ。そうだ、国崎」

 

「なんだ」

 

「女神様、に会ったぞ」

 

「そうか」

 

 

 

残念其れは偽物です!まあ分からんと思うけども。

 

んでもって本命はよ。

 

 

 

「それと聖剣がなんか強化されたらしい、何かアンデッド系への攻撃力と純粋な攻撃力が上がったとか」

 

 

 

予想通り聖剣強化か。まあクリアしたのがもろアンデッド系統だったからな。もし今回戦ったボスモンスターと今もう一回戦ったら結構楽に戦えるはず。

 

勿論ここから撤退する時多分やりあうアンデッドは瞬殺だろう。まあ行きと同じ戦術で良いと思う。ただ多分白井の援護は必要なくなる。一振りで数体まとめて薙ぎ払えるはずだ。

 

 

 

まあそれはいいとして。

 

 

 

「もう動けそうか?もし無理ならここでしばらく休む必要がある」

 

 

 

元々が地下空間とはいえ教会の敷地。その上さっきまで神(偽)が降臨していたのだ。新しく魔物が湧く確率は低い。

例え今さっき死霊系上位アンデッドを消し飛ばしたと言っても多分魔力の集う拠り所が無い以上、アンデッドは生まれない。理屈上はここにいつまでも居られる事になる。

 

 

 

「すまん、もう少しだけ休みたい」

 

 

 

だろうな。流石にゲームみたいに試練クリア、一瞬での全回復とはいかない。

 

 

 

「了解した。恐らくここにはもう魔物は湧かないはずだが、帰りは恐らく行き同様戦闘しながらになる。その分の休憩もしておけ」

 

「マジか」

 

「マジだ。疲労回復同様、ゲーム程甘くはないって事だ」

 

 

 

ここは広さ的にもそう広い方ではない。入り口近くへの転移魔法陣があるのはもっと広い所、正直入ったら迷って出られないレベルの広さかフロアを使った仕掛けによって通路が無くなってるところとかだ。

 

 

 

「まあ聖剣が強化されてるなら、行きよりは楽になるはずだ」

 

 

 

思ったけどこれ白井にはともかく篠原には救いにならんな。まああれだ。これも<勇者>の……なんだっけ?必要犠牲、じゃなくて、義務、は何かしっくりこない……役得は真逆だし。まあ良いや。普通の日常生活で使うような語彙ではあるまい。

 

 

 

「……これが強化された聖剣の力か……」

 

 

 

……思ったより攻撃力上昇度合い上がってんな。スケルトンシリーズが相手になってねえ。<死せる大魔法使い(エルダーリッチ)>も瞬殺、行きで見かけた<首無し騎士>も大して苦戦せず撃破。アンデッドシリーズも<戦士(ウォーリアー)>以下なら大して相手にならねえな。後衛なら多分<魔法詠唱者>クラスじゃないと魔法も打てないな。

 

 

 

ここがアンデッド対策の初級ダンジョンと例えるなら普通にオーバーキルだな。

 

 

 

ああ、そうか、普通の攻撃力上昇とアンデッド対象の攻撃力上昇が重複作用してるのか。

 

 

 

「アンデッド相手の攻撃力上昇と素の攻撃力上昇が被ってるからだな。多分この高火力はアンデッド限定だ。普通の魔物相手にはこうならないから注意してくれ」

 

「わかった、ありがとう」

 

 

 

慢心油断ダメ・絶対。

 

 

 

慢心と油断は往々にしてピンチを招く。普通の勇者伝説なら一時のピンチは丁度良いスパイスだが俺が目指すのは最短ルートオール平穏な旅だからな。ピンチなんていらない。まあ俺途中で抜けるからその時ピンチがあるかもしれないけど。まあ一度注意しておけば大丈夫なんじゃないかなって(フラグ)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくしておおよそ半日ぶりに外に出ることが出来た。

 

一応神殿に入ったのは朝なのにもう日が沈んでいる。まだ辛うじて明るいってとこか。なら早めに帰るとしよう。夜の森とか怖すぎて……いや<周辺警戒>あるし大丈夫か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや普通に怖かったわ。ガサガサ音マジヤバイ。アンデッド分類になるから幽霊居ないって分かってるけど怖い。勇者……というか『初代勇者国崎啓』ロールしてて良かった。いや多分素でも大して表情には出ないだろうけど。

 

 

 

村の明かりが見えたところで、篠原が呟く。

 

 

 

「……帰って来れたのか」

 

「ああ」

 

 

 

まあ彼からすれば今日多分数回死地を潜った感覚だろうからな。傍目では余裕持ってたけど、まああれだ、<勇者>もしくは男としての矜持もあったのだろう。あと戦闘に伴う興奮・高揚状態。いや<警戒地点設置>使えば分かるんだけど、余裕あると思って戦闘してても後で見返したらどう考えてもお前無謀だって言いたくなることやってる事が多い。

 

それと同じ状態にでもなったのだろう。

 

俺が居たとはいえまあ無事に帰って来れて何よりである。

 

 

 

お出迎えも居るみたいだし、少々乗り物がダサいが、<勇者>の凱旋だ。

 

 




以上です。



それでは感想批評評価などあったらどうぞ。
今後とも本作をよろしくお願いします。
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