二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~ 作:クラリオン
色々言い訳はありますが、まあそれは置いておきます。
そんな感じで閑話です。シリアス寄りの位置付けですが本編に直接深く関わってくる話ではないです。
それは昔々のお話。
『──運命を変えろなどと無茶は言わん。ただ俺達がここで足掻いた事くらい、覚えとけよ竜神。いつか、どこかへ繋がるように』
深く深く沈んだ思考の中、どこからか少年の声が聞こえた。
小さく呟かれた言葉は決して独り言などではなく、見ている誰かに向けて紡がれた呪いにも等しき何か。
『どうか、皆が生き残れますように、ってな』
記憶の底から呼び起こされる少年の声。
夜空に向けて紡がれた、叶わなかったささやかな願い。
『──きっと、後の誰かがやり遂げてくれる』
『これはきっと、運命なんだろう』
『俺が、<勇気>をどうにでもして仕留める』
『──これで最後だ。お前達が匿った■■の■■はどこにある。今言えば命と最低限の名誉だけはどうにかしてやろう』
『じゃあまた、どこかで、後でな。死ぬなよ■■』
『貴方達だけでも、逃げて、生きなさい』
『──我は闇を切り裂き、平和を望む者なり』
『──我は争乱を覆い、平和を齎す者なり』
『──我は魔を討ち、人を救う者なり』
『──我は強き悪に立ち向かい、打倒する者なり』
『憎しみから生まれる行為は憎しみしか生まない』
『連鎖はここで止めるべきだ』
『──だから俺達も、それを我慢してやってるんだ』
『どれだけ殺したかったか分かるか?』
『なあ、頼むよ■■。どうにか、妥協してくれ』
『──守れなくて、ごめん。ありがとう、でも良いんだ、このままで』
『覚悟を決めろ、そのままじゃ誰も守れない』
『俺は、いつまでも、君達を、見ている、から』
『今まで、ありがとうな』
『他に、手立ては、無いのかよ』
『俺に聞いてる時点で分かってるだろ』
一つ一つ、思い出していく。記憶の底から掘り出していく。
『最初から仕組まれてたってわけかよ』
『それでも出来る限りの事はやるしかないじゃない』
『俺は、俺はこんなことをする為に勇者になったわけじゃない!』
『皮肉なものだな』
『俺は■■。これからよろしく頼む』
『ああ、よろしく』
『──さようなら。少なくとも旅の間は楽しかった』
『まだ、ダ。おレ、はマ、ダ、た、たkエ、ル!』
『いつか、いつか必ず、誰かがこれを止めてくれる!』
『私は信じる。いつか私達の思想を受け継ぐ勇者が現れる事を』
『『だから、覚えていて。その時彼等はきっと貴方の下へ導かれるから』』
少年と少女の声が交互に、あるいは混ざり合い。
『初めまして、俺が■■の■■です。よろしくお願いします』
『ああ、よろしく頼む。期待しているよ』
『やったな』
『破撃の名にかけて、お前をここで殺す!』
『なあ、これはやり過ぎじゃないのか?』
『っ逃げろ! 俺が時間を稼ぐ!』
少年は、少女を守るために自らを犠牲に彼女を逃がした。
『もう一度言います、降伏しませんか? 破撃の二の舞は避けるべきですよ』
『私は■■! 我が天職にかけて、その様な事をするものか!』
『お前達がやった事は、いずれこちら側に帰ってくるんだぞ!』
『この話を、私の後の勇者に受け継いで。其れが私の最後の望み。最期の願い』
少女はたった一人孤独に戦い続け、最期に神に願った。
「……ああ、そうか。そうだったな」
アレは、君の願いだったか。
森の中の開けた場所。その中心で穏やかな陽光を浴びる、一つの墓。尤も、その土山が墓だという事を示すのは、墓石の代わりに突き立てられた白銀の剣とそこに添えられた花束のみ。
その前で佇む一人の人族の少女。その傍らには、墓石代わりの剣と同じような色合いの剣。
「……ごめんなさい。行ってくる。どうか、見守っていて」
むかしむかし、ある村に二人の兄妹が居ました。兄妹は村でも優秀な働き手である父親と、夫を支え、優しく家族を見守る母親の四人家族で仲良く元気に暮らしていました。
しかしある日、村を悲劇が襲います。魔族に襲われたのです。生き残ったのは兄妹と、兄と同じ年の少女だけでした。生き残った三人は命からがら近くの街へ逃げました。
そしてそこで、村出身の人の支援を受け数年暮らし、騎士団錬成隊に入隊しました。そして時が流れ正式な騎士となった年、魔王が現れました。
同じ年、兄と少女はそれぞれ別の戦いで勇者の力を開花させました。
自らの身を投げだして戦友を守ろうとした少女は、強固な障壁を幾重にも発生させ、味方を護る事が出来る力を。
常に先陣を切り、鬼神の如き戦いぶりを見せた兄は、何物も防げない切れ味を武器に付与する力を。
彼等はそれぞれ、<守護の勇者><破撃の勇者>と呼ばれました。
勇者として覚醒した後、兄妹と少女、そしてもう一人、貴族出身の<絆の勇者>と共に、打倒魔王を掲げ旅に出ました。
旅の途中、彼等は幾度となく困難に見舞われました。多種多様な能力を持ち、あの手この手で勇者を打倒そうとする魔族の襲撃は厄介で、その度に誰かが傷つき、あるいは死にました。
しかし悪い事ばかりではありませんでした。毒で倒れた兄を守ろうと決して叶わないであろう魔族の前に立ちはだかった妹に、勇者の力が発現したのです。彼女はその能力から<勇気の勇者>と呼ばれるようになりました。
そして四人となった勇者たちは長い旅と戦いの果て、ついに魔王のいる魔王城に辿り着きました。
魔王との最後の戦いは熾烈を極めました。最後は魔力が切れた<絆>と<勇気>を逃がし、<守護の勇者>である少女と<破撃の勇者>である兄だけが魔王城に残りました。
逃がされた二人の勇者は、魔王城に残った二人の帰還を外で待ち続けました。
しかし彼等は二度と帰ってくる事はありませんでした。
残された二人の勇者は、魔族からの襲撃に備えましたが、その後、魔族が襲ってくることもありませんでした。
そう。帰ってこなかった二人は、しかしその命と引き換えに、魔王討伐を成し遂げたのです。
こうして人族には平和が戻りました。めでたしめでたし。
「……酷い、話だ」
それは昔から伝わる御伽話。
直接の関わりはないですが間接的にはいくらでもあるので内容によっては質問に答えられませんが、
質問評価批評など、お待ちしております!