二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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ようやく異世界の人がいらっしゃいます。





第三話  二度目の異世界と伝承

とりあえず、最初に篠原と桐崎(ツートップ)を起こしたことで、クラスメイトを全員スムーズに起こすことができた。さて前回はここでお姫さん…王女殿下がおいでなさったわけだが、今回は誰が来るのだろうか?

 

というか正直誰か来てもらってこの状況を説明してほしい。なぜまた必要はないはずなのに召喚されたのか。今はいつなのか、あの世界のどこなのか。

 

 

 

そしてこれが一番重要なことだが、帰れるのか。

 

 

 

 

これは可能な限り伏せておきたいが、帰ろうと思えばいつでも帰れる。送還用魔方陣を生み出したのは、俺たち初代勇者パーティー、当時俺たちを召喚した皇女殿下、そして()()なのだから。

 

 

 

だから魔方陣を描けと言われたら描けるし、<勇者>と<聖女>としての魔力を消費すれば今すぐ全員を送還することもできる。だが面倒だし、何より時間と労力を消費しすぎてしまう方法なので、最終手段として取っておきたい。

 

 

そんなことを考えていると、重い音と共に、俺が扉ではないかと目算を付けていた壁がゆっくりと開いていった。

 

「ようこそいらっしゃいました、勇者様方」

 

出てきたのは、この世の者とは思えぬほど美しい少女。俺、あるいは内山からすれば、ここが異世界であると実感させる顔立ちの少女だった。

 

「私は、シルファイド王国第一王女、シルフィアーナ・シルファイドといいます」

 

 

第一王女殿下だったか。しかしシルファイドとは聞き覚えのない国名だな。前回召喚された時は、確か…ヴァルキリア皇国、だったか。人族領でも、魔族領との国境たる大山脈を含む広い領域を領土とする大国だった。他にも小国がいくつかあったが、シルファイド王国なるものは聞いたことがない。つまり前回召喚されてからかなり時間が経過しているとみていい。

 

 

「勇者様方は現在、大変混乱しておいでかと存じます。まずは急に召喚したことについて謝罪をさせてください。そして、どうか私たちに助力願いたいのです」

 

いや、なにをしろというのだろう。

 

「僕たちにできることならなんでも協力します!」

 

おいそこの勇者(暫定)、相談も質問もなしに即決するな。

 

「ちょっと待ってください、篠原君、決めるのは何をしなくてはならないのか聞いてからでいいのでは?」

 

そこへストップをかけたのは高山(たかやま)公博(きみひろ)。クラスで多分一番頭の回転が速い。ナイス高山!

 

「それもそうか…王女様、なぜ俺たちはここに呼ばれたんだ?」

 

「我々の世界には、私たち人族だけではなく、エルフや獣人のような亜人族、そして魔族が存在します。そのなかで魔族は、他の種族と異なり、魔物と呼ばれる普通の生物とは桁違いの強さの怪物を使役し、遥か昔から私たち人族を迫害してきました」

 

ああ、そうだな。結局勘違いだったわけだが。

 

「古代、我々人族の先祖は、それら魔族の王、魔王を打倒し、人族亜人族に平穏な生活をもたらそうと考え、異世界から勇者様を召喚しました。それは千年前、超大国ヴァルキリア皇国が存在した時代のことです。そのため不幸にも名前は失伝しております」

 

ここで出てくるか。まあ間違いなくその勇者は俺だな。というか1000年経ったのかよ……知り合いとか生きてるやつ……居るわ()。

 

「勇者様は同じく異世界から召喚された三人のお仲間と、当時その国で最強の魔道士と騎士と共に旅立ち、魔王を倒し、平和をもたらしました。そして異世界へ、元いた世界へと戻られたのです」

 

うんうn……うん?

 

「しかし、それから九百年ほどたった時、魔王が再び現れたのです」

 

あれ?

 

「私たち人族には、魔王に対抗できる者がおらず、徐々に魔族の侵攻を許しつつあります。奴らをなるべく早く食い止め、人族と亜人族の平和を取り戻さなくてはならないのです。そこで私たちは古代、先代魔王の時代から伝わる伝承をもとに、<勇者召喚の儀>を行いました、そして召喚されたのが、今ここにいらっしゃる皆様なのです」

 

 

……まあ大義名分は立ててあるか。前提条件から間違えているが、な。前提が誤っている以上、そこから導き出される論理全ても誤りであると考えるべきだろう。本当に魔族が侵攻しているのか。嫌な予感しかしない。

 

 

「そこで皆様にお願いがあります。この世界の人族には、魔王を倒すだけの力はありません。ですが、異世界から来た皆様、<勇者>様には、魔王を倒す力が生まれる可能性があるのです」

 

 

「話を途中で遮ってすまないが、ちょっと聞いてもいいだろうか?」

 

ちょっと気になった俺は手を挙げた。

 

「え、ええ。何でございましょう?」

 

「<勇者>は、確実に魔王を倒せるのではないのか?いや、その、王女殿下が『可能性がある』って仰ったのが、『倒せない可能性がある』のように聞こえたものですから」

 

途中で騎士がにらんできたのがわかったから敬語に切り替えた。いくら<防衛者>の鉄壁防御と<勇者>のHPがあるとはいえ、面倒ごとは避けたい。

 

 

 

「別に敬語でなくともかまいません、私たちはそちら側にお願いをしなくてはならない立場なのですから」

 

「……そうですね、語弊がありました。というのも、今の貴方方には、魔王に正面切って戦える力も、打倒しうる力もありませんから。協力していただける場合、我が国で訓練を受けていただき、いくつかの祠を廻っていただく必要がございます。それを途中で放棄しなければ、一年もたたずに、魔王に対抗できる力を得られるのです。今はまだ、放棄しない確証が無いのであのように申し上げました」

 

 

「わかりました、では、その修行中に、魔族軍あるいは魔王が攻めてきた場合どうするのですか?」

 

 

この時、俺はまだある程度楽観視していた、期待を持っていた。<勇者>の伝承があるなら、<防衛者>についても同様の伝承があるはずだと。

 

 

 

 

だが、それはどうやら希望的観測でしかなかったようだ。

 

 

 

 

「王都には大結界がありますし、破られた、もしくは王都の外の場合は、我が国の騎士団が命をかけてでもお守りいたします」




何と言うことでしょう!<防衛者>のぼの字も出てきません!



……いや、まあ既定路線ですけど。

批評感想質問などお待ちしております。
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