二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~ 作:クラリオン
続きが思い付かなかっただけなので。
クリスマス短編書く予定あったのですが止めました。去年あげてました。今代サイド書けば良いと気付いたのはクリスマス翌日でした。
まあそんなわけで第七十話です、どうぞ!
「で、俺を呼んでどうしたいんだ」
「僕がこれからやろうと思ってる事が正解かどうか、助言
が欲しいので呼びました」
「……聞かせてくれ」
「まず、相手の後衛、つまりボスへの攻撃は自分を含め魔法職が行います。加藤さんの傀儡と前衛職の人たちには、自分たちの前で、何チームかに分かれて<骸骨>の迎撃をしてもらおうと思ってます」
「それから戸谷君と桐崎さん、荒山さんと我々魔法職は同じグループで動きます。皆本君、鳴川君、白井君には自分たちの周りで護衛をしてもらいます。後衛を守る最後の楯として、国崎君の力を借りたいのですが」
「了解した。俺は構わない。ああ、相手についていくつか付け加えを」
「なんですか?」
「相手の<死霊術師>だが、人型の骸骨以外も作れるようだ。後衛は俺が護衛に着くからいいとして、それ以外には注意を促しておいてくれ。どうも鳥や犬も作れるようだ。予想外の方向から攻撃があるかもしれない。地中とかな」
当然ではあるが、この世界には地中に住む魔物だっている。それらを人間の骨を使って模らないとは言えないだろう。最悪というほどでもないが、<
身体伽藍洞なのにブレス使える、<骨鳥>同様に物理に喧嘩売ってる魔物(今更)。
このブレスがなかなか曲者で、魔物の攻撃としては魔法攻撃のくせに、完全に効果を遮断するなら対物理障壁を使わなきゃいけない。
対魔法障壁でも直接的なダメージと付随する特殊効果は防げるが臭いは透過する。んでもってその臭いはHPには異常をもたらさないが場合によっては状態異常を引き起こす。あと単純に臭いというか刺激臭というか、アンモニアとか硫化水素とかを考えると分かりやすいかもしれない。ああ、うんそりゃ吸ったら状態異常なるだろうしダメージも入るだろうさ。
ゲームだったら臭いとか存在しないのでブレスは障壁で良いかとか思ってたら悪臭でしばらくまともに戦えなくなったのは今となっては懐かしい思い出であるが、二度と喰らいたくない攻撃の一つである。
まあそんな事はさておく。<骨竜>はそれ以外でも、体の大きさ、耐久力を利用した前衛が得意な魔物である。あと種類によっては飛べるので遊撃の駒として使いやすいアンデッドの一つである。まあだだっ広いとは言え、流石に竜が飛び回れるほどの広さは……いや普通に飛ぶだけならできそうか。飛べる種類だと面倒くさそうだなこれ。一応伝えておくか。
「……後、場合によっては<骨竜>とか出てくるかもしれない」
「<竜>?!」
「……成程、確かに人間の骨で……犬を作ったくらいだから、竜くらいは作れるかもしれないか」
「飛べるタイプのだったらかなり厄介だ、飛ぶ前に潰すか飛んだあと潰す策を考えておいてくれ」
「……わかりました」
「あと別に
骸骨しか使わないのは再利用が簡単だからだろう。実体のあるアンデッドは死体に魔力の塊もしくは魂がとりついて動かす傀儡。本来の姿かたちさえ、保つ必要はない(デュラハン系除く)。人面犬が良い例だ。本体の魔力・魂をどうにかしなければ骨を砕いたところで、魔力で繋がれ復活する。流石に粉々にされてしまうと諦めるだろうが。
骨が無くなったら無くなったで、淀んで死霊術向きになった魔力をそのままそっくり死霊に仕立て上げるだろう。なんならまだ骨があるうちでも攪乱目的に死霊を突っ込ませる可能性が無いとは言えない。
<
しかし最初からかけっぱなしでは確実に途中で付与が切れる、そのあとどうしようもありません、じゃあ話にならないのでそこをどうするか。まあそれは俺が考える事じゃないが。そこまでいくと多分助言の域を超える。
「まあ、考えるのは<賢者>の仕事だ、頑張ってくれ。守りはしっかりするから安心しろ」
「お願いします」
「ああ」
あと敬語使わなくていいんだけどな。俺が外見変えてるから仕方なくはあるけど、同級生に敬語使われるのってくっそムズムズする。あ、そういえば腕輪の魔石はまだ交換しなくて良いだろうか? ここから出たら確認しよう。
「終わった、変わろう」
「おお、そりゃよかった」
「<神楯><
「皆! 今から説明をするからよく聞いてくれ! まず敵についてだけど……」
あと一応超過回復させるつもりで中級の魔力回復薬をもう一本飲む。自然回復と合わせて満タン+ちょい位になった。あと突撃するときに<地雷>回収すれば凡そ平常時の1.5倍くらいにはなるのである程度の長丁場は耐えられるはず。あとは標準量の半分切ったら少しずつ回復薬飲む感じで。
後は説明が終わるのを待つだけ。
「……だから今回、僕達後衛職業の人達と、白井君、鳴川君、皆本君、平井君は、国崎君と行動を共にします。基本的な動きはさっき言った通りですが、もし別途何か指示がある場合は僕から出します。ただ緊急性が高い場合は後衛組には国崎君から何かしら指示が出ると思いますので、それにも従ってください」
え、俺? いや、当然と言えば当然なのか。でも俺の指示に従ってくれるのか?
「……俺から指示を出すことがあるとすればそれはよほどのことがある時だ。俺に何かしら思うところがあったとしてもその時は従ってくれ、死にたくなければな」
というわけで半ば脅しのような指示をしておくことにした。<神楯>あるし<絶対障壁>に<地雷>もある。相手は魔王ですらないので最悪は想定しなくても良いはず。最悪限定的なスキルだと称して<
「準備は良いですか?」
「ああ」
「大丈夫」
「問題は無いよ」
おい。なんでそれが繋がった。
「いつでもどうぞ」
「任せておけ」
「じゃあ手はず通りに……国崎君お願いします」
「……3、2、1、<
<地雷原>解除と同時に他の魔法も解除。同時に前衛組が飛び出した。グループ分けは最初洞窟を進んでいた時と同じグループで、順番に並んで走っている。続いて後衛が走りだす。
「<神楯>」
どうにか後衛組を範囲内に収めるように走りつつ<神楯>を発動。
ほぼ同時に前衛の第一班が骸骨と交戦開始。横と背後を第二班がカバー。それでも止めきれなかった骸骨を遊撃隊がすれ違いざまに蹴り飛ばす。
「ここらへんで良いかな……攻撃開始!」
「「「『光よ、闇を照らし悪しき者を祓え』<
だから何で<光槍>と詠唱が一緒なんだ。もう少しこう、誘導弾っぽさ出そうよ……誘導弾っぽさってなんだ。にしても<誘導弾>になると多重化できないのか。<連続発動>してないのはまあまだスキルレベル10に到達していないからだろうが……いや、待てそういえばただの<球>なら多重化してたな。
ああ、そうか。<誘導弾>だからか。そういや<魔導師><魔導士>連中って<並列思考>とか<思考加速>的なスキル持ってないんだっけか。そりゃ誘導するならまだ一個が限界か。
まあ何はともあれ放たれた魔力弾は敵の前衛や骨鳥の間を抜けて<不死身の死霊術師>の下へ。
『<
それに対して相手は<
が、骨の隙間を潜り抜けて命中する。誘導上手いな。ダメージは入ったがさてどれだけ削れてるのやら。
「よっしゃ当たった!」
「<
そういえばそんなスキルあったね。<賢者>限定便利スキル。
まああまり削れないのは当然と言えば当然だろう。<誘導弾>スキルはあくまで狙った場所に確実に当てるために魔力消費が多いだけで、威力そのものは第一位階の<球>シリーズと変わらないのだから。だからこそ<支援者>の<
「<地雷原>」
<地雷>を撒きながら中級魔力回復薬を半分ほど飲み込んだ。持久戦は少々つらいけどまあ頑張りますか。
<解析眼>……<魔力探知>と同類の視界に直接投影する形の情報スキル。基本的には相手のレベル、残存HP・MPなどが相手に重なる形で投影される。
直接的なレベルは存在せず、<多重思考>や<並列思考>などのレベル、本人の魔力量などによって投影される情報量は変化する。
本気モードの主人公であれば対抗策無しの相手であれば上記した情報に加えほとんどのステータス、装備に関する情報などが開示される。
ぶっちゃけ脳みそへの負担が半端ないスキル。
隠蔽系や情報偽装系のスキル・装備品で対抗が可能。例としては主人公の偽装腕輪など。
さて、本編第七十話を持ちまして、2018年最後の投稿とさせていただきます。今年も、更新頻度が主に低くなる方に揺れまくった本作にお付き合いいただきありがとうございました。
UA13万、お気に入り1155件、ありがとうございます!
来年というか来月辺りからそろそろ動きが変わり始めます。今の停滞が退屈という方は少々お待ちいただけると幸いです。
来年も本作にお付き合いいただければ作者としては嬉しいです。それでは皆様。
よいお年を!