二度目の召喚はクラスごと~初代勇者の防衛戦~   作:クラリオン

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ほぼ一か月ぶりの更新です……すみません

実は先月半ばから体調を若干崩しまして、しばらく学校行くことと学校の課題を終わらせる事だけで手一杯でここの小説どころか趣味で個人的に書いてた小説も文字数は増えませんでした。

なので今回はお詫びも兼ねて若干文字数多めです。

また今回はパソコンから更新しているため、以前より行間や改行などが変わっている可能性があります、ご注意ください。


第七十六話  守護者

 

 

<空間門>を出たら街の一角だった。なお誰もいない。

 

 

 

「……世界誕生祭だったか」

 

 

 

ずっと前から、千年前から変わらない、宗教行事の一つ。しかも昼間ともなればおそらく皆教会に居るのだろう。

 

今代達はどこだろう? 

 

俺達の時は一応参加していたが、王女殿下からは自由参加と言われていた。今代達はどうなのだろう。

 

 

 

「<周辺警戒>」

 

 

 

反応があるのは王城では無かった。成程こういう時はこの国がおおよそ敵判定なのが役に立つのか。どこだこれ。

 

反応がある方位を見れば燦然と輝く女神教のシンボルマーク。ああ、教会。という事は参加させられてるか篠原が参加を決定したかのどちらかか。ふむ……終わるまで王城近くで待つかな。

 

 

 

……女神教。ほぼ完璧に自然を体現する事に成功したこの世界の数少ない歪みの一つ。<システム>の製作者はなぜ完璧なものにしなかったのだろう。彼らは、推定でしかないが、分野の専門家集団、それも環境適応力の高い本物の天才だと思われた。<システム>を見るだけでもそれは明らかだ。そんな彼らがこんな事を見逃すだろうか。

誤魔化せると思っていたのか、別の意図があったのか。別の意図があるとすればそれは一体。

 

 

 

……やめようか。この問題は俺だけじゃ多分解けないし、解けたところで何か利益があるわけでもない。

 

それにしても良い天気だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ佐々木」

 

 

 

王城前の広場で待つ事数時間。帰ってきた今代集団が見えたので、話しかけやすい奴に声をかけてみた。

 

 

 

「……国崎! 戻ってたのか?」

 

「ああ、ついさっきな」

 

 

 

言いながら右腕の腕輪を見せるように軽く振る。<勇者>としての力を封じ、<防衛者>としての能力を付与してくれる、女神様から下賜された魔道具──という設定の偽装用魔道具。

 

 

 

「大丈夫だったのか?」

 

「ああ、一時の感情に任せてだったが、<勇者>として戦えたからな。戦闘自体はすぐ終わったんだ、後処理に時間かかってな」

 

「後処理?」

 

「まあ色々とな。よっぽどのことが無い限り俺は<防衛者>として、つまり<勇者>の力は使っちゃいけないはずだったからな。今回はなかったがもし周りに一般人がいたら色々面倒な事になるだろ? <勇者>は王国にいるはずなのにって」

 

「ああ、なるほど」

 

「まあ今回は来るはずのない連絡だったからよほどの事態なんだろうと思って行ったんだ。最悪の事態も想定できたからな」

 

「へー……ん? 来るはずのない?」

 

「ああ。再召喚されて少ししたくらいから別行動してるんだ……いつだったか……あ、アレだ、お前らが二回目に公国に来た後くらいからだ。俺は多分女神様の関係で<勇者>で召喚されてるんだが、<聖女>の方は<聖女>じゃなくてな。流石に俺に付き合わせるわけにいかないから自由行動させてる。一応女子の旅って事で俺が持ってた魔道具とか結構渡してな」

 

 

 

理由としてはこんなもんかね。

 

 

 

「一人でか?!」

 

「いや、一人じゃなくて二人だけど……あ、そうだ、忘れてた。篠原!」

 

 

 

やったぜ巧い具合に話を繋げそうだ。

 

 

 

「なんだ?」

 

「お前に謝らなきゃいけない事があるのを忘れていた」

 

「うん?」

 

「スルヴァニア皇国って覚えてるか?」

 

「スルヴァニア皇国……あっ、確か『勇者を名乗る人間が反逆罪で処刑される直前の貴族の娘を浚って消えた』とかでなんか文句を言われた記憶があるけど」

 

「そうそう、その件についてなんだけど、それ俺なんだ。正直済まないと思っている」

 

「……え?」

 

「色々複雑な事情があって、その処刑寸前の貴族の娘は冤罪だったんだよ。んでその娘の出自がやや特殊でな? やむなく元<勇者>の俺が起用されたんだ」

 

 

 

周囲にほとんど被害なく、処刑直前の貴族の娘(つまりお荷物)を救い出して脱出しろ、とかたった今その任務を捏造した俺でさえ無茶振りにも程があると思うが、それをこなせるのが<勇者>である。

 

さて、では喋り倒すとしよう。

 

 

 

「まあ前散々言ったと思うが、<勇者>は基本人族に手を出してはならない。俺はその時も<勇者>じゃなかったが、まあどちらにせよ、人族の貴重な戦力を内輪もめですりつぶすわけにもいかないだろう?

 

つまりその少女を助けるには、攻撃されても無傷で切り抜けられるか負傷が問題ないレベルである必要がある上に、帰りはお荷物を背負ってなお人族の一線級戦力を振り切れるような人間である必要がある。それでいてフリーかつ後腐れない人間って事で俺が派遣された。

 

<勇者>を名乗ったのは、俺の肩書の中でそれが一番威圧するのにぴったりだったってのと、おいそれと手を出せなくなるからだ。基本的には<勇者>っていうのは女神様の使徒とかの高位の存在だからな。

 

貴族の少女の出自っていうのがまたかなり面倒なんだが、死んだらヤバイって事だけ覚えておいてくれ。少なくとも人族……あの国は確実に滅ぶ。そのレベルの爆弾だったんだ。女神様が俺に命令に近いような救助依頼を出したっていえば重要度はわかると思う。

 

ちなみに彼女は今、どこかの国で、俺の代の元<聖女>と一緒に旅をしている。俺が今回飛び出したのも元<聖女>から救援要請が来たからだが、まあ基本的には安全なところにいると考えてくれ」

 

 

 

これだけの話を帰ってきてからの短時間で組み上げる事が出来たのは<賢者>の能力のお陰である。無駄遣い……ではないがまあもったいない使い方だな。

 

 

 

「それは……」

 

「その貴族の少女の出自とやらが気になりますが」

 

「あー……これ言って良いのかね……良いか、構わんか。あ、ただ出来れば他には伏せといてくれ、頼む」

 

「あ、ああ」

 

「その貴族の少女はな、雷帝竜の子孫なんだよ」

 

「……は?」

 

 

 

さてフェイク交えてどこまでいけるか試してみよう。

 

 

 

「変化魔法分かるか?」

 

「ああ」

 

「……使えはしないが、効果くらいは。確か竜種クラスの高位の魔物が使えるとか」

 

 

 

OK、流石は<賢者>に<魔導師>。

 

 

 

「それを雷帝竜が使ってな、人間に化けて人間と子を為した。遥か昔……俺が召喚される寄りももっと昔、実をいうと詳しい時期は俺も知らん、そのレベルの話だ。ただまあその家に稀に、先祖返りとでも言うべき、雷属性魔法に特化した化け物じみた魔力量の、それこそあれだな、俺達<召喚者>レベルの魔力量を持つ人間が生まれていたんで、本当の話だという事は推定出来ているんだ。

 

ただ当然ながら血は薄まっていくからな、だんだんと先祖返りが生まれる頻度も下がっていったんだろう。俺が居た時代も俺に<雷属性魔導>を教えてくれた、少し年を召した男性が一人いただけだったし、多分その後ももっと下がっていったのだと思う。

 

証拠が少なく乏しい事象は信憑性に欠ける。時を超えるのは神の領域の魔法だ、一般人には扱えないから確かめる事も出来ない、多分そんな形で雷帝竜の子孫である事は忘れられていったのだろうが、血は脈々と受け継がれ、そしてまた一人の先祖返りを生み出した、それが今回の少女の出自だ。ついでに言うとこの事実一つで、今回の件については解決できる」

 

 

 

嘘をつく時は少しの真実を混ぜると良いとの事。

 

 

 

「死んだらヤバイっていうのは……?」

 

「それも彼女が雷帝竜の子孫である事に由来する。雷帝竜を含め竜種と呼ばれる生物は、基本的に自身の縄張りに生息する魔物を統率している、特に知性のある魔物であれば、それは主従と言って良いようなものになる。故に竜種を殺した場合、それらの魔物は主殺しを殺しに来る。

 

今回処刑されそうだった少女はただの人間だが、先祖返りで竜種に近い力を持っていた。竜種の力は少々独特でな、通常より広域で探知が可能だ。故に彼女の存在が雷帝竜麾下の魔物に察知されていてもおかしくはない、というか多分察知されてる上に娘認識されていると考えていい。

 

主君の娘が殺されたら報復に来るのは当然だろう。知能が高い魔物は、人と同等レベルに考えなければどこかで致命的な失敗をするぞ、頭に入れておけ。

 

……冤罪だと断定した理由も彼女が竜種の血族であることに由来する。竜種は、嘘を話す事は出来ない。それが彼等あるいは彼女等が持つ強大な力に対するペナルティだ。

 

そもそも竜種は由来が特別だからな。彼らは世界の<守護者>という存在に当たり、過度な力を持ってしまった<勇者>や<魔王>に対する万が一の抑止力、まあ言ってしまえば女神様直属の家来みたいな物だ、嘘なんて付けない。それと同じだ、竜種の血族もまた嘘をつくことは出来ない。無論真実を言わないでいる事は可能だが、口に出したのならそれは真実だ。

 

血族にまでこの縛りが適用される理由は残念ながら不明だが歴然たる事実だ。ゆえに彼女達は無罪だ。冤罪で殺されようものなら魔物達による報復であの国は間違いなく滅びていた。

 

が、まあ俺が救出して、今は俺の元相方……もう彼女は<聖女>ではないが、それでもちょっとした特例はあってな。多分そのせいで人が滅ぶ事はもう考えなくていいだろう。

 

……言っても良いなこれは。良し……いつだったか、俺が、今は<勇者>じゃない、といったのを覚えているか」

 

「ああ」

 

「あれは半分本当で半分嘘だ。あの時の俺は、女神様直属の……何だろうな、駒というか遊兵みたいなもので、<守護者>として立っていた。次に会う時は敵同士だといったのも、あの時のお前達はその力を本来守護対象である人に向けていたため……ってのは話したな。

 

……ああ、そうそう、俺がここに居るのは<勇者>ではない別の役割を背負っているから、と言ったのだったか。つまりそれが<守護者>だ。いずれ分かる、というのは、お前達が重大な危機に陥ったらまず間違いなく女神様が救援の命令を下すだろうと思っていたからだ」

 

 

 

あーちょっと苦しい言い訳な気もするが……まあ良いか、気にしねえだろ。

 

 

 

「ちなみに問題の少女を預けた先の元<聖女>も<守護者>だ。こっちは称号じゃなくて職業がな。<聖女>としての力はほぼ無い。今回の件で彼女を守るためだけにある程度の力が与えられただけだ。

 

あと一応言っておくが彼女達がどこにいるのかは俺も知らない。助けに行ったとは言ったが、あれ女神様の力をお借りしてワープしただけだからな……森の中にいたがどこの森かは分からん。だから悪いが彼女達の力を借りる事は出来ないぞ」

 

 

 

ついでに釘を刺しておく。

 

 

 

『……こんな感じでどうだ?』

 

 

 

予め開いた念話でさくらに評価を求める。

 

 

 

『んー……ケイの台詞の言い訳が若干苦しいかなって気はする。あと全般的に長い』

 

『だよなぁ』

 

『でも今回のは別に正しい説明をする事が目的ではないから良いと思うわ。ただ<賢者>は全部理解しようと思えばできてるはずだから一応ボロを出さないように注意しておいて』

 

『了解』

 

 

 

「とりあえず何か質問ある?」

 

 

 

頼むからないと言ってくれ。

 

 

 




以上です、若干長めでした(通常3000前後、今回4200)。

フェイク混じり、ではなく、一つまみの真実混じり、の方が正しいですねこれ。

これを書く時以前の投稿分を読み返していたんですが今読み返すとなかなかの駄文ですね、暇があれば改稿したいのですがストーリーをうまく運べる気がしません。

次回更新予定となる再来週ですが、学校のテスト前なので正直微妙なところです。もしかしたら更新をお休みする可能性がありますがご理解いただければ幸いです。

最後になりますが質問感想批評などありましたら感想欄へどうぞ!お待ちしております。
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