ご注文は魔法少女ですか?~彩の魔法使いと色なき怪物~ 作:ユキチ
書き始めたばかりで色々文章が不安定なのはお許しを。実は設定もちゃんと固まってなかったりする。
小さな街の、話をしよう Part1/4
まだ俺には分からない。何が正しいのか。
その答えを……君が俺に教えてくれ……!!
何本もの円柱が所狭しと立ち並ぶ空間。
その一角で、三人の戦士が青く染まった目をした灰色の怪物と戦っている。
白いラインを纏った戦士と黄色のラインを纏った戦士が弾き飛ばされた直後、怪物は指から触手を伸ばすと黄色いラインの戦士の腹を貫いた。
離れた場所にいた赤い戦士が叫ぶが、怪物は既に向きを変え、赤い戦士へと一歩一歩近づいていく。
怪物の足が止まる。何かに押さえつけられたのように。
後ろには、青い炎を吹き出す同じく灰色の怪物の姿。
怪物を羽交い締めにする奴の姿が、一瞬黄色い戦士の変身者に変化した。
「うああああああああああああああああっ!!」
叫び声を上げて武器を投げ捨てた赤色の戦士が、二人に向けて跳び蹴りを打ち込む。
そして空間に広がる、真紅の爆炎……
「!!」
目が覚めた。 いつもの部屋だ。
もう何回目だろうか。 こんな夢を見たのは。
似たような夢を何回も見た。灰色の怪物と赤いラインの戦士が戦う光景、波打ち際に横たわる男の首を持ち上げてへし折る黄色の戦士、他にも何か見たような気がするのだが、どうしてだろう。それだけが全く思い出せない。他はわりとくっきり覚えているのに…。
青みがかったホワイトのロングヘアーをもつ一人の少女は少し前から繰り返し謎の夢を見るようになっていた。そのいずれの夢にも灰色の怪物と、その変身者である男が映り込んでおり、まるで自分が何かのお告げを受けているかのようだった。
そして4日前、夢の中で男がこう呟いたことで彼女はそれを確信したのだ。
「それにいざ力を使える人が現れたとしても、過酷な運命を背負わせてしまうことになる。
今のところこの力は十代半ばの女の子に使われたときに最大限発揮される。
そんな年齢の子に耐えられるかも分からない、過酷な運命だ。
3本のベルトと違って、使用者が固定されてしまうから尚更…………」
3本のベルトとは何なのか。あの戦士に変身するためのものなのか。
使用者が固定……つまりあの3本のベルトは逆にいろんな人が使ってきたという解釈も出来る。
このことをいつまでも考えていたって仕方ありません。とりあえず上の階に行きましょう。
そう頭に浮かべてから、ベッドを出て、ドアを開けて廊下に出る少女。
そして階段を上がり、上の階に向かう。 扉を開けると、 部屋のベッドにはくるまった布団が置いてあった。 中に何か入ってるみたいなくるまり方だ。
「ココアさん…ココアさん、起きてください。」
「うっ、うう……あと3分ぐらい……」
ここは、とある木組みの家。
7時ちょうどの頃、その3階の部屋で青がかった白い髪を下げた1人の少女が、くるまった布団に話しかける。
その布団から返ってくるのは、もうちょっと寝ていたいということがいかにもという感じで伝わってくる女の子のダルそうな声。会話内容から察するに、ココアという名前のようだ。
「……(結局今日の朝もアレをやらなきゃいけないんですか……)」
「おねーちゃん、起きてください」
「おはようチノちゃん!」
さっきまでのダルそうな声が嘘のように、布団の中から元気でーす!とアピールするかのような返答と共に女の子が飛び出してきた。
ストロベリーブロンドのセミロングヘアーをもつ彼女の名は
元々彼女はこの街の人間ではない。この街にある高校に進学することになったとき、下宿先としてこの家にやってきたのだ。
そんな彼女は今、”下宿先ではお世話になる方々にご奉仕しなさい”という高校の方針の下、この木組みの家の1階にある喫茶店”
「いい加減”お姉ちゃん”と呼ばれなくても起きられるようにして下さい」
「ええ~、だってぇ………」
「本当にお姉ちゃんなら逆に私を起こしに来るべきだと思います」
既に中学3年なのだが、身長は明らかに150を下っており非常に小柄。小学生と間違われることもある故に本人は結構それを気にしている。
さて、ココアは大抵下宿先の1人娘である彼女にお姉ちゃんと呼ばれて起きている。少々冷酷なことを言わせてもらうが、2人の間に血の繋がりは
「今日は日曜だし、ほら、まだ8時15分だよ」
「………………!?」
夢に気を取られて時計を見ていなかった。休日もいつも通りの時間に起きるチノだが、その場合はココアを起こそうとしても反応すらしないのが常であり、今日のように割とすぐに応答が返ってきたというのは珍しい。自分も少々寝坊していたことに気づき一瞬自分ながら軽く驚くもすぐにいつものペースを取り戻した。
「"まだ"じゃないです、いつもは学校に行くために家を出る時間です」
「ふぇえ~、あ、でもアレの時間には間に合うよね。まだあと15……いや14分もあるし!」
「……それは、そうですけど……」
8時30分頃。ダイニングルームで朝食をとる2人。
「おお~、始まったよチノちゃん」
「わざわざ言わなくていいです」
ダイニングルームのテレビに釘付けになるココア。元々チノのお父さんの部屋に置いてあったものだが、ココアの見たいアニメがあるという要望で移設したのだ。
そして毎週日曜朝8時30分から始まる少女向けアニメ、それこそがココアの大好きなアニメの1つ、"キュアラープリティ"である。本当は朝7時から30分ごとに違う子供向け番組を放送しているのだが、より前の3つはいずれも男の子向けでありココアはそんなに興味がなかった。
一方チノは昔からお父さんが見せてくれたとしても基本的にテレビ番組には興味が無く、移設後もテレビ画面にあまり目を向けないでいたが、そんな彼女もまた"お姉ちゃん"に影響されてか好きなアニメが出来はじめていた。ただしそれは……
「私は"未来のナターシャ"のほうが好きです」
「えーっ、アレ主人公かわいいしイケメンさん多いし、お姫様のドレスもキラキラしててステキだよ、でもなんか暗いっていうか……」
「魔法みたいなもので戦うっていうのは派手すぎて好きになれません。もうかなり前の作品ですし1年しかやってくれなかったみたいですけど、暗くてもナターシャみたいな作品のほうが私は落ち着くんです」
実際ナターシャのストーリーは一人の少女の親探し旅行とその過程での人々との触れ合いに主軸が置かれ、バトル要素はほぼない。ただしライバルみたいなのは登場するためその類の話では急にストーリーが異様なまでにジメッと、そして重くなることがよくあった。楽しく愉快な、派手さのあるお話が好きなココアにとってはそうしたナターシャよりキュアラープリティのほうが魅力的に映っているのである。
「それにキュアラープリティだって、大きなピンチに遭遇して重くなったりすることがあるじゃないですか」
「うん、あるよ。でもそれを友情パワーとかで乗り越えちゃうのがいいんだよ! チノちゃんだってそういう経験ない!?私だってこれでも実際に折れかかったこ
「CM終わりましたよ」
「!!……あ、ああ、うん、アツくなっちゃってごめんねチノちゃん。押しつけはよくないよね」
実際OPの後のCMが終わり本編が始まっていた。
その後のココアは食べ続けてはいながらも視線はテレビに向かい、チノちゃんとは言葉をあまり交わさなかった。はじめの頃はチノにも一緒に見ようと促していたが、結局チノには見る気がなかったためもうココアも無理強いするのをやめたのだ。
そして次のCMに入ろうとするあたりで話を振る。
「ところでチノちゃん………………
知ってる?…………灰色の怪物の噂」
TV音声『爆安売りセール、ズドーン!!』
こちらは木組みの町サイド。次はもう一つのサイドのお話。ええ、555序盤の木場さんサイドと巧サイドの描写をリスペクトしています。
基本的に4本投稿で1話を形成する、という形で進めていきますので、1本につきテレビ放送5~6分尺で考えていただけると有難いです。