ダンジョンに近代兵器を持ちこむのは間違っているだろうか 作:ケット
その日、瓜生は、
「【ロキ・ファミリア】の何人かに、16階でラーメンをごちそうしてくる」
と言って出かけた。物資調達のメンバーに、
(本当にこんな、少ない物資でいいのか……)
と、瓜生の能力を信じ切れない者がいるのだ。彼らを連れて装甲車で中層に行き、ルームを傷つけてカセットコンロ・やかん・水・ラーメンを出し、カップラーメンを作って食べて帰るだけの簡単なお仕事である。
リリは寄宿先のノームの看病で休む。……看病でも、買い物には行く。買うものはたくさんある。
それでベルは、今日は一日中アイズと特訓。
レフィーヤは、24層の騒ぎで知り合った【ヘルメス・ファミリア】のエルフと特訓に行った。ベルとアイズの一日二人きりに歯噛みしながらも。
ビーツは『豊穣の女主人』、リューのところに里帰りした。とんでもない量の料理を食べ、給仕もする。勉強も教えてもらう。
ヴェルフは多忙を極めるファミリアの雑用。
夜明け前から、休みなく打ち合い続ける。どれほどひどくやられても、ベルは音を上げない。
アイズは驚いていた。
(これが、正しい基本……)
彼の動きはどんどん切れていく。レベル1とは思えないすさまじい速さが、剣とみごとに調和する。身体の芯が軸が、重心がしっかり据わっている。
昨日自分が教えたことを、復習して血肉にしてくれていることがわかる。ダンジョンのモンスターを相手に。ホームでの素振りで。また、昨日は神タケミカヅチの指導で。
ベルの体を通じて、タケミカヅチと勝負しているようですらあった。
武神と戦っているように、その芸術的な型を観る。豊富すぎる実戦経験から、武神の教えの無駄を探す。それを通じて、自分の動きの無駄も見える。
ベルも、戦えば戦うほどアイズの動きの美しさに深く惚れていった。
外見だけの憧れとも、もう違う。その剣がたまらなく美しいのだ。武神の剣も美しいが、それとは違う美しさ。
だが、何かが足りない気がする。何が足りないのかはわからない。
昼寝に誘ったのは、ごくなんとなくだった。
それから、昼食を買いにジャガ丸くんの屋台に行って、ヘスティアにばれるなどトラブルもあった。
午後はなんとなく、ひたすら体力勝負を挑ませた。気絶で楽にさせない。何時間も、一瞬の休みもなく攻め続けた。
そして特訓を終えて、暗くなった道を帰っているとき……
道が暗かった。魔石街灯が壊されている。
アイズが猫人の槍使いと戦っているうちに別方面から奇襲があり、ヘスティアを守ったベルと分断された。
そのベルを、二人の冒険者が襲う。
一人を撃退した……
(千草さんより、弱い)
だが、もう一人。
両手剣を持つ、覆面はしているが長身の女とわかる。
歩き、斬りつけ、弾かれたときにはっきりわかった。
(命さんと同じぐらい……レベル2!?)
レベルが違えば、事実上絶対に勝てない……そのことは、エイナに何度も言われていた。
だから冒険はするな、と。
だが、
(ここで僕が引いたら、神様が……)
(女を守れ)
はっきりと、決意が固まる。
ダンジョンではないので、刀は持っていない。ヘスティアがくれた脇差『ベスタ』と、ヴェルフが打った短剣『ドウタヌキ』の二刀。
深呼吸し、腰を落として、歩きはじめる。
厚い短剣が、すさまじい衝撃をはじいた。
わかっている。
【タケミカヅチ・ファミリア】の桜花や命の打ちこみと同様の、圧倒的な力と速さ。
無論、その二人のどちらにも、勝ったことなどない。
(それがどうした!こんなの、アイズさんに比べればぜんぜん遅いし、軽い)
強烈な一撃、だが迎撃できる。アイズに教わったことを、さっそく全力で出す。
相手の体幹をとらえ、斬りつけ続ける。それは最高の防御にもなる……相手がこちらを切ろうとすれば、脇を絞めて振りかぶっている自分の剣が邪魔になるのだ。
タケミカヅチ神は、零能の人の身で、『恩恵』がある自分や桜花の一撃でも、柔らかく受け流しその動きがなめらかに打ちこみに変わる。速度は何倍も違うはずなのに、まったくよけられない。
自分はその域に遠く及ばない。でも真似ることはできる。愚直に、教わった通りに練習は繰り返してきた。
刃筋がきれいに通る。黒紫の光を帯びた脇差の斬撃が、両手剣の刀身を切断した。
女は驚きながら、返しの逆水平を見切って腰をそらして鼻をかすめるほどぎりぎりで空ぶらせ、腰から短めの大針剣(エストック)を抜き突きを放った。
ベルはもう一歩斜め前に出ていたが、左上腕を縫われる。短剣を落とす。ただ、その場に止まっていたら心臓を貫かれていただろう。
激痛と衝撃。だが、背後に守るべき女神がいる。ベルは動きを止めず、振りぬいた脇差を袈裟に振り下ろした。
女は大きく飛び離れた。
ベルは動き続ける。斬りつけ続ける。身体の軸で。深く呼吸しながら。腰を落としたまま。痛みは激しい呼吸を命じているが、それを抑えて。
(足を止めたら終わりだ)
それがはっきりわかる。身体がわかっている、足を止めた瞬間に体に食いこむアイズの鞘が教えてくれた。嫌というほど。
覆面の奥で、上のランクの冒険者が驚いているのがわかる。
「調子に……」
乗るな、と打ちこんでくる強烈な一撃。
脇差で受けたが、体ごと持っていかれそうだ。
(いや、アイズさんの一撃はこんなもんじゃない!)
そう心で叫びながら、ますます加速していく。
レベル2の相手と同等、さらにそれ以上に。
相手としてはやりにくい。脇差での斬撃はかわすしかない、剣で受けたら剣が斬られる。
身体能力と経験の違いでよけるしかない、だが少なくとも速度は同じ領域にある。
「化物め……引けっ!」
声がし、素早く相手が剣を引き、闇に紛れた。
ベルは激しく息をつき、膝から崩れそうになった。夜目もきくアイズが短剣を拾ってくれる。
「大丈夫?」
アイズがポーションをかけてくれた。
「は、はい」
「すごかった、ね」
ベルは、やはり悔しかった。
「レベル2相手に、負けなかった」
アイズはそうほめてくれたが、アイズの前だから勝ちたかった。
「心当たりでもあるのかい?」
「よくある、ことだから」
アイズはそう言って、息一つ切らさずベルとヘスティアを工事中の廃教会に送った。
その夜中、むしろ朝に近い時刻。【ソーマ・ファミリア】の、本拠(ホーム)よりずっと厳重に守られた酒蔵が襲撃された。
特にうぬぼれが強く、権力と金、何よりも『神酒』に飢えた数人が、魔剣を振りかざして酒蔵を襲ったのだ。何人かの、ならず者も加えていた。
だが、その決行日は密告されていた。
『酒守』ザニス・ルストラ自らが出て酒蔵を固めた。
渡された魔剣も、一度か二度で砕ける安物だった。
魔剣が放つ炎も、大盾に防がれる。
「おまえらは騙されてたんだよ!」
ザニスの嘲笑とともに、裏切り者たちは次々と叩き伏せられる。
「さて、誰に頼まれたか、教えてもらおうか……いや、その魔剣は誰に渡された?」
「り、リリ、りりりり、リリチビだ」
「ああ、あー」
「アーデだ、あのチビの」
「なにぃ?」
ザニスの表情が変わる。密告した者を締め上げたら、そのもとはリリルカ・アーデだった。
襲わせたのも、密告したのも……
「ちくしょうっ!ただじゃ」
叫んで、一党を引き連れてホームに走る。
そして気がついた。ホームへの最短距離の道が、荷車でふさがれている……
ちょうど、そのころ。
手薄になった本拠(ホーム)を、何者かが襲撃した。
まず門に襲撃があった。
わずかに残っていた構成員は門の方に向かった。数少ないレベル2、チャンドラ・イヒトは門の方に行き、人数は多くいた、所属不明のならず者に立ち向かった。
彼らは奇妙だった。明らかにレベルが低い、『恩恵』のない者さえいるのに、妙に手ごわい。巨大ともいえる盾を構え、固まって押してくる。
その後ろから石がたくさん飛んでくる。
石のいくつかは、小さい爆発を起こして強烈な音と光を放ち、こちらをひるませる。またいくつかはいきなり煙を吹き出す。それを吸うと両軍とも激しくせきこみ、目の痛みにわめき散らすことになる。
「なんだこれは」
と大盾を構えるならずものを襲ったチャンドラ。
その目は、騒ぎに紛れて恐ろしい速さで逃げている何人かの、姿を厳重に隠したかなり上の冒険者を認めた。
「きさまら……金で雇われたな?誰に」
「ぐあああっ、ぐへっ、ぎゃあう」
まったく話にならない。尋問を始めるまで、かなりの時間がかかった。
水を持ってきて目と顔を洗ってやり、うがいをさせた。それでやっと、ひとごこちついたようだ。
「げほ、ぐあ、げほ、げ、へ、変な奴だ。全身鎧を着てた」
「最初に半金もらって、あとのことはぜんぶ、人のいない酒場でおれの耳にだけ、することを聞かされるんだよ」
「む、これは!」
チャンドラは何かに気がついたか、室内に走った。
門とは逆の壁に、大穴が開いている。それも、巨大な刃物で切ったようなきれいな穴。
その穴を開けた爆発は、さきほどの閃光音響手榴弾(スタングレネード)とタイミングを合わせたのだろう。
チャンドラが知るはずはなかった。成形炸薬テープ……RPG-7のような成形炸薬弾頭、円錐形にへこませた爆薬に金属板を内張りして起爆すると、極端な力で押された金属板がとてつもない速度の、液体も固体もないジェットとなって、装甲板を硬さ関係なしに貫通してしまう……その原理を用いて、壁を好きな形に切り取れる爆薬テープ。
「むう……」
主神がいなかった。わずかに警戒していた者は、鼻と口を押さえ、涙とよだれを大量に流してのたうち回っていた。
「この館の構造を、知り尽くしている者の……ばかな、神に対する暴力は重罪だぞ」
あきれかえり、追うチャンドラ……壁の穴から出ようとした彼を、目出し帽の上にヘルメットをかぶった子供のように小さな冒険者が迎撃する。
その両手にはトンファー。
「主神は、ソーマは」
無言で、すさまじい速度で小さい子が走りこむ。強烈な一撃を受け止め、
「む……」
レベル1だとはわかる。だが、
(強い!)
はっきりわかる。
その手にはトンファー。とんでもなく重い、
(第一級特殊装備?)
と一瞬思い、そのまもなく次の一撃を受け……防御ごと撃ち抜かれるような衝撃に、頑丈な体が大きくずれる。
すさまじい速さと力。
激しい戦いになる。戦えているのが不思議な戦い。
突然、ホイッスルが短く三度響く。
少女は超高速のワンツーを放ち、そのまま半歩下がって、何かを放った。
(く)
チャンドラが警戒した、その間に少女は逃げた。
彼女が投げたなにかは、強烈な光を放つ。そして火が上がりそうになり、消火に忙しくなった。
「むう……」
はっきりとわかっている。相手にも、かなりの傷を与えている。それでも相手は、ひるんでいない。
(強い)
ふん、とチャンドラは息を吐いた。
血相を変えて走るザニス。このグループでは一人だけのレベル2が……荷車が邪魔で、狭いごみだらけの路地を走っていると、すぐに一人だけ先行してしまう。
そこに、一人の男の影があった。
男は竹刀とほぼ同じ長さの、鋼の棍棒を正眼に構えた。
「て、てめえ……『妙な音』か。あれも、これも、全部」
無言。静かに、すり足で前進する。
「ぶっ殺してやる!」
理知的な雰囲気などかなぐり捨てた獣が襲いかかる。
剣の才のない、平凡なレベル2と……ステイタス頼りで正しい動きを身につけず、ろくにダンジョンにも行っていないレベル2。
「なんなんだ、なんなんだてめえは!」
「あんたがほしいのは、神酒(ソーマ)でも金でもない……権力だな。金が欲しいなら、命知らずは多数いるんだ、リヴィラまで荷物を運べばいくらでも稼げる。
リリルカ・アーデを花屋から連れ戻したのも、割に合わなかったはずだ。
団員が潰しあい、すさんでいき、狂っていく姿こそ見ていて楽しかった……神酒より権力のほうがよほどうまいのは知れたことだ」
「だまれえっ!」
図星を指されたザニスが、激しく打ちかかる。
それなりに激しい打ち合いになった。
勝負を分けたのは、瓜生の圧倒的な防御だった。ベルに比べれば少しだけだが、毎日やっている素振りだった。ステイタスによる力を使いこなし、打撃力と足さばきはちゃんとできているのだ。
防御には優れていて、レベル2の攻撃を防ぎきっている。多少やられても、不可視の鎧で大したダメージは受けない。そして一撃は重く、腰がしっかり乗っている。
あえて、大きめに振りかぶって威力を乗せている。
痛みに慣れていないザニスがひるんだところを、容赦なく小手で手首を砕いた。そして逃げようとした鎖骨を強打し、ふくらはぎを打って縛り上げた。
「これでいいのか?」
「はい」
アナキティ・オータムが笑いかけた。
「【ファミリア】潰しをやる以上、最後はちゃんと、頭を剣で倒さなければ……わたしたち冒険者が納得できません」
「全部闇から闇へなんだがな」
「それでも、ですよ」
「ちゃんと、見たよ」
「ああ」
「約束だ、後金をよこせ」
ぼろぼろになったならず者が手をさしのべてくる。瓜生は、金貨の袋を渡した。
「あとは……」
……そして翌朝、【ソーマ・ファミリア】本拠に『ギルド』職員の査察が入った。
『ギルド』近くの物陰に、団長のザニスが縛り上げられていた。
同時に、『ギルド』にリリルカ・アーデも出頭した。
リリルカ・アーデは前日、『ギルド』にすべての罪の告白書を送っていた。神ヘスティアの署名がある、神によって真実性が確認されたものだ。また、自分を受け入れたせいで荒らされた花屋の老夫婦のことも書いた。
主神の行方不明。一般市民への暴行も、リリルカ・アーデの件だけではない。冒険者の間にも、リリ以外の【ソーマ・ファミリア】の者にまつわる苦情は多くあった。
数日後、主神ソーマからの申し出もあり、【ファミリア】は解散、全員改宗待ち状態にし、いくつかの余罪が判明したザニスは『ギルド』の牢につながれることになる。
……余罪の中には、そんな罪があることすら公開できないほど重い、闇派閥がらみのものもあった……
『青の薬舗』の奥で。
タケミカヅチとミアハ、ヘスティアが縛り上げたソーマの紐をほどいていた。
子が神を拉致すれば重罪。また神威を受ければ子は抵抗できない。だが、神が神を拉致するのは、この半無法の迷宮都市では、単なる抗争だ。
武神タケミカヅチならば、零能の人の身でもレベル2ぐらいの冒険者には勝てる。まして、引きこもり神を縛り上げ、三人で担架に載せて担いでくるぐらい難しくはない。
防毒マスクをつけ、催涙ガス弾も持っていた。
タケミカヅチとミアハとも、かなりの金額で雇われた。ミアハは、借金二回分の返済にすらなる額だった。
「終わった」
瓜生がやってきてそう告げた。ロキを連れてきている。そのロキは、小さなリュックをかついでいる。
ロキとヘスティアがまた口げんかしてから、瓜生がヘスティアを連れて帰った。
「明日、いやもう夜が明けるか、仕事だ」
と。
「ロキ……大丈夫なのか?」
ミアハが心配そうに言う。
「心配あらへん。うちの子たちは、見とっただけや。ほとんどはウリが、金で雇った連中を使ってなんとかしてもた。で、このヒッキー」
と、ロキはリュックから、いくつかの酒ビンを取り出した。
「ほれ」
特に古いビンから、崩れかけのコルクを抜く。茶こしでコルクくずをこしつつ、グラスに注ぐ。
とろりとした、黄金のような酒が朝日にきらめく。
無反応だったソーマが反応した。
「こいつはな、遠くの国の子(人間)が作った酒や。シャトー・ディケムの、100年以上経ったもんや」
そう言ってロキは飲み、タケミカヅチやミアハにも回す。そしてソーマの前にも置いた。
タケミカヅチもミアハも、あまりの美味に言葉が出てこない。
ソーマも震えながら、超長期熟成の貴腐ワインを飲む。圧倒的な甘さと複雑な味に震えている。
「今作った酒で満足するのか?もっともっと上を目指さないか?俺はまだまだ上を目指している」
タケミカヅチが笑いかけた。
「これも試してみい」
と、3本のビンを出した。
美しい絵がラベルに描かれた、シャトー・ラフィット・ロートシルトのヴィンテージ。ロマネ・コンティの伝説的なヴィンテージ。どちらも30年以上前の超絶な赤ワイン。
美しいバカラグラスのビンに入った、ヘネシーのリシャール。
瓜生の故郷でも、超ド級の酒ばかり。
次々と注いでやる。ソーマは一口ずつ味わい、香りと味を全身で解析した。
酒は、ソーマにとって唯一わかる言葉だ。
「自分、【ファミリア】運営に向いてないんや。うちんとこでゆっくり休んで、好きなだけ金使ってええ酒作れ。そいでな、失敗作だけでも分けてくれればいい。
酒の作り方を子に教えて、それで金をもっと作ればええ。まあその子には神酒は飲ませんほうがええな。
子が酒の作り方を学ぶまで、うちと、デメテルたんで面倒見たる。
だから、『ギルド』から話が来たら、みんな改宗待ちにしたれ」
ロキが静かに語りかけ、うまそうに美酒を干した。
ロキは、うまい酒が飲みたい、ソーマの失敗作でもいい。瓜生はみせしめに【ソーマ・ファミリア】を潰したい。『ギルド』は、ひどいファミリアはちゃんと取り締まっている、と見せたい。
利害の一致だ。
自分の調査がそんな形で使われたことを知ったエイナ・チュールは、
(中立って一体……)
などと、頭を抱えたらしい。
翌日、リリルカ・アーデは釈放された。
反省はしているし、実際には死者や重傷者は出ていない。ペナルティとして、宝石にしてあった金の八割は没収されたが……
リリの身元引受に行ったベルを、瓜生とフィンが見ていた。
「自分の眷属にも、ひどいことをしたファミリアはつぶす、そうだね」
瓜生は少し黙って、違うことを言った。
「悪い【ファミリア】所属者の子として産まれたら、救済措置がない……これは問題にしたい」
「結構難しいと思うが、やりがいはあるね。それにしてもあの……」
フィンが、リリを見て食指を動かしたようだ。
「じゃあ、おれは先に行っている」
「アキたちはもう出ている。18階層の、この地図にある水晶のところで合流してくれ」
「わかった」
そういって瓜生はダンジョンに歩き出し、フィンは『バベル』に向かった。
遠征が近い。今回は前回の反省もこめて、鍛冶師も連れて行く。
瓜生がいるから不要という声もあったが、瓜生の武器にはどんな不都合があるかもわからないのだ。
他にも、すべき事務処理は膨大にある。
フィンの、その多忙も一族繁栄のため……嫁探しも。
リリと瓜生が神酒に耐えるシーンは描き損ねたので、そのままなかったことにするか、それとももう一波乱入れるか…