ダンジョンに近代兵器を持ちこむのは間違っているだろうか   作:ケット

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奇襲

「50層は安全地帯だったはず」

 フィンが目を見張り、

「ラウル様、指揮を!」

 激しく副官の肩を揺さぶり、ゆだねた。そしてついやらかした言葉のミスに歯を食いしばり、それでも姿勢を取り戻す。

「は、はいっす!全武装使用許可!」

 ラウルが叫ぶ。恐怖に震えている。

【ロキ・ファミリア】の反応も鈍い。

 安全地帯に敵がいるという異常事態(イレギュラー)。

 見たこともない新種だ。

 極彩色の、片方のハサミが非対称に大きいザリガニ。尾がなく、後半身はむしろダンゴムシにも似ている。それが数えきれないほど多数。

 それと、羊の下半身に羊頭のケンタウロスが10ほど。赤と黒の斑で全身に毛が生えている。

 円錐形の騎槍(ランス)を両手に一本ずつ構えている。

 

 指揮を任されたラウルは震えあがっていた。

 フィン・ディムナは、ここにはいないのだ。

 横で立っている、外見はフィンなのは、リリルカ・アーデだ……

 フィンがリリのことを調べた時、変身魔法もバレている。バレていることはリリたちも知っており、だから影武者を出してフィンにウィーネを引き合わせ八百長を算段したりもした。

 重大な秘密でもある、だからこそここで切った。まあ、50階層まで見に来る者などいないだろうが。

 さらに、普段なら次席指揮官となるリヴェリアも、指揮をラウルに一任している。ガレス・ランドロックもここにはいない。

 

 

 

 ちょうどそのとき。人工迷宮を、SIDAM 25自走式対空砲が2両、高速で走っている。

 その前を、小さな球を掲げた頑丈な鎧の大男と、重機関銃と戦斧を抱えたアマゾネスが足で走っている。時速70キロをコンスタントに出し、アマゾネスは疲れたら車両の屋根に飛び乗る。ほかにも屋根で休んでいる者はいる。

 車両を動かし指揮しているのはフィン・ディムナ本人。加えてティオネ・ティオナ姉妹、ガレス・ランドロック、武威、ソロ。

 超少数精鋭、超高速の奇襲。この人数なら最悪、ソロの呪文で離脱できる。ソロの『ふくろ』があるので物資の心配もない。

 普通の大遠征と見せかけ、17層奥の入り口から『鍵』を用いていきなり少数が侵入したのだ。

 

 ソロの『ふくろ』や『リレミト』も重大な札だ。普通なら自ファミリアの眷属にも明かさない。だが【ヘスティア・ファミリア】は能力や知識を隠さない方針だ。隠さないことの利益も大きく、今までのところ損はない。

【ロキ・ファミリア】が瓜生やベルを信頼し、裏切ったら大損しかないと理解していることが大きい。

 強力なかわりに弱点を突かれると弱い、というような能力の持ち主が少ないこともある。

 

 一番面倒だったのが、団長の姿やしぐさをリリに盗まれたことで怒り狂い、同時に、

「団長が2人いいいいいいいいいっ!」

 と絶叫するティオネだった。

 彼女は今、高速で走りながら対戦車手榴弾を投げ、重機関銃の指切りバーストで正確に急所を撃ち抜くという戦法に慣れようとしていた。嫌な気持ちを押し殺し、銃を教えてもらうことで少しでもフィンのそばにいてほめてもらう、という涙ぐましい努力の結果だ。

 ティオナは先の戦争遊戯をきっかけに、武器を調整した。ついに超巨大重量武器ウルガの、不壊属性版が完成したのだ。瓜生が提供した金属を用いる切れ味は悪いが安価な不壊属性。切れ味は超硬チップを交換することで補える。

 以前の大遠征で手に入れた『ローラン』シリーズの大剣は、身内価格でアイズに売った。

 しばらくは新武器の慣らし運転。やっと出てきた膨大な数の食人花を、次々と斬りまくっている。

 巨大な武器を持って時速70キロで走り続けるのはきついので、ティオナは車両の屋根に座っていることも多い。そのサスペンションが悲鳴を上げるほどの重量武器だ。

 脇を抜けるクモの群れも溶解液虫も、ティオネが射撃と手榴弾で掃討している。

 

 

 八百長だった『戦争遊戯』だが、参加者誰もが自分の弱さを見つめ、変わるきっかけとなった。

 フィンは殻を破る決意をした。アイズもかたくなな復讐心から何かが見えるようにもなった。

 ベルもビーツも、ほかの多数も敗北を知った。自分より圧倒的に強い相手がいることを知った。

 ベルはアイズの教えを忘れ急所というエサに飛びついたこと……ビーツは勝つことを忘れ強くなることにかまけたことを指摘され、鍛えなおされた。

 武威はオッタルから武の高みを学び、かつて技を盗ませたアステリオスから習った技の別の使い方を学び、そして師である武神タケミカヅチから攻撃の正しい形も教わった。

 

 

 安全地帯での敵襲に混乱する【ロキ・ファミリア】。リヴェリアやアイズ、ベートはなぜか動かない。

「【ヘスティア・ファミリア】が前面を守り動けるスペースを作ります!ウリュー様、射撃開始!ベル様ビーツ様、射撃範囲外を警戒、装甲車に敵が接しないよう!リュー様とトグ様は春姫様の護衛、春姫様は詠唱開始!ベル様は短!」

 元の姿に戻ったリリの指揮に、眷属たちは素早く従う。

 ナメルのRWS(遠隔操作砲塔)30ミリ機関砲と、【ヘファイストス・ファミリア】製アタッチメントで強引に取りつけた12.7ミリガトリング重機関銃が咆哮をはじめ、敵を消し飛ばしていく。ザリガニのような怪物の分厚い甲殻も30ミリの前には無力。

 ケンタウロスのような怪物は機敏に回避するが、その騎槍をビーツの槍が巻き落とし、突きが刺さる。瞬時に3撃。ベルの二刀も二槍を柔らかく受け流し、手首を断つ。

 ベルの短文詠唱が完成し稲妻が弾薬や武器に落ちる。並行詠唱・並行蓄力を完全にものにしたのだ。

 リューが牽制し、トグの盾斧に攻撃を受け止めさせていた別の羊ケンタウロスを雷電を帯びた小太刀がとらえ、閃光とともに一撃で両断する。ビーツも、ベル自身も圧倒的な威力となった武器で敵を倒した。

 メルカバ譲りの重装甲を誇るナメルの奥で、春姫が集中して妖術を唱え始めた。

「こちらは任せろ!」

 椿・コルブランドが自作の14.5ミリガスト式重機関銃から、高い連射速度で多数の銃弾をばらまく。その振動からまた銃身の均一さと機関部の遊びを感じ、部品の摩擦に潤滑油と金属の摩擦についての理解を深める。瓜生が出した品と比較し、異界のメーカーが成し遂げた高みに思いをはせ、対抗意識を燃やす。

 鍛冶師たちもハンマーを手に敵に挑み、また牽引機関砲にとりつき激しい射撃を始めた。

 

 その姿に、ラウルははっきりと悟った。一瞬目を伏せ、顔を上げる。

 腹から深呼吸し、声を出す。

「【ロキ・ファミリア】のみな!【ヘスティア・ファミリア】に守ってもらう身分でいいんすか!」

 フィン・ディムナなら当然そう言ったろう。煽りの達人である団長なら。

 異常事態(イレギュラー)時、あえて第一級冒険者は動かず、二軍の奮起を待つ……自分たちで動けるように。瓜生の武器に頼り、経験値倍増に酔って腐らないように。

「ざけんな!てめえのタマ食いちぎって死ぬほうがましだ!雑魚どもは兎野郎に守ってもらって震えてるのがお似合いだぜ!」

 ベート・ローガが怒鳴った。

「リヴェリア様の部下という栄光を持つエルフが、王族の名を汚すか!」

 アリシア・フォレストライトがエルフたちを鼓舞する。

「アイズさん……守り合いましょう。まだ弱いですが、それでもできることをします!」

 レフィーヤの言葉に、アイズははっとした。

(英雄に守ってもらうだけでもない。独りで斬りまくるだけでもない。守り合う……)

 震えながら叫ぶラウル。アナキティが微笑する。ナルヴィ、クルス、レフィーヤ、リーネ、ラクタも立ち直る。それはよりレベルが低い眷属たちにも伝わる。

 赤黒い羊ケンタウルスは異様に強い。だが、さらに腕を上げたアイズやベートの敵ではない。まして、春姫の妖術でレベル7に強化され、大剣を手にしたアイズの前では……

 恐ろしく頑丈なザリガニの装甲も、30ミリや27ミリ、さらに40ミリや76ミリの砲弾の前では無力だ。

 レベル4や5の冒険者たちに握られた、手持ち用に改造された27ミリ航空機関砲や14.5ミリガスト式重機関銃は高速で動き回る敵も追随し、すさまじい威力を発揮する。

 

 敵を一掃した連合軍は、今度こそ静謐となった安全地帯で静かに食事の支度をする。ただし上下の出入り口にも周囲の壁にも、いたるところに多数の機関砲を向けて。

 瓜生が多数のトレイラーハウスを出し、助手当番たちの手を借りて燃料を入れる。プロパンガスボンベにコンロをつなげる。発電機に燃料を入れ、始動し器具につなげる。

 みな腹を減らしているので、先にすぐできる食事を用意する。多数のコンロがある。中華鍋を置いて挽肉と冷凍チャーハンを炒め半々に盛る。高級品のレトルトパスタソースを湯煎し、ゆであがりが早い生パスタを加熱する。湯が沸けばすぐ作れる袋生ラーメンもスープがわりに多数。

 徳用袋の揚げ菓子類、ドーナツやパウンドケーキ、ドライフルーツを多数大皿に盛り上げ、ジュースとともに先に提供する。

 ビーツには別に多数のパウンドケーキと、ミューズリー・レーズン・牛乳を与えておく。

 椿が酒を要求し、リヴェリアに殴られるのもいつものことだ。

 皆が食べ始めてからも、瓜生は業務用フライヤーでメンチカツ・コロッケ・イカリング・フィッシュフライ・フライドポテトを揚げ続け、中華鍋で大量の豚バラ薄切りとカット済み野菜を炒めては提供していた。飢えた冒険者たちはそちらにも食いつく。

 団長たちを心配し、頼りになる団長がいない不安におびえる冒険者たち。

 鍛冶師たちはひたすら食っていた。

 

 

 ここまでただ、無我夢中で走ってきた皆に、やっと少し余裕が出てきたようだ。

「生きてるなあ……」

 ヴェルフは呆然としながら食べている。

「50階層なんて夢のまた夢だったよね……」

 ベルがため息をつく。

 そんなところに、本来パーティとして組んでいるレフィーヤがやってきた。

「恐ろしい戦力になったものですね」

 レフィーヤがベルとビーツを見て、ため息をつく。

「あ……でも、ぼろ負けでしたし……【ファミリア】も負けに……」

 日が暮れたとき、ちょうどベルが気絶していたので書類上『戦争遊戯』は【ヘスティア・ファミリア】の負けとなっている。

 レフィーヤはため息をついた。

「アイズさんの……」

「ごめんなさいっ!」

 ベルが悲鳴を上げた。『戦争遊戯』で、ベルはアイズの片腕を斬っている。ランクアップはその『偉業』も大きい。

「いえ、『戦争遊戯』なのですから文句も何もあっちゃいけませんよ」

 顔は思い切り文句を言っているが。

「じゃ、じゃあ……」

 とにかくレフィーヤは怒っている。

 彼女も、リリやヴェルフと並んでほぼ最初にウィーネのことを打ち明けられた。それから、アイズのモンスターに対する憎悪の激しさと葛藤の激烈さを、言葉ではなく感じてきた。とても強く、強く、強く。

(誓い……)

 であるとまでは、知らないまでも。

 リヴェリアがふと見せた感情からも、理知のあるモンスターとの妥協がアイズにとってどれほどのことか、未熟なりになんとなくわかるのだ。

 モンスターに家族を殺されたフィンやベート、闇派閥の陰謀とはいえ仲間を皆殺しにされたフィルヴィスやリュー・リオンの気持ちも思ってしまった。

 そして目の前での、ベルとアステリオス……ビーツとアレン・フローメルの伝説的な激闘。嫌というほど燃え上がった胸の炎。それは祭りで燃え尽きるまでぶちまけたが……

 胸が張り裂けるような思いをしていた自分が、

(ばかみたい……)

 ではないか。

 一番腹が立つのは、ベルとビーツのランクアップでレベルもあっさり追いつかれたことだ。普通なら何年もかかるのに。彼女自身もものすごく早いほうなのに。

 

「それに、それに……ウリューさんの武器を、みんなで使ったらあんなにすごいことになるなんて」

 慌てたように言うベルに、

「同じファミリアのあなたが、一番彼のことを知らないなんて。それにあなたの付与魔法とあれが合わさったら……」

 レフィーヤはあらためてため息をついた。

「ごめんなさい……」

「まあ、正しかったでしょうよ。あれに頼って、何の危険もなく下層の敵と斬り合って過ごしていたら、成長なんてできなかったでしょうし」

「は、はは……」

「で、も!あの人がいなかったらどれだけ苦労していたか考えてくださいね!【アポロン・ファミリア】だって【ソーマ・ファミリア】だって、まして【イシュタル・ファミリア】なんて、いくらレベルが上がっててもできたて弱小【ファミリア】が対抗できたはずがないんですよ!」

「そ、そうだね……どうしたの、リリ?ため息なんてついて」

 ベルがリリをいたわる。

「なんでレベル1がこんなところにいるんですか」

 疲れ切った表情のリリ。

「そりゃ、フィンさんの影武者なんだから……」

「ひとりじゃ絶対帰れないじゃないですか」

「ぜったい守る!……でも前にベートさんが、どんなところでも、ひとりになっても帰れるように、って」

「私も似たようなことを言われました」

 レフィーヤがため息をつく。

「それって、何かが起きたらひとりで帰れないような階層には行くな、ってことでしょう?」

 リリがいうのに、ベルとレフィーヤが目を見張る。

「あ」

「あ」

 リリは深くうなだれた。

「ベート様に同情します」

 そう言ったリリがびくっとなる。集まっているところに、突然ベート・ローガとアイズ・ヴァレンシュタインが歩いてきたのだ。

「俺がどうしたって?雑魚どもが」

「ベル、リリルカさん、ちょっと来てほしい」

「ああ、ベル様は団長だから、リリはフィン団長の影武者をする都合ですね。すみません、外します」

 とリリが立ち上がる。

 たくさんの人が思い思いに食べ、生きのびた喜びにひたっている安全地帯。

 油断なく機関砲に取りつき、周囲を見ている者もいる。

 機関砲や戦車を整備している者もいるし、武器を打ちなおし研ぎなおしている鍛冶師もいる。

 まだまだ大量の食物を腹に詰めこんでいるのは、ビーツだけではない。

 これが最後の食事になるかもしれないのだ……そしてフィンの不在という大きい不安をごまかすためでもある。

 

「いい気になってんじゃねーぞ」

 ベートがベルにすごんだ。

「は、はい。まだ、全然……」

「私も、まだまだ弱いから」

 アイズの言葉にベルも、ベートも目を見張る。

「オッタルさんに負けた。武威さんに負けた。ソロさんに負けた。フィン団長に負けた。まだまだ私は弱い」

 アイズとベートは祭りになってから、片端からレベル7以上に挑んでは潰されて回ったものだ。

 ベートが地面に唾を吐いた。

 

 

 コンテナハウスの一つに、幹部が集まっている。

【ロキ・ファミリア】のリヴェリア、ラウル。レベル5になったアリシアは警戒組を指揮している。

【ヘファイストス・ファミリア】の椿・コルブランド、ほかふたりほど。

 瓜生もアナキティに連れられ、戻ってきた。

【ヘスティア・ファミリア】の団長としてのベルと、公式にはフィンの影武者として……実際には瓜生の副官としてのリリも招かれ、ベートとアイズも加わって、話が始まる。

 いまこちらにはフィンも、武威やソロもいない。

 その状態でどこまでやるか。

「すでに52階層以下、『竜の壺』の攻略法はできている」

 リヴェリアが言うように、前回の大遠征で、砲竜(ヴァルガング・ドラゴン)が階層貫通ブレスを放った、その穴に爆弾を腕力で投げ落とし58階を殲滅、その縦穴に梱包しパラシュートをつけた機関砲と弾薬こみで第一級冒険者を送りこむ。対砲兵(カウンターバッテリー)からの空挺制圧。

「それだけの戦力があるかどうか。前の59階層のような、『穢れた精霊』のような戦力がある場合、レベル6以上の戦力が少ない状態で戦うことになる」

 リヴェリアがまず慎重論を述べる。

「ウリューさんを下におろすか、も……万一のことがあっては……」

 ラウルも基本的に慎重だ。

「耐久はレベル3ぐらいあるじゃろう?」

 椿が瓜生を見る。瓜生はもともと常時発動の魔法の鎧があり、それを増幅する鎖帷子、さらに高級品のスケールメイルを、

(金にものをいわせて……)

 つけている。

「それではちょっとしたことで死ぬぞ。レベル5でも簡単に死にかねない。今日のこともある。何があるかわからない、を前提にすべきだな」

 リヴェリアが厳しい目を向ける。

「うちの鎧をばかにされるようだが……それでも、手前もあれは見ているからな」

 椿・コルブランドも前回の大遠征で、砲竜のブレスを知っている。

「ただ、『カドモスの泉水』は必要っすから、せめてそれは」

「50層に戦力を置き、51階層に戦車中心の少数精鋭か」

 ラウルにリヴェリアが、ほぼ決まっている案を提示。

「戦車も前のときには、あの溶解虫で足潰しをされたわ」

 アナキティの言葉に瓜生が顔をしかめる。

「タイヤなら足潰しには強いんだが、どうしても装甲がな」

「まあ、出たとこ勝負じゃ!行ってみなけりゃわからん!」

 椿の豪快な言葉に、リヴェリアが頭を押さえる。

「それで、チームはどうするの?」

 アナキティがあえて言いにくいことを言った。

「レベル5が椿、リュー、アリシア、アナキティ、ラウル……6がベート、アイズ」

 そしてレベル7のリヴェリア。まずそれが基準になるのはわかりきったことだ。

「でもなりたてが多いから、前回よりむしろ劣るわね」

「副団長が本拠防衛で、アイズさんとベートさんがそれぞれ……」

 ラウルが半分言って、絶句した。どちらも隊を率いるのに向いているとはとても言えない。そしてとても小さい声で言い足した。

「……いっそレベル5主導の戦車だけというのは……」

「何があるかわからない」

 瓜生の言葉にリヴェリアがうなずく。

「【ヘスティア・ファミリア】としては、春姫様を参加させるかどうかです」

 リリが強く言い、ベルにも視線を飛ばして、リヴェリアの目を見る。彼女にとっては、リヴェリアの目を見るだけでもとんでもないことだ。勇気をふりしぼっている。

「広域攻撃であっさりやられるリスクもあるか……だが、それは本陣に残っていても同じことだ。

 ベルとビーツもレベル4だが、実際の戦力はそれ以上だろう。アイズの腕を切ったベル、『女神の戦車』と互角だったビーツ……」

 リヴェリアの言葉に、アナキティがうなずく。

「それにベルは、付与呪文で銃弾の威力も上げられる」

 リヴェリアがベルを見た。

 話し合いの末、カドモスに挑むのは2隊。

 一隊はアイズ、リュー、ベル、ビーツ、春姫、レフィーヤが中心となる。レベル3や4で30ミリRWS+.50ガトリングつきのナメルが2両。リューは自衛隊の73式・3トン半トラック最新版を運転する。ATで操縦が楽、莫大な搭載量があり悪路走破も優れる。ビーツ用の保存食と弾薬を大量に積んだ。

 もう一隊はベート、ラウル、アナキティ、アリシア、椿が中心。メルカバ主力戦車が1両、ナメルが2両。

 

 アイズの班は火力が低いが、アイズの剣技・春姫の妖術・ベルの付与呪文を合わせれば桁外れの攻撃が可能。装甲と弾幕で耐えている間にレフィーヤやベルが長文詠唱を完成させれば、恐ろしい攻撃が可能になる。

 ベートの班は圧倒的な火力と、多数のレベル5からなる安定性。

 だが、それでも最近の異常事態ばかりが続く極深層で、生きて帰れるか……

 それを言うならば、安全地帯とされる50層で近代兵器の訓練を続けるメンバーも、いくらリヴェリアがいるとはいえ危険には違いない。

 

 

 人工迷宮(クノッソス)を支配する闇派閥は、最初はなめていた。あまりの少人数、引っ張りこんで間断なく攻め立てれば、と。

 だが、どれほどの戦力でも、どれほど長く攻め続けても、疲労の気配すらない。弾切れもないし、銃身が焼けることもない。

 桁外れの戦力だと気づいた。

 レヴィスが帰ってくるまでに、と、恐るべきものが解き放たれる。迷宮都市を滅ぼすための切り札の一つだったが……




ティオナの装備をどうするかはさんざん考えました。「ベルセルク」のドラゴンころし、トグと同じ盾斧、片方が丸太のような片側ハンマーの重斧・もう片方が『ローラン』シリーズの大剣、銃剣つき25ミリ機関砲などなど。
結局は、あれはあれで完成した装備なのだと…

人工迷宮に突っ込むのも、M4シャーマンやダスター、LAV-25の25ミリガトリング版などいろいろ考えましたが、コンパクトで足があり手数が多い、となると最高なんです。

今のベルはむしろベートと組むべきだった…
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