東方唄夢幻 〜幽閉サテライトの歌に乗せて〜   作:★nuts★ ~アニメとゲームは宝物

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今回は、「色は匂えど散りぬるを」を元にしたお話です。
主人公は、原曲的に、河城にとり。
幻想郷の1日の、始まり、始まり…


第1歌 色は匂えど散りぬるを by河城にとり
色は匂えど散りぬるを 前編


博麗神社の、とある春の日。

神社の巫女を務めている博麗霊夢は、

少ないお賽銭に溜息をつきながらも、

散りゆく美しい桜の花びらを眺めていた。

 

()の花びら達…

いくら、力強く柔らかい見事な桃色に染まっていても、

いつかは散ってしまうのだから、悲しい運命である。

()れは、懸命に努力をしなくてもすぐには散る事が無い、幸福な運命の私達に、

「生きるだけでは罪」と訴えかけている様にも見えた…

 

そして、普段から来客が多い()の神社には、

今日もお客がやってきた。

 

「あら、山に住んでいる河童じゃない。…遠くから遥々(はるばる)如何(どう)したの?」

そう、今日来たのは、河城にとりだった。

にとりが来る事は珍しいといえば珍しい。商品の売り付けか何かだろうか。

 

「霊夢さんよ、今日は少し相談事があって…」

 

「商売についての?私はそういうのには詳しくないけど?」

 

「いや、恋の悩みというか…恋愛相談といえば霊夢さんかと…」

 

「ふぅん。…今日は珍しい事ばかりね。まあ、ゆっくりしていけば?」

 

「あ、で、結局相談は聞いてくれるの?」

 

「聞かないとは言ってない。」

 

「じゃ、始めさせて貰うよ。()れは、1週間前の事…」

 

いつも通り、河の家具屋さん…ではなく、

河の便利屋さんを営業していたあの日。

河の中で道具探しをしていると、

1人の人間の男の子が河に溺れている事に気づく。

()(まま)ではあの子は死んでしまう…

人間は古くからの盟友だし、私は水を操って、彼を助けた。

どうやら、意識を(うしな)っている様だ。

回復するまで、彼を、草の上で寝かせる事にした。

 

(しばら)くすると、彼の目がゆっくりと開いた。

 

「ん?此処(ここ)は…。」

 

「気がついた?死んでなくて良かった良かった…」

 

「君はもしや…谷カッパのにとり…さんでしょうか?」

 

「え?何で私の事を知っているの?」

 

彼は、外の世界に住んでいた人間らしい。

しかし、彼の家では、家庭内の問題が色々あって、

彼に八つ当たりが来る事も日常茶飯時だったという。

彼はそんな現実から逃避しようと、

ゲームやネットに打ち込む日々が続いた。

()の日々の中で、「幻想郷」の存在と、

其処(そこ)に住まう様々な人妖について知ったという。

だが、変わる事が無い辛い毎日に、

()の世界から消えたいと(まで)感じる様になった彼。

ある日、彼は、流れの速い河へと飛び込んだ…

 

「…そしたら、幻想郷に来ていた…と?」

 

「はい、突然の事なので、驚いてはいますが…でも、あの世界から解放されて、良かったです。」

彼はそういうとニコリと笑った。

 

うーん…でも、外の世界で河に飛び込んだら幻想入りしていたなんて…

如何(どう)にも納得いかないなぁ…紫の仕業かも…

 

如何(どう)したのですか?悩み事でも…?」

 

「いや、何でも無いよ。()れより…貴方、名前は?」

 

河口(かわぐち) 輝一(こういち)と言います。コウイチ、と呼んで下さい。」

コウイチかぁ。良い名前じゃん。

 

「敬語なんて使わなくて良いよ。

()れより、貴方、住む処が無いでしょう。私の家に泊めてあげる。」

 

「良いんですか!噂には聞いていましたが、優しいんですね!」

 

優しい…初めて言われた気がする。

()の言葉は、私の頬を赤らめていった。

 

「あ、何か悪い事言ってしまいましたか?すみません…」

 

「だから、敬語使わなくても良いってば…」

何だか、コウイチと話している事自体が、照れくさく思えた。

 

彼から離れられない様な、彼を離せはしない様な、不思議な感情に包まれた。

初めて抱いたこの思いは、心を躍らせるばかり…だった…

 

「あ、あの、私は、道具集めに行って来るから…待っててね!」

 

「分かりました!気をつけて行って来て下さい!」

 

彼の柔らかい言葉が、私の耳の中で響いた。

だがしかし…今日は良い道具が、1つも見つからなかった。

全く集中出来なかったのだ。

犬走 椛から、いつもの様に将棋に誘われたが、()れも断って来てしまった。

そんな自分が滑稽にも思えて、もどかしかった。

まだろくに仕事もしていないが、倉皇(そそくさ)と家に帰った。

 

「お帰りなさい!夕飯作っておきましたよ!」

帰ってきて誰か居るという事は、こんなに心が温まる事…なのだろうか。

 

「…自分の分くらい、自分で作るから良いって…

今日は貴方、疲れてるんだから、全部自分で食べな。」

彼は、料理に慣れていないのだろう、如何(どう)見ても、2人で分けるには足りない量だ。

 

「えー、折角、キュウリ沢山入れておいたのに…食べて下さいよー。」

キュウリ!()の言葉に、頭に有るであろうお皿がピクッと反応した。

 

「じゃあ…少し頂くとするかな。」

 

2人で、食卓に座り、ゆっくりと夕飯を食べる。

シアワセな時間は、刻々と流れていってしまう…

さ迷う暇は無い。一刻も早く、彼に伝えたいのだ。

けれど、後ずさりしてしまう自分にうんざりしていた。

いつの間にか彼の親切に甘えてしまうか弱さと、

何故か素直に甘えられぬ弱さ。

()れは、悪魔が優しく、私を弄んでいる様だった…




えっと、どうだったでしょうか。
東方の物語作りは初めてなので、感想頂けると物凄く感動です★

何処(どこ)の文章が、歌詞の何処(どこ)にあたるか、解りましたでしょうか。
歌詞を付けましたので、照らし合わせながら読んでみて下さい!

色は匂へど いつか散りぬるを
さ迷うことさえ 許せなかった…

咲き誇る花はいつか
教えてくれた 生きるだけでは罪と
離れられない 離せはしないと
抱く思いは 心を躍らせるばかり

色は匂へど いつか散りぬるを
さ迷う暇はない けれど後ずさり
甘えるか弱さと 甘えられぬ弱さで
悪夢が優しく 私を弄ぶ
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