東方唄夢幻 〜幽閉サテライトの歌に乗せて〜 作:★nuts★ ~アニメとゲームは宝物
やっぱりコレは失恋ソングですので、前置き長くなりそうです…
ですので、今回も歌詞の内容入らないかもですが、御理解よろしくです!!
「うーん…優しそうな目つき、紺色の浴衣、濃いブラウンで少し内巻きの髪、
ぴょんと飛び出た癖っ毛、よく透き通る落ち着いた音色の声…あとはあとは…」
深夜の2時。
門前では、必死に彼の特徴を探し、彼の名前を考えている私がいた。
「苗字には"紅"の時を入れて…あとあと、月が綺麗な夜に来たから、
「ん?月が綺麗な夜…?考えすぎですよ、私…、言われてもないのに…」
「…それより、早く下の名前を考えなければ…むにゃむにゃ」
久しぶりに頭をよく使った上、いつもより長く起きていた為、
いつの間にかぐっすりと眠りについてしまっていたのであった。
朝。雀が軽やかに飛び立ち、木々でチュンチュンと鳴き声を立てている。
誰かが私を呼ぶ声が聞こえる…
「あれ…朝…?って!」
「おはよう、美鈴。」
目の前には彼が立っていた。
名前を考え終わる前に寝てしまっていたことに気づいた私は、
しどろもどろになりながらも返事をした。
「お、おはようございます!紅月、さん…。」
そう言った後に、私は慌てて口を抑える。
昨日考え途中だった名前…まだ苗字しか決まっていないのに、思わず口に出してしまったのだ。
「あ、紅月って…俺の名前ですか?」
彼は興味津々な顔で聞いてくる。
正直私は困った。
昨日たまたま考えついた名前。私の中で全然満足できていない。
しかも、まだ下の名前も考えていないのに…
だけど。
自然に言葉は口から出ていた。
「そうよ。コウヅキ。これがあんたの名前…」
彼は、コウヅキ、コウヅキ、とその名前を繰り返し呟いた。
その名前を繰り返されるたびに、
彼がこんな名前を気に入ってくれるのかどうかの不安と緊張が高まった。
たかが名前1つ、されど名前1つ。
こんなに神妙に1つの物事を決めたことなんて…なかった。
コウヅキ。
ペットに名前を付けるとき。
そのペットが一生で1番多くかけられる言葉、それは名前だ。
だから人は迷う。どんな名前にしようか迷う。
その犬に思い入れがあるほど、迷う。
コウヅキ。
我が子に名前をつけるとき。
我が子に託したい思いを、1番ギュッと詰め込んだもの、それは名前だ。
愛する我が子の名前を付けるとき、人は迷う。
迷いは、悩みに変わる。
"寿限無"という話があるだろう。
あの長い名前、確かにあれは少し可笑しい話だが、
それ程、願いを込めて付けられた名前であることは間違いないのだ。
親は考え悩んで、子供の名前を付ける。
毎日毎日、少しずつ書き込んでいった作文帳に、
思いが詰まったその作文帳に、たった1つの
特に今の時代は、そうだ。
コ、ウ、ヅ、キ…。
そして、私が今考えているもの。
なぜか、側にいたい人の名前。
一緒にいると、ほんのり甘酸っぱい気持ちになる人の名前。
彼は…こんな私が付けた、
こんな名前でいいのかな…
「すっげーいい!この名前!」
私は目を見開き、顔をあげた。
嬉しかった。
彼から聞けたその第一声が、嬉しかった。
「かっこいいし、なんかゲームの主人公みたい!
美鈴が考えてくれたんだよね?良い名前ありがとな!」
彼は笑顔を輝かせた。
まるで無邪気な子供のように。
可愛い。
愛しい。
そんな言葉が私の頭をよぎった。
安心というか、喜ばしいというか。
よく分からないけれど、自然に微笑みが生まれていた。
ふふ、と微かな笑い声をたてる私。
彼も、あはは、と歯を少し見せてにこやかに笑う。
言葉にできない幸せは、こうやって、
世界のどこでもおんなじの、
"ほほえみ"となって表れる。
ほほえめる
ほほえめることは、幸せなこと。
彼ともっとほほえんでいたいな。
そんなささやかな思いは、
心の中でゆっくりと、
透き通るような鐘の音を響かせていました…
「気に入って頂けて…よかったです!ありがとうございます!」
私は彼に向かって、ペコリと軽くお辞儀をする。
彼は、そんな私の頭を軽く掴み、ぐいと上げたのだった。
「美鈴が頭を下げる理由なんて…無いだろ?」
「え……」
思いもしない出来事に、私は目を丸くする。
同時に、鼓動が早くなっていくのを感じた。
「ありがとうは、こっちのセリフだよ。…ありがとな。美鈴。
…って!?美鈴!?」
私は彼の手を振り払って、館の中へと一目散に逃げていた。
彼との顔の距離の近さに緊張感を覚えたのと、
それによって自分の顔が熱くなっていることを彼に知られなくなかった、
そんなことで、ただ訳も分からず彼から逃げ出していたのである。
館のホールまで来た私は、一旦大きく深呼吸をし、心を落ち着かせる。
まだ熱は冷めきらず、頬がほんのり紅色に染まっていた。
「…はぁ…どうして逃げてしまったのでしょう…」
「コウヅキさん、私に嫌われたとか思ってらっしゃらなければ良いのですが…」
今更ながらもそんな後悔をしながら、私はホールの真ん中で
頭の中で、彼のことが、自然に流れ着いてきたかのように浮かんでは消えて、浮かんでは消えて。
それがただただ繰り返されていた。
「美鈴!」
突然耳に入ってきた彼の声に、一瞬ビクっとする。
彼は私の顔を覗き込んで来た。
私は急いで彼から目を背ける。
「なんで逃げたんだよ!心配してたんだぞ…ん?」
彼は私の方をじっと見つめ、眉をひそめた。
「な…何かございましたか…?」
何だか不安になって、少し
だが返って来たのは、私が1番気にしていたことについての答えだった。
「美鈴お前…熱あるのか?顔赤いぞ。声も掠れてるし…風邪か?」
彼は熱があるか確認しようと、私の頭に手を当てようとする。
私はその手を退けて、言い返した。
「…違いますよ!こ、これは…!」
なんて答えれば良いのか頭が混乱し、思わず声が大きくなってしまう。
「これは……なんだ?」
うぅ…
ここは敢えて聞かないっていうのが普通じゃないの…!?
「あーもうっ!妖怪は風邪なんてひきません!
とにかく、どれもこれもコウヅキの所為なんですよっ!
もうこれ以上このことについて言わないでください!良いわね!?」
私は彼にくるりと背を向けると、またもや館の中へ中へと逃げてしまった。
彼はそんな私を見て、小さくほほえんでいた…
そんな2人を、影から見つめている者達がいた。
そして、気まずそうに、ヒソヒソと話し合っている。
「私としたことが…計画失敗ね…」
1人の妖怪は深くため息をつき、そして頬杖をついた。
「別に紫のせいだけじゃないよ。私も気づかなかったんだし。」
鬼も、妖怪と同じように深くため息をつく。
その気を紛らわせるかのように、酒をぐぐっと勢いよく喉に流し込んだ。
「これは…やるしかないわね、萃香。あの子には悪いんだけど。」
「まあしょうがないよ。あとは紫の能力でどうにかすればいいじゃん?」
鬼は妖怪が出す"スキマ"を見つめて言う。
「確か…紫は"あの境界"も操れるんでしょ?」
そう、その妖怪は、"境界を操る程度の能力"を持っているのだ。
だが、今回のことについては自信がないようで、少し俯いた。
「まあ…"あの境界"も操れるっちゃ操れるわ。でも…」
「でも?」
「少しややこしいことが起こるのよね…」
そう言うと妖怪は、鬼に何かを耳打ちした。
鬼が了解、と目で合図を送ったと同時に、鬼の姿はすぅっと消えていったのだった。
ああ…この美鈴の愛がいつか壊れてしまうと思うと悲しい…(>︿<。)
失恋系の話は、書いているこっちまで途中で泣けてしまうのが困ります…
まぁ、今は幸せシーンですのでまだまだ大丈夫ですけどね!w
最近更新遅れていてすみません…汗
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