東方唄夢幻 〜幽閉サテライトの歌に乗せて〜   作:★nuts★ ~アニメとゲームは宝物

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色は匂えど散りぬるを、後編です。

河城にとりの元に突然現れた人間の男の子、河口 輝一。
彼の優しさに、にとりは不思議な感情を抱く様になる。
しかし、予知せぬあるトラブルが起こる。
()のトラブルもまた、彼の優しさから生じた物だった…



色は匂えど散りぬるを 後編

「へぇ…あんたにもそんな事あるのね…」

霊夢が呟く。

 

「いつもはそんな事無いけど、彼は特別なんだよ。一種の能力かな?」

ニヤリと笑みを浮かべながら、にとりは言葉を返す。

 

「にとりを(とりこ)にする程度の能力。面白いじゃない。」

馬鹿にする様な口調で霊夢は言う。

 

「まあ、本当に()れだけの能力だったら良かったんだけどねぇ。」

にとりは顔を曇らせた。

 

「何かあったの?まさか、三角関係的な?」

勘だけは鋭い自分を見込んで、直感で答える霊夢。

 

「何その数学みたいな関係。よく分かんないけど、話を続けさせて貰おうか…」

にとりは"三角関係"という言葉を知らない様だ。

お茶を一口飲むと、にとりは話し始めた…

 

 

いつも通りの道具集め。

いつも通りの研究。

いつも通りの生活。

()れを、"アナタ"は変えてくれた。

 

それに…"アナタ"は私の弱さも知っていた。

最初に出す料理にキュウリを出す所とか。

私が大好物な物=弱点を突いてくるなんて…

私が求める物、実は優しくされたいという欲も、

"アナタ"は許してくれた…

 

 

「また考え事ですか、にとりさん?」

コウイチだった。

 

「いや別に…私が考え事なんてする訳無いじゃん。」

また私は嘘をつく。彼が来てから何度目の嘘だろうか。

 

「何だか、にとりさんが悩んでいないか心配で…何かあったら、すぐ言って下さいね!」

彼の笑顔がキラリと輝く。

 

「あ、うん…」

彼がたまに見せてくれる笑顔は、刹那の美しさを私の目に映す。

健気に咲いた花の様な明るい笑顔には、度々元気付けられるのだった。

 

…何か話さなければ。彼がまた心配する…

 

「あ、あのさ、私の事、正直、如何(どう)思ってる?」

口から咄嗟(とっさ)に出た言葉は、()れだった。

 

「言いづらいですが…君が好きそうな、科学知識を交えて言わせて貰うと…」

 

彼は少し間を置くと、こう言った。

「エジソンは偉い人。だったら、にとりさんは、偉く可愛い人。」

 

「え………」

私は言葉が出なかった。

そんな風に私を褒める彼に、怖ささえ感じた。

空耳だった様な気さえしてくる。

だから、私はもう一度確認する。

 

「…本当?」

 

「疑わないで下さいよ、続きは歌詞の通りですよ、そんなの常識、ってね。」

彼は素直な笑顔で、そう言っていた。

 

「…バカじゃないの」

今日、2回目の嘘をついた。

 

時は静かに過ぎていった。()の時。

 

「こんにちは〜!あんまり将棋に来ないから、遊びに来ちゃった。」

訪れたのは、犬走椛だった。

 

「あ、椛!最近行けてなくてごめん!色々あってさ…」

自分が今、複雑な悩みを持っているなんて言えない。幾ら友達でも。

 

「ううん、全然大丈夫!…ところで、()の子は?」

そうか、椛には、まだ話してなかったんだった。

 

「河口 輝一っていう、人間の男の子。

色々あって幻想入りしてさ、(しばら)くウチで泊めてるんだよね〜。」

何故か、口調が自慢気になってしまう。

彼の事を話しているだけなのに…。

 

「そうなんだ。こんにちは、輝一さん。宜しくね。」

「初めまして、此方(こちら)こそ宜しくお願いします。」

彼はそう言うと、また、いつもの笑顔を見せる。

何だか気に入らない。

 

「貴方は…何の種族でしたっけ…?」

…椛は立ち絵が無いから、彼もよく覚えてないのかな?

 

「白狼天狗です。天狗の中では下っ端なのですが…」

「全然下っ端に見えないですよ。勇ましそうだし。」

 

楽しそうに会話を続ける2人の気持ちとは裏腹に、

私は少し苛立っていた。

話はまだ続く。

 

「いえいえ、とんでもない。下っ端は下っ端ですし…」

「そうだとしても…()のけも耳とか、可愛いですよ。」

(けも耳無し派の方々、御免なさい!)

 

え…何だって?

コウイチよ、今なんて言った?

 

私は、自分の中で、大きな誤算をしていた。

彼と2人で居たから分からなかったけれど、

彼は、私だけに優しい訳では無かった。

彼は、誰にでも優しい、温厚な人柄だったのだ。

 

許せぬ、彼の優しさ。

同時に揺るぐ、私の独占欲。

()れを巻き起こしているのは、

どんな物とも秤にかけられない、我儘(わがまま)な愛だった…

 

 

「…()れは残念だったわね。」

霊夢が静かに言う。

 

「まぁ、もう気にして無いんだけどさ、なんか誰かに相談したくなって。」

 

「じゃあ、魔理沙に相談すれば良いのに。仲良いんでしょ?」

地霊伝の時は、魔理沙のサポート役をしていた程だ。

 

「いつもは話さない人にこそ言える事って…有るじゃん。」

 

()(かく)、いつも通りのあんたでいる事が大切だと思うわよ、

例え()の恋が枯れゆいたとしてもね。あんたという存在は儚く強くなきゃ。」

 

「儚く、強く、かぁ…」

ふと外を見れば、桜の花びらは今も散り続けている。

()の桜も、いつか全て散ってしまう時が来るのであろう。

確かに儚くもあるが、何故だろうか、力強さもあった。

 

「それにしても、あのシアワセな時間に戻りたいなぁ…

…何で、時間っていうのは、そう簡単に戻せ無いのかなぁ…」

 

ぼそっと呟くにとりに、すかさず霊夢が答えた。

「時間っていうのは無慈悲で優しいモノなのよ。

私達に関係無く、淡々と流れていきながら、私達を見守っている…。」

 

「うーん…時間が優しいモノとは思えないなぁ…」

 

「でも、()の今回の幸せな時間を過ごせたのも、やっぱり"時間"のお陰でしょ?

時間っていうのは、過ぎていってしまうモノだから、実感は湧かないかもしれないけど…

生きるって、時間を過ごせるコトって、ステキなコトじゃないかしら?」

 

霊夢はそう言って微笑んだ。

一方にとりは、深いため息をつく。

 

「はぁ…生きるって、何だか面倒臭いねぇ…最近は商売も上手くいかないし。」

 

「私も、異変解決とか妖怪退治とか、充分面倒臭いわよ。でも…」

 

「でも?」

 

「でも、私達が気づかない所にシアワセは沢山あるのよ。

例えば、今、こうやって、あんたが私に気軽に相談出来る事とか、ね。」

 

「まーね…」

 

「今回の事だけでガッカリしないで、前向きに生きなさいよ、私からのアドバイス、以上終了。」

 

あの巫女にしては、中々良い事言うじゃん。

ゆっくりと泳ぎながら、私は家に帰っていった。

 

「ただいま〜。ん?」

 

「お帰りなさい、今日は遅かったですね。心配しましたよ。」

 

「今日は椛に、妖怪の山を案内して貰っていたんじゃあ…」

 

「僕を助けてくれたのは、にとりさんなんですから。忘れやしませんよ。」

 

胸がきゅうっとなった。

次第に、視界がぼんやりしていく。

あれ?私、泣いてる…?

 

「悪い事…してしまったでしょうか。」

 

「コウイチは何も悪くないよ、何度も言ってるじゃん。」

 

…私はまた嘘をついた。

 

ー2人の輝かしい日々が、また始まるのであった…




えっと、どうだったでしょうか。
感想を下さると、本当に嬉しいです!
UAも、皆様のお陰で、100に行きそうです!
本当にありがとうございます★

今回に該当する歌詞も、載せておきますね!
弱さ知るアナタは今
許してくれた 求める者の欲を
健気に咲いた 刹那の美しさ
それを知るには
遅すぎたのかもしれない…

色は匂へど いつか散りぬるを
アナタのすべてに 幼く委ねたい…
許せぬ優しさと 揺るぐ独占欲は
秤にかけれぬ 我儘な愛

色は匂へど すべて散りぬるを
短き記憶に 零れる想い
枯れゆく命よ 儚く強くあれ
無慈悲で優しい 時のように
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