東方唄夢幻 〜幽閉サテライトの歌に乗せて〜   作:★nuts★ ~アニメとゲームは宝物

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ヒトリシズカ、後編になります★

自殺未遂をした時に、ルーミアと出会った少女。
彼女は、ルーミアと次第に打ち解けていく…
彼女の未来は、人生は、そして彼女自身は、
果たして、変わっていく事が出来るのだろうか…

そして、()の事自体も、既に、"仕組まれた事"であった…
注:今回は、ルーミアが出会った少女視点から書いています。


ヒトリシズカ 後編

…目を開ければ、部屋の外には眩しい朝が広がっていた。

部屋の一部分だけ、穴が空いた様に、異様な暗闇が有る。

 

「まだ居たんだ。」

 

「うん…帰る所もよく解んなくてさ。」

 

ルーミア…だっけ…。闇を操る程度の能力を持っている…

何だか強そうだけど、真の力は、リボンで封印されているらしい。

ルーミアの事について思い出すと、

同時に、昨日の愛しい記憶も、静寂の中に舞い降りた。

 

「外に…出てみる?」

朝の日光で、若葉達が(きら)びやかに輝いている。

希望に満ち溢れた朝の空気は、如何(いか)にも気持ち良さそうだ。

 

「いいよー。やっぱり、外は気持ち良いよね〜!

…まあ、実際の所、朝は自分の闇がよく目立つからちょっと…」

ルーミアは顔を曇らせる。

 

「そんな事、気にしなくても大丈夫よ。早く行きましょう!」

今日は、私がルーミアの手を引っ張っていく。

 

私は、自分に自信を持てる強さが身についた事がはっきりと感じられた。

そして、"強さを持つ"という事は、少しだけ寂しい感情である事も、解った。

()の事を噛み締めながら、今日も、私は、ルーミアと街を歩く。

自分自身の人生も、前へ前へと、進んでいく…

 

「そういえばさ、」

ルーミアが話し始める。

 

「あんたの名前…聞いてなかったね。」

 

私の、名前…

私が1番嫌いだったのは、私の名前だった。

私に、私の名前という物が付いている事。

()の名前が他人から聞こえてくるだけで、

また悪口を言われているのではないかと怯えていた日々。

私の名前なんて、捨ててしまいたかった。

…でも、今なら。ルーミアになら。

打ち明けても良い、そんな気がする…

 

闇月(やみづき) 夜重(やえ)っていうの。」

 

「へぇ…なんかかっこいい名前なのねー…!」

 

あんな出会い方だったからしょうがないけど…

そういえば、私達、正式に挨拶をしてなかった気がする。

今更だけど、しておこうかな…

「改めて、宜しくお願いします。」

 

「うん、よろしく〜!夜重(やえ)〜!」

ルーミアはそう言うと、突然、道の向こうをじっと見た。

 

「あれ、綺麗!外の世界でも、お花って咲くのね!」

其処(そこ)には、小さくて綺麗な黄色の花が咲き乱れていた。

 

「そうね…いつか枯れてしまうのが、勿体無いくらい…」

 

咲き誇る花もいつか枯れてしまう。

そして、自分の命の源である土へと還っていく。

()の繰り返しだ。

人も、()れと同じ様に、喜怒哀楽を繰り返している。

哀しい事があっても、()れを通過点として、

人は無意識に、笑顔を、幸せを、求め続ける…

 

()れからも、母親が居ない事実は変わらない。

くすぐる未来に、明るい未来に、私は恐らく出てこないであろう。

()れでも、今こうして歩み続けている私を見せつける様に、

今日を、生きていきたい。

いつ(まで)も、永遠に…

 

「1つ思ったのだけれどね、」

 

「 何ー?」

 

「何で、そんなに手を広げているの?」

ルーミアは、いつでも、手を広げたポーズをとっている。

滑稽で、少し異様にも思えたので、一回聞いてみたかったのだ。

 

すると、ルーミアは、此処(ここ)ぞとばかりに言った。

「『聖者は十字架に磔られました』っていっているように見える?」

 

だから、私は答えた。

「『私は十日一雨の日々を(もたら)しました』って見えるわよ。」

(十日一雨…農業にまつわる(ことわざ)。安泰な世の中の事を表す。)

 

そして、2人で顔を見合わせて、笑った。

 

(まで)流してきた涙さえも誇りに思える風が、そよいでる…

 

 

 

「ルーミア。お帰りの時間よ?」

家の中で、夜重(やえ)と戯れていたルーミアの元に、突如、八雲 紫が現れた。

 

「…!?」

状況を1番理解出来ていなかったのは、夜重(やえ)であった。

何も無い所に、スキマが現れ、其処(そこ)からまた妖怪が出てくるなんて…

 

「…なんで紫が迎えに来るのかー…?もしや、私を外の世界に送ったのも…」

 

紫は、ニヤリと笑う。

「そう、勿論私よ?」

 

「なんでそんな事したのかー…?私、別に何もやってないよ…!」

 

「ルーミアが知る事では無いわ。

少し言うと、他の妖怪と協力して、異変を起こしている感じだけど。」

 

「また…?こんな異変、誰も気づかないって…!」

 

「気づかないんじゃなくて、」

紫は、またニヤリと笑うと、ウインクをした。

まるで、誰かに合図を送る様に…

 

「気づかせる、のよ…」

ルーミアの周りを、生暖かい風が通り過ぎた。

 

「じゃあ、ルーミアとは、お別れって事ですか…?」

私は、()の紫という妖怪に問いかけた。

 

「…そういう事になるわね、夜重(やえ)さん。

貴方には、充分に、生きる力を授けたわ。()れからも、頑張って頂戴(ちょうだい)。」

 

私の名前を…知っている?本当に、何者なんだろう…

生きる力…あまり自信は無いけど、1人でもやっていけそうな気がするな…

 

「ほら、ルーミア。最期の挨拶は?」

紫がルーミアに(ささや)く。

 

夜重(やえ)ー!またねー!」

ルーミアの元気な声が、耳に響いた。

 

「うん、さようなら!ルーミア!」

()の言葉の余韻が消える頃、

ルーミアは、スキマの向こうへと、行ってしまった。

何だか、微笑ましくも、寂しくもある複雑な気持ちに、なった。

 

 

 

()の日の晩、博麗神社には、

また1人の妖怪が、相談をしに行っていたのだった。

()の側では、濃い霧が、静かに漂っていた…




えっと、どうだったでしょうか。
次はこの曲が良い!等のご意見、お待ちしています!
今回に該当する歌詞は、此方(こちら)です!↓

(まぶ)しい朝に(いと)しい記憶
この静寂に舞い降りた
部屋を抜ければ新しい風たち
慰めてくれたイタズラに

強さとは少しだけ寂しい感情だね
噛み締め今日を歩いてく

咲き誇る花が土に還るように
人は喜怒哀楽を繰り返し
(かな)しみさえ通過点にして明日(あす)
無意識に求める笑顔
ヒトリシズカ
くすぐる未来に君は
おそらく出てこないでしょう
それでもまた見せつけるように今日を生きていこう

濡れた床も(あか)く乾いてく日々に
時の流れは非常だ・・・と
泣き顔さえ(みにく)さを忘れ
いつか感謝へと

咲き誇る花が土に還るように
人は喜怒哀楽を繰り返し
哀しみさえ通過点にして明日も
無意識に求める笑顔
ヒトリシズカ
くすぐる未来に君は
おそらく出てこないでしょう
それでもまた見せつけるように今日を生きていこう
涙さえも誇りに思える風がそよいでる・・
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