東方唄夢幻 〜幽閉サテライトの歌に乗せて〜   作:★nuts★ ~アニメとゲームは宝物

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お久しぶりでございます★
月に叢雲 華に風、中編です!

学校も始まり、何かと間が空くと思いますが…
()れからもお願いします!
評価があと少しで5人に行きそうなので…
もしよろしければ、どなたか評価を下さると光栄です!
今回は、早苗視点で書いていこうと思います…

内容の増量化により、題名を、中編其の1に変更しました。


月に叢雲 華に風 中編其の1

何でだろう。

彼が来てからのあのふわっとした感じ。

まるで弟みたいな和ませてくれる存在。

彼に出会えた事自体、きっと奇跡なんだ…

だから、私はあの日、彼に()の名前を付けた。

 

蛙田(かわずた) 奇跡(きせき)

 

今朝は、朝露がこんなにも輝いているというのに。

()の景色を、彼と一緒に見たかった。

 

柔らかい風が、足元のススキの囁きの音をたてる。

私の緑色の髪を(なび)かせる。

すると、目元には、小さな小さな宝石が、1つ。

涙という名の宝石が、2つ、3つ…

朧見(おぼろみ)に隠れた焦燥(しょうそう)を…

完全に抑え込む事なんて、出来なかった…

 

私は、彼を探して走り出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「早苗ー!こんな人間がやって来たんだけど…泊めても大丈夫?」

諏訪子様が1人の男の人間を連れて、神社にやって来たのだった。

 

()の男の人間は、申し訳なさそうに、

だけど何処(どこ)か手慣れた口調で、私にこう言って来たんだ。

 

「目が覚めたら此処ここに来ていて…俺、こんな所見るのも初めてなんです。

取り敢えず今日だけでも、泊めさせて頂きたい…。無理ですか…?」

 

…凶暴な様子は無かったし、本当に困っている様だった。

それに、神社の信仰集めも手伝って貰えばいいかな、などと、

ほんの軽い気持ちで引き受けた…(はず)だった。

 

神社の朝。

心地よい風が吹く中、神社の掃除をする。

彼に、一緒に掃除をしようかと声をかけようと思ったら、

彼が、1人(うつむ)いてぼーっとしているのが目に入った。

自然に目に入っていた。

 

「何かあったのですか?」

 

「いや…大した事では無いんで…

俺のことは、ほっといて大丈夫ですよ。」

 

掃除をさぼっていれば、諏訪子様と神奈子様に怒られるかも…

でも、自然に、私は次の言葉を発していた。

 

「何かあれば、何でも言ってくださいよ、ね?」

 

彼は少し驚いた様子を見せると、腕を組んで、こう言った。

「何だか…何にも解らない世界で、

俺は一体、どう生きていけば良いんだろうって…」

 

「…外の世界に居た時の事は、本当に覚えていないのですか?」

 

「はい、さっぱり…ワンシーンだけ心の奥に残っているんだけど…

()れ以外は、思い出せないというか…」

 

「うーん…そのワンシーンとはどんな感じなのでしょうか。」

 

「そうだな…何か、描く物、ある?」

 

「はい!用意しますね!」

彼の為に、色々と用意するのは何だか楽しい。

そして、鉛筆と髪を彼に差し出した。

 

「ありがとう。じゃ、早速…」

彼は、少し古びた鉛筆を、シャッシャッと走らせる。

 

単調な線は、少しずつ複雑になっていき、

白紙の上に、はっきりと形作られていく。

今の私の気持ちみたいに…

 

彼と居る時間に、"退屈な隙間"は無かった。

有ったとしても、全て、彼という存在が(あがな)ってくれた。

 

静寂な時間が続いた。

シュッ、シュッ、という鉛筆の音が響き終わると、

彼は紙を持ち上げ、何度か近づけたり、遠ざけたりした。

よし、という感じで頷くと、彼は絵を此方(こちら)に向けた。

 

「こんな感じ…かな?」

 

「…おぉ…なるほど!」

 

鮮やかな赤色の紅葉で覆われた地面。

そんな真っ赤な地面から溢れんばかりに顔を見せる、

美しい木のみや団栗(どんぐり)達。

湖の水面には枯葉が落ち、波紋という幾何学模様を創造している。

神が集う様な…まさしく神秘的な世界。

外の世界には、こんな所も有るのですね…。

でも、何だか懐かしい様な景色…

 

「見覚え…あったりする?」

 

「いや、そういう訳じゃあ…でも、何か、懐かしさを感じます。」

 

「もしかして、俺の故郷の場所と、早苗の故郷の場所は…

結構似ているのかもしれないね!なんか嬉しい!(笑)」

 

私と、奇跡さんは…似ている…?

ううん、別に、そんな事を言われた訳では無い。

故郷である場所が似ているって言われただけ…

だけど、()れだけで、私の心は(くすぶ)られた。

 

不安を感じてしまう程に…私は何かに、胸が熱くなっていた。

 

あ、そろそろ…掃除を始めないと…

「あの…一緒に、掃除しませんか?

泊めておきながら、色々やらせるなんて失礼かもしれないですが…」

 

彼の顔がぱぁっと明るくなる。

「うん、勿論(もちろん)!手伝える事が有ったらやるよ。

俺も、()の場にある程度慣れておきたいからな。」

 

「はい!ありがとうございます!!」

良かった。

神社の裏に回ると、彼の分の(ほうき)を取ってきた。

1人で巫女をやって来た事もあって、

ずっと使って来なかった、ほぼ新品の箒だ。

 

2人で何気ない事を話しながら、

"掃除"という、いつもの何気ない行動をする。

秋風の中、さっ、さっ、という箒の音が共鳴する。

(まで)で1番、幸せな時間…。

 

すっかり神社は綺麗になり、気がついたら夕暮れ。

彼に就寝準備をして貰っている間、私は、もう一度、外に出てみた。

 

「ん、あの華は…」

神社の隅っこには、今にも枯れそうなコスモスの華…

 

私は、手水場(ちょうずば)に行くと、水を柄杓(ひしゃく)ですくい、

()の水を、コスモスの根元に優しくかけてやった。

本当はいけない事なのだけれど…

少しでも早く助けてあげたい一心で、やってしまった行為だ。

神様も許してくれるだろう…

 

注:手水場…神社の中の、拝む前に水で手や口を清める場所。

 

水をやった後のコスモスは、キラキラと輝き出した。

夕陽に染められて、淡い橙色のかかったコスモス。

何ともいえない美しさだ。

 

私は最近、2人の神様が色々な騒動を起こす物だから、

あまりゆっくり過ごせていなかった。

盲目の中で、ただ安らぎだけが消えていく毎日だった。

そう、風の強い日に、暗い場所で(しお)れていた、()のコスモスの様に。

 

でも、彼は、そんな私を、潤わせてくれたんだ。

もう私には解る。自分自身が抱いている気持ちが。

 

ー芽生えた恋情…、誰にも、譲る気など、無い。

 

彼が描いた絵を、私はもう一度見つめ直す。

 

此方(こなた)から彼方(かなた)へと。

()の幸せな時間が永久に続かないのなら…

私は、どんな無理でもしよう。どんな努力でもしよう。

邪魔する雲は突き抜けてしまおう。

邪魔する風は斬り裂いてしまおう。

 

()れでも駄目だったら、もう私から、

久遠(くおん)揺蕩い(たゆたい)へと、彼を誘い込んでしまおう。

 

()れ位、今の私は本気だ。

こんなに自分を変えてくれる人に出会えたのは初めてなのだから。

()の機会を、逃してはいけない。

逃す事など無いと、私は、信じ込んでいた。

 

足元を、生温い霧が通り過ぎた。

ススキを静かにざわめかせながら…




えっと、どうだったでしょうか。
最後の方、なるべく工夫はしてみたのですが…
歌詞をまとめた様な感じになってしまってスミマセン汗!
リクエストあれば、少しずつ実現させますので、
是非、よろしくお願いします★

歌詞、載せておきますね!↓
月には叢雲 華には風と
朧深に隠れた 焦燥

瞼焼き付いた顔
理解者の証さえ

刹那、退屈の隙間贖い 心燻り
不安を産み出した

盲目消えた安らぎに出会って
芽生えた恋情 譲る気は無い

月には叢雲 華には風と
此方より彼方へ永久 築けぬなら
雲突き抜け 風斬り裂いて
久遠の揺蕩いへ 誘う
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