ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
というわけで、亀山さんの相棒にも出演していただきました
とある平日の東京都某所。
菖とゆりは国立博物館近くの公園を散歩していた。
「なかなか面白い内容の展示だったわね」
「だろ? つぼみも来れればよかったのにな」
「ファッション部の活動なのだから、仕方がないわよ」
春休みに突入したということもあり、学生たちは平日昼間も自由に活動をしている。
だが、つぼみはえりかといつきと一緒にファッション部の活動で部室に。ひかりはベローネ学院の友人たちとお出かけ。舞は咲がソフトボール大会に出場するため、その応援に。いおなは氷川道場の稽古に、とそれぞれの用事で一緒にいられなかった。
結果、ゆりが菖を独占している状態が生まれたようだ。
もっとも、ゆりとしては申し訳なさもあるが、久しぶりの二人きりという状態にまんざらでもない様子で、菖の腕に抱きついていた。
むろん、その柔らかい感触に、趣味はともかく、精神は健全な男子高校生である菖は。
「あの、ゆりさん?」
「あら、どうしたの?」
「当たってるんですが?」
「当ててるのよ。それとも、わたしじゃ満足できないというの?」
「いやいや、そういうわけじゃないんだけど……」
「それに、たまにはこういうのもいいじゃない?」
「……まぁ、おっしゃる通りではあるけれど」
意外と純情な菖は、婚約までしているというのに手を握ることはあっても、こうして抱き寄せたりキスをしたり、体に触れたりすることはしない。
学生のうちは清いお付き合いを、ということのようだが、ゆりとしてはやはり物足りなさを感じることがある。
そのため、こうして積極的になってしまったのだが、本人も菖もまんざらでもないようだ。
「それで、これからどうしましょうか?」
「ん~。少しこのあたりを散歩しながら、お弁当を食べるのによさそうな場所を探そうか」
「いいわね。ピクニックみたいで」
「最近はうちの神社で花見しないからねぇ。そろそろ、みんなで集まってもいいんじゃないかなぁ」
「そうね。祈里もまりあさんもきららも御剣くんに会う理由になるだろうし」
そんな他愛ない会話をしながら歩いていると、背後から穏やかな男性の声に呼び止められる。
「失礼、少しよろしいでしょうか?」
「え? あ、はい」
振り返ると、オールバックにしている初老の男性がいた。
「連れとはぐれてしまったのですが、見かけていませんでしょうか? フライトジャケットを着た、短髪でやや大柄な男性なのですが」
「いえ、わたしは見ていませんでしたが……菖、あなたは?」
「俺も……ん?」
見ていない、と答えようとした菖だが、こちらにむかって走ってくる男性を見つけ、首をかしげる。
フライトジャケットを着て、短髪でやや大柄。
どう見ても目の前にいる男性が言っていた男の特徴に当てはまる。
「あの、もしかしてあの人では?」
「……おやおや」
「右京さん! もう、探しましたよぉ! いったいどこ……」
どうやら、右京と呼ばれたこの男性が探していた連れだったらしい。
こちらの男性も、右京を探してあちこちを探し回っていたようだ。
その男性が、菖の顔を見た瞬間。
「え、菖くん?!」
驚愕の声をあげる。
どうやら、菖のことを知っているようだ。
そして、それはしょうも同じこと。
「え……あっ! 亀山さん?!」
サルウィンの集落周辺にある遺跡調査の時に遭遇した日本人、亀山薫。
崩落事故の被害者をいちかの母、さとみとともに救助したことがある人物だ。
じつに数年ぶりの再会である。
しかし、そのことを知らない人物がこの場に二人。
「おやおや、亀山君は彼とお知り合いでしたか」
「菖、この人と知り合いだったの?」
右京とゆり、二人が声をそろえてそれぞれの連れに問いかけてきた。
菖も薫も簡単に自分たちが出会ったいきさつを説明すると、納得したらしく、意外な場所での再会に目を丸くしていた。
「そうでしたか。そのようないきさつが」
「えぇ。あ、そうだ! 菖くん、この人が俺の上司の杉下右京さん」
「あ、どうも。明堂学園三年の春川菖です」
「ご丁寧にどうも。ちなみに、こちらの女性は?」
「幼馴染の月影ゆりです。ゆり、いつだったか話したことあるだろ? サルウィンで会った亀山さん」
「あぁ、いちかのお母さんと会った時の……その節は菖がお世話になりました」
「いやいや、俺の方こそお世話になったというか……最近の女子高生ってこんななんですか? 右京さん」
「さぁ。僕はわかりかねますが……なかなかしっかりしたお嬢さんじゃありませんか」
「しっかりしすぎですよ! 菖くんも尻に敷かれて大変じゃない?」
十年以上、サルウィンで生活していたためか、薫はゆりの態度に困惑し、菖に問いかける。
だが、当の本人は。
「かえって、これくらいしっかりしてくれ方が自分のやりたいことに集中できますよ。それに、惚れた人に世話を焼かれるというのは、割といいもんです」
と惚気てみせた。
その返しに、薫はどこか感心したようにうなずき、右京は笑みを浮かべる。
が、菖の言葉に一つ、引っ掛かりを覚えたらしく、右京は興味深そうに性に問いかけてきた。
「惚れた人、ということは、お二人は」
「えぇ。自慢の交際相手です」
「そうでしたか」
「……こんなところで何を言ってるのよ!」
「あの、ゆりさん。それ、結構、痛いんですが?」
返ってきた菖の答えに、右京は満足そうな笑みを浮かべるが、ゆりは顔を真っ赤にして菖の足に手を伸ばし、つねり上げてくる。
菖は嫌がるというよりも諭すような声色でゆりに語りかけるが、恥ずかしさのせいか、なおも菖をつねり続ける様子に、菖も右京も薫も、苦笑を浮かべてるのだった。
おまけ
~そういえば~
薫「そういえば、右京さん」
右京「なんでしょう?」
薫「どこに行ってたんですか? 俺、結構探したんですけど?」
右京「博物館で興味深い展示を行っているようでしてね。パンフレットを受け取りに」
薫「右京さんでも考古学に興味持ったりするんですね」
右京「日本ではなかなか見られない展示ですからねぇ、少々、興味が湧きました」
薫「へぇ……なんか、菖くんみたいなこと言うんですね」
~警視庁見学ツアー?~
菖「あの、特命係の杉下警部と亀山巡査をお願いします」
受付「かしこまりました。お名前をお伺いしても?」
菖「春川です」
受付「承知しました。少々お待ちください」
数分後
右京「お久しぶりですね、菖くん」
薫「警視庁の見学ツアー、ご案内って……随分、いるね」
菖「すみません。俺とゆりだけのはずだったんですが……」
ゆり「後輩たちもぜひ行きたいと言っていまして。急で申し訳ありません」
右京「いえいえ、構いませんよ」
薫「