ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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筆が進む進む……
というわけで、通算で第三話です。
「色々クロスオーバー」ってタグつけてるから、問題ないよね?!
そういえば、そのうち、フレッシュチームまでのオールスターズとの邂逅話を書くかもしれないです(ちょうど、お花見シーズンですしw)。
というわけで、どうぞ。


強さの秘密は修練にあり?!菖さん、少し強すぎます!!

つぼみとえりかは、二人の先輩プリキュアである月影ゆりと、彼女とともに戦っていたもう一人の戦士ユグドセイバーである春川菖と出会った翌日。

四人はその日を境に、植物園でよくお茶会をするようになっていた。

だが、つぼみとえりかは難しい顔をしていた。

 

「……どうしたのさ?そんな難しい顔して」

「何か悩み事かしら?」

「悩み事といえば、悩み事です」

 

二人に問われ、つぼみがため息まじりに返した。

曰く、ダークプリキュアとの戦いのあと、何度か砂漠の使徒と戦ったのだが、あちらの力も徐々に強くなっているようで、辛勝することが多くなってきたのだという。

こちらもパワーアップを図らなかければならないのだが、どうすればいいのか、まったく答えが見いだせないでいるらしい。

 

「なるほどなぁ……」

「ゆりさんと菖さんはどうやって、強くなったんですか?」

「何か、特別な訓練をしていたとか……」

 

何しろ、二人とも自分たちよりも長い間、砂漠の使徒と戦ってきた実力者だ。

もちろん、自分たちがいま置かれているような状況になったこともあるはず。

そう考えてのことなのだろう。

 

「う~ん……特別な訓練っていってもなぁ……」

「薫子さんの紹介で明堂院流の道場に通ったことはあるけれど……」

「俺も似たようなもんかなぁ。剣道も武術もじぃじの手ほどきを受けてたし」

 

じぃじというのは、菖の祖父のことらしい。

菖の祖父、仁頼(じんらい)は神社の近くにある道場で細々と古流剣術を教えている人物で、薫子とも昔から交流があったのだという。

なお、ゆりは幼稚園からの付き合いで、仁頼とも交流があったため、知らない人ではないらしい。

だが、そんなことよりも重要なのは。

 

「……要するに……」

「「変身前の基礎体力が大事ってことだね/ことね」」

 

ゆりと菖が口をそろえてそう言うと、体力に自信のないつぼみはうなだれてしまった。

その様子に、菖は苦笑を浮かべていたが、ゆりはまったく気にしていない様子で、提案してきた。

 

「よかったら、今度一緒に行きましょう?久しぶりに、顔を出すように言われているし」

「あ、だとしたら、俺はちょっと許可取らないとまずいかなぁ……」

 

菖のその一言に、ゆりは首を傾げた。

 

「あら?どうして??」

「知ってるだろ?明堂院流の宗主とじぃじ、ライバル関係だからさ……」

 

仁頼と明堂院流の当主である厳太郎は、なんでも昔から腕を競い合っていた仲らしく、年老いた今では、互いの弟子を戦わせて、どちらの流派が強いのかを競い合っているのだという。

孫であり、直弟子でもある菖からすれば、いい迷惑なのだが。

もっとも、仲が悪い、というわけではないらしく。

 

「流派が絡まなかったら、二人ともいい飲み友達なんだけどね」

 

と、苦笑しながら菖は弁明した。

それでも、つまみ作るのは俺なんだよなぁ、と遠い目をしながらつぶやいていた。

 

「というわけだから、じぃじに許可もらわないと俺は参加できないかな」

「なら、仁頼さんに聞いてみたら?わたしに誘われたって言えば、たぶん、大丈夫だろうし」

「あぁ、それなら大丈夫かな」

「決まりね。それじゃ、今度の日曜日に。二人も、それでいいわね?」

 

いつの間にか主導権を握られていた二人(つぼみとえりか)は、ゆりの問いかけに了承する以外の選択肢がなかった。

 

------------------------

 

日曜日。

意外にもすんなりと許可を得ることができた菖は、ゆりとつぼみ、えりかの三人と合流し、明堂院流の道場へ足を踏み入れた。

もっとも、門下生からすれば、菖の存在は目障りなものであり。

 

「……出稽古を申し込んだはずなのに、なんで俺は問答無用で乱取りしなきゃならないんだ……」

 

乱取りという名目で、菖は一対多数の練習試合をするという事態に陥っていた。

だが、菖の足音には襲ってきた門下生たちがグロッキー状態で倒れていた。

一方の菖は、頬に汗を伝わせてはいるものの、あまり息は乱れておらず、まだ余裕があるようにも見えた。

 

「す、すごすぎっしゅ……」

「相変わらずね……少し、荒っぽくなったんじゃないかしら?」

 

えりかはただ単に"すごい"という事実だけを口にしたのに対し、長い付き合いのゆりは、腕が衰えていないことに感心していた。

乱取りの様子を上座で座して見ていた厳太郎はというと。

 

「……ふむ。動きがより実戦向きになってきたな。遺跡探検で狼藉者にでも襲われたか?」

「えぇまぁ……最近、物騒ですから」

 

苦笑を浮かべながら、菖はそう返した。

その脳裏には、砂袋のような黒いタイツで全身を覆い、キーッ、という奇声を上げる集団だったり、同じ黒タイツで髑髏のような模様をして、目出し帽のようなものを頭にかぶり、イーッ(・・・)、という奇声を上げる集団が浮かび上がっていた。

同時に、サムズアップと笑顔が似合う青年や、体格のいいアフロに似たぼさぼさ頭の初老の男性、パンツを干した棒を担ぎながら歩いていた青年の顔も浮かび上がってきた。

 

――そういえば、あの人たち、今どうしてるかな

 

世話になったり、人生の先輩としていろいろ教えてもらった恩義から、できるなら、もう一度会ってみたいと思いつつ、菖は再び身構えた。

菖の前には、後継者と目されている門下生、いつきが立っていた。

 

――さすが、厳太郎さんの直弟子。隙がないな……

 

ようやく、まともに戦えそうだ。いつきの目を見た瞬間、菖はそう感じ、口角を吊り上げた。

菖はあまり好戦的ではないのだが、それでも純粋に稽古は楽しいと思うし、嫌いではない。

 

だが、先ほどまでの乱取りの相手では、正直に言って、物足りなさを感じていた。

だからこそ、目の前に出てきたいつきに少しばかり期待している節があった。

 

「しっ!」

「っと!!」

 

先に動いたいつきは、掌底を菖の腹にめがけてつきだした。

しかし、菖はそれを回避し、いつきが突いてきた勢いをそのまま利用して、投げ飛ばした。

 

が、いつきは空中で受け身を取り、床に着地すると再び間合いを詰め、今度は連続で拳と蹴りをつきだしてきた。

菖はその一撃一撃をどうにかそらし、反撃の機会をうかがっていたが、中々、その隙を見出すことができなかった。

 

――的確に空いているところを狙ってきてるし、隙も作らないか……

 

ならば、と菖は右足を軸にして回り、いつきの背中めがけて左足を蹴り上げた。

加減はしたが、少しばかりいいのが入ったらしく、いつきは痛みに顔を歪めた。

 

「くっ!……まだまだ!!」

「さすが……けど!!」

 

残身を取り、再び床を蹴って間合いを詰めてくるいつきに対し、菖は左足を後ろに回し、右の掌底を構えた。

その構えは、えりかもつぼみも見覚えがあった。

 

「「あの構えはっ!!」」

「やぁぁぁぁぁっ!!」

「轟っ!!」

 

気合いを込めながら距離を詰めてくるいつきにむかって、菖は左足で床を蹴り、掌底を突き出し、吠えた。

すると、轟っ、とまるでライオンの咆哮のような音が鳴り、いつきの体に掌底が突き刺さった。

 

「かはっ……」

「……ごめん。少し、加減できなかった」

「い、いえ……参りました……」

 

重い一撃が突き刺さったにも関わらず、いつきはどうにか痛みに耐えながらそう返した。

いつきの降参宣言を聞いた厳太郎は、立ちあがると、それまで、と鋭い声を響かせた。

 

「いつき。少し、休憩にしなさい。ほかのものは、いつもの稽古を」

『押忍ッ!!』

 

厳太郎の声に、倒れていた門下生が一斉に立ち上がり、大声で返事をした。

最後まで健闘しダメージが残っているいつきは、厳太郎の言いつけ通り、見学しているつぼみとえりかのところで、腰を落とした。

 

「委員長、大丈夫?」

「いつきさん、大丈夫ですか?」

 

友人であるつぼみとえりかは、菖から鋭い一撃をもらったことに心配し、いつきに声をかけた。

いつきはにっこりと微笑み、大丈夫、と返した。

すると、菖が歩み寄ってきて、いつきに声をかけた。

 

「お疲れ。ちょっとすごいの入ったけど、大丈夫?」

「えぇ。大丈夫です……さすがに、お腹だから、手加減してくれたみたいですね」

「別に女の子だから手加減したってわけじゃないんだけど……さすがに、お腹はまずいし」

 

なお、いつきは明堂院流の娘なのだが、中性的な整った顔立ちと、普段の私服が男性らしいということもあり、美少年と間違えられることが多い。

同級生であるつぼみとえりかも間違えてしまった口らしく、つぼみに至っては、三分で初恋が終わってしまった、とショックを受けるほどだったらしい。

そういえば、といつきは菖に視線を向けた。

 

「さっきのあの技は、春川流の技ですか?」

「うちの流派は泉地(いずち)流だよ。それと、さっきのはうちの流派の技じゃなくて、ある人から教わった技なんだ」

 

そのある人というのは、遺跡探索をしているときに知り合った流浪の武術家だったのだが、どういうわけか、菖を気に入り、自分が師から受け継いだ技を継承させたい、といって、友情の証として教えたのだ。

 

「それで、その技の名前は?」

「獅子の吼える声に似た音が出るからってことで、"獅子戦吼(ししせんこう)"って呼んでたかな」

「獅子戦吼、ですか……」

「気当たりと突き、重心移動と踏みこみ、それから相手の体を貫く勢いで突き飛ばす気迫があれば、ちょっとかじった人でも、一歩手前まではいけるって言ってたから、いつきにもできると思うよ?」

 

ただ、完成させるには強い闘気が必要とのことであるため、よほど武に長けた人間か、でなければプリキュアのような特殊な人間でなければとてもではないが完成させることはできないのだろうけれど。

菖はそのことだけは胸の中にしまいこんだ。

 

自分たちがプリキュアであることを公言することは、砂漠の使徒に狙われる人間を増やすことに他ならないのだから。

もっとも、菖の場合は心の大樹さえ守れれば契約上問題はないのだが、それでもプリキュアや自分とは無関係の人間は巻きこみたくはないのだ。

 

もっとも、菖の懸念はいざ知らず。

いつきは単に自分に稽古をつけてくれた相手からの教えとして、純粋なままに聞いていたようだった。

 

「わかりました!いつか、菖さんの技を引き継げるように、僕も精進します!!」

「はははは……うん、頑張って」

 

いつきからのその言葉に、菖はただただ苦笑を浮かべるだけだった。

ちなみに、その間、つぼみはというと、顔を真っ赤にして上の空になっていた。

その様子が心配になったゆりは。

 

「……えりか、つぼみはどうしたのかしら?」

「あぁ、大丈夫ですよ。たぶん、菖さんの戦う姿に惚れこんじゃっただけですから」

 

えりかにそう問いかけたのだが、問いかけられた本人から即答された。

どうやら、菖のたたずまいと試合に向かう姿に惚れこんでしまったらしい。

 

もっとも、つぼみはもともと惚れやすい性格をしているため、えりかも深く追求することはなかった。

唯一、思っていたことは。

 

――果たして、今回の失恋はいつになったらくるのかねぇ

 

というくらいだった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

つぼみ「ぽーーーーーーっ……」
ゆり「さっきから、つぼみは黙ったままだけど、大丈夫なの?」
えりか「たぶん、菖さんに惚れちゃったのかと……この子、いつきにも惚れたことがあるんで」
ゆり「いつきちゃんって、女の子よね……あ、なるほど……」
えりか「そ。中等部で噂の"男装の麗人"」
ゆり「なるほどね……けど、だとしたら前途多難よ?」
えりか「え?」
ゆり「彼、あれで結構もてるのよ?面白いからって」
えりか「えぇ……顔はまぁ、普通よりちょっといいって感じだけど……高校生になるとそんなもんなんですか?」
つぼみ「何を言ってるんですか、えりか!人間は中身なんです!心が一番大事なんです!!」
えりか「うおっ?!復活した!!」
ゆり「あまり応援する気にはなれないけど、頑張ってね。彼を落とすのは、けっこう至難の業よ?」
つぼみ「はい!!花咲つぼみ、今度こそ、恋の花を咲かせてみせます!!」
ゆり「そうなると、わたしはライバルということになるのかしら?」
つぼみ「……え?」
ゆり「え?」
えりか「……なんか、菖さんのほうが前途多難な気がするっしゅ……」
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