ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
そういえば、皆さんの母校では体育祭とか文化祭で「目玉」というか伝統のようなものってありますかね?
作者の母校は体育祭では各学年ごとによさこいを踊ることと、クラスごとに行う大縄跳びの競技が伝統のようです(ちなみに、作者はよさこいだけ皆勤賞)
まぁ、それはどうでもいい
作中で菖たちが何を踊ったのかは想像にお任せしますよん
というわけで本編どうぞ
体育祭の当日。
200メートル走の競技中に、突然、幻影帝国の(自称)ナンバーワン幹部を名乗るオレスキーが乱入し、グラウンドはそれなりにパニックになっていた。
だが、かつて希望ヶ花を守り戦った、プリキュアたちとその仲間であるユグドセイバーの正体を知っている親友たちの避難誘導により、あまり大きな被害が出ずにすんでいた。
もっとも、それはオレスキーが勝手に明に喧嘩を売り、こう着状態になっているから、ということが大きいのだが。
「で、俺と何で勝負するんだ?チャイコフスキーさんよ」
「オレスキーだ!誰が作曲家だ!!」
「あ、それは知ってたのか」
あえて挑発するように、名前を間違えて呼ぶ明に対して、オレスキーは額に血管を浮かべながら抗議していた。
だが、実のところ、明は内心、少しばかり冷や冷やしていた。
何かしらの不思議パワーを使われたら、敗北することは確定的だということはわかっていた。
だからこそ、明は待っているのだ。
この場で戦うべき
――おいおい、時間は稼いでるんだから、早く出てきてくれよ、月影、せんせー
本当は中等部の三人もそのヒーローたちなのだが、明としては同級生であり親友の二人を一番頼りにしている。
その信頼を口に出すことは決してないのだが。
だが、口に出さないことこそ、互いの信頼の証であり、絆の形、なのだろう。
「さっさとそいつから離れな、幻影帝国」
空に響いたその声とともに、青白い光の矢がオレスキーの足元に突き刺さった。
矢が飛んできた方向へ視線を向けると、そこには青白い衣をまとい、弓を構えているセイバーの姿があった。
「ぐぬぬっ!名乗ることなく先制攻撃とはひきょ……」
「戦いに卑怯もラッキョウもあるもんか!そこの君、ここは任せて、早く避難を!!」
「サンキュー!」
セリフを全部言い切る前に、セイバーはオレスキーの言葉にかぶせるように明に声をかけ、明はそれに応えるように礼を言ってから駆け足でその場を去っていった。
その背中を見送り、セイバーは青いシャツに白い外套の姿に戻り、エターニアハートを引き抜き、その切っ先をオレスキーの方へ向けた。
「ったく、ほんとに空気読まないよな、お前ら!面倒ごとが増えるからこの時期は出てきてほしくなかったんだがな!!」
「ふんっ!知ったことか!!さっさとナンバーワンの俺様に倒されるがいい!!もう一人の戦士!!」
俺様に、と言いながら、オレスキーは周囲にチョイアークたちを呼び出し、セイバーを襲わせた。
他人が弱らせたところで自分がとどめを刺し、とどめを刺したの自分、という結果だけを持ち帰るという、いかにも小物がやりそうな手法である。
汚い、さすが軍人、汚い!
「
…………いや、
「何言ってんのかわからんが、よそ見してる暇、あるのか?」
セイバーがオレスキーに問いかけた瞬間、三つの大きな光の花と、無数の小さな花の光がチョイアークたちに向かっていき、直撃した。
直撃の衝撃で爆発が起きたのか、土煙がもうもうと立ち上っていた。
その煙が晴れると、本来、真っ黒であるはずのスーツがまるで燃え尽きたかのように真っ白な状態になったチョイアークたちが倒れていた。
「なにぃっ??!!」
「遅くなりました、セイバー!」
「遅れたわ、ごめんさないね、セイバー」
「主役は遅れて登場するものっしゅ!」
「マリン、それはないんじゃないかなぁ……」
一瞬の出来事に、オレスキーが顎が外れんばかりに口を開き、絶叫していると、セイバーの隣にブロッサムたちが駆けつけてきた。
遅れてきたことを謝るブロッサムとムーンライトだったが、マリンだけはいつものように両手を腰に当て、どや顔でそんなことを言っていたが。
「ぐぬぬ……貴様らがホッシーワやナマケルダが言っていた、この街を守るプリキュアか!いきなり攻撃とは卑怯ではないか!!」
「いやだから、戦いに卑怯もラッキョウもないだろうが」
同じ言葉で返され、オレスキーはぐぬぬ、とうなりながら、押し黙った。
だが、おかげで頭に上っていた血が少しだけ体のほうへ降りてきたため、冷静になることができた。
どう考えても多勢に無勢というこの状況。そして、ホッシーワたちから上がっている報告から考えて、ここで戦ったとしても勝てる可能性はないに等しい。
仮に戦ったとしても、ボロボロにされた挙句、出世の道が閉ざされてしまうことを覚悟して戦わなければならない。
もちろん、そんな高尚な覚悟がオレスキーにあるわけがなく。
「今日のところは調子が悪い!帰らせてもらう!運がよかったな!!」
と、誰が聞いても負け惜しみだとわかるセリフを口にして、その場から逃げていった。
そのあまりの逃げ足の速さに、一同はただただ呆けた顔を浮かべていた。
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それから数十分後。
幸いにして、グラウンドにもテントにも甚大な被害はなかったため、トラックのコースを書き直すだけで復旧作業は終了した。
そして、恙なく競技は再開され、ついに。
「……来ちまったか」
「来ちゃったな」
「来たな」
「いや、もうここまで来たら腹くくれよ、菖」
「明にも同じことを言いたいんだが……」
いよいよ、体育祭の目玉であるよさこい演舞が始まろうとしていた。
緊張と疲労からなのか、菖が少しばかり遠い目をしていると、明と静がそれに同意し、君尋と小狼が突っ込みを淹れた。
もはやお決まりのコンボといえる一連の流れに、誰も何も言うことはなかった。
「……まったく、何をやってるのかしらね」
「あははは……」
「まぁ、いつものことだし?」
「うふふふ」
いや、少し離れた場所にいた美女四人が呆れ顔や呆れ笑いを浮かべながら突っ込んでいた。
だが、その声が菖たちに聞こえるはずもなく、何の反応も返ってこなかった。
そうこうしているうちに。
「それでは、よさこい出場者の皆さん、準備をお願いします!」
実行委員から準備を呼びかける声が聞こえてきた。
菖たちは衣装や化粧の最終チェックを行った。
それらが一通り終了すると、よさこいの実行委員長が集合をかけてきた。
その招集に応じ、参加者が全員、委員長を囲むようにして円陣を組んだ。
「よし、いいかな……みんな!今日この日のために練習してきた全てを出し切るぞ!!」
『応っ!!』
「ゲットレディ……」
『Go!』
ノリがいい明を中心に、参加者たちがその掛け声に返していった。
その波に負けたゆりもまた、同じ反応をしていたのだが。
「……こういうのも、悪くないわね。たまには」
薄く笑みを浮かべながら、そう呟いていた。
あとがき代わりのその後の話
~体育祭終了後~
ももか「あ~きくん♪優勝、おめでとう!」
明「おう、ありがとな!!」
菖「参加した競技全部でMVPだもんな……」
静「まぁ、おかげでクラスごとの総合得点で優勝したわけだが」
君尋「こりゃ、お祝いしなきゃか?」
ゆり「やめておいたほうがいいと思うわよ?」
君尋「その心は?」
ひまわり「せっかくだから、ももかちゃんと明くんを二人きりにさせてあげましょ?」
小狼「二人きりの世界だしな」
さくら「ほえぇぇぇ……」