ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
というわけでメリークリスマスだ、諸君!
ふと思ったんですが、クリスマスを何事もなく過ごせたチームが少ないっていうのもそうですが、ハピネスチャージ組みたく、総攻撃を加えられたチームってのも数少ないような……てか漫画版を除けばハピネスチャージ組だけのような気もする……
あ、タイトルの通り、レッドの総攻撃ですけど、出てくるのは赤いチョイ&サイアークだけで、海外のプリキュアもテンダーも出てきませんのであしからず
あくまでこのシリーズは「ハピネスチャージ組が頑張っている一方そのころ」的な話ですので
では、本編どうぞ
なお、
ハートキャッチプリキュア!編(本編)の最終話にそのことが書かれてます
知らないって人はお確かめください
HANASAKIフラワーショップでの手伝いを終えた帰り道。
小百合に指摘されたことをきっかけに、菖がゆりに自分の想いを伝えようとした瞬間、赤いサイアークが突然、姿を現した。
さすがに、小百合の目の前で変身するわけにはいかず、菖は小百合を抱えているゆりの手を引き、急ぎその場から離れた。
どうにか、その場から離れ、サイアークを撒くことには成功したが、出現していたサイアークは先ほどのサイアークだけではなかった。
サイアークから逃げつつ、自宅に向かう道中で、何体もの赤いサイアークを見かけたのだ。
もっとも、塀や電信柱、家の壁を壊して回ることに夢中で気づいていなかった、ということもあるのだろうが、見つかることはなかったので、戦闘になることはなかった。
月影家に到着すると、玄関にはすでにゆりと小百合の両親である春菜と英明が人数分の非常用カバンを運び出していた。
「「お父さん、お母さん!」」
「ゆり!小百合!!」
「菖くんも無事だったか!」
「おじさんたちも……それより早くここから避難……」
菖がそう言いかけると、背後から視線を感じた。
振り返ると、身をかがめてこちらを伺っている赤いサイアークがそこにはいた。
その姿を見た瞬間、ゆりはココロポットを取り出し、コロンの名を呼んでいた。
「プリキュアの種っ!いくぞ!!」
「プリキュア!オープンマイハート!!」
コロンの胸のブローチから飛び出してきた光が心の種へと変わり、つりはその種をココロポットに差し込んだ。
ポットからあふれた光がゆりを包みこむとシルエットが変化していき、ゆりの姿はキュアムーンライトへと変わった。
「月光に冴える、一輪の花!キュアムーンライト!!」
名乗ったと同時に、ムーンライトは玄関から飛び出し、赤いサイアークを吹き飛ばした。
道が開けたと同時に、英明と春菜は非常用カバンを持ち、赤いサイアークと交戦するムーンライトを心配そうに見つめてから、植物園へと避難した。
「ゆり!俺は英明さんたちを植物園に送り届けてから合流する!!」
「了解!……菖、三人をお願い!」
「ゆりも気をつけろよ!」
互いの役目を瞬時に判断し、二人は迎撃と避難者の護衛に分かれた。
ちなみに、なぜ植物園なのかというと、植物園の温室はコッペの結界が闇の力を無効にしているからだった。
その力は、かつて砂漠の使徒が地球のすべてを砂漠化させた中で、唯一、原型をとどめていたほどだ。
ならば、今回のサイアークの襲撃でも耐えることはできるはず、と推測してのことだった。
そして、その推測の通り、植物園の周囲にはサイアークの姿はなく、襲撃されている様子もなかった。
「おじさん、おばさん。ここなら安全なはずだ……って、おじさんにはわかりきってることかな」
「そうだな。確かに、キュアフラワーの妖精の加護が働いているここならば安全だ」
いたずら小僧のような笑みを浮かべながら語る菖に、苦笑を浮かべながら英明は返した。
キュアフラワーの妖精、コッペの加護の強さは、身をもって知っている。
なにしろ、英明はかつて、砂漠の王デューンの配下、サバーク博士として地球侵攻に手を貸していたのだから。
もっとも、それもすでに過去の話。
今はこうしてダークプリキュアの生まれ変わりである小百合も加えて、家族とともに平穏に暮らしている。
だからこそ、やっと取り戻した平穏な時間を壊させるわけにはいかない。
そのためにも、菖は戦場へ向かうことを決意していた。
「おじさん、おばさん。俺、行き……」
「お兄ちゃん、どっか行っちゃうの?」
行きます、と言おうとした瞬間、足元から小百合の不安そうな声が聞こえてきた。
見下ろせば、そこには今にも泣きだしそうな小百合の顔があった。
菖は身をかがめて目線を小百合に合わせ、そっと頭を撫でた。
「ゆりお姉ちゃんがちょっとピンチっぽいからな。お兄ちゃん、ちょっと手伝いに行ってくる」
「帰ってくる?」
「あぁ、絶対帰ってくる」
返ってきた言葉に、小百合は菖にぎゅっと抱きついてきた。
菖は小百合の頭を優しくなでながら、小百合が満足するまで抱きつかせていた。
やがて、落ち着いた小百合は菖を解放し。
「行ってらっしゃい!」
と笑顔で見送りの言葉をかけた。
菖は小百合に、行ってきます、と返し、英明と春菜に頭を下げ、町に向かって走り出した。
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菖が町に戻ると、そこかしこに赤いサイアークが出現しており、町を破壊してまわっていた。
自分の住む街を、故郷を破壊され、怒りを覚えないほど菖は大人ではない。
「心力解放!ユグドセイバー、スタートアップ!!」
菖が叫んだ瞬間、左手の甲に紋章が浮かび、紋章から光があふれ出た。
光に包まれ、菖のシルエットは徐々に、もう一人の戦士ユグドセイバーのものへと変わっていった。
「大樹の騎士!ユグドセイバー!!」
名乗るや否や、セイバーは聖剣エターナルハートを引き抜き、ムーンライトを探し、町の中を走り出した。
途中、赤いサイアークや同じく赤いチョイアークが襲いかかってきたが、その全てを切り伏せ、いなし、殴り飛ばしながら、セイバーは町の中を走り回った。
その中でやけにチョイアークが集まっている場所を見つけ、そちらに向かってみると、なぜかチョイアークが上空へと投げ出されている光景が目に入った。
チョイアークが集まっているその中央を見てみると、そこには。
「おらおら、どうしたどうした?!」
「チョイ~ッ??!!(特別訳:なぁ~っ?!)」
「チョ、チョイ?!チョ、チョイ~~~~ッ??!!(特別訳:お、おいっ?!って、なに~~~~っ?!)」
「はっははははっ!楽しすぎて狂っちまいそうだぁ!!」
「チョ、チョイチョチョイ、チョチョチョイ~~~~ッ?!(特別訳:こ、こんな人間、いてたまるか~~~~っ?!)」
チョイアークたちを相手に、無双している男が一人いた。
背中の中ほどまではある長い髪をポニーテールにまとめ、ともすれば女性と見間違えそうな美貌を持つ青年。
その付近には、おそらく、避難している途中だったのだろう、ももかの姿があった。
言わずもがな、希望ヶ花市のイケメンの一人であり、実はかなりの戦闘狂である御剣明だった。
「……たまに思うけど、あいつ、実はサーヴァントだった、なんてことないよな?」
スナッキー程度の戦闘力しか持っていないとはいえ、チョイアークを相手に息を切らすこともなく戦い続けていられる体力に、セイバーは苦笑を禁じえなかった。
が、さすがに数の暴力にものを言わせれば押し負ける可能性もある。
手を貸すべきだろうか、と思ったが、セイバーはなかなか行動に移せなかった。
「ちょっと手を貸してやるか?あぁ、けど俺の獲物を盗るんじゃねぇ、とか言ってこっちに攻撃してきそうな気が……」
お楽しみ中のところで横やりを入れれば一瞬で機嫌を悪くして、こちらに攻撃を加えてくるような気がしてならなかったのだ。
ただでさえ数が多いチョイアークとサイアークが相手だというのに、そこに明が加わってしまうと、もはや悲惨なことにしかならない。
さて、どうしようか、と悩んでいると。
「マリン・シュート!!」
「サンシャイン・フラッシュ!!」
マリンとサンシャインの声が聞こえてきた。
どうやら、明と同じ場所で交戦しているようだ。
それなら、ここは放っておいても平気だろう、と判断し、その場を離れようとした時だった。
「ちょっとセイバー!遅いっしゅ!!」
「こっちも手伝ってください!!」
サンシャインとマリンの二人に見つかり、そちらへ行かざるを得なかった。
「もぉっ!ムーンライトとブロッサムが戦ってるのに、旦那様が戦わなくてどうすんのよ!!」
「……俺は英明さんたちの避難誘導をしていたんだが?というか、なんで明も戦ってんだよ……普通にチョイアーク吹っ飛ばしてるし」
やるべきことをやってから戻ってきたというのに文句を言われ、セイバーはため息をついたが、すぐに気持ちを切り替え、明たちが避難するための道を開き、二人とともにブロッサムとムーンライトがいる場所へと向かった。