ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
本編との矛盾はない……はず!
なお、誰がどんなトッピングを頼んだかは、皆様の御想像にお任せです。
5/3 改題
つぼみとえりか、そしていつきに招待され、なぎさたち先輩プリキュアは、明堂学園に集合していた。
数週間前に、一緒に紅葉狩りへ行ったため、それほど久しぶり、という感覚はないが、それでも同じ力を持っている仲間との再会はうれしいものだ。
つぼみたちには、事前に自分たちが来ることを伝えてあったが、いつきから、いきなり大人数で押しかけるのはまずいので、バラバラに入場してから合流したほうがいい、とアドバイスをもらったため、それぞれが入場してから、集合時間を決めて、つぼみとえりかの教室に集合することにした。
そのため、今はチームごとに別れて行動中だ。
「すっごいねぇ、舞!いろんなお店があるよ!!」
「うん!……あれ?ねぇ、咲。あの人って菖さんじゃない?」
ふと、舞がそう言って指さすと、そこには、スーツを着ている菖の姿があった。
よく見ると、『クレープ屋"ハチポチ"』とかかれている看板の近くに立っていたため、おそらく、あそこが菖の出店なのだろう、という判断はすぐについた。
「ねぇ、舞。菖さんに挨拶しに行くついでに、クレープ買いに行かない?」
「そうね!そうしましょう!!」
咲の提案に、舞がうなずくと、提案者の咲は舞の手を引いて、クレープ屋"ハチポチ"の行列に並んだ。
すると。
「いらっしゃい、子猫ちゃんたち」
「……ホストだからって、それはないんじゃないか?普通に接客しようぜ……」
スーツを着ている男子の接客に、菖が冷や汗を伝わせながら突っ込みを入れる光景が目に入った。
「男子の恰好、スーツかと思ったらホストなのね……」
「菖さんがホストって……なんかすっごく新鮮なり……」
咲と舞が呆然としていると、自分たちの番が回ってきた。
すると、先ほどから接客していた男子生徒が咲の顔を見るなり、にっこりといたずら小僧のような笑みを浮かべた。
「いらっしゃい、子狸ちゃん」
年上の、それも菖の知り合いからすらも狸呼ばわりされ、咲はふくれっ面になった。
菖は誰が狸と呼ばれたのかわからなかったのか、半眼になりながら顔を上げた。
「だから、普通に接客しろ。つか、猫ですらな……」
と、菖が突込みかけて、咲と舞の方へ視線を向けると、何も言えなくなってしまった。
その心中で何を思ったのか、容易に想像できてしまった咲は、ただでさえ少し丸っこい顔を余計に膨らませ、菖をにらんだ。
その様子に、舞はため息をつきながら、菖に苦情をもらした。
「菖さん、せめてなにかフォローしてください……」
「いや、ごめん」
舞の苦情に、菖は素直に謝った。
知り合いというより、仲間であるということもあり、二人はそれ以上何も言えなくなってしまったため、咲はそれ以上は追及しなかった。
もっとも、その明らかに怒気が込められた視線を、狸呼ばわりした男子生徒に向けていたのだが。
「あれ?なぎさたちはどうしたんだ??」
ふと、菖からなぎさたちの姿が見えないことについて問いかけた。
どうやら、いつきから、自分たちが来るということは聞いていても、学校にはそれぞれのチームに別れくることは伝えられていなかったようだ。
「なぎささんたちなら、他のところに行ってるなり」
「ちょっと見て回ったら、一度、つぼみさんたちの教室で合流する予定なんです」
舞のその説明で納得することにしたのか、菖は、そうか、とうなずきを返した。
いつまでも談笑しているわけにはいかないためか、菖は二人に、同級生が失礼なことをしたお詫び、ということでクレープをおごると提案してくれた。
咲としてはうれしいことなのだが、咲と比べて遠慮深い舞は、断ろうとした。
だが、その声は後ろから聞こえてきた声に阻まれてしまった。
「菖さん!」
「おごりって!!」
「ほんとですか?!」
咲と舞が後ろを振り向くと、なぎさ、のぞみ、ラブの三人が子どものように目を輝かせていた。
よく見ると、他のメンバーも一緒にいた。
大方、菖を見かけたから挨拶に行こう、ということになったのだろう。
そして、期せずしてここで合流してしまったのだ。
だが、そんなことは露知らない菖は、三人の勢いに飲まれそうになりながらも、苦笑まじりに。
「……一つだけでいいなら、な?ほんとは咲へのお詫びのつもりだったんけど……」
と宣言してくれた。
咲へのお詫びという意味が込められてのおごりだったことを理解したほのかとりん、そしてかれんは、さすがに悪いと思ったのだろう。
「あ、あの、無理しなくても大丈夫ですよ?」
「そうそう。そもそも、のぞみたちの言うことを真に受ける必要、まったくないじゃない」
「それに、いくら知り合いとはいえ、お言葉に甘えるのも……」
と、やんわりと断ろうとしていた。
つぼみたちを抜いたとしても、ここにいるメンバーは十四人。
さすがに、一枚だけとはいえ、全員におごるとなると、相当な金額になってしまう。
だが、そんなことは気にしていないようで。
「大丈夫。一つだけなら、おごっても大して苦にはならないし……なにより」
と、菖は意地悪な笑みを浮かべながら背後を指さした。
そこには、クーラーボックスの上に置かれた、いくつものボールが置いてあった。
おそらく、あれが全部クレープの生地なのだろう。
その証拠に。
「なぎさと咲とのぞみとラブなら、これくらいは余裕でいけるだろ?」
と問いかけてきていた。
なぎさも咲ものぞみもラブも、自分たちのことを気遣ってくれて、というのも変な話ではあるが、用意してくれたことに気づき、大量に自分の好きなクレープが食べられるという想いも相まって、目を輝かせていた。
だが、常識人の域にいる
「「……胸焼けしそうだわ」」
と、突っ込んでいた。
ふと、ほのかが何かに気づいたようで、菖に問いかけてきた。
「あの、菖さん。もしかして、その恰好って……」
「……ホスト、だとさ……」
ほのかが質問をすべて言いきる前に、菖ががっくりとうなだれながら答えた。
どうやら、菖個人はあまり好ましく思ってはいないようだ。
「す、すみません……」
なんだか、聞いてはいけないことを聞いてしまったのではないか。
そう思ってしまったほのかは思わず謝罪してしまった。
すると、いつの間にやってきたのか、ゆりがなぎさの背後から声をかけてきた。
「あら、せっかくだから、ホストらしい接客をしてくれないかしら?」
「……なれないことさせないでくれ……」
ゆりの言葉に、菖はげんなりとしながら返した。
だが、その眼はどこか楽しんでいるような印象があった。
どうやら、菖自身、ゆりとのこのやりとりを楽しんでいるようだ。
ゆりの来訪で、少しばかり元気になったのか、菖はなぎさたちの方へ視線を向けた。
「それで?トッピングはどうする??」
「それじゃぁ……」
注文を取り始めた菖に、なぎさから順に、注文を始めた。
と、なぎさが注文を始めようとしたが、せつながそれを止めて、問いかけてきた。
「ねぇ、みんな。こういうお店って、大抵の注文は断られないのよね?」
「まぁ、そうね」
「だったら、こういうお店での定番、やってみたいんだけど」
「「「「定番?」」」」
せつなの言葉に、もともと抜けているところがあるのぞみとうらら、まだまだ世情に疎い部分があるひかりとかれんは首を傾げた。
その様子に、なぎさが小さく微笑みを浮かべた。
「あのね、こういうお店だと……」
と、小声で説明を始めた。
だいたい理解できたらしく、なぎさから順番に注文を始めた。
菖はその一つ一つをメモしていき、手の空いている男子に作るよう指示を飛ばしていった。
最後にせつなが注文を終えると、なぎさが、せぇの、と合図をして、何かに期待するような笑顔を向けながら。
『
満面の笑みで十四人の美少女たちが、菖にむかってそう頼んできた。
その光景に、嫉妬と興味の視線を向けながら、男子生徒がからかい半分で。
「春川~、女の子に恥じかかせるなよ~?」
と言ってきた。
ゆりも悪ノリして。
「菖、どう対応するの?」
と問いかけてきたため、菖は引くに引けなくなってしまった。
ふむ、と考え込むようなそぶりを見せてから、優しい微笑みを浮かべて、いつもより少し低い声で。
「お持ち帰りですか?」
と問いかけてきた。
その無邪気で優しい笑顔に、なぎさたちは顔を真っ赤にしてしまった。
唯一、このメンバーの中で菖との付き合いが長いゆりですら、恥ずかしげに顔を背けていた。
「……あなたをテイクアウトしてどうするのよ……」
なお、ゆりがそうつぶやいたことは、こうなるきっかけを作った少女たちは、誰一人、気づくことはなかった。
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その後、無事にクレープを受け取ったなぎさたちだったが、ひかりと舞、かれん、祈里は依然、顔を真っ赤にしたままで、まったくクレープに手がついていなかった。
「……かれん?どうしたのよ??」
その様子が気になったくるみがかれんに問いかけたが、かれんはまったく気づいていなかった。
なお、それは他のメンバーも同じで、いくら問いかけても、反応がなかった。
もっとも、その原因にいち早く気づいたラブたち、フレッシュチームは苦笑を浮かべながら。
「「「まぁ、もう少しすれば治るでしょ」」」
と放置することにした。
その言葉を信用して、なぎさたちはクレープを堪能し、なぎさ、咲、のぞみ、うらら、ラブの五人は一枚目を食べ終えるや否や、二枚目を注文しに行列へと向かっていった。
「……ほんと、よく食べるよ、あの子は……」
「胸焼け、しないのかしら?」
その背中を見つめながら、りんは呆れたとばかりにため息をついていた。
その隣に座っていたゆりも、冷や汗を伝わせながら、そんな疑問を口にしていた。
なお、ゆりの目の前にあるクレープも菖が焼いたものである。
これも菖のおごりであることは言うまでもない。
紅茶を口にしながら、ゆりはクレープを一口食べると、自然とその頬が緩んだ。
「……おいしい」
その表情は、普段の凛々しい大人っぽいそれとは違い、年相応の可愛らしいものだった。
あとがき代わりのその時の話(スキット風)
~一つ目のクレープ消化中~
ひかり、舞、かれん、祈里「「「「……ぽーっ……」」」」
せつな「……ねぇ、四人は大丈夫なの??」
こまち「かれん??」
ほのか「ひかり、大丈夫?」
咲「舞~?」
くるみ「……四人とも、まだ顔が真っ赤ね……」
りん「……もしや、これは……」
ほのか「ありえなくもない、のかしら?」
ラブ「……まぁ、ブッキーはそもそもあぁいう笑顔に弱いからねぇ……」
未希「まぁ、かくいうわたしたちもその笑顔にしてやられちゃったんだけれど」
ゆり「さすがに、わたしもやられたわ……一番付き合いが長いはずなのにね……」
のぞみ「そうなんですか?」
なぎさ「なんか、優しい笑顔だったなぁっては思いましたけど」
ゆり「普段の菖の笑顔は、あんな優しい笑顔じゃなくて、もっと無邪気な感じなのよ?それこそ、子供っぽいものね」
うらら「たしかに、菖さんってわたしたちよりも年上ですけど、子供っぽいところ、ありますもんね」
ラブ「歴史の話とか?」
こまち「そうよねぇ……けれど、それも菖さんの魅力じゃないかしら?」
くるみ「ふ~ん?……って、のぞみ、どうしたのよ??」
のぞみ「おかわり~!」
りん「ってもうかい!!」
うらら「あ、わたしもお供します!!」
咲「あ、わたしも!」
なぎさ「ならわたしも!!」
ラブ「同じく~!」
ゆり「……この子たちはもうちょっと味わって食べるということを知らないのかしら?」
なぎさ、ひかり、咲、舞、のぞみ、かれん、うらら、ラブ、祈里以外『……あ、あははははは……』