ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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タイトルからセイバーが消えてしまったよ……
ちょっと長くなったので、区切りました。
次回、最終決戦です。
とはいえ……これなぁ、最後のセイバーの選択、元ネタ(TOZ)を意識したんですが、ちとやりすぎかなぁ……


世界をつなぐ虹色の花~Ep.4:全員再集合!これがプリキュアの力です!!~

みなとみらいのショッピングモール前。

最初にプリキュアたちとセイバーが変身し、復活した敵と対峙した場所では、妖精たちがプリキュアの生還を待っていた。

ふと、上空の三か所が同時にひび割れ、次の瞬間、巨大な爆発とともに、プリキュアたちとセイバーが飛びだしてきた。

『プリキュア!セイバー!!』

プリキュアたちの無事な姿に、妖精たちは歓喜の声を上げた。

だが、喜んでばかりもいられない。

プリキュアたちが帰還したと同時に、魔女たちもこちら側に戻ってきてしまったのだ。

「おのれ、プリキュア……ブラックホール様の力の前に、ひれ伏すがいい!!」

怒号を上げながら、魔女はその全身に闇の力をまとった。

その瞬間、魔女の姿はより禍々しく、より凶悪なものへと変わった。

だが、その姿を見てひるむプリキュアたちではなかった。

「これ以上、あなたたちの好きにはさせません!」

ブロッサムが啖呵を切ると、ブラックとホワイトが手をつなぎ、魔女に向かって走りだした。

「プリキュアの美しき魂が!!」

「邪悪な心を打ち砕くっ!!」

「「プリキュア!マーブルスクリュー……マックス!!」」

白と黒、二つの光がらせんのように絡み合い、二人の手から放たれた。

その光に飲まれ、魔女は悲鳴を上げながら姿を消した。

一方、上空では、ブルームとイーグレットがブライトとウィンディに変身し、精霊たちの力を集め始めていた。

「精霊の光よ!生命(いのち)の輝きよ!!」

「希望へ導け!二つの心!!」

「「プリキュア!スパイラルスター!スプラッシュ!!」」

「ぐぅっ!!……な、なにぃぃぃぃぃぃぃっ??!!」

二人から放たれた精霊の光が、牛頭鬼を思わせる姿に変わったサーロインを呑みこんだ。

サーロインは、まさか二度も同じ技を受け、消滅するとは思わなかったのか、悲鳴を上げながら光の渦の中にその姿を消した。

別の場所では、ドリームたちがムシバーンと戦闘を繰り広げていた。

「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

ムシバーンは雄叫びを上げると、腰に差していた筒を引き抜き、光刃を発生させ、ドリームたちにむかっていった。

「プリキュア!サファイアアロー!!」

「プリキュア!エメラルドソーサー!!」

「プリキュア!ファイヤーストライク!!」

アクア、ミント、ルージュが次々にムシバーンにむかって必殺技を繰り出していったが、それらすべてをムシバーンは手にした光刃剣で切り裂いていった。

ファイヤーストライクを切り伏せ、思い切り地面を蹴って空中から攻撃をしかけようとしたその瞬間。

「プリキュア!プリズムチェーン!!」

レモネードがプリズムチェーンを放ち、ムシバーンを拘束した。

その拘束を無理やりに破壊したムシバーンだったが。

「プリキュア!シューティングスター!!」

ドリームの必殺技を防御することはできず、消滅してしまった。

そして、そこから少し離れた場所では。

「うおぉぉぉぉぉっ!!」

トイマジンが空中で雄叫びを上げ、黒い巨大な熊のような姿へと変えていた。

そんなトイマジンにむかって、ピーチたちがむかっていった。

「幸せになったトイマジンの姿を利用するなんて、絶対に許さないんだから!!」

ピーチがそう叫ぶと、パッションが胸元に両手をかざし、光の力を集めた。

「ハピネスリーフ!セット!!……パイン!!」

赤い輝きを放つハートをパインに向かって投げつけると、パインは走りながらそれを受け取った。

その瞬間、今度は黄色い輝きを放つハートがセットされた。

「プレアリーフ!……ベリー!!」

「エスポワールリーフ!……ピーチ!!」

パインから投げ渡されたリーフをベリーが受け取った瞬間、青い輝きを放つハートがセットされた。

続けて、ベリーはピーチに向かってそのリーフを投げた。

「ラブリーリーフ!!はっ!!」

ベリーから渡されたリーフを受け取った瞬間、今度はピンク色の光を放つハートがセットされ、四葉のクローバーのような形へと変わった。

ピーチは四っつの光を放つリーフをトイマジンに向かって投げつけた。

すると、リーフが突然巨大化しだ。

「「「「ラッキークローバー!グランドフィナーレ!!」」」」

巨大化したリーフから光があふれ、トイマジンを包みこんでいった。

トイマジンを包んだ光はクリスタルのような壁を造りあげた。

壁の内側で、トイマジンは光の中へと消えていった。

そしてこちらでも。

「サラマンダー男爵の姿を使っての悪行の数々!わたし……堪忍袋の緒が切れましったっ!!」

「出ました!堪忍袋っ!!」

ブロッサムたちがサラマンダー男爵と対峙していた。

男爵はその身体を本体であるドラゴンへと姿を変え、ブロッサムたちへとむかっていった。

だが。

「プリキュア!シルバーフォルテウェーブ!!」

「ユグドフォルテウェーブ!!」

セイバーとムーンライトの同時攻撃により、態勢を崩されてしまった。

その隙を見て、サンシャインは心の花の光をかき集め、太陽を作りあげた。

「プリキュア!ゴールドフォルテ・バースト!!」

「「プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

その太陽の中に、ブロッサムとマリンがフォルテッシモで突っ込んだ。

太陽の中で、ブロッサムとマリンは金色の光をまとった。

「プリキュア!シャイニング!!」

「「フォルテッシモ!!」」

ムーンライトとセイバーが復活するまでの間に編み出した、三人の合体必殺技はサラマンダー男爵に命中し、一瞬で浄化してしまった。

そして、こちらでも。

「「フリージング!ブリザード!!」」

「「プリキュア!パッショナート!ハーモニー!!」」

フリーズンとフローズンのコンビの攻撃とメロディとリズムのコンビの攻撃がせめぎ合っていた。

だが、一瞬でメロディとリズムの放った光が、フリーズンフローズンの冷気を呑みこんでいった。

「ば、ばかな!!」

「俺たちは最強コンビだというのに!!」

「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」

負けるはずがない、そう確信していた二人だったが、プリキュアが放った光に飲みこまれ、その姿を消した。

「最強のコンビはわたしたちみんなに決まってるじゃない!」

肩で息をしながらも、メロディが消滅したフリーズンフローズンに告げた。

その言葉に、妖精たちは歓声を上げ、プリキュアたちの顔には笑顔が浮かんだ。

だが、それもすぐに驚愕へと変わった。

空が突然、赤黒い光に覆われ、不気味な風が巻き起こってきた。

《我が名はブラックホール……すべてを闇に!すべてを暗黒の世界に!!》

上空からおどろおどろしい声が響いてきた。

その声は、自らブラックホールと名乗っていた。

姿なき声の主を探し、プリキュアたちはあたりを見回したが、あたりにそれらしき姿はない。

「どこっ?!どこにいるの?!」

「ま、まさか……宇宙?!」

その答えは正しかった。

成層圏を超えた無重力圏に、ブラックホールはいた。

そして、その位置から、地球にいる自分の敵に向けて攻撃をしかけてきた。

「まずい!!穢れなき約束の翼(ルウィーユ・フィルク)!!」

「セイバー?!」

セイバーが何かに気づき、飛翔状態へと姿を変えると、プリキュアたちの前へ出た。

その瞬間、空の向こうから巨大な黒い光が降り注いできた。

「おぉぉぉぉぉぉっ!!獅吼戦花(しこうせんか)!!」

降り注いできた巨大な光の柱にむかって、セイバーは自身の心の花の力と闘気を両手にまとわせ、突き出した。

その瞬間、菖の心の花の力と闘気は青白い光へ変わり、牙を剝く獅子の顔へと変化し、光の柱とぶつかった。

《無駄だ!貴様一人で、我が力を受け止められると思うなっ!!》

「そんなこと、やってみないとわからないだろっ!!」

セイバーはブラックホールに叫び返した。

セイバーの放った技と、ブラックホールが放った衝撃波は拮抗していた。

だが、やはり放っているエネルギーの質量で差が開いてしまった。

抵抗かなわず、セイバーはブラックホールが放った衝撃波に飲まれ、吹き飛ばされてしまった。

そして、その余波は当然、地上にいたプリキュアたちにも襲い掛かってきた。

抵抗する暇もないまま、プリキュアたちは吹き飛ばされ、変身アイテムもその力を失い、変身を強制解除させられてしまった。

「そ、そんな!!」

「プリキュアの力が……」

「変身が解かれるなんて?!」

「……っ!!セイバーは?!」

「菖っ!!」

「菖!!お願い、返事をして!!菖っ!!」

変身が強制解除させられたことよりも、ブラックホールからの攻撃の最前線にいて、真っ先に吹き飛ばされてしまった菖の安否を気遣い、ゆりとコロンが叫び、菖のもとへと駆け寄ってきた。

ボロボロではあったが、菖は顔をしかめながらどうにか立ち上がろうとしていた。

だが、プリキュアたちと同じく、菖も変身を強制解除させられてしまっていた。

変身が強制解除されたことだけでなく、プリキュアとしての力も消滅してしまったことに右往左往していると、上空から金色の光が降り注いできた。

見上げると、そこには巨大な金色の光を放つ花があった。

「……大きい……これが、プリズムフラワー……」

「巨大な雲の中に隠れていたんだニャ!!」

プリキュアたちも妖精たちも、その巨大さに驚愕していると、ブラックホールが動き出した。

《見つけたぞ、プリズムフラワー!!光の力、消し去ってくれる!!》

ブラックホールの力が、徐々にプリズムフラワーを覆い始めた。

このままでは、世界は闇に染まってしまう。だが、プリキュアとしての力も変身アイテムも失ってしまった今の自分たちにはどうしようもできない。

誰もが諦めかけたそのとき、つぼみだけはまだ諦めていなかった。

「まだですっ!プリズムフラワーはまだ光を失っていないじゃないですか!きっと、まだ……」

方法はあるはず。

だが、今の自分たちに、プリキュアの力はない。

どうにかしたくても、方法がない。

もはや、自分たちには諦める以外の選択肢がないのか。

つぼみも絶望しかけたその時。

「一つだけ……一つだけ、方法があるナツ……」

ナッツの口から、希望につながる言葉が出てきた。

その方法とは、わずかに残っているプリズムフラワーの光の力を使うことだった。

プリズムフラワーの残された光の力を使えば、最後にもう一度だけ、変身することができる。

だが、それは同時に。

「それを使ってしまったら、プリズムフラワーの力は全部なくなってしまうナツ!」

「……もし、プリズムフラワーの力がなくなったら、ココたち妖精の住む世界とのぞみたち人間の住むこの世界をつなげることができなくなるココ……」

「それって、どうなるの?」

「みんなと……お別れになるココ……」

「……え?」

ココの口から出てきた突然の言葉に、つぼみは呆然としてしまった。

プリズムフラワーは、その光の力で人間の世界と妖精の世界を結んでいる。もしプリズムフラワーがなくなれば、妖精は自分の世界に引き戻され、二度と、人間の世界に行くことができなくなってしまう。

それは、プリキュアたちと妖精たちが永遠に離れ離れになることを意味していた。

「せやかて、このままブラックホールを放っといたら、全部の世界が!!」

「嫌ポポ!!」

誰もが驚愕する中、タルトは世界を救うための選択を手放すつもりがなかった。だが、その言葉を遮るように、ポルンが叫んだ。

「お別れ、嫌ポポ……嫌ポポ嫌ポポ~ッ!!」

ポルンが泣きながら叫ぶその言葉をきっかけに、妖精たちもプリキュアも、自分のパートナーと別れたくないという想いがあふれだしてきた。

「……世界を取るか、みんなと一緒にいることを取るか……本当に、それだけしかないのか?」

プリキュアたちと妖精たちが泣いている声を聞きながら、菖はぽつりとつぶやいた。

パートナーと別れるのは、確かに嫌だ。けれども、このままブラックホールを放っておいても、世界がめちゃくちゃにされてしまう。

世界とパートナーたち(大切な友達)とを天秤にかけているのだ。迷ってしまうのは、仕方のないこと。

それは、菖もわかっていた。

どちらを取っても、彼女たちにとって悲しい結末を迎えることに変わりはない。

ならば。

「……もしかして、この方法なら……」

「菖……?」

何かを思い付いたかのような菖の呟きを聞いたゆりは、コロンを抱えたまま、菖のほうへ視線を向けた。

菖はなにも答えることのないまま、ゆりに抱きかかえられているコロンの頭をそっとなでた。

「……なぁ、ナッツ……プリズムフラワーの力を使わなければ、変身ができないってことは、それに代わるだけの大きな力さえあれば、変身はできるってことだよな?」

菖はココとナッツに視線を送りながら、そう問いかけた。

「そ、それは……」

「その通りココ。けど、それだけの力は……」

「あるじゃないか。世界のルールすら変えられる力が、一つだけ……けど、たぶん、それをできるのは、()()()()()()()()()()()()()()、俺だけなんだろうけど」

菖は真剣な表情のまま、ココの反論に返した。

世界のルールすら変える可能性を持っている、一人に一つだけ持っている力。

それが、何をさしているのか、ゆりとコロンはすぐに理解できた。

「なっ?!正気か、君は!!」

「そんなことをしたら、あなたは!!」

「え?……ど、どういうこと、ですか?」

コロンとゆりが激しく動揺していることに気づいたつぼみは、二人に問いかけた。

つぼみの問いかけに返ってきたゆりの答えは、世界を滅ぼさせるか、パートナーと別れるか、その二つの選択よりももっと残酷な選択肢だった。

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