ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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季節は初夏というか梅雨時というかなんですが、まぁ、お祭りです。
お祭りと言ったら、浴衣ですね。
といっても、ハートキャッチチームのしか描写はしませんが。(^^;
なお、メンバーが少し多いので、セリフが割り当てられていない子もいますが、ご容赦を。
……まぁ、セリフを割り当てられない主な子たちは妖精だったりするですが(汗


夏祭りの事件!ゆりさんと菖さんが秘密のデート、ですか?!

夏のある日。

えりかは興奮気味な様子で、いつものメンバー(つぼみたち)に提案した。

「夏祭り!一緒に行こう!!プリキュアのみんなも呼んで!!」

その手には、希望ヶ花市にある唯一の神社、希望ヶ花神社で行われる夏祭り開催を知らせるチラシがあった。

どうやら、他のプリキュアのメンバーも呼んで夏祭りに参加したいようだ。

つぼみといつき、そしてゆりもそれには乗り気だったが、唯一、菖は苦笑しながら謝ってきた。

「ごめん、その日は俺、無理だわ」

「「「え~~~~~~~??!!」」」

「あら?何か用事でもあったの??」

中学生組は菖のその一言に大声を上げてしまったが、ゆりはきょとんとした顔で菖に問いかけた。

「つぼみたちはともかく、なんでゆりが聞くかなぁ……というか、ゆりにも手伝ってほしいんだけど?」

「あら?まるでわたしだけは知ってい……あぁ、そういうことね」

ゆりはまるで納得したかのようにうなずいた。

「それで?わたしは何を手伝えばいいの?」

「細かいことはじぃじに聞いてほしいから、帰りにうちに寄ってくれないか?俺も自分のことで手がいっぱいでさ」

「わかったわ。それなら、あまり日もないから、今日はお暇するわ」

二人だけでとんとん拍子に話が進んでいき、つぼみたちは結局、質問する間もなく、菖とゆりは帰宅してしまった。

「……な、なんだったんでしょう?」

「「さぁ?」」

残されたつぼみたちは、突風のような出来事にただ呆然としていた。

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チラシに記された夏祭りの当日。

夕方になって、つぼみたちは待ち合わせ場所である神社の鳥居の前にいた。

なお、つぼみは桜吹雪の浴衣を、えりかはコスモス模様の浴衣を、いつきは向日葵模様の浴衣を着ていた。

なお、これは既製品ではなく、エリカが自ら作ったのであるから驚きである。

いや、ファッションのことならなんでもどんと来い、と鼻高々に宣言するえりかであるから、驚きはあまり大きくはないのだが。

もっとも、つぼみは純粋にすごいと思っているらしく。

「けど、えりかはやっぱりすごいです!洋服だけじゃなくて浴衣も作れるなんて」

と称賛していた。

大親友からの称賛に、えりかは胸を張っていた。

すると、駅の方から聞きなれた声が聞こえてきた。

「「お~い!」」

「久しぶりなり~~!!」

「「ヤッホー!」」

つぼみたちが声の下方向へ目を向けると、そこには浴衣を着たなぎさたちが駆け寄ってきていた。

その中には、最近になって知り合った響、奏、エレン、アコ(スイートプリキュア)の四人の姿もあった。

「みなさん!お久しぶりです!!」

「やっほ~!」

「久しぶり、みんな」

なぎさたちと挨拶を交わすと、つぼみたちは鳥居をくぐり、神社の境内へと入っていった。

境内には、様々な屋台が所狭しと並んでいた。

つぼみたちは互いにはぐれないようにしながら、屋台を楽しんでいた。

特に、なぎさ、咲、のぞみ、うらら、ラブ、響の大喰らいたちはお小遣いが許す範囲で屋台のものを次から次に食べていた。

あまり大食漢ではないつぼみたちはその様子を見ながら苦笑を浮かべていた。

ふと、ひかりとりん、かれんの三人はゆりと菖の姿がないことに気づいた。

「つぼみさん。菖さんとゆりさんは……」

「お二人でしたら、何やら用事があるようでして……」

つぼみがひかりの質問に答えると、エレンが何か思い至ることがあるらしく、まさか、とつぶやいた。

それに気づいたせつなは、怪訝な顔でエレンに問いかけた。

「エレン?どうしたのよ?」

「菖さんとゆりさん……もしかして、こっそりデート、だったり?」

『……えっ??!!』

エレンの突然の発言に、菖に淡い想いを寄せている少女たちは、目を見開き、ぎぎぎ、と音が鳴るほどゆっくりとエレンの方へ視線を向けてきた。

このメンバーの中で最もおとなしいつぼみもまた、某忍者の漫画に登場するくのいちのように、目の周囲に血管を浮き出たせていた。

つぼみのその顔が本気で怒ったときの顔だということを知っているえりかは、慌てふためいた。

「ちょ!エレン!!菖さんの話に『女の子とデート』ってワードは危険すぎっしゅ!!」

「にゃっ??!!」

「あぁ……菖さんの罪作りが……」

「恋する乙女にとっては確かに禁句ね」

えりかの反応に、エレンが猫のような悲鳴を上げて驚くと、りんやアコがため息をついて呆れたようにつぶやいた。

すると、彼女たちの耳に不思議な音色が響いてきた。

音が聞こえてきた方向へ目を向けると、そこにはこの神社の神楽殿があった。

そのうえには、一人の巫女と五人囃子がいた。

その巫女と五人囃子を見た少女たちは、驚愕で目を見開いた。

『ゆ、ゆりさん?!菖さん??!!』

そこにいたのは、用事と菖の手伝いで一緒に祭りに参加できないと言ってきた菖とゆりの二人だった。

 

ゆっくりと、しかし澄んだ音が神社の境内に響き渡っている。

その音色に合わせ、巫女装束に着替えたゆりが神楽鈴を手に神楽舞を踊っていた。

もともとが美人なゆりだが、その所作の一つ一つが洗練されていて、さらに神聖な雰囲気を醸し出していた。

舞い続けるゆりを前に、今にも人を殺しそうな雰囲気をまとっていたつぼみたちでさえ、ただ恍惚とした表情で舞い踊るゆりを見つめていた。

やがて、五人囃子が演奏を終えると、静かにゆりたちは神楽殿から立ち去っていった。

奉納演舞が終わっても、つぼみたちはその余韻に酔いしれ、その場に立ちつくしてしまっていた。

そんな彼女たちに声をかける男たちがいた。

どうやら、ナンパのようである。

「君たち、今、暇?」

「よかったら、俺らと回らない?」

「ていうか、君たちかわいいね~?」

いかにも『チャラい』雰囲気をまとっているその青年たちの言葉に、少女たちは呆れたといわんばかりのため息をついた。

そのため息が自分たちがかっこいいから出たため息と勘違いしたらしく、さらに調子づいた。

だが。

「いくらお祭りとはいえ、迷惑だと思わないのかしら?」

『ゆりさん!』

「あれ?さっき踊ってた巫女さん?君もよかったらどう?」

「ご遠慮させてもらうわ。わたし、あなたたちのような無粋な人達は嫌いなの」

ゆりもナンパしようとしたのか、青年の一人はゆりにも声をかけたが、冷たくあしらわれてしまった。

「それと、あまりわたしの友達に迷惑をかけないでくれる?正直、あなたたちの誰かと付き合うくらいなら、幼馴染の趣味に付き合うほうが千倍ましよ」

『はぁっ?!』

ゆりのさらなる反撃に、青年たちは堪忍袋の緒が切れたらしく、額に青筋を浮かべた。

だが、すぐに青年たちは顔を青くすることになった。

「神のおわす社の御前で何をやっておるか、痴れ者どもが!!」

雷鳴のような大声が、ゆりの背後から響いてきた。

そこには、浅葱の袴と白い衣を着た老人と紫と若葉色の狩衣を着た菖がいた。

いつもは穏やかな雰囲気をまとっている菖だったが、今回ばかりは普段と違う衣装をまとっているからなのか、厳かで、触れがたい雰囲気をまとっていた。

その菖が、ナンパ男たちに冷たい視線を向けたまま、口を開いた。

「さっさとここから立ち去れ。ほかの客に迷惑だ。それとも……大衆の前で赤っ恥をかきたいか?」

コキリ、と右手を鳴らし冷たく言い放った。

その言葉に、ナンパ男たちだけではなく、ゆり以外の少女たちまで背筋に冷たいものを感じた。

ナンパ男たちも目の前の老人だけならばまだしも、殺気を放っている菖を相手にして無事でいられる保証がないと本能で感じ取ったのか、すごすごと立ち去っていった。

「……まったく、昨今の若者は情けないのぉ。もうちっと気骨を見せんか」

「じぃじ、ここで喧嘩にでもなったらそれこそお客様に迷惑だって」

男たちが立ち去ると、菖にじぃじと呼ばれた老人はため息をついて呆れたように口を開いた。

その言葉に、菖は苦笑しながら返した。

もうすでに、さきほど放っていた殺気はしまいこまれている。

「ふふ、菖と仁頼さんの大立会い。ちょっと見てみたい気もしましたけど」

「めんどうだからやめてくれ」

いたずらな笑みを浮かべながら、ゆりがそう言うと、菖はげんなりとしながら返した。

すると、つぼみたちが菖とゆりに声をかけてきた。

「あの!菖さん!!ゆりさん!!」

「どうしたんですか?その格好」

「さっきの舞、とってもきれいでした!!」

「お手伝いって、神楽舞の巫女さんだったんですか?」

「ていうか」

「菖さん……」

『狩衣とっても似合います!!』

つぼみたちが次々に感想を口にしていると、菖とゆりはたじたじになった。

その様子に見かねた仁頼は。

(かーつ)っ!」

『――っ??!!』

「少しは落ち着きを持たんか!菖はともかく、ゆりちゃんが困っておろうに」

「……じぃじ、俺のことはいいのかよ……」

仁頼の言葉に、菖は苦笑を浮かべながら、祖父の自分に対する扱いに苦情を漏らしていた。

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それから数十分。

菖とゆりは浴衣に着替え、つぼみたちと合流した。

なお、菖は紺色の生地に白の格子縞の浴衣。ゆりは紫の生地に白百合が描かれた浴衣を着ていた。

なお、菖の帯には菖蒲の花の根付がついた扇子が、ゆりの手には白百合の模様が描かれた団扇があった。

「まさか、仁頼さんがわたしの分の浴衣も用意してくれてたなんて……でも、よかったの?これ、あなたのおばあさまの……」

「いいんじゃないか?ものは使われてこそってじぃじは言ってたし……それに、ゆりだったらばぁばも喜んで渡しただろうし」

なおも困惑しているゆりに、菖はにっこりと微笑みを向けた。

ゆりがいま着ている浴衣は、今は亡き仁頼の妻、つまり、菖の祖母が若い時に着ていたものだ。

仁頼曰く、昔のものを整理していたら出てきたのだが、菖の母は自分のものを持っているからゆりに着てほしい、とのころだった。

「……なら、いいのだけれど」

「それより、そろそろ行かないと、えりかたちがうるさくなると思うぞ?つぼみとか舞はともかくさ」

「……そうね」

菖の言葉にうなずき、ゆりは菖に続いて歩きだした。

その視線は、菖の左手に向けられていた。

幼い頃であれば、何のためらいもなく握っていた左手を。

――ちょっとくらいなら、いいわよね?

心のうちで呟き、ゆりは菖の左手にそっと手を伸ばし、握りしめた。

ゆりが自分の手を握ってきたことに気づいた菖は、少し驚いたように目を見開き、ゆりに視線を向けた。

ゆりは顔を少し赤くして、団扇で口元を隠しながら。

「……他意はないわよ?はぐれたら大変だもの」

「そうだな」

菖は、そう返して、ゆりの手を軽く握り返した。

「なんか、昔に戻ったみたいだな」

「……そうね」

菖のその一言に、ゆりは微笑みを浮かべながら、返した。

だが、その心中では、真正直に受け止めている菖に少しばかり苛立ちを覚えていた。

もっとも、それが菖なのだけれども、と諦めてもいたのだが。

なお、手をつないだままつぼみたちと合流した菖とゆりは、その後、えりかを中心にもう一度、質問という名の尋問を受けることになったのだが、それはまた別の話。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

えりか「で、菖さん、ゆりさん。どういうことなのか説明してほしいっしゅ!」
菖「うちは神社の管理を任されてるんだよ。雇われ神主みたいなもんでさ」
ゆり「で、毎年、この時期になると菖はいつも雅楽師として駆り出されるのよ」
つぼみ「そうだったんですか……」
くるみ「……あら?ということはゆりさんはどう関係してくるのかしら??」
こまち「巫女さんの格好をしていましたけど」
菖「あぁ、ゆりに舞手をお願いしたんだ」
舞「舞手、ですか?」
菖「そ。奉納演舞の舞手」
なぎさ、咲、のぞみ、ラブ「「「「……???」」」」
ほのか「奉納演舞っていうのは、平たく言えば、神様に舞を見てもらうことよ」
舞「そして、ゆりさんがその舞を納める巫女さんになったってことですよね?」
かれん「……あら?けど、なんで急にゆりさんが??」
ゆり「欠番が出たから、わたしが代役になったのよ。ほとんど、菖のお爺様の一存だけれど……」
エレン「へぇ……」
せつな「ところで、それはそれとして……」
ひかり「ゆりさん、いつまで菖さんの手を」
舞「つないでいるつもりですか?」
かれん「もうそろそろ放しても大丈夫だと思うんですが?」
ゆり「あら?そうね。ごめんなさいね、菖」
菖「いや、大丈夫だよ」
つぼみ「うぅ~~~~……」
響「む~~~~~……」
ひかり、舞、かれん「「……」」
ゆり「……あら?なにかしら??」
ひかり、舞、かれん、つぼみ、響「「「「「ゆりさん、あとでOHANASI、しましょう?」」」」」
ゆり「えぇ、構わないわよ?」
菖「……なぜだろう、ゆりたちの背後に穢れが視える……」
えりか「いや、穢れじゃないっしょ……」
りん「主に菖さんのせいですよ……」
美希「ま、本人は気づいてないみたいだけど……」
エレン「これが世にいう、朴念仁……」
せつな「または鈍ちん……」
祈里「菖さん、恐ろしいです」
いつき「恐ろしい……のかなぁ?」(^^;;
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