ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

197 / 347
タイトルでお察しの通り、大暴れ回ですw
とはいえ、戦闘描写はそんなにありませんが(-▽-;


春のカーニバル~Ep.9:イマココカラ/わたしたち、堪忍袋の緒が切れましたっ!!~

「あぁ……」

 

沈んでいくステージから、オールスターズメンバーを助けだそうと駆けだしたはるかたちだったが、間に合わず、ステージを沈めた仕掛けの扉は大きな音を立てて、固く閉ざされてしまった。

 

「へ!馬鹿な奴らだ。守護騎士の一人も、わざわざ自分から飛び込んでいきやがったぜ!」

「兄貴に逆らうから、こういうことになるんっすよ!」

「俺様が世界を手に入れるのを、お前たちは奈落の底から眺めてるんだな!もっとも……」

 

そう言いかけて、オドレンはセイバーとムーンライトの方へと視線を向けた。

いまだ、二人は大量のドロボーンに囲まれながら、戦闘を続行中だった。

 

「お前たちの切り札の騎士様と最後のプリキュアが倒れるのが先かもしれないがな!!はーっははははははっ!!」

 

勝利を確信したオドレンは高笑いをした。

その高笑いに屈するように、はるかたちはその場に膝をついてしまった。

 

「そんな……ハルモニアは、世界はどうなっちゃうの……」

「このまま何もできずに、負けてしまうなんて……そんなの……」

「くっ……」

 

変身アイテムは奪われ、仲間も彼らの手に落ちた。どうあがいても覆すことができない状況に、はるかたちは絶望の底に沈みだした。

だが。

 

「簡単に諦めるな!!」

「弱音を吐くのはやめなさい!!」

「まだだ!!まだ終わりじゃない!!」

「諦めないで!!」

「「「……っ??!!」」」

 

自分たちに向けられた鋭い声に、自然と顔が上がった。

声がした方向には、今もまた奮闘しているセイバーとムーンライトの姿があった。

そして、観客席の側には、いつの間に変身したのか、アステアに抱えられたキュアエコーの姿があった。

どうやら、二人はステージが沈み切る前に脱出できたようだ。

 

「仮にもゆりたちの、俺たちの後輩だっていうなら!最後の瞬間まで、足掻いて見せろ!!」

「あなたたちにも、守りたい大切な何かがあるはず!それを思い出しなさい!!」

 

手にした剣を閃かせ、あるいは拳を、あるいは蹴りを放ちながら、セイバーははるかたちにむかって叫んだ。

ムーンライトもまた、セイバーに背を預けながらドロボーンたちを相手に奮闘していた。

同時に、アステアたちの存在に気付き、襲いかかってきたドロボーンに拳を叩き付け、エコーに害が及ばないように奮闘し始めたアステアが声を上げた。

 

「可能性を信じて、絶望の先にある希望を信じる!それが、お前たちプリキュアだろう!!」

「あなたたちの中にある、奇跡の力を!絶望を乗り越える勇気と、大事な人を守りたいという想いを信じて!!」

 

二人が叫んだ瞬間、セイバーはステージの床に自分の拳を叩き付け、ムーンライトはシルバータクトを取り出し、心の花の力を集め、フォルテウェイブを放った。

その瞬間、出現したドロボーンの半数以上が同時に吹き飛んで行った。

その光景を見たオドレンとウタエンは。

 

「「あ、ありえねぇっ/ないっす!!」」

 

と、目玉が飛び出すのではないか、というくらい目を大きく見開き、叫んでいた。

だが、そんな二人の様子に関係なく、はるかはふらふらと立ち上がった。

その目には、もう絶望は宿っていなかった。

 

「……わたし、歌う!」

「はるか?」

「はるはる?」

 

突然のはるかの言葉に、みなみときららは目を丸くした。

だが、はるかは深呼吸をして気持ちをおちつかせると。

 

「だって、歌とダンスの力を信じてるから!わたしたちの先輩は、どんな困難もあきらめずに立ち向かって、乗り越えてきた!!だからわたし……歌いたい!!」

「……えぇっ!」

「そうだね……こんなところで、諦められないよね!」

 

はるかにつられるように、みなみときららも立ち上がった。

だが、それを阻止しようと、オドレンがコントローラーを操作しようとした。

 

「へっ!歌えれば何が変わるって……」

水の執行者(アクリア・ルズローシヴ)!!」

 

だが、コントローラーは一本の矢に貫かれ、破壊されてしまった。

 

「やっと後輩が立ち上がったんだ。無粋な真似はお断りだぜ?おっさん!!」

「くぅっ!誰がおっさんだ?!……まぁいい、自分たちを送る鎮魂歌(レクイエム)くらい、歌わせてやるぜ!!」

 

矢を放ったセイバーの威圧に負けて、オドレンは小細工を諦めた。

ウタエンも同様、その場に縫い付けられたように動かなかった。

そんな中で、はるかたち三人は歌い始めた。

 

「わたしたちは、普通の女の子……だけど、何かできること、あると思う」

「心には、秘密のドアがある」

「開くなら、今こそ、その時!」

 

それは、プリキュアになった少女ならば、誰もが一度は考えたこと。

いくら変身できるとはいえ、戦う勇気があるとはいえ、彼女たちはまだ十代の女の子。

けれど、彼女たちがプリキュアになれた理由は、たとえ、嵐が吹き荒れたとしてもその風向きを変える勇気を持ち、そしてその力を信じていること。

 

歌に込められたその祈りは、まさに奇跡(ミラクル)を呼んだ。

ステージ上空に眩しく輝く光が現れたかと思うと、その光からはるかたちの変身アイテム、ドレスアップキーが三つ出現し、鍵がかかった宝箱にむかって、光を伸ばした。

その光に照らされた瞬間、宝箱は開き、中にしまわれていた変身アイテムが光を放ちながら、宙に浮かんだ。

その瞬間、はるかたちはプリキュアへと変身した。同時に、ステージもオドレンがデザインした悪趣味なものから、ハルモニアを守護する龍をデザインしたものへと変わった。

 

さらには、奈落の底へ閉じ込めらえたはずのプリキュアたちが次々にステージへと上がってきた。

ムーンライトとエコーも彼女たちと合流し、ついに、プリキュアオールスターズ総勢四十人が一堂に会した。

彼女たちの放つ輝きは、まさに未来へつながる願いそのもの。

それを示すかのように、ステージには色とりどりの光があふれていた。

 

----------------------------

 

「形勢逆転だな……どうする?おとなしく自首するか」

「それとも、俺たちに叩きのめされてからお城の警備兵に突き出されるか」

「「好きな方を選びな!!」」

 

ステージにはいなかったセイバーとアステアは手にした武器をオドレンとウタエンに向け、そう問いかけた。

だが、これでおとなしくするほど、盗賊二人は往生際がいいわけがなく。

 

「ちぃっ!!こうなったら、総力戦だ!!出てこい、ドロボーンども!!」

 

やけっぱちになったのか、オドレンがそう叫ぶと、ステージを埋め尽くすほどの数のドロボーンが姿を現した。

 

「おいおい、まだいるのか……」

「さすがに、これは呆れるな……」

 

すでに百以上のドロボーンを相手に無双していたセイバーとアステアは、まだまだ出現するドロボーンたちに呆れたようなため息をついた。

だが、その瞳に『絶望』の二文字はなかった。

なぜなら、二人には、それ以上の希望と守ると誓った仲間がいるのだから。

 

「さぁて、総仕上げと行こうか!!」

「おぅっ!」

『えぇっ!!』

 

セイバーの掛け声に応えると同時に、プリキュアたちはチームごとに分かれて、自分たちを取り囲んているドロボーンたちに立ち向かっていった。

大乱闘の中、ステージ内のドロボーンたちをMax Heart(MH)組に任せ、5GoGo組は妖精たちの避難を、ハピネスチャージ組とプリンセス組はハルモニア王国の重鎮や王族たちの救出、ほかのチームはステージを破壊するべく、出口を探していた。

 

その中で、ハートキャッチ組と合流したセイバーは彼女たちとともに廊下を走っていた。

すると、正面に上へ向かう階段が見えてきた。その階段の先には、出口と思われる大扉があった。

当然、出口へ向かおうとしたのだが、それをムーンライトが制止した。

その瞬間、階段の段差からミサイルの発射口が出現し、中から、無数のミサイルが発射された。

 

「サンフラワー・イージス!!」

 

一足早く前に躍り出たサンシャインがひまわりの盾を展開し、第一陣を防いだ。

第一陣の爆風の中から、ブロッサムとマリンが飛び出し、ミサイルを回避しながら階段へと向かっていった。

 

「カーニバルを無茶苦茶にして……その上、シプレたちの気持ちも踏みにじるなんて……わたし、堪忍袋の緒が切れました!!」

「海より広いあたしのこk……へばぁっ?!」

 

ミサイルをさばきながらお決まりの決めセリフを口にしたブロッサムに続き、マリンも決めセリフを言おうとしたのだったが、飛んできたミサイルをさばくことができず、吹き飛ばされてしまった。

 

「ま、マリン?!」

「まだ言ってる最中~~~~~~っ!!」

 

ミサイルはマリンを先端に乗せたまま、天井へと向かっていった。

キュアマリン、大ピンチ!とテロップが付きそうになった。だが、すんでのところで駆け付けたメロディに助けられ、事なきを得た。

 

「大丈夫?マリン」

「うん!ありがとう、メロディ!!」

 

救出されたマリンがメロディにお礼を言っていると、後ろからリズムたちも駆けつけてきた。

 

「ほんと、しまらないよな、マリンは……」

「……はぁ……」

 

ちなみに、その様子を見ていたセイバーとムーンライトは、半ば呆れたような表情を浮かべていた。

だが、その表情も大量のドロボーンを前にしてすぐに引き締まった。

 

「このカーニバルは私たちと観客のみんなで奏でる組曲!それを利用して世界を手に入れようなんて……絶対に許さない!!」

「わたしたちプリキュアと、守護騎士たちの気合のレシピ!見せてあげるわ!!」

「わたしたちの心のビートは、もう止められないわ!!」

「海より広いあたしの心も、ここらが我慢の限界よ!!」

 

ちゃっかり、スイート組に混じって決めセリフを口にするマリンに、ミューズは呆れたような表情を浮かべて。

 

「それ、言わなきゃいけないの?」

 

と冷静なつっこみを入れていた。

ミューズのその冷静さに、セイバーとムーンライトは乾いた笑みを浮かべながら、ドロボーンたちを相手に大暴れをしていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。