ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
いや、オリジナル展開考えるのに時間を食いまして……
ちなみに、セイバーが飛ばされたのはマジカルが飛ばされた場所と同じ場所です
突然、黒い靄から出現したデューンと災禍の顕主と戦闘になった菖たちは、迷うことなく、変身して応戦していた。
だが、かつての強敵が二人同時に出現したため、必然的に苦戦を強いられることとなった。
「くっそ!なんでこいつらが……」
「さぁ、なぜかしらね?」
「とにかく、こいつらをどうにかしないと!!」
「みなさん!ここは一気に行きましょう!!」
打開策として、ブロッサムがスーパーシルエットへの変身を提案し、セイバーたちもそれに賛成した。
だが、パワーアップの種とハートキャッチ・ミラージュを取り出した瞬間、空の上から声が響いてきた。
『困りますねぇ、パワーアップなんてされては』
ブロッサムたちが一斉に声がした方へ視線を向けると、シルクハットに燕尾服を着たトラ柄の毛並みをした黒馬が馬車のような車の屋根の上に立っていた。
どうやら、この妖精、と呼んでいいのかは怪しいが、が今回の騒動の原因のようだ。
「困るって言われてもな」
「そうね……こっちもあなたたちのせいで迷惑を被っているのだから」
「お互い様です!」
「確かに、一理はありますが……やはり、我々にとっては迷惑なので、この場で決めさせていただきましょう」
静かにそう宣言した黒馬はシルクハットに前足をかけ、器用に投げつけてきた。
投げつけられたシルクハットがブロッサムたちの頭上に到達した瞬間、シルクハットが突然巨大化した。
あまりに一瞬の出来事に、目を丸くしていると、シルクハットは真っ直ぐにブロッサムたちのもとへ落ちていき、閉じ込めてしまった。
-
「……ここは?」
セイバーが目を開けると、そこは見知らぬ荒野だった。
黒馬もどきの妖精らしきものが投げつけたシルクハットに閉じ込められたところまでは、どうにか覚えている。
そこから先の記憶がなかったが、どうやらこの空間に連れてこられたらしいということだけは察することが出来た。
そして同時に。
「………?!ムーンライト!ブロッサム!マリン!サンシャイン!!」
近くにいたはずの仲間たちがいなくなっていた。
どうやら、引き離されてしまったようだ。
「戦力を分散したか……あやつめ、馬のくせにやりおる」
などとふざけたことを呟きながらも、セイバーはこれからどうするかを考えていた。
とにかく、この場から動かないことには始まらない。
何より、先ほど出てきたデューンと災禍の顕主を放っておくわけにもいかない。
――まずはあの二人を探すことから、か
本来なら、そこは仲間を探すことが優先なのだろうが、あの四人なら大抵のことは大丈夫だろうという信頼から、先に片付けるべきものを片付けることを優先したのだ。
もっとも、その選択が、ブロッサムたちをピンチに陥らせるのだが、そんなことはまったく予想することもできないし、そもそも分散させられてしまった時点でどうしようもないことであった。
しばらくあてもなく歩いていると、背中に突然、ざわり、と不愉快な感覚がした。
その感覚に、セイバーは思わず身構え、周囲を見回した。
心の大樹の力を借りて、世界各国にある遺跡をテレポートで訪れたとき、たまたま、盗賊団が根城にしている遺跡の周囲に転移してしまったことがある。
今、セイバーが感じ取っている感覚は、その時のものとまるっきり同じだった。
――来るっ!
エターニアハートを引き抜いた瞬間、甲高い音とともに衝撃がセイバーの腕に伝わってきた。
セイバーの視線の先には、先ほど対峙していた災禍の顕主が黒い炎をちらつかせながら、エターニアハートの刀身に拳を打ち付けていた。
災禍の顕主は言葉を発することなく、雄たけびを上げ、拳を振り下ろしてきた。
「くっそ!なんでお前がここに?!ブロッサムたちをどこにやった?!」
振り下ろされる拳を回避しながら、セイバーは災禍の顕主に問いかけた。
だが、理性がまったくないらしく、問いかけに答えることはせず、めったやたらに攻撃を仕掛けてきていた。
話し合いにならないことを悟ると、セイバーは距離を取り、エターニアハートを弓に変化させ、心の花の力を矢に変えて災禍の顕主に放った。
だが、矢はいとも簡単に握りつぶされてしまった。
「おぉぉぉぉぉっ!!」
「完全に理性を失ってるのか?!……くっそ!"
エターニアハートの姿を変化させる言葉を叫んだ瞬間、エターニアハートは六本の短剣へと変化し、セイバーの背後に浮かび上がった。
それを気にすることなく、セイバーは地面を蹴り、空中へ跳びあがった。
本来なら、万有引力の法則でそのまま地面に向かって落ちていくところだが、落ちる様子はなく、セイバーは宙に浮かんでいた。
セイバーという敵を見失った災禍の顕主は、セイバーの姿を探し、周囲を見回し始めた。
だが、その姿を見つけることはできなかった。
いったいどこへ、そう思いながら血眼で探していると。
「獅吼、戦花っ!!」
頭上から、セイバーの声が響くと同時に、ライオンの咆哮のような音が響いた。
釣られるように頭上を見ると、そこには急降下しながら牙をむくライオンの顔を模った光を右手にまとっているセイバーの姿があった。
だが、気づいた時にはもうすでに遅かった。
回避する暇を与えることなく、セイバーの心の花の光は、そのこぶしとともに災禍の顕主の眉間に突き刺さった。
セイバーが着地した瞬間、災禍の顕主は青白い炎に包まれた。
浄化の力は、やはり災禍の顕主にとって苦痛以外の何物でもないのだろう。
苦しそうに呻きながら、セイバーの方へ腕を伸ばしてきた。
だが、セイバーはその手に捕まるよりも早く、その場から飛び退いた。
とっさではあったが、その判断は正しかった。
数秒とすることなく、突然、災禍の顕主は爆発し、爆風と煙が周囲を包んだ。
煙が晴れると、すでに災禍の顕主の姿はなく、彼が立っていた場所には巨大なクレーターができていた。