ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
『プリキュアオールスターズ みんなで歌う奇跡の魔法』きっての名(迷?)シーンの登場でございます
今回は珍しく、純度百パーセント、ほぼ原作のまま描写させていただいております(いくつか、セリフは省略しましたが)
なお、『あれ』の下りですが、アメリカでは害獣指定されているという話を聞いたので、そのまま採用してます
ハートたちと別れ、マジカルとセイバーはこの不毛な大地をひたすら駆け回っていた。
その途中、岩山が多い場所に来ていた。
「しっかし、不毛な場所だな……この空間を作った魔女ってのは、そうとう心が荒んでるらしい」
「え?なんでそんなことが」
「あくまで『らしい』ってだけで、本当にそうかはわからんぞ?俺だって、知り合いから聞いただけだしな」
自分たちがいるこの空間を、一つの結界と考えれば、今目の前に広がっている光景は、その術を施した人間の心象が反映されている。
セイバーが、いや、菖がその手の話題に詳しすぎる知り合いから聞いた話だ。
目の前に広がっている岩山と枯れはてた木々がソルシエールと名乗った少女の心象を反映しているというのなら。
この光景は彼女の心がそれだけ荒んでいるということの表れではないか、と推測するには十便過ぎた。
不意に前方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
目を凝らしてみると、そこにはフローラたちプリンセスプリキュアがいた。
「フローラ!マーメイド、トゥインクル、スカーレットも!お前たちは無事だったんだな?」
「って、セイバー?!」
意図せず合流した先輩に、フローラたちが驚くのもつかの間。
初めて出会ったときに近くにいたマジカルのパートナー、ミラクルがいないことに気づいたフローラが問いかけると、マジカルははぐれてしまったことを素直に伝えた。
探しに行こう、と提案するフローラとそれに同意するマジカルに対して、冷たく宣告する声が天空から響いてきた。
『無駄だ』
その声と同時に、ダークピエーロとアクダイカーンが上空から降り立ち、六人の前に立ちふさがった。
再び現れた敵に驚愕し、身構えるマジカルたちをよそに、ソルシエールは冷たく宣告してきた。
『さきほど、お前たちを逃がしたプリキュアはすでに私が捕らえた』
「なっ?!」
「みんなが……」
それは、先ほど出会ったドキドキ!プリキュアの五人のことだけではない。
いまは離れ離れになっているミラクルが出会った先輩プリキュア、ハピネスチャージプリキュアの四人に事もさしていた。
もうほとんどのプリキュアがソルシエールに囚われてしまったことを悟り、残されたプリキュアたちと、セイバーは一刻も早く救出しなければ、と心を駆られた。
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同時刻、ソルシエールによって捕らえられたプリキュアたちが押し込まれた牢獄では。
「で、で」
「でら、でら」
「出られない~!」
『
なぜかブラックとブルーム、ドリームのリズミカルなボケに、ムーンライトとマリンを除くほとんどのプリキュアが乗っかっていた。
「あほかぁーーーーーーーーーーっ!!」
そのあまりのぼけっぷりに、普段は図らずもボケ担当となってしまっているマリンが盛大なツッコミをいれていた。
「何が、オ・リ!よ!!プリキュア、大ピンチっしょ??!!そろいもそろってみんなとっ捕まってぇ!!」
「お、落ち着いて、マリン……」
どうにかなだめようと、ホワイトがマリンに語りかけるが、マリンの怒りは収まる気配はなかった。
一方で、同じく牢獄にとらわれたフォーチュンは、同じ相手からプロポーズされたルミナスとムーンライト、イーグレットと合流できたことに、少しばかり安堵すると同時に、無念な想いを抱いていた。
「まさか、ほかの皆さんもつかまっていたなんて……」
その心のうちは、エースが代弁してくれていた。
ややプライドが高い意向にあるソードとプリンセスも同じく、しょぼんとした顔でうなだれていた。
そんな彼女たちの心情は知ったことではない、とばかりに牢屋の入口にある馬の装飾からトラウーマの声が聞こえてきた。
『みなさ~ん、尋問の時間です』
「無駄だよ!あたしたちは絶対泣いたりしない!!」
『威勢がいいですねぇ、ブラックさん?私は今、取込み中ですので私の人形がお相手します!』
そう宣言すると、天井からトラウーマに似た操り人形が下りてきた。
そこからはプリキュアとトラウーマの根競べとなった。
感動的な人形劇に玉ねぎのみじん切り。ありとあらゆる手段でプリキュアに涙を流させようとした。
それでも涙を流さないプリキュアに、トラウーマは最終兵器を持ち出してきた。
『次はとっておきです』
「とっておき?」
一体、何が飛び出してくるのか。
怖いもの見たさの好奇心で、プリキュアたちが目の前に出てきた風呂敷を凝視していた。
トラウーマの人形は風呂敷を取り払った。
そこには、金格子の中にはいった一匹の動物がいた。
とある国のとある地方では、その習性ゆえに害獣として指定され、危険度もかなり高く設定されている動物が。
その動物の名は。
『僕、スカンク!』
『~~~~~~~~~っ???!!!』
プリキュアたちは声にならない悲鳴を上げた。
それもそのはず。
スカンクは危険を感じるとお尻から分泌される液体を危険を与えてきた相手に吹き付ける習性がある。
その液体は、周囲に強烈なにおいをまき散らすだけではない。
引火性の強いガスも同時に放つため、下手をすれば大爆発を起こす結果になりかねない。
まさに、ギャグマンガでよくみられる『へっぴりで大爆発』を現実のものにしてしまうのだ。
『さぁ、この匂いに耐えられますかねぇ?ひっひっひ!!』
『ひえぇぇぇっ??!!!』
「ちょ、ま、ま……やめ……」
やめてくれ、というブラックの懇願むなしく、スカンクくんはへっぴりを一発。
そのなんとも言えない匂いに、プリキュアたちは乙女に似つかわしくない悲鳴を上げていた。
だが、鼻をつまみ、口をふさぎ、どうにか匂いをやり過ごしていた。
「みんな!決して涙をながしちゃだめよ!!」
「でないと、プリキュアの涙が何か恐ろしいことに使われてしまう!!」
ブラックとホワイトの予測は正しかった。
実際、トラウーマは
その計画には、プリキュアの涙がどうしても不可欠であることは、ここまで自分たちを執拗に尋問していることから理解できていた。
だからこそ。
「助けがくるまで……頑張るっしゅ!!」
まだ残っているプリキュアたちがきっと助けに来てくれる。
囚われた大半のメンバーがそう信じていた。
なお、一部のメンバーは、どんなことがあってもきっと駆けつける、と約束してくれた