ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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というわけで、この物語の肝の部分
いや、正直、『奇跡の魔法』を根底からひっくり返すようなこと言ってますが、そこは気にしないでつかぁさい……(--;
いい作品だってことは知ってるし、私もそう思うんですが、いかんせん、一次創作でそういうのテーマに書いてますからどうしても思ってしまいまして……(白目

まぁ、そこはそれとして
次回はいよいよクライマックス!
途中退場してからでてきてないけど、セイバーは果たしてどのような活躍をしてくれるのか?!
こうご期待!


みんなで歌う、奇跡の魔法~9、ソルシエールの悲しみと秘薬の正体~

「お前たち、想いは伝わるといったな?……だが、わたしの想いは通じなかった!!」

 

そう叫んだ瞬間、周囲の光景が変化した。

先ほどまでの書斎とは一変し、木々に囲まれた森の風景と、幼い女の子が優しそうな老婆に駆け寄り、膝枕をされながら眠っている光景。

どうやら、幻影魔法を使って、ソルシエールが自分の過去を映し出したようだ。

 

「……なるほど、あれは幼いころのお前か」

「そうだ……孤児だったわたしは、ある魔法使いに拾われて、弟子となった」

 

ソルシエールは拾ってくれた師匠(せんせい)が後継者を探していることを知り、彼女に認めてもらいたくて必死に魔法を学び、力を伸ばした。

だが、結局、師匠が行使できるという究極の魔法を教えてもらうことはできず、挙句、子守歌で寝かしつけようとする始末だった。

結局、師匠は究極の魔法についてのいっさいを墓まで持って行ってしまった。

 

だからこそ、トラウーマから聞きだした死者蘇生の魔法薬を作り、よみがえった師匠から再び究極の魔法について教えてもらおうとした。

そのために、光の戦士であるプリキュアの涙がどうしても必要だったのだ。

その独白を聞いて、ミラクルとマジカルは何も言えなかったが、二人の魔法使いが怒り半分呆れ半分で答えてきた。

 

「「ばっかじゃねぇの?」」

「ちょっ??!!」

「ゆ、友護さん!いくらなんでも……」

 

非難しようとするミラクルとマジカルの声など気にする様子もなく、神秘の側に立つ二人の男は持論をぶつけてきた。

 

「一時的とはいえ死者蘇生を行うことができると思ってんのか?そんなん、魔術師だろうが魔法使いだろうがやっちゃならねぇ禁忌中の禁忌だろうが!!」

「第一、よみがえったとして教えてくれる保証があるか?だったら、いままで自分が教わってきたものをもう一度全部、これ以上ないほど絞りに絞って思い出して、とことん煮詰めて精錬して洗練して、あんたの師匠とは違う、『自分の究極の魔法』を身につけて見せつけてやるほうがずっと有意義だろうが!!」

「「探求のために周囲を巻き込むのは大いに結構!だが、禁忌に触れることと自分の研鑽不足を棚に上げるのは同じ魔術師として許さねぇ!!」」

 

片や、周囲に気味悪がられながらも自分のいる安住の地を守るため。片や、一族代々受け継いできたものを守るため。

それぞれ目的は違うがその手段のために魔法を身に着けた二人の青年は、ソルシエールの想いを正面から否定した。

それは、年頃の少女からすれば、反論され、非難されるものだろう。

だが、ソルシエールとマジカルは幼いころから魔法使いとしてのルールを教えられてきた。

当然、その中には禁忌中の禁忌である死者蘇生のこともあった。

 

むろん、逸話の中にはいくつも死者蘇生を成功させたという話が存在している。

だが、成功した例を持つ魔法使いたちは、いずれも強大な力や膨大な知識、あるいは特殊な出自を持っていたことと、様々な要因が重なったためであり、普通の魔法使いが死者蘇生の術を行使したとしても、たとえ一時的であっても成功することはないし、成功したとしても多大な犠牲を払う必要があるため、よほど自分の理論に自信がなければ行う魔法使いはいない。

 

「だったら、なぜ師匠は何も残してくれなかった?!師匠の研究記録にも、日記にも!究極の魔法について何一つ……」

「魔法使いが自分の研究成果を弟子とはいえ他人にあっさり引き渡すか。魔法使いにしても陰陽師にしても、術者ってのは基本的に偏屈なもんなんだよ」

「……あ、あの……ソルシエール……あなたは、先生を恨んでいるの?」

 

辛辣な友護の言葉を遮るように、ミラクルはソルシエールに問いかけた。

その問いかけに、ソルシエールは感情を爆発させながら、当たり前だ、と返した。

恨んでいなければ、自分に最後の魔法を教えなかった理由がない。結局、彼女は最後まで自分を認めるつもりがなかった、と。

だが、ミラクルもマジカルもそれに反論した。

その根拠は、ソルシエールの師匠が歌っていたという、子守歌にあった。

 

子守歌は本来、子供を寝かしつけるためのものだ。

夜の闇におびえることなく、安心して眠りにつかせるための歌。

それはある種の魔法にも似たものだが、その魔法には子供に対する『愛情』がこめられている。

だからこそ、子守歌を歌ってくれた、ということは師匠はソルシエールのことを愛していたことにほかならない。

それが、ミラクルとマジカルが出した、ソルシエールへの答えだった。

 

だが、それでもソルシエールは認めようとしなかった。

 

「小さい時の話だ。それに……やはりおかしいではないか!愛してくれていたのなら、なぜ究極の魔法を教えてくれなかった?」

「それは……」

「わからない、けど……」

「なぜだ!なぜなんだ?!」

 

究極の魔法を教えてくれなかったことに、疑念を抱き、頭を抱える彼女に、ミラクルとマジカルは何も答えられなかった。

もしかしたら、と友護ともう一人の魔術師の方へ視線を向けたが、二人とも何かを考え込んでいる様子で、ソルシエールの言葉が全く耳に入っていないようだった。

 

ソルシエールの脳裏には、トラウーマと始めて出会った時の、師匠の墓前での初めての対話が浮かび上がっていた。

自分の才能に嫉妬し、追い抜かれることが嫌だったから教えなかった。そうでなければ、自分を愛していなかったから、教えなかった。

その記憶の言葉が聞こえてきた瞬間、ミラクルは必死になって否定した。

 

「思い出して!あなたを、あんなに素敵な笑顔にしていた師匠だよ?!」

「だが、もう師匠の顔も、声もよく思い出せない……」

 

ソルシエールがそう返した瞬間、モフルンが突然、こけてしまい、背負っていた壺の中から光の魔法の杖が一つ、落ちた。

何をやっているのか、とアロマが呆れる一方で、床に落ちた衝撃のためか、魔法の杖から放たれた光にトラウーマが怯えた。

同時に、ソルシエールたちの耳に優し気な老婆の歌声と、彼女に究極の魔法のことを聞いているかつてのソルシエールの姿が浮かんできた。

 

『茨の陰に迷っても、繋ぐこの手が、道しるべ……♪』

 

そっと、ソルシエールの手を自分の手で包みながら、優し気に微笑む老婆の顔。

その顔を思い出したソルシエールは、泣きながらその場に膝をついた。

同時に、ミラクルとマジカル、そして友護ともう一人の魔法使いでさえも確信した。

老婆は、ソルシエールの師匠は、彼女を愛していたということを。

そうなれば、可能性を絞ることができたのか、友護が推論を口にした。

 

「考えられるとすればいくつか思い当たるものはあるな……」

「友護さん、それって?」

「愛していたからこそ、受け継がせたくなかった。ということが一つ」

 

友護の言葉に、ミラクルとマジカルは目を見開いた。

だが、魔法が偏在し、当たり前となっている魔法界ならばともかく、ナシマホウ界では往々にしてよくあることだ。

その魔法を伝授した時。魔法を弟子に伝承した時。その瞬間、それまでの術者の命の灯が消えるという魔法というものは。

 

愛しているからこそ、自分が究極の魔法を教えてほしいと何度も頼んだせいで師匠を死に追いやったと思ってほしくないから、伝えなかったのではないか。

友護は可能性の一つとして、それを口にした。

だが、それが全ての答えであるかのように、ソルシエールはうずくまり、涙を流した。

 

「わたしは……ただ師匠に褒めてほしくて……だから、すごく頑張って……」

 

ソルシエールのその言葉を、ミラクルとマジカルは黙って聞いていた。

だが、ミラクルのほうが耐えられなかったのか、その瞳はうるうるとしていて、今にも泣き出しそうだった。

 

「なんであなたがウルウルしているのよ?!」

「だって……」

 

マジカルの方を向きながらそう返したミラクルの瞳から、一滴の涙が落ちた。

その涙は、いつの間にか足元に控えていたトラウーマの人形が手にしていた作りかけの魔法薬を入れている瓶の中へと落ちた。

 

「「……あ……」」

「ぶるっふ……ぶるっふふふふ!」

 

人形は素早くトラウーマのもとへと移動してくると、トラウーマは口を縛られたまま、笑い出した。

いつの間にか現れていたもう一体の人形がトラウーマを縛っていた光の環を外していき、トラウーマの体を自由にした。

 

「いただきましたよ!プリキュアの涙!!これで秘薬は完成だ!!」

 

うかつにも、ミラクルの涙が、トラウーマが求めてい秘薬の最後の材料となってしまったようだ。

自由になったトラウーマは人形から秘薬を受け取ると、ソルシエールの方へ視線を向けて謝罪らしからぬ謝罪をしてきた。

 

「ソルシエール様、実はこの秘薬はあなたの師匠を蘇られせるものではない!あなたの師匠に封じられた、俺の本当の力を取り戻すためのものだ!!」

「……ちっ!(きょう)さん!!」

「これは無理だ!!魔法陣の外へ!!」

 

なにかまずいことをやらかすつもりだと察した友護は、鏡さんと呼んだ青年に術の援護を求めた。

だが、彼は援護できないことを告げ、魔法陣の外へ出ることを提案してきた。

実際に、そうする以外にもう手の打ちようがないため、友護と鏡さんは持ってきていた杖の先端で床を叩いた。

その瞬間、杖を中心に魔法陣が広がり、二人と近くにいたミラクルとマジカル、そして妖精たちも巻き込み、光の渦を発した。

渦は、トラウーマが本来の姿に戻り城が崩壊するその一歩手前で収まり、その場には何も残っていなかった。

 

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城の外にあるビルの屋上に、友護たちが作り上げた魔法陣が出現すると、その中から、友護と鏡さん、ミラクルとマジカル、そして妖精たちが出現した。

街は、分厚い不気味な雲に覆われており、上空には友護と鏡さんが作ったものと違う魔法陣が展開されていた。

その中央から、まるで闇を切り取ったかのような、吸い込まれそうな黒い空間が現れると、そこから、城と合体したトラウーマが出てきた。

 

その瞬間、トラウーマは城の城壁の一部を開き、砲門を展開した。

その先にある行動を瞬時に理解した友護と鏡さんは杖を掲げた。

 

「防壁展開!!」

「この身はわが身にあらず、神の御影をかざすものなり!!」

 

そう叫んだ瞬間、二つの砲門の前に白い光で描かれた五芒星と、中央に巨大な梵字が記された魔法陣が展開された。

その魔法陣に阻まれた砲門からは放出されることはなかったが、残る砲門からは、幾筋の闇が砲弾となって街に向かっていった。

着弾した闇は、徐々に周囲に広がっていき、飲み込んでいった建物はすべて消え始めていた。

 

「ちっ!!まさかと思ったが、別の可能性のほうか?!」

「究極の魔法が、あいつを封じるためのものってことか?!仮にそれが当たってるとして、そうだとすりゃ厄介だぞ!!」

 

究極の魔法の正体についてまだ考えていたのか、友護がそう叫ぶと、鏡さんがそう叫んだ。

厄介だと判断した理由はただ一つ。

唯一の弟子であるソルシエールが、究極の魔法をしっかり伝授されていないということにある。

闇の侵攻を防ぎつつ、トラウーマを再封印するための魔法を今から編み出すのは、時間がいくらあっても足りない。

だが、それでもトラウーマに立ち向かおうとする二人がいた。

 

「とにかく!あいつを止めないと!!」

「友護さん!と、鏡さんでいいんですか?」

「正しくは鏡介(きょうすけ)だ!」

「なら、鏡介さん、力を貸してください!!」

 

その二人とは、当然ながら我らがプリキュアの二人である。

普段ならば、力を貸すいわれはないといって断る友護だったが、今回ばかりは世界が闇に飲み込まれるという脅威に脅かされている。

その場に遭って、この期に及んで力を貸さないことはしない。

 

「いいだろう!援護はしてやる!!」

「というか、俺らに浄化の力はないからな!援護しかしてやれん!だが期待しろ!!」

 

その力強い言葉に背中を押され、ミラクルとマジカルは同時に屋上を蹴って、トラウーマへとむかっていった。

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