ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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タイトルがどこか「孤○のグルメ」風ですが(苦笑
正直、やりたくなったので書きましたw
少しばかり反省はしていますが、後悔は微塵もしていません!
こういう、日常編もちょいちょい出していければと思います。
では、どうぞ。


プリキュアたちとの日常編
横浜中華街のマーボーカレーまん


その日、菖は一人、みなとみらいに来ていた。

彼は横浜近辺にある遺跡の探索に来ていたのだが、以前にも何度か見たことのある形式の遺跡だったため、興味を失ってしまい、ふらふらとここまで来てしまったのだ。

――目的もなしに来ちゃったけど、どうしようかな……

遠い目をしながら、これからのことを考えていると、くぅ~、という音が聞こえてきた。

その音が、菖の腹の虫が鳴いた声だということはすぐにわかった。

――そういえば、昼飯、まだだったなぁ。あぁ、思い出したら……腹が、減った

食いしん坊な某美術商の男性ではないが、菖は空腹を自覚するやいなや、素早く行動に移った。

何か腹に入れないと気がすまない。

空腹への我慢はすでに限界突破(オーバーリミット)を迎えそうな状態だ。

――とにかく、飯だ!飯を探そう!!

と、意気込んで歩いてはいるものの、自分の腹はいま、何を求めているのか、それがまったくわからない状態だった。

――横浜といえば、中華街か……中華……う~ん、いまはそんな気分じゃないしなぁ

気分ではない、という単純ではあるが重要な理由から、中華はパスしようか、と考えたとき、ふと、中華まんが頭の中に浮かび上がってきた。

本来、中華まんは「点心」と呼ばれる、お菓子の部類に入るものだが、数さえあれば、腹も見たされるだろう。

それに、中華まんならば、慣れ親しんでいるということもあり、なんとなく、中華料理という気分ではないという今の状態でもちょうどいいかもしれない。

そこまで考えがまとまったら、菖の行動は早かった。

すたすたと、菖は早足で中華街へ向かい、店頭販売されていた中華まんを数個買い、海が見える公園へと足を運んだ。

適当なベンチに腰かけ、菖は買った中華まんを頬張り始めた。

「はふっはふっ……うん、うまい……」

できたてほかほかの肉まんを頬張り、中の餡の熱さに苦戦しながら、菖は十分をかからず、一個目を食べ終えた。

だが、感想は。

――結局、どこまで行っても、"肉まん"なんだよなぁ……なんか、こう、もっとインパクトがほしい気も……

普段慣れ親しんでいる味であることに、菖はどことなく不満そうではあったが、それでもうまいことに変わりはないらしい。

さて、二つ目を、と袋に手を伸ばした時、後ろから菖を呼ぶ声が聞こえてきた。

「あの……菖さん、ですよね??」

取りだした中華まんを口にくわえたまま振り返ると、そこには亜麻色の髪をしたツインテールの少女がいた。

背丈や顔立ちは、つぼみやえりかと同い年といった印象だ。

そして、ジーンズ生地のシャツの胸ポケットには、リボンの形をしたデコルが飾られていた。

その子を見た菖は、くわえていた中華まんを外し、人懐っこい微笑みを浮かべた。

「や、久しぶり。元気だった?あゆみ」

「はい!お久しぶりです、菖さん!!」

にっこりと愛らしい笑顔を浮かべて、あゆみはそう返した。

ふと、あゆみの肩に下げられているカバンがもぞもぞと動いていることに気づいた菖は、座っているベンチの空いている場所を、ポンポン、と叩いて座るように示した。

あゆみはその意図を察し、ぱたぱたと歩み寄って菖の隣に腰かけた。

そして、周囲に人がいないことを確認すると。

「……エンエン、グレル。出てきて大丈夫だよ」

優しく声をかけると、熊のようなぬいぐるみと狐のようなぬいぐるみが同時に顔を出した。

「は~、息苦しかったぜ……」

「次はもうちょっと、大きいカバンにしてほしいな……あ、菖だ!」

「久しぶりだな、二人とも」

息苦しかったことに文句を言っていたグレルとエンエンだったが、菖の姿を見つけると、ぐったりとした表情から一転して笑顔になった。

「あれ?なんでここに??」

「そういえば、そうだよね??」

「……あの、菖さん。どうしてここに?もしかして、何かのイベントで呼ばれたとか……」

みなとみらいには、多くのイベント会場が存在していて、イベントも一年に何度か行われている。

そのイベントの中には、知っている人と似たような声をしている人達によるイベントも存在している。

なお、あゆみはそのイベントに参加したことはないが、二十年前にデビューを果たした二人組のフォークソングアーティストのイベントには参加したことがあるらしい。

もっとも、菖はそんなイベントには興味はなく。

「残念。用事があったのはイベント会場じゃなくて、遺跡のほう」

「あ、あははは……相変わらずですね……」

すっぱりきっぱりと答えた菖に、あゆみは苦笑を浮かべた。

すると、くぅ、と可愛らしい音が三つほど聞こえてきた。

菖は、ちらり、とあゆみたちの方を見ると、あゆみは顔を真っ赤にしてうつむき、グレルとエンエンは気恥ずかしそうに苦笑を浮かべていた。

「……食べる?」

「「「ありがとうございます!」」」

「……仲いいな、ほんと」

三人同時に声をそろえてお礼をいう姿に、菖は苦笑を浮かべながら、中華まんを一つ取りだした。

ふと、その中華まんを買った店で売り子をしていた赤い髪の少女から、これはお勧めだからぜひ買っていけ、といわれ、半ば押しつけられるようにして買ったカレーまんがあった思い出し、それを入れた袋を取りだした。

「はい」

「あ、ありがとうございます……これって、カレーまん?」

「おすすめされて買ったんだ。マーボーカレーまんだって」

麻婆豆腐とカレーを足して二で割ったようなネーミングの料理に、あゆみたちは思わず顔を引きつらせた。

「ま、マーボーカレー、ですか……」

「どんなカレーだよ……」

「なんか、いかにも辛そう……」

名前だけでも、十分、辛そうであることは理解できる。

だが、菖はそんな三人に、あっけらかんとした顔で返した。

「いや、けっこううまかったよ?まぁ、辛かったのは否定しないけど……カレーだけに、ね」

「……カレーだけに」

(かれ)ぇって?」

「……菖、言ってて寒くならないの?」

「そうかなぁ?ゆりとかじぃじはけっこう笑うけど?」

あゆみたちの反応に、菖は顎に指を添えながら返した。

なお、ゆりはプリキュアメンバーのなかでも、笑いの沸点が低いと言われているが、菖から言わせれば、ギャグのレベルが高すぎてつぼみたちがついていけていないだけなのだが。

もっとも、それを言ったら、特にえりかがうるさいので、菖は特に何も言わないのだが。

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そのあと、結局、空腹に負けてマーボーカレーまんをもきゅもきゅし始めたあゆみとグレルとエンエンだったが、辛さの奥にあるうまみに、夢中になっていた。

「もきゅもきゅ」

「もきゅもきゅ」

「もきゅもきゅ」

「「「もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……」」」

「……すごい集中力……」

三人が夢中で食べている姿を見て、菖は苦笑を浮かべたが、自分も手にしているマーボーカレーまんをもきゅもきゅし始めた。

実のところ、菖が立ち寄る店には、なぜかほぼ必ずマーボーカレーにまつわる料理が存在している。

咲の両親が経営している「PANPAKAパン」は知らないが、希望ヶ花市の隣町にあったパン屋では、小学生くらいの身長で、なぜか片手にフランスパンを持っている女の子が売り子をしながら、マーボーカレーパンを売っていた。

他にも、近所のカレー屋では、特徴的な前髪をしたブロンドの美女が夢中になって何杯もマーボーカレーをおかわりしている様子を見たことがある。

なお、彼女の声がなぜかトワに似ているような気がしたのだが、菖は気のせいだな、ということで片付けていた。

――それを考えると、俺ってけっこうマーボーカレーに縁がある……のか??

結ばれていることに喜んでいいのかどうか迷う縁ではあるが。

そんなことを思いながら、菖はマーボーカレーまんを口にした。

――あつっ!けどうまい!!辛さはカレーと麻婆豆腐の組み合わせで倍増しなのに、なんだ、このうまさは!!

どこかのグルメリポーターのようなナレーションをしながら、菖は二口、三口、とマーボーカレーまんをほおばっていった。

燃えるようなカレーの辛さと、しびれるような麻婆豆腐の辛さが菖の口の中を支配し、麻薬のように夢中にさせた。

口の中は、もはや中国とインドが競争しているような状態だ。

――こんな競争だったら、俺はどっちも応援するなぁ……

とわけのわからないことを思いながら、菖は最後の一口を放りこみ、買ってきていた烏龍茶を口にした。

『はぁ~~~~~……ごちそうさまでした』

四つの声が同時に響くと、四人は目を丸くした。

どうやら、まったく同時に同じ行動をとっていたようだ。

あゆみの手にも菖が買ってきた烏龍茶が握られているところまで同じなのだから、おかしくならないのも無理はなかった。

誰からとなく笑い始め、その日のプチ昼食会はお開きとなった。




あとがき代わりの後日談(スキット風)

ももか・えりか「「で、お土産は?」」
菖「遺跡に行っただけでそういうこと言うの、お前らだけだと思うぞ……」
つぼみ・いつき「「あ、あのぉ、実は……」」
菖「……まさか?」
ゆり「えぇ。あゆみから、電話があったの。わたしは微塵も期待していないけれど、何か償いのようなことはしてほしいわね?」
えりか「そーだそーだー!二人だけで本格中華まん食べちゃってー」
ももか「うらやましいぞー」
つぼみ「ふ、二人だけ?!」
ゆり「……菖、あとでじっくりO・HA・NA・SI、しましょうか?」
菖「いや、他に二人いたんだけどなぁ……はぁ……わかったよ、今度、中華街行ったら買ってくるから」
えりか「やった!菖さんのおごりっしゅ!!満漢全席食べるぞーーーっ!!」
ももか「……えりか、さすがに調子乗りすぎ」(ペシッ
えりか「いたっ!」
つぼみ「親しき仲にも礼儀あり、です」(ペシッ
えりか「あふっ!」
いつき「えりかは少し、遠慮することを覚えようね?」
えりか「……叩かれはしないけど、ものすごく怖いっしゅ……」
ゆり「それに、菖は"買ってくる"といっただけで、"おごる"とは一言も言ってないわよ?」(デコピン
えりか「いったぁっ!……うあ~ん、コフレ~みんながいじめるっしゅ~」
コフレ「……えりかの自業自得ですっ!僕はフォローできないですっ!!」
えりか「しょ、しょんにゃ~……」
菖(ここまで四面楚歌だと、逆に哀れだな……まぁ、まだ助けなくて大丈夫かな)
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