ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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響とのストーリーにするつもりだったんだけど、なぜかスイート組とのエピソードになってしまった……
……あれれ~?おかしいぞ~??(某少年探偵風



町に響くは雅なる笛の音

その日、菖は加音町に来ていた。

だが、用事は遺跡探検ではない。

加音町には、ある楽器を探しに来たのだ。

「……さて、来たのはいいけど……あるかなぁ、篠笛」

実は、菖が普段使っている篠笛が、えりかの不注意で壊れてしまい、希望ヶ花市では修復不可能となってしまったのだ。

小学生のころから使っていたため、かなりの思い入れがある一品だったのだが、えりかはそうとは知らず、いたずらをして壊してしまったのだ。

その時の菖の落ち込み具合は、付き合いの長いゆりでも、ここ数年どころか、もしかしたら今まで見たことがないかもしれない、と言わしめるほどのものであった。

そのあまりの落ち込み具合に、ゆりだけでなく、つぼみといつき、そして事情を聞いたももかも加わり、えりかへの大説教会が開かれたのだが、それは割愛。

その後、菖は壊れた篠笛の代わりとなる笛を探すため、音楽の町としても知られている加音町に来たのだ。

――ひとまず、ものがどこにあるか、だよなぁ……今の時間なら、訪ねていっても問題はないだろうから、奏に聞いてみるか

加音町には不案内であるため、どこに笛を扱っている楽器屋があるかなど知らない菖は、唯一知っている場所である奏の実家、「Lucky Spoon」へと向かっていった。

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その頃、「Lucky Spoon」では。

「こらーっ!響に奏太ーーっ!!」

「「逃っげろ~!!」」

「はぁ……相変わらずね、二人とも」

「馬鹿っぽい」

響と奏の弟、奏太が、奏の作ったケーキこっそりつまみ食いしている現場を奏におさえられたことで、追いかけっこが始まり、その様子をカップケーキを食べながら、エレンとアコが呆れ顔で眺めていた。

ふと、アコの視界に身慣れた色のシャツを着た青年の姿が目に入ってきた。

「あれ?菖兄さん?」

「え?……あ、ほんとだ。お~い、菖さ~ん!!」

アコがそうつぶやくと、エレンはアコが見ていたほうへ視線を向け、手を振った。

エレンとアコの存在に気づいたのか、菖もこちらに手を振って応えてくれた。

だが、アコもエレンも、その顔が微妙に暗いことに気づいた。

「菖さん、なにかありました?」

「なんだか、暗い顔してるけど」

「ん?……あぁ……実は」

と、菖は自分が加音町に来た事情を説明した。

それを聞いたアコは、大きくため息をついていた。

「……ほんと、馬鹿っぽい……というか、救いようがないわね、これはもう」

「それで、篠笛を探しに加音町(ここ)に来た、と……確かに楽器ならここに並ぶ街はないだろうけど」

「あ、ならわたしたちが案内しましょうか?」

追いかけっ子を終わらせてきた響と奏の声がしたほうへ振り向いた。

よく見れば、響の口もとにはホイップクリームと思われる白いものがついていた。

どうやら、走っている途中で奏のケーキを一口食べたようだ。

「ん?……あぁ、響と奏か。できればお願い……その前に、響は口元拭こうな?」

「……へ?」

「ここ、クリームついてるよ」

菖が自分の口元に指をさして、クリームがついている場所を響に教えた。

示されるまま、響は口元をぬぐうと、クリームがついていたことにようやく気づき、顔を真っ赤にしてしまった。

「ははは、響は相変わらず、食いしん坊さんだな」

「うっ……うぅ……」

菖に笑われて、響は顔を真っ赤にしながら、うずくまってしまった。

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それから数分して。

ようやく復帰した響と奏、それからエレンとアコに連れられて、菖は加音町にある楽器屋にやってきた。

幸いにして、笛はすぐに見つかった。

だが。

「……う~ん……」

「やっぱり、しっくりきませんか……」

「えぇ……さすがに、子供のころから使ってたものが馴染んでしまっていますから……」

なかなか、納得のいくものが見つからずにいた。

その様子を見守りながら、響たちは普段なら、遺跡関係のこと以外ではあまり見ることのない、菖の真剣な表情に呆然としていた。

「菖さん、遺跡以外のことでもあんな表情するんだ」

「これは意外よね……」

少しばかり失礼なようではあるが、菖の考古学や遺跡への熱意は、付き合いが深いつぼみたち(ハートキャッチ組)以外のメンバーも嫌というほど知っているため、仕方がない反応である。

呆然としている響たちをよそに、菖はなおも真剣な表情で笛を吟味していた。

一時間ほどしてようやく。

「これにします」

「ありがとうございます!」

菖はようやく、新しい笛を決めた。

「よ、ようやく終わったみたい……」

「な、長かった……」

「二人とも、情けないわね」

待ちくたびれた響と奏は、店員が用意してくれた椅子の背もたれに、ぐでっ、と疲れた様子でもたれかかっていた。

その様子を、アコが半眼で睨みつけていた。

一方、エレンは菖が買った笛に興味が湧いているらしく、菖の手にしている笛をじろじろと至近距離で見つめていた。

時折、鼻を近づけて、すんすん、と笛の匂いをかいでいるあたり、猫のようであった。

その様子を間近で見ていた菖は、苦笑を浮かべながら見守っていた。

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店を出た菖は、響たちに案内されて、加音町の名所である「調べの館」へとやってきた。

初めて入った菖が出した、最初の発言は。

「パイプオルガンでかっ!!」

だった。

日本にも一応、パイプオルガンが設置されているオペラホールがあるのだが、目の前にあるパイプオルガンはそれよりも大きいのではないかと思ってしまうほどだ。

なぜ、響たちが菖をこの館に案内したのか。

それは。

「「「「菖さん/菖兄さん!笛を聞かせてください!!」」」」

「……え、ここで?」

菖の笛の音が聞きたいからだったのだが、案内された本人は、わざわざここに呼ばれた理由がまったくわからなかった。

もっとも、響たちに聞いても、大した理由はなく、単にここが自分たちのたまり場だからということらしい。

身勝手といえば身勝手な理由に、菖は苦笑を浮かべたが、リクエストに応じないほど意地悪ではない。

「それじゃ、リクエストに応じまして……」

菖はそう言って、早速、新しい笛を手に取り、吹き口にそっと唇を当て、息を吹きこんだ。

ほぅ、ぴぃ、ひぃ、と様々な音階の音を出してから、菖は一度、笛から唇を離して、背を伸ばし、大きく息を吸った。

そして、再び、吹き口に唇を当てた。

「~~♪~♪~~~♪」

澄んだきれいな音が、菖の篠笛から漏れ出てきた。

祭囃子を奏でるのかと思っていた響たちだったが、奏でられる旋律が祭囃子のようなにぎやかなものではなく、神社で行われる儀式や神楽舞で奏でられるような、静かで荘厳な、しかし美しい旋律であることに驚愕した。

だが、響たちは驚愕の声さえあげることなく、静かにその音色に聞き入っていた。

しばらくの間、調べの館に響いていた菖の篠笛の音色は、最後の旋律を奏でると静かに、余韻すら残すことなく、消えていった。

「「「「……」」」」

しばらくの間、響たちは演奏が終わったことに気づくことなく、ただ静かに座っていた。

「……お~い、みんな~?」

あまりに長い間、だんまりが続いていたので、菖は心配になって、思わず四人に声をかけた。

すると、菖に呼ばれたことに気づいた響たちは、小さく体を震わせて、同時に返事を返してきた。

「「「「は、はいっ?!」」」」

「どうだった?俺の笛」

笛を持ったまま、菖は響たちに問いかけた。

「とってもきれいでした!」

「この前のお祭りの時の笛よりもすっごくきれいでした!!」

「もう一度、吹いてください!!」

「……お兄ちゃん。わたし、もう一度、聞きたい」

感想は様々であったが、とても気に入ったということだけは伝わってきた。

菖はアコのアンコールに応じて、もう一曲、奏で始めた。

だが、ここにいる誰も気づいていないことが一つあった。

調べの館の入り口。

そこに、この館の管理人であるアコの祖父、音吉が腕組をして菖の笛の音を聞いていたのだ。

「ふむ……ずれておらんな。使い手も、笛も」

顎に指を添えながら、音吉はそんな感想を漏らしていた。

もっとも、そのことは、菖はおろか、孫娘であるアコにすら明かされることはないのだった。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~数十分後の「Luckey Spoon」にて~
響「菖さん、これ食べてみてください!!」(^^*
菖「ん?これって、カップケーキ?」
奏「はい。うちの厨房つかって、響が作ったんです」
菖「へぇ……そんじゃ、遠慮なく(パクッ)」
響「……」(・ω・;<ドキドキ
エレン「響、緊張しすぎ」(^_^;
菖「うん、うまいと思うよ」
響「よかったぁ……」ε-(´∀`*
アコ「練習した甲斐があったわね、響」(-_-
響「うん!なんかほっとしたらお腹減ってきちゃった」(^_^;
菖「おいおい……そんなに緊張するものなのか?」
エレン「菖さんにおいしいって言ってもらうんだ~、って必死に練習してましたから」
奏「ほんと、付き合わされるこっちの身にもなってほしいわ。いくら菖さんに褒めてほしいからって、ねぇ?」(・∀・
響「うっ……」(///_///
菖「ん?なんで俺に褒めてもらいたいのさ?」
アコ「……兄さん、朴念仁……」(-_-;
エレン「……菖さん、そこは気づきましょうよ……」
菖「……ん??」
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