ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

243 / 347
やっとできた……
夏になるとどうしてもやっぱり思い出すのは夏合宿……
いやぁ、当時から猛暑日が連続で続いていたから、死にかけたのなんのって……よく生きてたな、私。


氷川道場と明堂院流道場の合同練習試合!菖さんと誠司さん、激突です!!

菖の目の前には、道着姿で身構えている誠司がいた。

菖もまた、道着姿で身構え、いつでも誠司と戦える体勢を整えていた。

「始め!」

審判役の門下生の合図で、誠司は床を蹴り、菖へと突進し、拳をつきだしてきた。

だが、菖はその拳をいなし、誠司の攻撃を受け流した。

「くっ!せやぁっ!!」

「甘い!」

その後も続く連続の突きに蹴りを受け流し、的確に掌底を誠司のわき腹や胸に叩きつけていた。

だが、誠司はひるむことなく、再び構え、菖と対峙した。

――やるな、誠司……それに、いい目をするようになった

対峙する誠司の顔を見ながら、菖は心中で呟き、静かに身構え、誠司を迎え撃つ準備を整えた。

----------------------------------

なぜ、菖と誠司が試合をすることになったのか。

それは数日前にさかのぼる。

その日、菖とゆりはいつきに呼ばれ、明堂院流道場に顔を出していた。

「それで、いったいどんな用事かしら?」

「俺とゆりだけで、つぼみたちには頼めないことなのか?」

菖とゆりは、自分たちが呼ばれた理由がわからず、いつきにそう問いかけると、いつきは深々と頭を下げてきた。

「お願いします!ゆりさん、菖さん!!明堂院流に力を貸してください!!」

だが、いきなりそんな風に頼まれても、菖もゆりも事情がまったく飲みこめていなかったため、困惑した。

「いや、一から説明してくれ」

「そうよ。いきなり力を貸してほしいなんて言われても、わたしたちが困るだけよ?」

「あ……はい。すみません」

いつきは少し顔を紅くして、謝罪し、事情を説明し始めた。

いつきによると明堂院道場とぴかりが丘にある氷川道場が交流試合を行うことになったのだが、氷川道場からの選手が、誠司といおな、そしてまりあなのだという。

三人とも氷川道場内ではかなりの使い手であり、明堂院道場のメンバーでは太刀打ちできないと判断したいつきは、流派が違う菖と元々は門下生ではないゆりに助力を願ったのだ。

「わたしは別に大丈夫だけれど……菖は大丈夫なの?」

「じぃじに聞いてみないとわからないけど、たぶん、大丈夫じゃないかな?」

ゆりの問いかけに、菖は顎に指を添えて返した。

菖は明堂院流ではなく、先祖から細々と受け継いできた古流武術、泉地流の使い手であり、次期後継だ。

そのため、他流試合となると慎重にならざるを得ないのだが、そのあたりについて仁頼は寛容で、よほど仁頼が気に入らない流派出ない限り、許可が下りないということはない。

「なら、決まりね」

「だな」

「ありがとうございます!」

菖とゆりからの返答に、いつきは深々と頭を下げて、お礼を言った。

----------------------------------

それから一週間後。

菖とゆり、いつきはぴかりが丘にやってきた。

もっとも、応援部隊として、つぼみとえりかがついてきたので、結局いつものメンバーでぴかりが丘にやってくることになるのだが。

閑話休題(それはともかく)

氷川道場に到着すると、門の前には門下生代表として、氷川姉妹(まりあといおな)と誠司、めぐみとひめ、そして応援団としてゆうこが待っていた。

「えりか~っ!お会いしたかったですぞ~っ!!」

「ひめ~!あたしもだよ~!!」

珍獣コンビ(似た者同士)が互いの姿を見つけると、まるで数年越しに再会した親友同士のように抱き合った。

その様子に苦笑を浮かべながら、いつき、ゆり、菖の三人は、試合相手となるであろう門下生たちと挨拶を交わした。

「久しぶりだな、誠司」

「いおなちゃん、久しぶり!!」

「ご無沙汰してます、まりあさん」

「久しぶりです、菖さん!」

「久しぶり、いつき!」

「えぇ、久しぶりね。ゆりちゃん」

六人は六人とも、笑顔で挨拶を交わしあったが、その眼は決して笑ってはいなかった。

残されたつぼみとゆうこは、その様子に苦笑を浮かべながら、他の門下生たちの案内で道場内へ入っていった。

道場主であるいおなとまりあの祖父に挨拶を交わし、氷川道場の門下生たちと一緒になって軽く体を動かし、慣らした後、いよいよ合同練習試合が開始された。

対戦カードは、いおな対いつき、まりあ対ゆり、誠司対菖となった。

第一試合となる、いおなといつきの対決は、互いに次代の道場の顔というだけあり、激しいものとなった。

いや、おそらく、互いの道場の名誉のためというよりも、互いに武道家ということもあって、いつか全力で戦ってみたいという願いが叶ったためだろう。

拳を組み交わし合う二人の顔は、楽しそうな笑顔を浮かべていた。

が、あまりに楽しかったためか、試合時間すべてを使いきってしまい、決着がつかなかった。

「う~ん……ちょっと残念だなぁ」

「そうね。けど、次は勝つわ」

「僕だって負けないよ」

試合終了後、いつきといおなは笑顔で握手を交わしたが、その眼は決して笑っていなかったし、交わしている言葉もどこか好戦的であったことは言うまでもない。

続く第二試合。

まりあとゆりの対決もまた、熾烈という形容詞が似つかわしいものとなった。

もともと、ゆりは明堂院流の門下生ではないが、薫子から学んだ空手の基礎と、キュアムーンライトとして戦い続けて磨き上げた戦闘のセンスでまりあと互角に渡り合っていた。

突き出されるまりあの拳をいなしたゆりは、反撃にまりあの頭を狙い蹴りを入れたが、まりあは身をかがめて回避すると同時に、足払いをかけられた。

だが、ゆりは軸足で床を蹴って跳び上がり、そのまま、まりあの腹めがけて蹴りを入れようとした。

だが、まりあはそれを受けとめ、ゆりの足をひねり、バランスを崩した。

「くっ!」

どうにか体勢を立て直そうとしたゆりだったが、その瞬間を狙ったように、まりあの手刀の切っ先が、ゆりの鼻先に向けて突き出された。

「……参り、ました」

ゆりは、悔しそうに顔をゆがめて、まりあに降伏宣告をした。

これで結果は一敗一引き分け。

勝負の行く末は、誠司と菖の試合に持ち越しとなった。

「「「頑張れーっ!誠司~っ/誠司く~んっ!」」」

「「菖さん、ファイトですっ/っしゅ!!」」

応援部隊の声援を聞きながら、菖と誠司は試合場に入っていき、所定の位置まで歩いていった。

そして。

「始め!」

審判からの試合開始の合図と同時に、身構え、互いの隙を虎視眈々と狙い始めた。

----------------------------------

「こうして冒頭のシーンに戻るっしゅ!」

「えりか、誰に説明しているんですか……」

えりかの突然の謎の発言に、つぼみは頬に汗を伝わせながら、えりかに問いかけた。

だが、えりかはその問いかけを無視して、いまも続けられている菖と誠司の試合の実況を開始した。

「さぁ、試合開始からにらみ合いを続けていた二人ですが、間合いを詰めたかと思うとまりあさんとゆりさんばりの激しい格闘だぁ!」

「ですが、戦況は菖さんのほうが有利!誠司から繰りだされる正拳突きをいなし、カウンターとばかりに腹や腕に掌底を繰りだす!!」

「誠司ーっ!頑張れーっ!!」

「菖さん!頑張ってください!!」

かたや実況をするひめとえりか、かたや、必死に応援するめぐみとつぼみであった。

そんなやかましい観客をよそに、菖と誠司の激しい打ち合いは続いた。

誠司から繰りだされる拳を、菖が手刀で軌道をそらし、カウンターの要領で腹や脇に拳や掌底を突き出した。

が、誠司は突き出されたそれらをもう片方の手で受け流し、右足を軸にして独楽のように回転し、左足を蹴り上げた。

その蹴りを菖は紙一重で回避し、その反動で腹にむかって蹴りをお返しした。

今度は誠司がその蹴りを受け流し、菖のそでをつかみ、投げ飛ばした。

だが。

「うわっ……とっ!!」

『なっ?!』

投げ飛ばされた菖は空中で体をひねり、着地した。

その芸当に、ゆり以外の全員が目を丸くした。

「「「ちょ……そんなのあり??!!」」」

「菖さん、すごく器用です……」

「な、なんかもう、なんでもありね。菖さんって……」

「あらあら、すごい芸当ね」

「……なんか、菖さんだったら納得できるけど……」

「……いや、納得したくないわよ」

「遺跡探検は伊達じゃないってことね」

口々に観客と化していたゆりたちがそう話している間にも、菖は床を蹴り、誠司との距離を詰めた。

その右手は、張り手とも掌底ともつかない開き方をしていた。

それをみたつぼみとえりかは。

「「でましたっ/出たっ!!」」

と一斉に叫んだ。

一方、ゆりといつきは。

「出た、菖さんの必殺技!」

「これで決まりね」

と、小さく笑みを浮かべていた。

一方、必殺の構えをした菖は。

「轟っ!!」

踏みこみと同時に吼え、右手を誠司に向けてつきだした。

誠司はその右手を受け流そうとしたが、ぎょっ、と目を見開いた。

その右手に、一瞬ではあるものの、牙をむけてきている青白い獅子の姿が見えたのだ。

その一瞬の怯えが、勝敗を分けた。

誠司は菖の右手を捌くことができず、両腕をクロスさせて受け止めた。

だが、菖のその掌底は予想以上に重く、勢いがあったため、誠司は吹き飛び、背中を床に叩きつけられた。

「ぐっ!!」

「そこまで!!」

起き上がろうとする誠司だったが、その眼の前には突き出された菖の拳があった。

それをみた審判はこれ以上は試合の度を超えると判断し、菖の勝ちとして判定した。

こうして、氷川道場と明堂院流道場の合同練習試合は、一勝一敗一引き分けという結果となった。

なお、試合の後、氷川道場の面々、特に誠司といおなから、菖が使った技についてあれこれ聞かれたことは言うまでもない。




あとがき代わりのその後の話(スキット風)

~試合終了後~
ゆうこ「みなさ~ん!大森弁当の差し入れですよ~!」
門下生一同『押忍っ!いつもありがとうございます!!』
ゆうこ「いつきちゃんたちも、どうぞ」
ハートキャッチ組、菖「「「「ありがとうございます/ありがとう。いただきます!」」」」
いつき「あれ?そういえば、誠司くんは??」
ひめ「誠司だったら、あっちにめぐみと一緒に」
えりか「ほほぅ?」(・∀・
菖「えりか、出歯亀はやめろよ?」
ゆり「そうね。覗きは感心しないわよ?」
えりか「え~……けど気になるっしゅ!!」-3-)
つぼみ「そ、それは……たしかに」
いつき「う、うん……」
ゆり「いいから、早くいただきましょう」
つぼみ、えりか、いつき「「「……はーい」」」
菖「ははは……」(^_^;
----------------------------------
誠司「痛ぅ……」
めぐみ「誠司、大丈夫?」
誠司「あぁ、だいぶ楽になった。サンキューな」(^^
めぐみ「ぜんぜん!けど、強かったね、菖さん」
誠司「あぁ……もっと俺も頑張らないと」
めぐみ「うんうん!それじゃ、わたしも誠司に負けないように頑張る!!」p(-ω-)q
誠司「……お前の場合は頑張りすぎて暴走しないかが心配だ」(-_-;
めぐみ「うっ……返す言葉もごじゃいません……」
誠司「……ま、そんなお前だからほっとけないんだけどさ……」
めぐみ「……?なんか言った??」
誠司「なんでもない」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。