ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~   作:風森斗真

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これが年内最後の投稿となります
というわけで、やってみたかったクロスオーバーで今年を占め来らせていただきます!


オイシーナタウンを訪れた、孤独に空腹を満たす男

 その男は、とにかく腹が減っていた。

 オイシーナタウンのゲストハウスのインテリアに使用する招き猫を頼まれたのだが。

 

――正直、あれ以上増やしてどうするんだろうな……何年か前に亡くなったお隣のおばあさんが愛用していたら、いつの間にか街の住人全員が好きになったってことだけど、あれ以上あったら置き場に困るんじゃないかなぁ……

 

 もっとも、他者の趣味趣向について、第三者の自分が口出しすることでもない。

 好きな料理を注文し、好きなように食べる。

 自分のその主義に対して口出しをされるいわれがないことと同じだ。

 

――好きな食べ物やこだわりは、他人が口出ししていいもんじゃない。それぞれの楽しみがある

 

「それに口出しするのは野暮ってもんだよな……なんて、小難しいこと考えてたら、腹が減ったなぁ」

 

 とりあえず、飯を探そう。

 そう考えた矢先、男の鼻をおいしそうな匂いがくすぐる。

 匂いがしてきた方へ視線を向けると、そこには『なごみ亭』という看板が。

 

――この定食屋、たしかさっき話で出てたおばあさんが経営してたって定食屋だよな。ほかのところで目移りするより、ここで食べちゃおう

 

 即断即決。

 どこかの女子中学生ならば『腹ペコった~』とお腹を抱えながら言っていそうな状況であるこの男にとって、鳴り出しそうな腹の虫を大人しくさせることが最優先事項だ。

 ならば、と男はなごみ亭の中へと入っていく。

 それなりに人気の店らしく、男と同じ、サラリーマンや学生が昼食を楽しんでいる光景を目にしていると。

 

「いらっしゃいませ~。お好きな席へどうぞ~!」

 

 中に入ると、中学生くらいの少女がそう声をかけてくる。

 この店の娘だろうか、と思いつつ。

 

――まぁ、終業式も終わった頃だろうし、娘さんが手伝っていてもおかしくはないか

 

 と結論を出した男は、少女が言った通りに空いている窓際の席へと移動し、備え付けられていたメニューに目を通す。

 

――和食がメインで、ハンバーグやエビフライ、オムライスみたいな洋食がちらほら……なるほど、大衆食堂っぽい。こういうの、俺大好き

 

 メニューにそんな感想を抱きながら、自分がいま何を食べたいのか、胃袋と向き合いながら思考する。

 だが、どれもおいしそうであるためだけでなく、空腹が加速していることも相まって、なかなかまとまらない。

 

――どうしたもんかなぁ……腹の虫も玄界灘、ここはおすすめを選ぼう

 

 情報が少なすぎるため、無難で堅実な手段に出る。

 おすすめにあるメニューは、定食屋らしく、肉じゃがや豚の生姜焼きといった人気メニューにご飯とみそ汁、小鉢をつけたセットが多い。

 

――ん? おでん……おでんかぁ。そういや、静岡に行った時、汁なしのおでんを食べそこなったことがあったなぁ

 

 おでんとご飯のセットを見つけた時、男は静岡県へ仕事で向かったときのことが脳裏に浮かんでくる。

 あの時は、静岡おでんと黒はんぺんを食べようと思っていたのだが、飛び込んた店が提供するおでんは、汁がからしになっているおでんであった。

 

――あのおでんもうまかったけど、ほんとは粉をかけるおでんが食べたかったんだよなぁ……なんだか、無性におでんを食べたくなってきたぞ

 

 つい、過去のことを思い出していたら、おでんを食べたくなってしまった。

 

「すみません」

「はーい」

 

 注文をしようと手をあげると、さきほど案内をしてくれた少女がやってくる。

 男はおでんの定食と飲み物としてウーロン茶を注文すると。

 

「うちのおでん、おいしいですよ! 少々お待ちくださいね」

 

 満面の笑みを浮かべながら、少女は厨房の方へと下がっていく。

 

――娘さんがおすすめするおでんか。楽しみじゃないか

 

 心中でそんな感想を抱き、男はおでんがくるまで店内を見回す。

 カウンター席には、褐色肌でコートを肩掛けしている特徴的な人物が薄桃色の長髪をしている少女と並んで肉じゃがを口にしており、そのすぐ近くのテーブル席では、とび色の髪をしている青年が談笑しながら黒く長い髪の少女と食事をしている。

 

――なんだかのんびりした光景だなぁ……いかにも平和そうな町って感じだ

 

 家族や友人、あるいは一人で、のんびりと空腹を満たす。

 それもまたいいが、男は一人で気軽に腹を満たしたい。

 時間や社会にとらわれず、つかの間の自分勝手で自由な時間の中で空腹を満たす。

 その行動に、男は最高の「癒し」を見出していた。

 

――家族か。身を固めることなんて、俺には想像できないが、そういうのもいいのかもしれない

 

 などと色々と考えていると。

 

「お待たせしました! おでん定食です!!」

 

 男の目の前に、おでん定食が運ばれてきた。

 ほかほかと湯気を立てているごはんとおでん、それに味噌汁。

 小鉢のおひたしと漬物が彩りを演出している。

 いかにも「定食」という感じの定食だ。

 そんな感想を抱きながら、男は箸を手に取り。

 

「いただきます」

 

 食事を開始する。

 ほくほくと、中までだし汁が染み込んだ大根やちくわ。

 時折、箸休めに手を伸ばすおひたしや漬物もいい仕事をしている。

 何より。

 

――この味噌汁、うまい。ご飯にぴったりとはまってくる。この米にはまるように作られてるって感じだ

 

 味噌汁だけではない。おひたしや漬物も、そしておでんさえも米とうまくかみ合うよう、調理されている。

 それだけ、この定食屋が丁寧に料理をしているということなのだろう。

 その証拠に自分以外のこの定食屋の客人の顔すべてが笑顔に満ちている。

 

――なんていうか、安心して帰ってこれる場所なんだろうな。この人たちの笑顔がそれを物語っている……猫に招かれてやってきたのは客じゃなくて笑顔のほうだったってか?

 

 くすり、とかすかな笑みを浮かべて、男は残ったおでんと米を平らげる。

 

「ふぅ……ごちそうさまでした」

 

 丁寧にお辞儀をして、男は立ち上がる。

 すると、再び入り口が開き新たな客人が入ってくる。

 

「いらっしゃいま……あ、拓海!」

「よ、ゆい。昼飯、食いに来た」

「ちょうど、マリちゃんも来てるよ。カウンター席にどうぞ~」

 

 拓海と呼ばれた高校生くらいの年齢の茶髪の少年を、ゆいと呼ばれた少女が案内する。

 どうやら、友人らしいが、ただの友人関係というわけではなさそうだ。

 男はなんとなく、甘酸っぱい空気を感じながら、会計をすませ、店を出た。

 

――招き猫に招かれてこの町にやってきたおかげでいい店に会えたな……さて、明日から北海道か。年末だってのに、どうしてこうも忙しいのやら……いや、自営業の人間には忙しいくらいがちょうどいいか

 

 やれやれ、とため息をつきながら男は歩いていく。

 彼の脳裏には、これから向かう土地に何があるのか。何を食べようか。

 そのことが頭に浮かんでいるのだった。




おまけ

~本日注文したメニュー~
菖「焼き鮭定食」
ゆり「煮魚定食よ」
ローズマリー「オムライスよ。コメコメも同じもの頼んだのよね?」
コメコメ「そうコメ!」
拓海「俺、オムライス定食」
あきほ「本日もご利用、ありがとうございました♪」


というわけで、前書きでも申しました通り、この話が今年最後の投稿と相成ります
新年一発目のお話の投稿予定は未定ですが、できれば一月中には出したいなと考えております
お待ちいただけると幸いです
それでは皆様、よいお年をお迎えください
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