ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
(突貫工事感は否めませんが……)
なお、まだわんぷり組は参戦してません(^^;;
「……」
「……ふぅ……」
「……あちぃ……」
「……はぁ……」
一つの密室で、菖と拓海、湊、ツバサの四人がタオル一枚の姿で並んで座っていた。
顔だけでなく、体中から玉のような汗が浮かび、時折、ぽたぽたとしずくが落ちていることから、その部屋の温度が異常に高いことがうかがえる。
「あ、あの……そもそもなんで僕たち、こんなところにいるんですか?」
「ん? なんでって」
四人の中で一番若い、というよりも幼いツバサは、うつろな目をしながら隣に座る菖にといかける。
その質問に答えようと、菖はこうなったいきさつについて思い出していた。
一週間前。
菖のもとに一通のメッセージが届いた。
送り主は、プリキュアメンバーの中で屈指の財力を持つ四葉ありすである。
曰く、数か月前に海藤グループと共同で沿岸エリアにスパ施設を作ることが決定し、一週間ほど前に施設が無事に完成。
安全性など、様々なチェックも終了したため、プレオープンとしてありすとみなみがプリキュアオールスターズのメンバーと菖と湊、拓海の三人が招待されたのだ。
せっかく招待されたのだから、行かないという選択肢はない。
みんなで集まって思いっきり遊ぼうということになり、スパ施設にプリキュアオールスターズが大集合することとなったのだ。
スパ施設ではあるが、すぐ近くにはプールや海水浴場もあり、もうどちらかといえばリゾート施設と呼んだ方がいいのではないかと思えてくるのだが、そのことを追求しても柔らかなほほえみではぐらかされることは目に見えているので、つっこむことはやめている。
そのようなわけで、男女で別れて行動することになり、どういうわけかサウナで集合することになってしまったのだ。
「……なんでだろうな?」
サウナに入るまでのいきさつを思い出していたが、特に示し合わせていたわけでもないし、なぜか自然と集まっただけ。
どうしてそうなったのかは菖も聞きたいところなのだろう。
そのため、菖の口から出てきた返答はさきほどのものだったのだが、それで納得するツバサではなかった。
「いや覚えてないんですか!」
「というか、特に示し合わせてないからな。思い出しようがないってのが正しいんじゃないか?」
「や、だとしてもですよ……」
普段、突飛な行動やどこかずれているソラや、理由を告げることなく問答無用で自分を引っ張っていく
納得いかない様子で言葉をつづけようとしたが、その矢先。
「ツバサ、そろそろ出た方がいいぞ?」
菖がそう言いながら立ち上がった。
湊と誠司、拓海はまだ残るつもりらしくじっと座っている様子に。
「……いえ、僕もまだ残ります!」
と、今ここで出たら何かに負けたような気がするのか、このタイミングで出ることを拒否してきた。
だが、菖はそこで引き下がることなく。
「無理すんな。サウナは我慢比べする場所じゃないんだぞ? 下手に長居してぶっ倒れたらプリンセスに怒られるだろ」
「うぐっ……」
実際には子守役なのだが側仕えという意味では騎士と大して変わらない、と豪語しているツバサにとって、一番疲れたくない部分をついた。
さすがにエルに怒られたり心配をかけたりすることは避けたいらしく、ツバサはそれ以上反論することなく、おとなしく退出することを選んだ。
だが、ほどなくして。
「さて、俺も出るか」
「え、兄貴もう出るのかよ?」
菖もサウナから出ようとしていた。
その様子に湊は意外そうな様子で声をかけてくる。
あまり無理をせず、穏やかな性格をしているが、その実、負けず嫌いなところがあることを知っているため、サウナのような我慢が試される場所でそれが発動すると思っていたのだろう。
だが、菖は苦笑を浮かべながら振り返り。
「いや、さすがに限界までいてぶっ倒れたら嫁たちに心配かけることになるしさ」
その言葉に、その場にいた一同は納得したといわんばかりの顔になった。
何せ目の前にいるこの男、高校生ながら四葉財閥や海藤グループから学芸員や遺跡調査員の人材紹介や遺跡調査の報酬としてかなりの収入を得ているだけでなく、ブルースカイ王国の名誉貴族としての身分もある。
一代限りとはいえ、貴族の身分を持ち、なおかつ、相応の収入があるため、現在、日本が施行している『一夫多妻および一妻多夫許容法』、通称ハーレム法の要件を満たしており、プリキュアのメンバー限定ではあるが、すでに五人の婚約者を持っているのだ。
同い年からすればうらやましいことこの上ない身分ではあるものの、その分、気を使うことも多いらしい。
特に『つい』徹夜をしたり危険な国へ発掘に赴いたりするものだから、五人の婚約者――特に付き合いの長いゆりとつぼみ――がものすごく心配し、その結果、菖自身が困った状況になってしまうということが多々あったそうな。
その経験から、特に目の届く範囲にいるときはなるべく心配をかけたくないというブレーキが生じるらしい。
「……なら、俺も出るかな」
「俺も」
「だな」
菖の話を聞いて、自分たちにもできる限り心配をかけたくない相手がいることを思い出したのか、根競べをしようとしていた三人は我慢大会を中止し、おとなしくサウナから出ることにした。
もっとも、サウナと水風呂、外気浴の流れを三回ほど体験すると。
「「「「整ったぁ……」」」」
どこか腑抜けた雰囲気をまとってしまい、別の意味で心配されることとなったのだが、それはまた別の話。