ハートキャッチプリキュア!~もう一人の戦士"大樹の騎士"~ 作:風森斗真
でもって、今度はHugっと!、と……そういや、これがプリキュア15周年作品になるわけですな……
Hugっと!が始まるまでにこっちも本編最終話上げられるようにがんばろ(-ω-
あ、今回のあとがきスキットは私なりの悪ふざけですのでご容赦を
いやぁ、原作のこの二人は実にいいものですなぁ……末永くいてほしいもんです
その日、菖は珍しく一人でプリキュアパレスに来ていた。
その理由は、パレス内部にある遺物の研究ではない。
ハートキャッチ・ミラージュを手に入れるために挑んだ試練で、菖だけは先代のセイバーとの決闘だったのだが、つぼみたちは自分の影との一騎打ちだったのだ。
菖の試練の内容を聞いていたえりかは、
挙句の果てに、もう一度、プリキュアパレスに行って試練をやり直すべきだ、と文句を言って聞かなかったので、先代の騎士に挨拶に行くついでに、そのあたりを聞いてみようと思い、単身、やって来たというわけだ。
ちなみに、そのことを歴代プリキュアの銅像の中心にある、エターニアハートを模した石像の前でこぼしていると。
「……なるほど、事情はだいたいわかった」
と、呆れたと言いたそうな表情をしながら、先代騎士が現れた。
「だが、お前自身、もう自分のもろさは受け入れているんだろ?」
「まぁ、そうなのかな?」
自分のもろさを受け入れているというよりも、菖の場合はそれをものともしない芯の強さを持っている、という方が正確だ。
おそらく、歴代のプリキュアの意思もそれを察していたからこそ、あえて、先代騎士との決闘という形を試練にしたのかもしれない。
もっとも、本当のところは菖にも先代にもわからないのだが。
「まぁ、そんなわけだから、お前はプリキュアたちと同じような試練は受けられない。勘弁してくれ」
「それは理解したんで、大丈夫ですけど……なんで先代が説明に??心の大樹か歴代のプリキュアたちの誰かが説明に来ると思ったんですが」
菖はその疑問を先代にぶつけた。
いくら不可思議なものが多いプリキュアパレスとはいえ、すでに肉体を失ったものが具現化することなどありえない。
だというのに、菖の目の前には先代騎士の姿があるのだ。
もっとも、その姿ははっきりとしたものではない。
視える体質の菖にすら、その姿は薄らいで見えているのだ。
おそらく、かなりの無理をして
「気にするな、と言いたいが、そうも言えないか」
先代騎士はため息をついて、そう返し、真剣な眼差しを菖にむけた。
その表情に、菖は思わず背筋を伸ばし、真面目な表情を浮かべて、先代騎士の言葉を待った。
先代騎士はその表情に苦笑を浮かべはしたが、すぐにその笑みは消えた。
「いいか、菖。これから話すことは冗談でもなんでもない。わりとまじなことだ」
先代騎士は真剣なまなざしを菖に向けながら、その先を語り始めた。
「いいか。これから先、戦いが激しくなり、心の大樹が枯れてしまう可能性もある」
「……」
先代騎士の突然の言葉に、菖は眉をひそめた。
だが、先代騎士の言葉に反論することなく、ただただ聞きに徹することが出来ているところから、菖も最悪の事態は想定しているようだ。
「そうなった場合、大樹の加護を受けているお前に何らかの影響――具体的に言えば、変身できなくなるなんてことになる可能性もある」
その対策として、と先代騎士はそれぞれ赤、青、緑、黄色に染められた羽を差しだしてきた。
「心の大樹に咲いている花を使って染め上げたものだ。まぁ、心の種の代わりだと思ってくれればいい」
「なるほど、手袋をココロパフュームに見立てて、プリキュアの種の代わりを作ったんだ……で、これをどうしろと?」
「手袋に羽飾りがついているだろ?あれと付け替えればそれでいい」
「わかりました」
菖は二つ返事でうなずき、先代騎士からその羽を受け取った。
随分と簡単な対策ではあるが、視える体質の人間である菖には、先代騎士が手にしている羽から、とてつもなく強い力を感じ取っていた。
万が一に備えての対策、というのはあながち嘘ではないことがそれだけで理解できていた。
なにより、先代は嘘を吐くことが苦手だという疑うを、剣を交えた菖は理解できていたから、簡単に応じることができた。
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菖が先代騎士から受け取った羽飾りと、手袋にもともとついていた羽飾りと付け替えている間、先代騎士は作業しているその背中を見つめていた。
そんな先代騎士に、一人の少女が声をかけてきた。
「どうしたの?セイバー」
「アンジェ……いや、これから厳しい戦いが待っているのかもしれないと思うと、俺たちがやり残したことの大きさを思い知らされてな」
口には出さないが、先代騎士は菖に負い目を感じている。
なにせ、自分たちにはやり残してしまったことが山ほどある。
その最たるものが、砂漠の使徒との決着なのだが、それ以上に、四百年前に砂漠の王から追放され、怒りと憎しみのまま、地球を破壊しようとしていたサラマンダー男爵の心を救うという宿題も押しつけてしまっていた。
最終的に男爵の力の結晶を砕いたうえで封印することになったが、セイバーは最初から封印することなく、彼の怒りと憎しみを理解し、この世界に受け入れてやれるよう、奮闘していた。
だが、結局、男爵の怒りと憎しみをほどく役目は、自身の後継者たる菖に引き継がせてしまった。
そして今回は、砂漠の王との決着まで押しつけてしまった。
「……それはわたしも同じ……ううん、わたしの場合、四百年もの間、たくさんの女の子たちに戦いを強いてきた」
先代騎士の言葉に、アンジェは顔を曇らせた。
本来なら、砂漠の王との決着は自分の代で終わらせたかった。
しかし、その想いは叶わず、結局、四百年もの間、多くの少女たちに戦いを強いてしまった。
そのことを、アンジェは悔やんでいるようだ。
「……今度こそ、終わってほしいな」
「……うん」
先代騎士のその言葉に、アンジェはただ静かにうなずくだけだった。
このとき、この二人はその願いがよもや成就することになるとは思ってもいなかったのだが、それはまだ少し先のことである。
あとがき代わりの後日談(スキット風)
~菖、帰還後~
先代騎士「行ったな」
アンジェ「そうね……ねぇ、ロイド?」
ロイド「ん?」
アンジェ「せっかくだから、パレスの日だまりで日向ぼっこしない?」
ロイド「おいおい、アンジェ。随分のんびりしてるな」
アンジェ「む~っ!二人だけのときは名前で呼んでって言ったよね?!」
ロイド「……そうだったな、コレット」
コレット「えへへ~♪」
ロイド「んじゃ、行くか」
コレット「うん♪」